ジョージ・ソロス氏の元投資責任者スコット・ベッセント氏は大統領時代のトランプ氏とは関わりがなかったが、今では欠かせない存在だと、WSJ。
「ウォール街で最も頭が切れる男の一人」。「誰からも尊敬されている」。「見た目もいい」
トランプ前大統領は最近、スコット・ベッセント氏(62)を評してこう語った。ベッセント氏は世間にはあまり知られていないがヘッジファンドの運用責任者で、かつて民主党の大統領候補だったアル・ゴア氏の支持者でもあった。著名投資家ジョージ・ソロス氏のファンドの元投資責任者でもあると。
トランプ氏は、さまざまな意味で自身にとってあり得ない協力者であるベッセント氏をすっかり気に入っている。8月にノースカロライナ州で行われた集会では、ベッセント氏を称賛したあと、サプライズで本人をステージに登場させた。10日にデトロイト経済クラブで演説した際には「ウォール街で最高のアナリストの一人」と呼んだ。
投資会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者であるベッセント氏は昨年、金融業界の多くがまだ共和党大統領候補としてニッキー・ヘイリー氏を支持していた時期にトランプ氏を表立って支持し、トランプ氏の目に留まった。
ベッセント氏は、トランプ氏が抱える訴訟が支持率にマイナスになるどころかプラスに働いているのを見てトランプ氏支持を決めた。この現象を見て、悪材料があるにもかかわらず値上がりする株――一部の投資家にとっては強気の兆候だ――を連想したと人々に語った。
ベッセント氏は今やトランプ氏の頼りになる経済顧問だ。経済データやメッセージを書き込んだカードをトランプ陣営幹部に渡し、トランプ氏が演説でそれらに言及する。ベッセント氏は、トランプ氏が再選された場合の財務長官などのポストの候補として名前が挙がっていると、WSJ。
JD・バンス上院議員(共和党、オハイオ州)とも親しく、同氏をトランプ氏の副大統領候補に推していた数少ないウォール街関係者の一人だと。
ベッセント氏はサウスカロライナ州で育った。
1991年、ソロス・ファンド・マネジメントに入社した。彼が英国の住宅市場が著しく低迷していることを見抜き、同社はポンドの大規模な空売りを仕掛けた。この取引のけん引役の一人がベッセント氏だった。1992年、同社はこの賭けで10億ドル(現在のレートで約1500億円)超の利益を上げた。
ベッセント氏は2011年から15年までソロス・ファンドの最高投資責任者(CIO)を務め、一時は経営を担った。2013年、同氏は円安を見込んだ投資に成功し、再び称賛された。
2015年、キー・スクエアを設立するためソロス・ファンドを退社。
ベッセント氏はウォール街では高く評価されているものの、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者(CEO)など金融業界の大物のような知名度はないため、トランプ氏は側近に注目を奪われる心配はない。
トランプ陣営の上級顧問を務めるジェイソン・ミラー氏はベッセント氏について、「トランプ氏がしようとしていることの目的を理解し、それを公共政策に落とし込むのを手伝っている」と話した。ミラー氏によると、ベッセント氏は陣営の資金調達も支援しているという。
2016年、ベッセント氏はトランプ氏の勝算が過小評価されていると指摘した。トランプ氏が当選したあと、ベッセント氏は市場の反発に賭けて大勝ちし、後にトランプ氏の大統領就任委員会に100万ドルを寄付した。
ベッセント氏は定期的にトランプ氏と意見交換を行い、詳細を欠くこともあるトランプ氏の経済関連の発言に理論的な肉付けをしようとしている。ベッセント氏は「3-3-3」の政策を推進するよう勧めてきた。
2028年までに財政赤字を国内総生産(GDP)の"3%"に減らす。
規制緩和を通じて"3%"のGDP成長率を加速させる。
1日当たり"300万バレルの石油またはその同等物"を追加的に生産する、というもの。
同氏は米国の多額の債務について以前から懸念を抱いており、債務を減らす唯一の方法は成長率を高めて税収を増やすことだと考えている。
トランプ氏に気に入られている理由の一つに、トランプ氏が勝った場合、米国経済がどれだけよくなるかを世間に発言することをいとわないことがある。
