佐賀県神埼市で発生した自衛隊のヘリコプター墜落事故。テレビのワイドショーの解説者やコメンテータ、更にネット上には様々な「意見」が見受けられました。
こういう「意見」をいちいち珍重すべきかと問われたとき、とんでもないという正気の答えが必要だというのは伊東乾氏。全く同感です。
被害の実際は「想像力」といった言葉でお茶を濁すべきではなく、被害の物理的現実として冷徹に直視すべきもの。単に受身で情報を流すのでなく、一つひとつ斟酌しながら確認、正確な議論を進めていかなければ、真相究明にも再発防止にも、何の意味も効力もない。最低限の公開情報すら精査することなく、完全に思考停止したまま発せられるコメント類。
今後一番あってほしくない流れは、公開情報で明確に判断できるものがあるのに、「専門家による調査」を無批判に鵜呑みにすることだと。。
自衛隊のヘリ、米軍のヘリの部品落下事故や不時着。旅客機や新幹線の部品損傷。頻発しているのか、メディアが取り上げる機会が増えているのかは定かではありませんが、ニュースに接する機会が増えています。
老朽化したものが予算不足で使い続けられているのか、保守整備の技術が低下したのかと、勝手な素人評論をしたくなりますが、これがポスト・トゥルース。(汗)
情報発信も受信も多様化した今日。そして、販売部数が減り、購買者獲得の為か扇動的かつ偏向化傾向を強めるオールドメディア紙、視聴率獲得優先で、芸能プロダクション経由のコメンテータや解説者に思い付きや番組のシナリオに沿ったコメントをさせるワイドショー番組。
ポスト・トゥルース時代では、これまで以上にメディアリテラシーが強く求められる様ですね。
# 冒頭の画像は、機首を下げさかさまに墜落する自衛隊ヘリ
ラベンダーと蝶
竹島に関する動画 / 政府広報 - YouTube
杉原由美子氏による絵本「メチのいた島」読み聞かせ - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。
こういう「意見」をいちいち珍重すべきかと問われたとき、とんでもないという正気の答えが必要だというのは伊東乾氏。全く同感です。
陸自のヘリ墜落から我々が理解すべきこと 映像から分かるかなりの事実、思いつきコメントの思考停止を斬る | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.2.14(水) 伊東 乾
佐賀県神埼市で発生した自衛隊のヘリコプター墜落事故、原因究明と再発防止の徹底が必要なのは言うまでもありません。
「近くに田んぼもあったのに、どうして住宅地だったのか?」「自衛隊員はその種の訓練を徹底しているはずなのに」
といった指摘のほか、あろうことか被害者に対する匿名の罵詈雑言までネット上には様々な「意見」が見受けられました。
そこで、こういう「意見」をいちいち珍重すべきかと問われたとき、とんでもないという正気の答えが必要だと思うのです。
<中略>
時速350キロのすさまじいスピードで落下した巨大なヘリコプターが人家を直撃するとともに、大きな破片が周囲2000~3000メートルの範囲に飛散している。田んぼとか人家といった「点」で被害を考えるのは本当に妥当なのか?
実際にはエリア全体に様々な被害が出ており、住民の人身被害が最小限だったのは、全く偶然としか言いようがないことが分かります。
後に触れる主翼、メインローターは、墜落現場から500メートル離れた場所で発見されています。
落下中、メインローターが外れていた、という目撃情報もあるとのこと(参照=https://mainichi.jp/articles/20180207/ddm/001/040/193000c)、そこで、そのような観点から改めて動画(参照=https://www.asahi.com/articles/ASL263GFLL26TTHB00J.html)を確認してみると、18秒時点で何らかの黒い棒状のものがヘリコプターよりも先に落下していくような影が確認できます。
これは23秒付近、画角が大きくなってからは、ヘリコプター本体が左向きに落ちていくのに対して右方向に落下していく影のような形で像を視認することができるかと思います。
薄い影ですが画面を拡大してみると、明確に落下していく影を確認することができるでしょう。
