日本の会計検査院に当たる中国審計署が最近公表した主要大手20社の調査結果によると、9割に当たる18社で不正計上が発覚し、中国当局が国有企業の不透明な経営を裏付ける異例の公表に踏み切ったのだそうです。
5年に1度の共産党大会が秋に迫るこの時期の公表には、党内に反腐敗を徹底する姿勢を改めて示し、指導部人事の主導権を確実に握ろうとする習近平国家主席の意向がにじむと。
民間企業の淘汰・活性化で経済全体の活力を産み経済成長を継続させようとする、共青団派の李克強に対し、国有企業重視の習近平という葛藤の構図が現状との認識です。
習近平の国有企業保護の姿勢が、国有企業の改革を遅らせ、鉄鋼など過剰生産が放置され在庫が山積し、ダンピング輸出されるため、世界市場で価格崩壊が生じていると。
習近平と李克強との経済路線対立では、習近平が主導権を握っていて、李克強は首相から外されるとも報じられている、秋の党大会の人事。
習政権 2期目人事 王岐山が首相か - 遊爺雑記帳
ところが、共産党大会が秋に迫るこの時期の公表には、習近平が党内に反腐敗を徹底する姿勢を改めて示し、指導部人事の主導権を確実に握ろうとする意図があるのだと。
国有企業温存派の習近平が、国有企業の不正を公表すれば、党大会を控えて習近平の方向に批難が出るのか、共青団派の習近平批判の顕れではないかと思ったニュースでしたが、逆で、習近平が、指導部人事の主導権を確実にする為の不正公表なのだと。
国有企業トップは、党の人事で決まる為、経済合理性より党内での昇進を優先し、安易な不正に走りやすい体質があるとのこと。
過去の調査では「財務報告に間違いがあった」といった指摘にとどめていたが、今回は故意による不正と断じて、しかも異例の公表。
現在のトップを追放し、習近平の息がかかった人間と挿げ替えて、党大会での習近平勢力を拡大しておく。不正摘発で虎退治し政敵を駆逐してきた習近平。虎以外でも進めてきた派閥人事争いの一貫なのでしょうか。国有企業擁護派とはいえ、企業の不正は改革して適正化しなければ経済破綻するとの純粋な粛清なのか。素人推測では解りません。
党大会直前に行われたからには、習近平に有利な事だから行われたのか、対抗勢力が習近平に不利に働く為にしかけたかのどちらかでしょうが、習近平側が異例の公表ということです。
国内での既得権層への不満対策なのか、意思決定の透明化や経営効率化に向けた純粋な企業改革なのか。
党大会へ向けた、派閥抗争は最後の山場なのでしょうか、山場は越えてしまったのでしょうか。
# 冒頭の画像は、ポスト習近平候補とされながらも重慶市書記を解任された孫政才
この花の名前は、トロアオイ
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5年に1度の共産党大会が秋に迫るこの時期の公表には、党内に反腐敗を徹底する姿勢を改めて示し、指導部人事の主導権を確実に握ろうとする習近平国家主席の意向がにじむと。
中国国有企業、9割不正 大手20社監査、反腐敗へ異例の公表 売上高水増し3兆円 :日本経済新聞 2017/7/12付日本経済新聞
【広州=中村裕】中国の国有企業にはびこる財務不正の実態が明らかになった。日本の会計検査院に当たる中国審計署が最近公表した主要大手20社の調査結果によると、9割に当たる18社で不正計上が発覚し、売上高の水増しは過去数年で計2001億元(約3兆4千億円)に上った。中国当局が国有企業の不透明な経営を裏付ける異例の公表に踏み切った形で、国内外で改革を求める声が強まりそうだ。
審計署はこれまでも国有大手の財務調査を実施してきたが、今回は不正計上の合計など全体像を公表した。5年に1度の共産党大会が秋に迫るこの時期の公表には、党内に反腐敗を徹底する姿勢を改めて示し、指導部人事の主導権を確実に握ろうとする習近平国家主席の意向がにじむ。
調査対象は、中国政府が直接所管し、「中央企業」と呼ばれる大手国有企業グループの中核会社。
中国の国有企業は一部の資産や事業を上場する事例が多いが、グループを統括する会社の実態は外部から見えにくい。審計署は全国101社の中央企業のうち、20社について2015年の財務報告を中心に調査した。
この結果、18社で不正が発覚。中国最大級の石油グループ「中国石油天然気集団公司」、約5兆円で農薬世界最大手のスイス企業を買収した化学大手「中国化工集団公司(ケムチャイナ)」、鉄鋼大手「中国宝武鋼鉄集団有限公司」など、各業界を代表する企業だ。
審計署は過去の調査では「財務報告に間違いがあった」といった指摘にとどめていたが、今回は故意による不正と断じた。利益についても水増しなど計約203億元の不正があったという。
日産自動車やホンダと中国で合弁事業を展開する自動車大手「東風汽車公司」もその一つだ。審計署は「15年に従業員に配った約6億元の交通費補助をルール通りに会計処理しなかった」「15年に傘下の企業が架空取引し、売上高を約4億元水増しした」「01~15年まで経費を架空計上し、約4千万元を従業員に支給した」などと指摘した。
不正の背景には、中国特有の仕組みがある。中央企業は政府直轄の国有資産監督管理委員会が管理し、非上場だ。外部の監視が働かず、経営トップも党内の人事異動の一環で決まる面が強い。
経営トップは実績が目標を下回ると報酬減などを迫られる半面、党の方針に沿う経営には高い評価が与えられる。経済合理性より党内での昇進を優先し、安易な不正に走りやすい体質を生む。