ベッセント氏は思いがけず市場を動かす「ブラックスワン」事象に触れ、トランプ氏を「オレンジスワン」と呼んだことがあると、WSJ。
ベッセント氏はカマラ・ハリス副大統領が勝利した場合、悲惨な結果を招くとの自身の見方も声高に発言している。
「カマラ・ハリスが当選すればまず株式市場でカマラ・クラッシュ(急落、崩壊)が起きるだろう」。ベッセント氏はノースカロライナ州の集会でステージに立つと、聴衆にこう警告した。「それから経済でカマラ・クラッシュが起きるだろう」
会議に出席していた一人がベッセント氏に向かって、トランプ氏の政策が助けるのは「富豪」だけだと叫んだ。ベッセント氏は一瞬驚いた様子だったが、トランプ政権で実質賃金の伸びが拡大したことや「下位50%」の経済状況が改善したことを挙げて反論した。
ベッセント氏は財務省のような大きな組織を運営した経験がないため、トランプ政権が実現した場合、それだけの大仕事にどう対処するかは定かではない。しかし一部の友人は楽観的だ。
「ジョージ・ソロスとドナルド・トランプの両方を操ることができれば、さまざまな人々をうまく扱うことができる」。ソロス・ファンドでベッセント氏と働き、同社出身者の中で最も有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏はそう話した。
トランプ氏が勝つのか、ハリス氏が勝つのか。まだまだ定かではない米大統領選。眼が離せませんね。
# 冒頭の画像は、投資会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者であるベッセント氏
この花の名前は、カリガネソウ
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
月刊Hanada2024年2月号 - 花田紀凱, 月刊Hanada編集部 - Google ブックス
「ウォール街で最も頭が切れる男の一人」。「誰からも尊敬されている」。「見た目もいい」
トランプ前大統領は最近、スコット・ベッセント氏(62)を評してこう語った。ベッセント氏は世間にはあまり知られていないがヘッジファンドの運用責任者で、かつて民主党の大統領候補だったアル・ゴア氏の支持者でもあった。著名投資家ジョージ・ソロス氏のファンドの元投資責任者でもあると。
トランプ氏の頼れる経済顧問はソロス・ファンド出身 - WSJ
ジョージ・ソロス氏の元投資責任者スコット・ベッセント氏は大統領時代のトランプ氏とは関わりがなかったが、今では欠かせない存在だ Gregory Zuckerman and Peter Rudegeair (WSJ と総称) 2024年10月17日
「ウォール街で最も頭が切れる男の一人」。「誰からも尊敬されている」。「見た目もいい」
米大統領選共和党候補のドナルド・トランプ前大統領は最近、スコット・ベッセント氏(62)を評してこう語った。ベッセント氏は世間にはあまり知られていないがヘッジファンドの運用責任者で、かつて民主党の大統領候補だったアル・ゴア氏の支持者でもあった。著名投資家ジョージ・ソロス氏のファンドの元投資責任者でもある。
トランプ氏は、さまざまな意味で自身にとってあり得ない協力者であるベッセント氏をすっかり気に入っている。8月にノースカロライナ州で行われた集会では、ベッセント氏を称賛したあと、サプライズで本人をステージに登場させた。10日にデトロイト経済クラブで演説した際には「ウォール街で最高のアナリストの一人」と呼んだ。
投資会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者であるベッセント氏は昨年、金融業界の多くがまだ共和党大統領候補としてニッキー・ヘイリー氏を支持していた時期にトランプ氏を表立って支持し、トランプ氏の目に留まった。
ベッセント氏は、トランプ氏が抱える訴訟が支持率にマイナスになるどころかプラスに働いているのを見てトランプ氏支持を決めた。この現象を見て、悪材料があるにもかかわらず値上がりする株――一部の投資家にとっては強気の兆候だ――を連想したと人々に語った。
ベッセント氏は今やトランプ氏の頼りになる経済顧問だ。経済データやメッセージを書き込んだカードをトランプ陣営幹部に渡し、トランプ氏が演説でそれらに言及する。ベッセント氏は、トランプ氏が再選された場合の財務長官などのポストの候補として名前が挙がっている。