ただし「目撃情報」にも様々あり(参照=http://news.livedoor.com/article/detail/14262264/)すべての目撃談を文字通りに受け取れるかと問われれば疑問、やはり記録と証拠から冷静な分析を進めるべきと思います。
が、何にせよメインローターというのは手裏剣のようなブレード=刃物です。
これが猛烈な角速度で回転しながら、空中で分解したのか、あるいは墜落地点から反跳したのか、墜落現場から500メートル離れた地点で発見されているわけで、こんなものが住宅地を飛び交ったということ自体に、戦慄するしかありません。
個々の物証から見て取れる様々なファクト、被害の実際は「想像力」といった言葉でお茶を濁すべきではなく、被害の物理的現実として冷徹に直視すべきものであるように思います。
<中略>
ここで再度、機体の運動に立ち戻りましょう。
現実には空気の抵抗が存在し、ヘリコプターは質点ではなく形がありますから、落下に伴って操縦席のある前方を下に向けて機体が前転、同時に錐もみの運動が見えることから、落下の途中にも一定の範囲、テールローターが働いていた可能性が推察されます。
文字で書くと長いですが、普通に物理を学んだ人なら、この程度のことをせいぜい10秒程度あれば、動画から直ちに見て取るはずです。そのうえで、冒頭の「コメント」を検討してみましょう。
押上にあるスカイツリーは634メートルの高さがありますが、高度500メートルというのはその8割弱の高さ、東京タワーが333メートルですから、その1.5倍ほど、私たち人間にとっては十分に高空と言っていい高さです。
ここで突然、機体が揚力を失い、平衡を失って落下開始、機体は錐もみ状態で、あえて記すなら洗濯機か乾燥機の中のような状態が10秒弱、時速350キロというリニアモーターカー並みの速度で地面に激突・・・。
これが、誰もが目にするこの動画から直ちに知れる、この悲惨な事故の過不足ない現実で、動画を一瞥してから暗算に要する時間は、ものの10秒もかかりません。
果たして、事故翌日には防衛相から「事故はメインローター・ヘッドを交換した直後に起きた(参照=http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/3/23689.html)」との事実が明らかにされます。
さらに事故から3日後には「自衛隊機、回転翼を機体につなぐ部品が飛行中に破損か?(参照=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180208/k10011319971000.html)」という報道が続きました。
上記リンクは技術を反映しない悪文の報道になっていますが、何にせよ、メインローターを機体に固定する「メインローターヘッド」部品が、飛行中に外れた可能性すらあり、墜落によるのとは異なると思われる破損の仕方で、翼にくっついたまま発見された、という意味内容が報じられています。
これらの報道内容は、先ほど画像を一瞥して明らかな飛跡からの推測と完全に一致します。
すなわち、通常飛行中、何らかの理由で「メインローターヘッド」など、主翼関連の部品に異常が発生し、ヘリコプターは揚力を失ってフリーフォールに近い状態となり、約500メートルの高度からたった10秒で墜落してしまった・・・。
単に受身で情報を流すのでなく、一つひとつ理屈に合った話になっているか、簡単な手計算でも確認できることはいくらでもあるわけで、逐次もたらされる続報を目にして、全体像の中で整合した情報か、おかしな内容を主張していないか・・・。
もし物事をまじめに考えるのであれば、一つひとつ斟酌しながら確認、正確な議論を進めていかなければ、真相究明にも再発防止にも、何の意味も効力もないのは間違いありません。
さて、ここで冒頭に引いた「コメント」類を、もう一度見てみましょう。
「近くに田んぼもあったのに、どうして住宅地だったのか?」「自衛隊員はその種の訓練を徹底しているはずなのに」
いま、ごく簡単な見積もりをしただけで、こうした感想が、最低限の公開情報すら精査することなく、完全に思考停止したまま発せられたものであるのが、よく分かるるかと思います。
いったい、たった10秒、しかも凄まじい錐もみ回転で落下している間に、田んぼに向けて着陸するとか、その種の訓練とか、乗組員に何をせよと言うのでしょう。
