遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

TPP政策大綱は、TPPを活かせるか

2015-11-26 23:41:10 | 日本を復活させる
 TPPの大筋合意を受け、次は各国の批准のハードルが迫っています。米国議会の承認が得られるか、オバマ政権の努力に期待です。
 日本では、導入のメリット、デメリットに対応するTPP大綱が作成されました。アベノミクス第三の矢は、薬のネット販売、カジノの導入と言った名ばかりが先行して、日本経済の構造改革をもたらすようなものが観られないまま今日に至っています。その中で、TPPは少子高齢化で縮小する国内市場に対し、成長・拡大に世界が注目するアジア市場と国内市場とを一体化させ拡大を図る、日本経済の歴史的展開をもたらす、第三の矢の柱のひとつとなるものです。
 その生死を左右するTPP大綱について、読売、日経、産経が揃って社説で論評しています。(朝日、毎日は、今日は社説でとりあげていません。)
 三紙は揃って、大綱の内容について具体性を問うています。とくに、日経は目標だけで具体策がないとタイトルに掲げ、読売も同じ論調です。

 
TPP対策は目標より具体策が肝心だ  :日本経済新聞
 【主張】TPP政策大綱 攻めの戦略を深化させよ(1/2ページ) - 産経ニュース
 
TPP政策大綱 輸出と海外展開へ知恵を絞れ (11/26 読売社説)

 
日本の農業や製造業の競争力を強化するため、官民が連携し、本腰を入れなければならない。
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を踏まえ、政府が総合政策大綱を策定した。
 中小企業の海外進出や農産品の輸出を促す一方、輸入増の影響を受ける農家の保護策も打ち出し、攻守両面の政策を盛り込んだ。
 農林水産物の輸出額を2020年に1兆円とする従来の政府目標の達成を前倒しする。インフラ(社会基盤)整備事業の海外受注額を20年に30兆円にする。こうした数値目標も掲げている。
 安倍首相は、「TPPを経済再生や地方創生に直結させるのに必要な政策だ」と強調した。
 
人口減少に伴い、国内市場の縮小は避けられない。TPPをテコに、アジア太平洋地域の成長と活力を取り込む狙いは妥当だ。
 ただ、大綱は、中小企業の相談窓口の拡充や農産品の販促強化など、従来の施策の焼き直しが目立つ。肝心な具体策に乏しい。

 
数値目標にも、「中小企業の海外事業拡大の成功率を6割以上にする」など、達成できたかどうかの判断が難しい項目がある。
 15年度補正予算案や16年度予算案に間に合わせようと、
急ごしらえとなった印象が否めない
 高いレベルの関税撤廃や透明性あるルールの合意を活用し、
域内国への投資と貿易を拡大する具体策にもっと知恵を絞るべき
だ。
 「守り」の面で
気がかりなのは、手厚い農家保護策
である。
 例えば、牛・豚肉生産者の経営赤字の一部を穴埋めする現行の基金制度について、法制化や補填ほてん割合の引き上げを図る。
 外国産品との競争を強いられる
農家に対する一時的な支援は必要だが、法制化で赤字補填を永続化すれば、生産者の経営改善意欲が薄れよう。日本農業の構造的な弱点を固定化し、安倍政権の「攻めの農業」にも逆行
しかねない。
 
コメの輸入枠拡大の対策
では、政府備蓄米の買い取り量を増やして、米価を安定させる方針だ。
 
安い農産品が買いやすくなるというTPPの恩恵を、消費者が享受できなくならないか。
 大綱は、対策費の予算規模を示さなかった。過度に額が膨らまぬよう注意する必要がある。
 自民党内からは、来年夏の参院選をにらみ、土地改良事業など公共工事予算の増額を迫る声が強まっている。対策の費用対効果をよく分析し、適切に予算を配分することが求められよう。


 「目標が先行し、新たな経済圏を取り込む攻めの具体策を描けていない。」と言う日経と、読売の論調はピタリ一致していると言えます。「15年度補正予算案や16年度予算案に間に合わせようと、急ごしらえとなった印象が否めない。」「域内国への投資と貿易を拡大する具体策にもっと知恵を絞るべきだ。」と、読売は強く迫っています。
 
 民主党政権の口先先行で、具体策に欠ける政治で日本国経済は大きな打撃を蒙り、日本沈没へ向けて坂道を転がり落ち始めましたが、アベノミクスの第一の矢、第二の矢による金融・財政政策で踏みとどまり、反転することが出来たことは、円の為替レート、株価が象徴的に実績で示していますし、求人率の向上でも顕著に表れています。
 しかし、金融・財政政策は、あくまで経済の起動役、車で言えばエンジン起動のセルの役割です。経済活動本体の動きは、第三の矢でもたらされるものとは、衆知の事ですし、政府も力を入れているところです。
 残念ながら、これまでの施策で、第三の矢で、成果をあげそうなものは出て来ていません。当初の薬のネット販売などは、町の薬屋さんの売上を、ネット販売に移すだけの話で、日本経済全体には何の影響も及ぼさない、楽天に有利で、町の薬屋さんは衰退するだけのお粗末さでした。以来、カジノ誘致など、表面的でスポットな効果の手短な浅知恵で思いつきのものばかりが続いていました。
 「地方創生」は、石破大臣の封じ込めに終わっていますし、「一億総活躍」に至っては、何の話やら雲をつかむような具体構想はこれからと言う、内容の見えない掛け声です。