同氏は富豪の投資家で、トランプ一家とは数十年にわたる付き合いがあるが、トランプ氏自身と親しくなったのは最近のことだ。トランプ氏の弟、故ロバート氏の元妻ブレイン・トランプ氏と親交がある。
今年、フロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」に滞在中のトランプ氏を訪問し、トランプ氏のアイデアを政策にする方法を議論した。
JD・バンス上院議員(共和党、オハイオ州)とも親しく、同氏をトランプ氏の副大統領候補に推していた数少ないウォール街関係者の一人だ。トランプ政権が実現した場合の別の財務長官候補と目される投資家ジョン・ポールソン氏とも親しい関係にある。
この記事はベッセント氏や同氏とトランプ氏の関係をよく知る10数人を超える人々の取材に基づいている。
南部からソロス・ファンドへ
ベッセント氏はサウスカロライナ州で育った。地元の実業家だった母親は5回の結婚歴があり、そのうち2回の相手はベッセント氏の父親だった。父親は不動産投資の失敗で破産した。同氏が公の場で話しているが、家族は父親の失敗に振り回され、同氏は9歳で初めて夏休みのアルバイトをせざるを得なかった。
同性愛者のベッセント氏は米海軍士官学校への進学を考えたが、性的指向についてうそをつきたくなかった。代わりにイエール大学に進学し、ソロス氏の最初の共同経営者だったジェームズ・ロジャース氏の下で働いたあとに投資の世界に入った。
1991年、ソロス・ファンド・マネジメントに入社した。彼が英国の住宅市場が著しく低迷していることを見抜き、同社はポンドの大規模な空売りを仕掛けた。この取引のけん引役の一人がベッセント氏だった。1992年、同社はこの賭けで10億ドル(現在のレートで約1500億円)超の利益を上げた。
ベッセント氏は2011年から15年までソロス・ファンドの最高投資責任者(CIO)を務め、一時は経営を担った。2013年、同氏は円安を見込んだ投資に成功し、再び称賛された。
2015年、キー・スクエアを設立するためソロス・ファンドを退社した。キー・スクエアは、経済や地政学的な情報を基に大局的な見地から市場の動きを予測するマクロ投資を得意としている。
キー・スクエアは運用成績がぱっとしない時期が続いたが、2022年に主力のファンドで約31%のリターンを上げた。それでも運用資産は徐々に減少し、今年6月の時点で借入金も含めて約5億5000万ドルだった。同社は、名前が明かされていない110億ドルの基金の投資顧問も務めた。また他のヘッジファンドのためのアイデアを練ったり、取引を行ったりして利益を折半している。
ベッセント氏は控えめな人物で、あまり知られていない経済データについてとうとうと話すことで知られる。元ニューヨーク市検察官のジョン・フリーマン氏と結婚しており、子どもが2人いる。
トランプ氏支持に
ベッセント氏はウォール街では高く評価されているものの、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者(CEO)など金融業界の大物のような知名度はないため、トランプ氏は側近に注目を奪われる心配はない。
トランプ陣営の上級顧問を務めるジェイソン・ミラー氏はベッセント氏について、「トランプ氏がしようとしていることの目的を理解し、それを公共政策に落とし込むのを手伝っている」と話した。ミラー氏によると、ベッセント氏は陣営の資金調達も支援しているという。
逆説的だが、ベッセント氏が過去にソロス氏と関わっていたことはトランプ氏に対してプラスに働いている。トランプ氏はソロス氏が金融市場で多額の利益を上げたことに感心しており、ソロス氏の下で働くのはどんな感じかと尋ねることがある。ベッセント氏は何年もソロス氏と話していない。
ベッセント氏は主な献金先である共和党候補にこれまでに1500万ドル超を寄付したが、一部の民主党候補も支援した。2000年の大統領選では民主党候補だったゴア氏の陣営のために資金集めパーティーを主催した。この年には、共和党のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)にも献金していた。