明らかに、今回の事故で乗組員は犠牲者であって、機体の安全管理体制が徹底して批判的に再検討されねばなりません。
ましていわんや被害者に対するネット上の匿名の罵詈雑言に至っては・・・。
何の前触れもなく突然、たった10秒の間に、新幹線のぞみ号の1.5倍ほどの超高速で、大量の燃料を積んだ何トンもの重さの鉄の塊が自分の家に突っ込んでくることを、過不足なくまじめに理解し、感じ考えたうえで最初の一言を発するべきと思います。
現に家屋2棟が、真っ黒に焦げた外骨格だけを残して全焼し、家の中にいた小学生は本当に奇跡的に助かっている。
そういうありのままの状況をきちんと理解したうえで、より詳細な真相究明と絶対的な再発防止、被害者の救済など真摯に取り組まれる必要があります。
ここで、今後一番あってほしくない流れを1つ記しておきたいと思います。
公開情報で明確に判断できるものがあるのに「専門家による原因究明を待つ」などとして、結果的に報告される「専門家による調査」を無批判に鵜呑みにすることです。
日本ではこの病が9割方を占めるわけですが、これだけは避けた方がいい。
海外には、買い物をするとき、お釣りの計算を自分で暗算しないでレジに任せっぱなしという習慣が少なくありません。一般の日本人には考えにくいことでしょう。1円でも多かったり少なかったりすれば、その場で指摘するのが当たり前のこと。
でも、こと「専門家の調査」の類になると、相手の出してきたままのお釣りを検算もせずに受け取ってしまう悪弊が極めて普通に大手を振ってまかり通っている。
目の前にある情報を、ごくごく当たり前の自然法則に照らして、初歩的なモデルでよいので、検算して確かめてみること・・・。買い物でのお釣りと同様、こういった地アタマの働かせ方が、非常に重要です。
これから入試シーズンになりますが、私たち大学教員の多くは、そのような学生、すなわち、自分の手にしている知の道具を使って、様々な問題を鵜呑みにせず、自ら考え自ら推敲する人材を学窓に招きたいと考えています。
今後社会には様々な形でAIによるブラックボックス、天下りの結論が大量に齎されるようになります。
そんなとき、必要な範囲で、何かおかしいぞ、と感じたら、原理から始めてササッと計算し、直感的に変と思う結論が本当に妥当なのか、低い近似の度合いから精度を上げていく概算が非常に役に立つはずです。
物理屋はこうした計算を「フェルミ算Fermi estimate」などと呼びます。物理は勉強しておいて損にはなりません。つぶしが利きますし、おかしな情報のめくらましに遭いにくくなります。
AIをデジタルおみくじにしてしまう若い人が目につきますが、危険な兆候と言わねばなりません。
特に今回のような事故は、二度と繰り返されてはならないものです。AIに限らず、分析と称されるものに対して、自分自身も確かなロジックと方法をもって「検算」しつつ、事実を直視し善後に資する姿勢が重要と思います。
末尾に、犠牲者の冥福をあらためて心からお祈りします。落下が始まってから何秒後に何が起きたか、その間機内がどんな状態であったか、計算すればするだけ、ただただ言葉を失います。
そして、それを思えば思うほど、思考を停止したままあれこれ言うのは本当に失礼なことだと感じます。
きちんと出来事を直視して・・・ですから、取分けこういう局面ではポスト・トゥルースなど言語道断といわねばなりません・・・未来を見据えた建設的な議論と施策に精励してこそ、本当の意味での追悼につながると思います。合掌をもって稿を閉じます。
佐賀県神埼市で発生した自衛隊のヘリコプター墜落事故、原因究明と再発防止の徹底が必要なのは言うまでもありません。
「近くに田んぼもあったのに、どうして住宅地だったのか?」「自衛隊員はその種の訓練を徹底しているはずなのに」
といった指摘のほか、あろうことか被害者に対する匿名の罵詈雑言までネット上には様々な「意見」が見受けられました。
そこで、こういう「意見」をいちいち珍重すべきかと問われたとき、とんでもないという正気の答えが必要だと思うのです。
<中略>
時速350キロのすさまじいスピードで落下した巨大なヘリコプターが人家を直撃するとともに、大きな破片が周囲2000~3000メートルの範囲に飛散している。田んぼとか人家といった「点」で被害を考えるのは本当に妥当なのか?
