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米大統領選 「経済」が最大の関心事なのにバイデンを選ぶ不思議

2020-11-07 01:55:55 | 米国 全般
 米大統領選の開票速報は、4日夕刻にトランプ氏が優勢で、バイデン氏ピンチの状況が一時報じられましたが、ウイスコンシン 10人+ミシガン 16人等のラストベルト地域がバイデン当確に覆るなどで、バイデン氏が 6人の選挙人を確保すれば当確となる状況に一転したことは前回のアップで触れました.
 しかし、開票速報値はその後まる 1日経っても変わっていません。僅差である為に(ウィスコン、ミシガンの速報逆転があったことも含む?)発表が慎重になった様です。

 そんな中ですが、バイデン氏が優勢となり政権奪還が濃厚となった状況を、在米ジャーナリストの岩田太郎氏が解説しておられます。
 自分たちにとって不都合な、対立的な思想を持っている候補者を応援・支持する「肉屋を支持する豚」現象が起きていると。それは、2016年にトランプ共和党候補が当選した際にも、「ラストベルト」地域で発生したと。
 
「経済」が最大の関心事なのにバイデンを選ぶ不思議 米大統領選で「肉屋を支持する豚」の有権者が多いわけ | JBpress(Japan Business Press) 2020.11.6(金) 岩田 太郎

 米国で4年ごとに行われる大統領選挙では、解釈に苦しむ現象が見られることがある。いわゆる「肉屋を支持する豚」現象だ。本来ならば自分たちにとって不都合な、対立的な思想を持っている候補者を応援・支持する人のことを指す

 たとえば、
2016年にトランプ共和党候補が当選した際には、「ラストベルト」と呼ばれる製造業の衰退した中西部諸州で、没落した白人中間層のトランプ氏に対する支持が熱烈であった。そのため、「トランプ候補は彼らの必要とする医療保険のオバマケアを取り上げ、福祉を縮小すると公言し、製造業の工場を米国に戻すという約束も空虚なのに、なぜトランプに投票するのか」との議論が盛り上がった

 裏を返せば、問題の
核心は「なぜ社会的な弱者が、弱者に優しい民主党のヒラリー・クリントン候補に投票しなかったのか」という点にあった。

 
今回の大統領選でも同様の現象が見られる。新型コロナウイルス感染のゼロリスクを追求する民主党の首長が厳格な都市封鎖(ロックダウン)を実施したことで経済は後退し、それによって多くの人が失業や収入減に見舞われた。また、住宅ローンや家賃が支払えなくなることによる強制立ち退き、民主党の教職員による対面授業の拒否で出勤や復職できないことに伴う困窮、これらが相まって起こる経済格差の拡大などに直面している。

 だが、
民主党のコロナパニックで多大な不利益を被る中間層や低所得層が、都市部を中心に民主党のバイデン候補を当選確実にさせる原動力になったのである。なぜこれらの人々は、彼らの利益となる経済再開を一貫して主張した共和党のトランプ大統領に票を投じなかったのだろうか

「肉屋を支持する豚の論理」とは
 まず、米国版「肉屋を支持する豚」の共和党バージョン、つまり
トランプ支持の中間層については、過去4年間でさまざまな分析や説明がなされてきた。その中でも説得力があるとされるのが、「グローバル化を推進して労働者の生活を破壊し、労働者階級を裏切って経済格差を拡大させたエリート知識層への、トランプを使った逆襲」という仮説だ。

 
興味深いのは、そうした中間層が、自らの「階級敵」とみなすヒラリー候補などグローバルエリートたちの権力を削ぐためなら、自分たちの核心的な利益であるはずのセーフティーネットをトランプ氏が奪っても気にしなかったことだ。その証左に、民主党の牙城であったペンシルベニア州、ミシガン州、ミネソタ州などのラストベルト地域が一斉に、2016年にトランプに寝返った

 タフツ大学で国際政治を教える
ダニエル・ドレズナー教授によれば、「トランプ大統領は経済をグローバル化の概念のみを使って説明する」傾向があり、「米経済(ひいては人々の生活)を破壊したのはグローバル化にほかならず、自らのグローバル化退治で米経済を再びよみがえらせる」というメッセージを発して支持を集めたのだという。

 すでに
グローバル化が経済格差を拡大させるという欺瞞のからくりに気付いていた多くの労働者たちは、トランプ氏の論の組み立てが正鵠を射ていると感じ、自分たちの主張をわかりやすく言語化してくれたトランプ氏の熱烈な支持者になったわけだ。