2016年、ベッセント氏はトランプ氏の勝算が過小評価されていると指摘した。トランプ氏が当選したあと、ベッセント氏は市場の反発に賭けて大勝ちし、後にトランプ氏の大統領就任委員会に100万ドルを寄付した。
「3-3-3」と「カマラ・クラッシュ」
ベッセント氏は定期的にトランプ氏と意見交換を行い、詳細を欠くこともあるトランプ氏の経済関連の発言に理論的な肉付けをしようとしている。ベッセント氏は「3-3-3」の政策を推進するよう勧めてきた。2028年までに財政赤字を国内総生産(GDP)の3%に減らす、規制緩和を通じて3%のGDP成長率を加速させる、1日当たり300万バレルの石油またはその同等物を追加的に生産する、というものだ。
同氏は米国の多額の債務について以前から懸念を抱いており、債務を減らす唯一の方法は成長率を高めて税収を増やすことだと考えている。
トランプ氏に気に入られている理由の一つに、トランプ氏が勝った場合、米国経済がどれだけよくなるかを世間に発言することをいとわないことがある。ベッセント氏は思いがけず市場を動かす「ブラックスワン」事象に触れ、トランプ氏を「オレンジスワン」と呼んだことがある。
ベッセント氏はカマラ・ハリス副大統領が勝利した場合、悲惨な結果を招くとの自身の見方も声高に発言している。
「カマラ・ハリスが当選すればまず株式市場でカマラ・クラッシュ(急落、崩壊)が起きるだろう」。ベッセント氏はノースカロライナ州の集会でステージに立つと、聴衆にこう警告した。「それから経済でカマラ・クラッシュが起きるだろう」
ベッセント氏は不利になりかねない環境でも、トランプ氏の経済政策を熱心に擁護してきた。金融関連の出版物「グランツ」が今月主催した会議では、米国人の「ニーズにより役立つように国際経済システムを新たな方向に向かわせる」ため、関税や「慎重に調整した」介入を支持すると述べた。
その後、会議に出席していた一人がベッセント氏に向かって、トランプ氏の政策が助けるのは「富豪」だけだと叫んだ。ベッセント氏は一瞬驚いた様子だったが、トランプ政権で実質賃金の伸びが拡大したことや「下位50%」の経済状況が改善したことを挙げて反論した。
ベッセント氏は財務省のような大きな組織を運営した経験がないため、トランプ政権が実現した場合、それだけの大仕事にどう対処するかは定かではない。しかし一部の友人は楽観的だ。
「ジョージ・ソロスとドナルド・トランプの両方を操ることができれば、さまざまな人々をうまく扱うことができる」。ソロス・ファンドでベッセント氏と働き、同社出身者の中で最も有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏はそう話した。
ジョージ・ソロス氏の元投資責任者スコット・ベッセント氏は大統領時代のトランプ氏とは関わりがなかったが、今では欠かせない存在だ Gregory Zuckerman and Peter Rudegeair (WSJ と総称) 2024年10月17日
「ウォール街で最も頭が切れる男の一人」。「誰からも尊敬されている」。「見た目もいい」
米大統領選共和党候補のドナルド・トランプ前大統領は最近、スコット・ベッセント氏(62)を評してこう語った。ベッセント氏は世間にはあまり知られていないがヘッジファンドの運用責任者で、かつて民主党の大統領候補だったアル・ゴア氏の支持者でもあった。著名投資家ジョージ・ソロス氏のファンドの元投資責任者でもある。
トランプ氏は、さまざまな意味で自身にとってあり得ない協力者であるベッセント氏をすっかり気に入っている。8月にノースカロライナ州で行われた集会では、ベッセント氏を称賛したあと、サプライズで本人をステージに登場させた。10日にデトロイト経済クラブで演説した際には「ウォール街で最高のアナリストの一人」と呼んだ。
投資会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者であるベッセント氏は昨年、金融業界の多くがまだ共和党大統領候補としてニッキー・ヘイリー氏を支持していた時期にトランプ氏を表立って支持し、トランプ氏の目に留まった。