実際にはエリア全体に様々な被害が出ており、住民の人身被害が最小限だったのは、全く偶然としか言いようがないことが分かります。
後に触れる主翼、メインローターは、墜落現場から500メートル離れた場所で発見されています。
落下中、メインローターが外れていた、という目撃情報もあるとのこと(参照=https://mainichi.jp/articles/20180207/ddm/001/040/193000c)、そこで、そのような観点から改めて動画(参照=https://www.asahi.com/articles/ASL263GFLL26TTHB00J.html)を確認してみると、18秒時点で何らかの黒い棒状のものがヘリコプターよりも先に落下していくような影が確認できます。
これは23秒付近、画角が大きくなってからは、ヘリコプター本体が左向きに落ちていくのに対して右方向に落下していく影のような形で像を視認することができるかと思います。
薄い影ですが画面を拡大してみると、明確に落下していく影を確認することができるでしょう。
ただし「目撃情報」にも様々あり(参照=http://news.livedoor.com/article/detail/14262264/)すべての目撃談を文字通りに受け取れるかと問われれば疑問、やはり記録と証拠から冷静な分析を進めるべきと思います。
が、何にせよメインローターというのは手裏剣のようなブレード=刃物です。
これが猛烈な角速度で回転しながら、空中で分解したのか、あるいは墜落地点から反跳したのか、墜落現場から500メートル離れた地点で発見されているわけで、こんなものが住宅地を飛び交ったということ自体に、戦慄するしかありません。
個々の物証から見て取れる様々なファクト、被害の実際は「想像力」といった言葉でお茶を濁すべきではなく、被害の物理的現実として冷徹に直視すべきものであるように思います。
<中略>
ここで再度、機体の運動に立ち戻りましょう。
現実には空気の抵抗が存在し、ヘリコプターは質点ではなく形がありますから、落下に伴って操縦席のある前方を下に向けて機体が前転、同時に錐もみの運動が見えることから、落下の途中にも一定の範囲、テールローターが働いていた可能性が推察されます。
文字で書くと長いですが、普通に物理を学んだ人なら、この程度のことをせいぜい10秒程度あれば、動画から直ちに見て取るはずです。そのうえで、冒頭の「コメント」を検討してみましょう。
押上にあるスカイツリーは634メートルの高さがありますが、高度500メートルというのはその8割弱の高さ、東京タワーが333メートルですから、その1.5倍ほど、私たち人間にとっては十分に高空と言っていい高さです。
ここで突然、機体が揚力を失い、平衡を失って落下開始、機体は錐もみ状態で、あえて記すなら洗濯機か乾燥機の中のような状態が10秒弱、時速350キロというリニアモーターカー並みの速度で地面に激突・・・。
これが、誰もが目にするこの動画から直ちに知れる、この悲惨な事故の過不足ない現実で、動画を一瞥してから暗算に要する時間は、ものの10秒もかかりません。
果たして、事故翌日には防衛相から「事故はメインローター・ヘッドを交換した直後に起きた(参照=http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/3/23689.html)」との事実が明らかにされます。
さらに事故から3日後には「自衛隊機、回転翼を機体につなぐ部品が飛行中に破損か?(参照=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180208/k10011319971000.html)」という報道が続きました。
上記リンクは技術を反映しない悪文の報道になっていますが、何にせよ、メインローターを機体に固定する「メインローターヘッド」部品が、飛行中に外れた可能性すらあり、墜落によるのとは異なると思われる破損の仕方で、翼にくっついたまま発見された、という意味内容が報じられています。
これらの報道内容は、先ほど画像を一瞥して明らかな飛跡からの推測と完全に一致します。
すなわち、通常飛行中、何らかの理由で「メインローターヘッド」など、主翼関連の部品に異常が発生し、ヘリコプターは揚力を失ってフリーフォールに近い状態となり、約500メートルの高度からたった10秒で墜落してしまった・・・。
単に受身で情報を流すのでなく、一つひとつ理屈に合った話になっているか、簡単な手計算でも確認できることはいくらでもあるわけで、逐次もたらされる続報を目にして、全体像の中で整合した情報か、おかしな内容を主張していないか・・・。
もし物事をまじめに考えるのであれば、一つひとつ斟酌しながら確認、正確な議論を進めていかなければ、真相究明にも再発防止にも、何の意味も効力もないのは間違いありません。
さて、ここで冒頭に引いた「コメント」類を、もう一度見てみましょう。
「近くに田んぼもあったのに、どうして住宅地だったのか?」「自衛隊員はその種の訓練を徹底しているはずなのに」
いま、ごく簡単な見積もりをしただけで、こうした感想が、最低限の公開情報すら精査することなく、完全に思考停止したまま発せられたものであるのが、よく分かるるかと思います。