 翻って
今回の局面では、そもそも民主党が強い地域で、トランプ大統領が前回僅差で勝利を収めたミシガン州やミネソタ州などが、元の鞘に収まった。だが、その「リベラルへの復帰」もまた僅差であり、トランプ大統領が激戦州でなお善戦したことは、彼の脱グローバル化言説の説得力が決して衰えていないことを示唆している。

 つまり、「肉屋を支持する豚」はいまだに重要な勢力を形成しているのだ。これは、民主党が前回の失敗からしっかり学んでいないことをも示している。では、
2020年に民主党のバイデン候補が勝利した秘訣は何であったのだろうか

バイデン候補の方が経済浮揚の実行力がある?
 今回の大統領選で勝利が確実視される
バイデン候補は、オバマ前政権下で副大統領を務め、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を積極的に推進した民主党のグローバルエリートの一角を占める人物だ。早い話が、「ヒラリーのお仲間」である。

 さらに、
コロナ禍対策として民主党は厳格なロックダウンや私権の大幅な制限を打ち出し、4~6月期の米国内総生産(GDP)が前年同期比31.4%も減少したほか、失業率が一時15%近くまで急増した。多くの失業者や半失業者は住宅費や食費さえ支払えず、トランプ政権が打ち出した強制立ち退き執行猶予期限が切れる12月末には、コロナ感染が増える中で路頭に迷う家族が急増すると予想されている。
 
 また、
コロナ禍による死者の過半数は民主党員が首長を務める州で発生しており、特に貧困層や有色人種の死亡率が白人に比べ高いのが特徴だ。民主党は、死者を減らす効果の薄いロックダウンに固執し、経済を崩壊させ、人々の生活も脅かしているそれでも、僅差ながら同党の大統領候補が当選した。そして、経済の再開を一貫して主張したトランプ大統領が落選確実視される。これは、まさに「肉屋を支持する豚」の投票行動ではないか。

 この現象に対する分析は、まだ十分になされていない。しかし、興味深いことに、
選挙直前の10月に民主党支持の消費者の間で近未来の景況改善への期待が、5月の最低値から44%も上昇したのに対し、共和党支持の消費者では15%の伸びにとどまっていた(ミシガン大学調べ)。これは大幅な財政出動を政策に掲げる「バイデン次期政権」への期待と読むことができると、専門家は分析する。

 大統領選の出口調査では、有権者の関心ナンバーワンが「経済」であった。激戦州の多くの有権者は、民主党がロックダウンをして経済を停滞させたにもかかわらず、同党のバイデン氏にはトランプ氏以上の経済浮揚の策や実行力があると踏んだ可能性がある。事実、
議会民主党が提出して審議中のコロナ追加対策法案は2兆2000億ドル規模で、トランプ政権案の1兆8000億ドル規模よりも太っ腹だ。

 また、「トランプは海外に流失した仕事を米国に戻すと言ったが、ウソだった」「トランプ政権下で経済格差はさらに拡大した」「トランプのせいで23万人以上がコロナで死んだ」などの理由がトランプ大統領の票の喪失につながったのかも知れず、調査や分析が待たれる。

ヒスパニック系がトランプ大統領を支持した理由
 さらに、まったく別の切り口の説明として、
「郊外在住の白人女性のトランプからの逃避」が挙げられる。前回はヒラリー嫌悪でトランプに流れた白人女性票が、今回は嫌われる要素の少ない民主党候補のバイデン氏に戻ったとの見立てだ。事実、出口調査では郊外の白人女性の多くがバイデン氏に票を投じたことが判明している。

 
岩盤のトランプ支持層が揺らいだのではなく、前回は便宜的にトランプに投票した層が、今回「中絶の権利が脅かされた」などのジェンダー的理由でバイデン氏に流れたとすれば、「肉屋を支持する豚」の民主党バージョンは、有意の数に達していなかった可能性がある。

 この仮説を補強する材料として、
トランプ大統領が前回以上の黒人票やヒスパニック票を獲得した事実が挙げられる。「法と秩序」を掲げることで、国家の暴力装置による黒人の殺害や迫害を推進している、また不法移民の親子を引き離すことでヒスパニック系に敵対しているとリベラル系によって解釈されているトランプ氏により多くの黒人や中南米系が票を入れたのであれば、それは「肉屋を支持する豚」であり、黒人やヒスパニック系の間でもリベラルなグローバルエリートに対する反感が高まっていることを示唆するといえよう。なお、フロリダのキューバ系など一部のヒスパニック系は、先祖の国が経済崩壊を起こし人々が苦しんでいるのは社会主義のためだと信じる人が多く、トランプ氏の反社会主義的な言説を支持して投票したことが判明している。