 そんな状況で、TPPは日本経済の歴史的転換をもたらし、市場拡大を期待させる一大政策です。
 更に、アジア市場の経済ルールの範となすことを目指すものですね。
 

アジア太平洋にTPPを広げよ (11/26 産経 【正論】) 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

≪日本外交の大きな収穫≫
 外交の世界では、11月に「首脳会談ウイーク」とでも呼ぶべき新しい行事が誕生しつつある。
 昨年も11月第3週に、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(北京/中国)、東アジア首脳会議(ネピドー/ミャンマー)、20カ国・地域(G20)首脳会合(ブリスベン/豪州)という3つの会議が連続して開催された。各国首脳はアジアを北から南へと大移動したことになる。

<中略>


 今年の会議ではパリの同時テロ事件への対応、南シナ海問題などが協議された。が、
日本外交にとって一番大きな収穫は、APEC首脳会議での一連のやり取りであったと思う。
 最大のテーマは
アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)への道筋をいかに描くかであった。日本や米国は、先月、合意に至ったばかりの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を中心として、透明性の高いルール作りを目指したい。これに対し、中国は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
-ASEAN、日・中・韓とインド、豪州、ニュージーランド-という広範な自由貿易圏で対抗し、主導権を握りたいと考えている。アジアインフラ投資銀行(AIIB)という道具を使って、東南アジア諸国を抱き込むことも考えていただろう。
 ところが
支持が広がったのはTPP
の側だった。韓国、フィリピン、インドネシア、タイなどが次々と参加の意向を表明している。

≪中国の悩ましい選択≫
 TPPはまだ批准手続きが残っているとはいえ、関税上のメリットを考慮すると、
将来的にはTPP加盟国においてグローバルなサプライチェーンが構築される
公算が大きい。企業の設備投資は数年先を見越して決まるので、今、手を挙げておかないと「素通り」されるかもしれないのである。
 逆に
中国とロシアは警戒感
を隠さない。それもそのはず、TPPは国有企業への優遇措置の排除や知的財産権の保護などを定めている。もともと強権体制の国にはそぐわない自由貿易圏なのである。
 仮に
中国が覚悟を決めてTPP参加を目指してくるのなら、それは大いに結構なことである。その代わり、エネルギーや金融などの主要産業を独占している国有企業の改革を迫られる。共産党の基盤が弱体化する
かもしれない。
 逆に中国がTPPに背を向けるのであれば、アジア経済統合の動きから取り残される恐れが生じる。中国側としては、さぞかし悩ましい選択となっているだろう。

<中略>


≪ふさわしい台湾の加盟≫
 すなわち2005年時点のTPP協定には「現加盟国の賛成があれば、いかなるAPECエコノミー、もしくはその他の国にも開かれている」(第20条6項)とある。ここで「APECエコノミー」という文言が入っているところが興味深い。APECの公式文書では「カントリー」という言葉はすべて「エコノミー」に置き換えられている。そのため「国」でないとされている台湾と香港がメンバーでいられるのである。
 TPPの次の一手として面白いのは台湾の参加であろう。台湾経済はハイテク産業を中心としており、貿易上の障壁は低い。日本にとっては貿易量で第4位である。世界貿易機関(WTO)のメンバーであり、既にシンガポールやニュージーランドとは自由貿易協定(FTA)を結んでいる。
 来年1月には台湾で総統選挙が行われる。馬英九政権もTPP参加には関心を示しているが、次期政権が民進党の蔡英文氏となれば動きは一層加速するだろう。
 
TPPが目指す究極の目標は、自由、民主、市場経済といった価値観を共有するルールをアジア全体に広げていくことである。台湾はそれにふさわしいメンバーといえるはずだ。TPPの批准プロセスを急ぐと同時に、さらなる拡大を目指したいところである。(よしざき たつひこ)

 TPP大綱が、読売、日経の社説が揃って指摘する内容の具体策の充実に向け改善され、アジアの一方の雄として期待される日本として、その期待に応え、各国と日本とが共に経済発展がとげられる経済圏を確立できることを願います。


 # 冒頭の画像は、今月18日、マニラでAPECと同時開催された、TPP参加国首脳会議のメンバー




  この花の名前は、イブキトラノオ


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