ベッセント氏は、トランプ氏が抱える訴訟が支持率にマイナスになるどころかプラスに働いているのを見てトランプ氏支持を決めた。この現象を見て、悪材料があるにもかかわらず値上がりする株――一部の投資家にとっては強気の兆候だ――を連想したと人々に語った。
ベッセント氏は今やトランプ氏の頼りになる経済顧問だ。経済データやメッセージを書き込んだカードをトランプ陣営幹部に渡し、トランプ氏が演説でそれらに言及する。ベッセント氏は、トランプ氏が再選された場合の財務長官などのポストの候補として名前が挙がっている。
同氏は富豪の投資家で、トランプ一家とは数十年にわたる付き合いがあるが、トランプ氏自身と親しくなったのは最近のことだ。トランプ氏の弟、故ロバート氏の元妻ブレイン・トランプ氏と親交がある。
今年、フロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」に滞在中のトランプ氏を訪問し、トランプ氏のアイデアを政策にする方法を議論した。
JD・バンス上院議員(共和党、オハイオ州)とも親しく、同氏をトランプ氏の副大統領候補に推していた数少ないウォール街関係者の一人だ。トランプ政権が実現した場合の別の財務長官候補と目される投資家ジョン・ポールソン氏とも親しい関係にある。
この記事はベッセント氏や同氏とトランプ氏の関係をよく知る10数人を超える人々の取材に基づいている。
南部からソロス・ファンドへ
ベッセント氏はサウスカロライナ州で育った。地元の実業家だった母親は5回の結婚歴があり、そのうち2回の相手はベッセント氏の父親だった。父親は不動産投資の失敗で破産した。同氏が公の場で話しているが、家族は父親の失敗に振り回され、同氏は9歳で初めて夏休みのアルバイトをせざるを得なかった。
同性愛者のベッセント氏は米海軍士官学校への進学を考えたが、性的指向についてうそをつきたくなかった。代わりにイエール大学に進学し、ソロス氏の最初の共同経営者だったジェームズ・ロジャース氏の下で働いたあとに投資の世界に入った。
1991年、ソロス・ファンド・マネジメントに入社した。彼が英国の住宅市場が著しく低迷していることを見抜き、同社はポンドの大規模な空売りを仕掛けた。この取引のけん引役の一人がベッセント氏だった。1992年、同社はこの賭けで10億ドル(現在のレートで約1500億円)超の利益を上げた。
ベッセント氏は2011年から15年までソロス・ファンドの最高投資責任者(CIO)を務め、一時は経営を担った。2013年、同氏は円安を見込んだ投資に成功し、再び称賛された。
2015年、キー・スクエアを設立するためソロス・ファンドを退社した。キー・スクエアは、経済や地政学的な情報を基に大局的な見地から市場の動きを予測するマクロ投資を得意としている。
キー・スクエアは運用成績がぱっとしない時期が続いたが、2022年に主力のファンドで約31%のリターンを上げた。それでも運用資産は徐々に減少し、今年6月の時点で借入金も含めて約5億5000万ドルだった。同社は、名前が明かされていない110億ドルの基金の投資顧問も務めた。また他のヘッジファンドのためのアイデアを練ったり、取引を行ったりして利益を折半している。
ベッセント氏は控えめな人物で、あまり知られていない経済データについてとうとうと話すことで知られる。元ニューヨーク市検察官のジョン・フリーマン氏と結婚しており、子どもが2人いる。
トランプ氏支持に
ベッセント氏はウォール街では高く評価されているものの、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者(CEO)など金融業界の大物のような知名度はないため、トランプ氏は側近に注目を奪われる心配はない。
トランプ陣営の上級顧問を務めるジェイソン・ミラー氏はベッセント氏について、「トランプ氏がしようとしていることの目的を理解し、それを公共政策に落とし込むのを手伝っている」と話した。ミラー氏によると、ベッセント氏は陣営の資金調達も支援しているという。
逆説的だが、ベッセント氏が過去にソロス氏と関わっていたことはトランプ氏に対してプラスに働いている。トランプ氏はソロス氏が金融市場で多額の利益を上げたことに感心しており、ソロス氏の下で働くのはどんな感じかと尋ねることがある。ベッセント氏は何年もソロス氏と話していない。