 こうして見てきたように、
投票行動における「肉屋を支持する豚」は、それが自発的かつ積極的な「裏切り」の行為と見られるゆえに、興味が尽きない。だが、4年前のトランプ大統領勝利を可能にした階級間対立のように、一見自己利益と矛盾する行動にはしっかりとした理由があるものだ。

 日本においても、安倍晋三前総理大臣の自民党に投票する有権者の行動が「肉屋を支持する豚」であると揶揄されたが、さらに深く掘り下げる必要がありそうだ。今回のバイデン候補の勝利に関しても、人々の動機を深層で明らかにする調査や分析が待たれる。


 未だ結果は確定していませんが、今回の大統領選を短く言い表すと、トランプ氏とバイデン氏の闘いというより、トランプ氏のこれまでの政治の評価の選挙であり、トランプ支持対反トランプの闘い。そして、トランプ氏劣勢の最大の原因は新型コロナウイルスの感染拡大だとの世評が多いですね。

 ただ、世評では、新型コロナウイルスの感染拡大は、トランプ氏の政策のせいとされていて、バイデン氏はそれを前面に掲げて戦っています。
 しかし、コロナ禍による死者の過半数は民主党員が首長を務める州で発生。民主党は、死者を減らす効果の薄いロックダウンに固執し、経済を崩壊させ、人々の生活も脅かしている。それでも、僅差ながら同党の大統領候補が当選する勢い。
 それに対し、多くの失業者や半失業者は住宅費や食費さえ支払えず、経済の再開を一貫して主張し、強制立ち退き執行猶予政策を打ち出し、経済の再開を一貫して主張したトランプ大統領が落選確実視される。
 「経済」が最大の関心事との出口調査回答(事前郵送投票者は含まれない?)にもかかわらず、そして、現実には、民主党の感染症政策を進める地域での死者が多いにも関わらず、"反"トランプの投票が多い。
 これは、まさに「肉屋を支持する豚」の投票行動ではないかと、岩田氏!

 有権者が、バイデン氏にはトランプ氏以上の経済浮揚の策や実行力があると踏んだ可能性がある。事実、議会民主党が提出して審議中のコロナ追加対策法案は2兆2000億ドル規模で、トランプ政権案の1兆8000億ドル規模よりも太っ腹だと岩田氏。
 財政政策で、大きな政府を採るのが民主党。共和党は小さな政府で自助策。
 大統領選と同時に行われた国会議員選挙では、下院は民主党が死守したものの、上院は共和党が多数を継続となり、バイデン氏の大型財政出動には試練が予測されます。

 また、「郊外在住の白人女性のトランプからの逃避」が挙げられていますが、前回はヒラリー嫌悪でトランプに流れた白人女性票が、今回は嫌われる要素の少ない民主党候補のバイデン氏に戻ったのだと岩田氏。

 人種差別も大きなテーマとされた今回の選挙。しかし、トランプ大統領が前回以上の黒人票やヒスパニック票を獲得した事実。それは「肉屋を支持する豚」であり、黒人やヒスパニック系の間でもリベラルなグローバルエリートに対する反感が高まっていることを示唆すると。

 フロリダのキューバ系など一部のヒスパニック系は、先祖の国が経済崩壊を起こし人々が苦しんでいるのは社会主義のためだと信じる人が多く、トランプ氏の反社会主義的な言説を支持して投票したことが判明しているのだそです。
 バイデン候補が勝つと、サンダース上院議員の一派が、オカシオコルテス下院議員を中心として活動を本格化させるとの情報は前回書きました。
 今の民主党の主流は、サンダース上院議員派であり、政権奪回の為に無難なバイデン氏を候補に立てたが、政権獲得後は、サンダース派が仕切ると言う見方があります。
 反トランプの一念で投票した有権者は、新民主党政権が稼働し始めると、想定外だと驚くことが起きるかもしれませんね。
 投票行動における「肉屋を支持する豚」は、それが自発的かつ積極的な「裏切り」の行為と見られるゆえに、興味が尽きないと岩田氏。

 激戦州で優勢のトランプ大統領が急減速した違和感 - 遊爺雑記帳

 

 # 冒頭の画像は、選挙人の獲得で優位に立つバイデン候補




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