
【ロンドン支局】英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は7日、世界の軍事力を分析した年次報告書「ミリタリー・バランス2012」を発表した。その中で、財政再建で国防費を削減する欧米に対して、中国だけでなくアジア諸国が空・海軍力を増強し、地域が緊張していると指摘。国家間の緊張を和らげる枠組みがアジア地域には必要と提言した。
報告書によると、2011年のアジア全体での国防費総額は2940億ドル(約23兆7934億円)で、前年に比べ、実質的な伸び率は3・15%。この10年で毎年、実質10・9%ずつ拡大した中国はアジア全体の30・54%。日本は19・87%、インドは10・85%で、中国の軍事費がアジアで突出する現状を浮き彫りにした。
試験航海した旧ソ連製空母や開発中のステルス戦闘機「殲20」が注目を集める中、報告書は「中国が空母を中心とした機動艦隊構築に全力を傾けるかは疑問」とし、「殲20のステルス設計は不十分。ロシアに戦闘機のエンジンを発注したのは開発能力が不足している証拠」と分析した。
一方、中国艦隊がたびたび沖縄周辺を通過して東シナ海から西太平洋に航行している点について、報告書は「戦略上の自信をつけた表れ」と指摘した。
また、海底資源をめぐり、軍事力を背景にした「砲艦外交」や対立が続く南シナ海周辺では、中国の軍拡に伴って、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムが国防費を増やして空・海軍力を増強している。
インドネシアが1万3千以上もある島の制海権を確保するため対艦ミサイルの発射試験に成功、マレーシアも潜水艦の作戦能力を向上させるなど、軍事的緊張が増して地域の安定を損なう恐れがあると懸念を示している。
アジア諸国は、中国の海洋覇権拡大に緊張感をもって備えでいるのですが、日本はひとり、軍縮を進めているのですね。危機感が欠如しているというか、国家の主権を護る意識のない国であるというか、自力で国を護る兵力や意識が希薄な上に、同盟国を追いだすことに熱心な団体や政治家がいる国なのですね。
アジア全体での国防費総額(2011年)は2,940億ドル(約23兆7,934億円)で、30.54%が中国、日本が19.87%、インドが10.85%を占めるのだそうです。
先日発表された2012年の中国の国防費は、前年比11.2%増の約8兆7,068億円で、日本は、前年比1.3%減の4兆7,134億円で、中国は日本の1.85≒約2倍に格差は広がっています。(2011年は、約1.5倍)
中国の国防費 10年で4倍 日本の約2倍に - 遊爺雑記帳
他国の国防費を増やすなとか、減らせとかとやかく言うことは難しいし、言っても聞き入れる国ではありませんから、南シナ海で国家の主権を護ろうとする普通の国々は、最低限の国防費は増やしているのですね。
更に、ベトナムはかつての戦闘国である米国と、フィリピンは巨大基地を追いだしたにもかかわらす再米国と軍事連携を深めることで、中国の覇権拡大に対抗しようとしているのですね。
もう一度言いますが、アジアの中で日本はひとり、軍事費を削減し、米軍を追いだそうとダブルで抑止力を削減する道を歩んでいます。
IISSは、国家間の緊張を和らげる枠組みがアジア地域には必要と提言していますが、それがどんな仕組みかは具体的には触れられていません。
中国人民解放軍が、毎年二桁成長で10年で4倍の軍拡を独走し続けるのですから、緊張を和らげる枠組みが協議できる状況にはありません。中国が言う、革新的利益の範囲を中国に差し出して属国化すればその場はよいかもしれませんが、それは出来る話ではありませんし、一つ侵略しても次の侵略を拡大して来るのですから、解決策にはなりません。
出来ることは、中国への抑止力を構築することでしょう。
そのひとつの柱が、ASEANを主体に、米国が推進し、インド・オーストラリア・日本などが参画する中国包囲網の連携ですね。
ASEANの国々は、アジアのリーダーとしての日本の役割に期待を寄せています。
現状では、軍事的支援は出来ない日本。出来ることは、日米同盟の強化と、日本独自の国防力強化、お金ではなく、汗をかく支援が考えられます。
余談ですが、中国の軍拡のめだまのひとつの空母ですが、お金を積めば可能なハードの建造は進んでいますが、人が習得せねばならない技術には、手間取っているようですね。急造した新幹線は、そこで事故を起こしてしまいました。
中国海軍の尹卓・少将は、空母戦闘群について「作戦能力を形成するには、10年以上の時間を要すると思う」と述べたのだそうですね。
中国空母、運用までに10年…海軍少将見通し : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
しかし、着実に軍拡を進めていることは間違いありませんし、目的は各種権益とその海域・地域を強奪することですね。
国家主権意識の希薄な民主党政権では、時間が経過しことがある度に主権を奪われ、日本が滅びる道を進むだけです。
中国軍の制服組トップ・郭伯雄中央軍事委員会副主席が4月に来日し、田中直紀防衛相と会談するのだそうですが、心配です。
中国軍事委副主席が4月来日へ 日中防衛交流促進で - MSN産経ニュース
# 冒頭の画像は、郭伯雄中央軍事委員会副主席

↓よろしかったら、お願いします。



![]() |
![]() |