いったい、たった10秒、しかも凄まじい錐もみ回転で落下している間に、田んぼに向けて着陸するとか、その種の訓練とか、乗組員に何をせよと言うのでしょう。
明らかに、今回の事故で乗組員は犠牲者であって、機体の安全管理体制が徹底して批判的に再検討されねばなりません。
ましていわんや被害者に対するネット上の匿名の罵詈雑言に至っては・・・。
何の前触れもなく突然、たった10秒の間に、新幹線のぞみ号の1.5倍ほどの超高速で、大量の燃料を積んだ何トンもの重さの鉄の塊が自分の家に突っ込んでくることを、過不足なくまじめに理解し、感じ考えたうえで最初の一言を発するべきと思います。
現に家屋2棟が、真っ黒に焦げた外骨格だけを残して全焼し、家の中にいた小学生は本当に奇跡的に助かっている。
そういうありのままの状況をきちんと理解したうえで、より詳細な真相究明と絶対的な再発防止、被害者の救済など真摯に取り組まれる必要があります。
ここで、今後一番あってほしくない流れを1つ記しておきたいと思います。
公開情報で明確に判断できるものがあるのに「専門家による原因究明を待つ」などとして、結果的に報告される「専門家による調査」を無批判に鵜呑みにすることです。
日本ではこの病が9割方を占めるわけですが、これだけは避けた方がいい。
海外には、買い物をするとき、お釣りの計算を自分で暗算しないでレジに任せっぱなしという習慣が少なくありません。一般の日本人には考えにくいことでしょう。1円でも多かったり少なかったりすれば、その場で指摘するのが当たり前のこと。
でも、こと「専門家の調査」の類になると、相手の出してきたままのお釣りを検算もせずに受け取ってしまう悪弊が極めて普通に大手を振ってまかり通っている。
目の前にある情報を、ごくごく当たり前の自然法則に照らして、初歩的なモデルでよいので、検算して確かめてみること・・・。買い物でのお釣りと同様、こういった地アタマの働かせ方が、非常に重要です。
これから入試シーズンになりますが、私たち大学教員の多くは、そのような学生、すなわち、自分の手にしている知の道具を使って、様々な問題を鵜呑みにせず、自ら考え自ら推敲する人材を学窓に招きたいと考えています。
今後社会には様々な形でAIによるブラックボックス、天下りの結論が大量に齎されるようになります。
そんなとき、必要な範囲で、何かおかしいぞ、と感じたら、原理から始めてササッと計算し、直感的に変と思う結論が本当に妥当なのか、低い近似の度合いから精度を上げていく概算が非常に役に立つはずです。
物理屋はこうした計算を「フェルミ算Fermi estimate」などと呼びます。物理は勉強しておいて損にはなりません。つぶしが利きますし、おかしな情報のめくらましに遭いにくくなります。
AIをデジタルおみくじにしてしまう若い人が目につきますが、危険な兆候と言わねばなりません。
特に今回のような事故は、二度と繰り返されてはならないものです。AIに限らず、分析と称されるものに対して、自分自身も確かなロジックと方法をもって「検算」しつつ、事実を直視し善後に資する姿勢が重要と思います。
末尾に、犠牲者の冥福をあらためて心からお祈りします。落下が始まってから何秒後に何が起きたか、その間機内がどんな状態であったか、計算すればするだけ、ただただ言葉を失います。
そして、それを思えば思うほど、思考を停止したままあれこれ言うのは本当に失礼なことだと感じます。
きちんと出来事を直視して・・・ですから、取分けこういう局面ではポスト・トゥルースなど言語道断といわねばなりません・・・未来を見据えた建設的な議論と施策に精励してこそ、本当の意味での追悼につながると思います。合掌をもって稿を閉じます。
被害の実際は「想像力」といった言葉でお茶を濁すべきではなく、被害の物理的現実として冷徹に直視すべきもの。単に受身で情報を流すのでなく、一つひとつ斟酌しながら確認、正確な議論を進めていかなければ、真相究明にも再発防止にも、何の意味も効力もない。最低限の公開情報すら精査することなく、完全に思考停止したまま発せられるコメント類。
今後一番あってほしくない流れは、公開情報で明確に判断できるものがあるのに、「専門家による調査」を無批判に鵜呑みにすることだと。。
自衛隊のヘリ、米軍のヘリの部品落下事故や不時着。旅客機や新幹線の部品損傷。頻発しているのか、メディアが取り上げる機会が増えているのかは定かではありませんが、ニュースに接する機会が増えています。
老朽化したものが予算不足で使い続けられているのか、保守整備の技術が低下したのかと、勝手な素人評論をしたくなりますが、これがポスト・トゥルース。(汗)
情報発信も受信も多様化した今日。そして、販売部数が減り、購買者獲得の為か扇動的かつ偏向化傾向を強めるオールドメディア紙、視聴率獲得優先で、芸能プロダクション経由のコメンテータや解説者に思い付きや番組のシナリオに沿ったコメントをさせるワイドショー番組。
ポスト・トゥルース時代では、これまで以上にメディアリテラシーが強く求められる様ですね。
# 冒頭の画像は、機首を下げさかさまに墜落する自衛隊ヘリ
ラベンダーと蝶
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