習指導部は国有企業改革の推進を掲げてきたが、当局の調査で改革の遅れどころか、不正のまん延が露呈された。合弁相手の外資企業はブランドイメージの悪化などの余波を受けかねない。中国国内でも既得権層への不満は強く、意思決定の透明化や経営効率化に向けた改革が急務だといえる。
【広州=中村裕】中国の国有企業にはびこる財務不正の実態が明らかになった。日本の会計検査院に当たる中国審計署が最近公表した主要大手20社の調査結果によると、9割に当たる18社で不正計上が発覚し、売上高の水増しは過去数年で計2001億元(約3兆4千億円)に上った。中国当局が国有企業の不透明な経営を裏付ける異例の公表に踏み切った形で、国内外で改革を求める声が強まりそうだ。
審計署はこれまでも国有大手の財務調査を実施してきたが、今回は不正計上の合計など全体像を公表した。5年に1度の共産党大会が秋に迫るこの時期の公表には、党内に反腐敗を徹底する姿勢を改めて示し、指導部人事の主導権を確実に握ろうとする習近平国家主席の意向がにじむ。
調査対象は、中国政府が直接所管し、「中央企業」と呼ばれる大手国有企業グループの中核会社。
中国の国有企業は一部の資産や事業を上場する事例が多いが、グループを統括する会社の実態は外部から見えにくい。審計署は全国101社の中央企業のうち、20社について2015年の財務報告を中心に調査した。
この結果、18社で不正が発覚。中国最大級の石油グループ「中国石油天然気集団公司」、約5兆円で農薬世界最大手のスイス企業を買収した化学大手「中国化工集団公司(ケムチャイナ)」、鉄鋼大手「中国宝武鋼鉄集団有限公司」など、各業界を代表する企業だ。
審計署は過去の調査では「財務報告に間違いがあった」といった指摘にとどめていたが、今回は故意による不正と断じた。利益についても水増しなど計約203億元の不正があったという。
日産自動車やホンダと中国で合弁事業を展開する自動車大手「東風汽車公司」もその一つだ。審計署は「15年に従業員に配った約6億元の交通費補助をルール通りに会計処理しなかった」「15年に傘下の企業が架空取引し、売上高を約4億元水増しした」「01~15年まで経費を架空計上し、約4千万元を従業員に支給した」などと指摘した。
不正の背景には、中国特有の仕組みがある。中央企業は政府直轄の国有資産監督管理委員会が管理し、非上場だ。外部の監視が働かず、経営トップも党内の人事異動の一環で決まる面が強い。
経営トップは実績が目標を下回ると報酬減などを迫られる半面、党の方針に沿う経営には高い評価が与えられる。経済合理性より党内での昇進を優先し、安易な不正に走りやすい体質を生む。
習指導部は国有企業改革の推進を掲げてきたが、当局の調査で改革の遅れどころか、不正のまん延が露呈された。合弁相手の外資企業はブランドイメージの悪化などの余波を受けかねない。中国国内でも既得権層への不満は強く、意思決定の透明化や経営効率化に向けた改革が急務だといえる。
民間企業の淘汰・活性化で経済全体の活力を産み経済成長を継続させようとする、共青団派の李克強に対し、国有企業重視の習近平という葛藤の構図が現状との認識です。
習近平の国有企業保護の姿勢が、国有企業の改革を遅らせ、鉄鋼など過剰生産が放置され在庫が山積し、ダンピング輸出されるため、世界市場で価格崩壊が生じていると。
習近平と李克強との経済路線対立では、習近平が主導権を握っていて、李克強は首相から外されるとも報じられている、秋の党大会の人事。
習政権 2期目人事 王岐山が首相か - 遊爺雑記帳
ところが、共産党大会が秋に迫るこの時期の公表には、習近平が党内に反腐敗を徹底する姿勢を改めて示し、指導部人事の主導権を確実に握ろうとする意図があるのだと。
国有企業温存派の習近平が、国有企業の不正を公表すれば、党大会を控えて習近平の方向に批難が出るのか、共青団派の習近平批判の顕れではないかと思ったニュースでしたが、逆で、習近平が、指導部人事の主導権を確実にする為の不正公表なのだと。
国有企業トップは、党の人事で決まる為、経済合理性より党内での昇進を優先し、安易な不正に走りやすい体質があるとのこと。
過去の調査では「財務報告に間違いがあった」といった指摘にとどめていたが、今回は故意による不正と断じて、しかも異例の公表。
現在のトップを追放し、習近平の息がかかった人間と挿げ替えて、党大会での習近平勢力を拡大しておく。不正摘発で虎退治し政敵を駆逐してきた習近平。虎以外でも進めてきた派閥人事争いの一貫なのでしょうか。国有企業擁護派とはいえ、企業の不正は改革して適正化しなければ経済破綻するとの純粋な粛清なのか。素人推測では解りません。
党大会直前に行われたからには、習近平に有利な事だから行われたのか、対抗勢力が習近平に不利に働く為にしかけたかのどちらかでしょうが、習近平側が異例の公表ということです。
国内での既得権層への不満対策なのか、意思決定の透明化や経営効率化に向けた純粋な企業改革なのか。
党大会へ向けた、派閥抗争は最後の山場なのでしょうか、山場は越えてしまったのでしょうか。
# 冒頭の画像は、ポスト習近平候補とされながらも重慶市書記を解任された孫政才
この花の名前は、トロアオイ
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