ベッセント氏は主な献金先である共和党候補にこれまでに1500万ドル超を寄付したが、一部の民主党候補も支援した。2000年の大統領選では民主党候補だったゴア氏の陣営のために資金集めパーティーを主催した。この年には、共和党のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)にも献金していた。
2016年、ベッセント氏はトランプ氏の勝算が過小評価されていると指摘した。トランプ氏が当選したあと、ベッセント氏は市場の反発に賭けて大勝ちし、後にトランプ氏の大統領就任委員会に100万ドルを寄付した。
「3-3-3」と「カマラ・クラッシュ」
ベッセント氏は定期的にトランプ氏と意見交換を行い、詳細を欠くこともあるトランプ氏の経済関連の発言に理論的な肉付けをしようとしている。ベッセント氏は「3-3-3」の政策を推進するよう勧めてきた。2028年までに財政赤字を国内総生産(GDP)の3%に減らす、規制緩和を通じて3%のGDP成長率を加速させる、1日当たり300万バレルの石油またはその同等物を追加的に生産する、というものだ。
同氏は米国の多額の債務について以前から懸念を抱いており、債務を減らす唯一の方法は成長率を高めて税収を増やすことだと考えている。
トランプ氏に気に入られている理由の一つに、トランプ氏が勝った場合、米国経済がどれだけよくなるかを世間に発言することをいとわないことがある。ベッセント氏は思いがけず市場を動かす「ブラックスワン」事象に触れ、トランプ氏を「オレンジスワン」と呼んだことがある。
ベッセント氏はカマラ・ハリス副大統領が勝利した場合、悲惨な結果を招くとの自身の見方も声高に発言している。
「カマラ・ハリスが当選すればまず株式市場でカマラ・クラッシュ(急落、崩壊)が起きるだろう」。ベッセント氏はノースカロライナ州の集会でステージに立つと、聴衆にこう警告した。「それから経済でカマラ・クラッシュが起きるだろう」
ベッセント氏は不利になりかねない環境でも、トランプ氏の経済政策を熱心に擁護してきた。金融関連の出版物「グランツ」が今月主催した会議では、米国人の「ニーズにより役立つように国際経済システムを新たな方向に向かわせる」ため、関税や「慎重に調整した」介入を支持すると述べた。
その後、会議に出席していた一人がベッセント氏に向かって、トランプ氏の政策が助けるのは「富豪」だけだと叫んだ。ベッセント氏は一瞬驚いた様子だったが、トランプ政権で実質賃金の伸びが拡大したことや「下位50%」の経済状況が改善したことを挙げて反論した。
ベッセント氏は財務省のような大きな組織を運営した経験がないため、トランプ政権が実現した場合、それだけの大仕事にどう対処するかは定かではない。しかし一部の友人は楽観的だ。
「ジョージ・ソロスとドナルド・トランプの両方を操ることができれば、さまざまな人々をうまく扱うことができる」。ソロス・ファンドでベッセント氏と働き、同社出身者の中で最も有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏はそう話した。
トランプ氏は、さまざまな意味で自身にとってあり得ない協力者であるベッセント氏をすっかり気に入っている。8月にノースカロライナ州で行われた集会では、ベッセント氏を称賛したあと、サプライズで本人をステージに登場させた。10日にデトロイト経済クラブで演説した際には「ウォール街で最高のアナリストの一人」と呼んだ。
投資会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者であるベッセント氏は昨年、金融業界の多くがまだ共和党大統領候補としてニッキー・ヘイリー氏を支持していた時期にトランプ氏を表立って支持し、トランプ氏の目に留まった。
ベッセント氏は、トランプ氏が抱える訴訟が支持率にマイナスになるどころかプラスに働いているのを見てトランプ氏支持を決めた。この現象を見て、悪材料があるにもかかわらず値上がりする株――一部の投資家にとっては強気の兆候だ――を連想したと人々に語った。
ベッセント氏は今やトランプ氏の頼りになる経済顧問だ。経済データやメッセージを書き込んだカードをトランプ陣営幹部に渡し、トランプ氏が演説でそれらに言及する。ベッセント氏は、トランプ氏が再選された場合の財務長官などのポストの候補として名前が挙がっていると、WSJ。
JD・バンス上院議員(共和党、オハイオ州)とも親しく、同氏をトランプ氏の副大統領候補に推していた数少ないウォール街関係者の一人だと。
ベッセント氏はサウスカロライナ州で育った。
1991年、ソロス・ファンド・マネジメントに入社した。彼が英国の住宅市場が著しく低迷していることを見抜き、同社はポンドの大規模な空売りを仕掛けた。この取引のけん引役の一人がベッセント氏だった。1992年、同社はこの賭けで10億ドル(現在のレートで約1500億円)超の利益を上げた。
ベッセント氏は2011年から15年までソロス・ファンドの最高投資責任者(CIO)を務め、一時は経営を担った。2013年、同氏は円安を見込んだ投資に成功し、再び称賛された。
2015年、キー・スクエアを設立するためソロス・ファンドを退社。
ベッセント氏はウォール街では高く評価されているものの、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者(CEO)など金融業界の大物のような知名度はないため、トランプ氏は側近に注目を奪われる心配はない。
トランプ陣営の上級顧問を務めるジェイソン・ミラー氏はベッセント氏について、「トランプ氏がしようとしていることの目的を理解し、それを公共政策に落とし込むのを手伝っている」と話した。ミラー氏によると、ベッセント氏は陣営の資金調達も支援しているという。
2016年、ベッセント氏はトランプ氏の勝算が過小評価されていると指摘した。トランプ氏が当選したあと、ベッセント氏は市場の反発に賭けて大勝ちし、後にトランプ氏の大統領就任委員会に100万ドルを寄付した。
ベッセント氏は定期的にトランプ氏と意見交換を行い、詳細を欠くこともあるトランプ氏の経済関連の発言に理論的な肉付けをしようとしている。ベッセント氏は「3-3-3」の政策を推進するよう勧めてきた。
2028年までに財政赤字を国内総生産(GDP)の"3%"に減らす。
規制緩和を通じて"3%"のGDP成長率を加速させる。
1日当たり"300万バレルの石油またはその同等物"を追加的に生産する、というもの。
同氏は米国の多額の債務について以前から懸念を抱いており、債務を減らす唯一の方法は成長率を高めて税収を増やすことだと考えている。
トランプ氏に気に入られている理由の一つに、トランプ氏が勝った場合、米国経済がどれだけよくなるかを世間に発言することをいとわないことがある。
ベッセント氏は思いがけず市場を動かす「ブラックスワン」事象に触れ、トランプ氏を「オレンジスワン」と呼んだことがあると、WSJ。
ベッセント氏はカマラ・ハリス副大統領が勝利した場合、悲惨な結果を招くとの自身の見方も声高に発言している。
「カマラ・ハリスが当選すればまず株式市場でカマラ・クラッシュ(急落、崩壊)が起きるだろう」。ベッセント氏はノースカロライナ州の集会でステージに立つと、聴衆にこう警告した。「それから経済でカマラ・クラッシュが起きるだろう」
会議に出席していた一人がベッセント氏に向かって、トランプ氏の政策が助けるのは「富豪」だけだと叫んだ。ベッセント氏は一瞬驚いた様子だったが、トランプ政権で実質賃金の伸びが拡大したことや「下位50%」の経済状況が改善したことを挙げて反論した。
ベッセント氏は財務省のような大きな組織を運営した経験がないため、トランプ政権が実現した場合、それだけの大仕事にどう対処するかは定かではない。しかし一部の友人は楽観的だ。
「ジョージ・ソロスとドナルド・トランプの両方を操ることができれば、さまざまな人々をうまく扱うことができる」。ソロス・ファンドでベッセント氏と働き、同社出身者の中で最も有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏はそう話した。
トランプ氏が勝つのか、ハリス氏が勝つのか。まだまだ定かではない米大統領選。眼が離せませんね。
# 冒頭の画像は、投資会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者であるベッセント氏
この花の名前は、カリガネソウ
↓よろしかったら、お願いします。
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