米国のメディアや国際政治の専門家、研究者は日本の次期首相候補本命の菅氏に焦点を合わせた分析が始まっていると、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森氏。
菅氏は、ポスト安倍への備えもかねてと言われていましたが、2019年5月に、官房長官としては異例の訪米をしています。
拉致問題担当大臣の名目だったと記憶していますが、米政府要人と面談していました。
菅官房長官異例訪米 重層的パイプ構築狙う 副大統領と会談 - 毎日新聞
任期が残り 1年に迫っていたとはいえ、米側が長年、慣れ親しんできた安倍氏の突然の辞任表明。
安倍首相を補佐する官房長官として菅氏を知っていたとはいえ、どんな出自の、どんな政見の、どんなタイプの政治家なのかは、多くの人々には知られていなかった菅氏。
米国側がその人物がどんな政治家なのか、分析や研究を始めるのは当然ということになると古森氏。
私なりにまとめてみると、米国側は菅氏の実務能力や安倍政治の継続をプラスとして捉える一方、今後の外交や安保政策が懸念材料となる、と見ているようだと。
「ワシントン・ポスト」は、「日本の『修理人』ヨシヒデ・スガがシンゾー・アベから指導者の地位を継承する」という見出しの記事で紹介。
ここで「修理人」と訳した原文の言葉は "Mr. Fixit" である。物事が壊れたり、不調になったのを修理、修繕する人、という意味だそうです。
評価は以下。
「政界の背後で活動する優れた技量の評判が高いが、カリスマとはみなされない人物」
「外交的には、菅氏は安倍首相の後を追い、米国との同盟を強化し、同時に中国との関係も改善することを目指すだろう。しかし菅氏は外交政策の専門家ではないし、国際舞台では安倍氏のような重みはない」
「修理人」という呼び方は、コロンビア大学教授などを務めたジェラルド・カーティス氏の表現で、菅氏の実務能力への賞賛。日本国内では、『カリスマ性はないが、まあいいではないか』という評価になるだろうと。
ワシントン・ポストは、菅氏の政治手腕を懸念するコメントを掲載。
ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員は、「菅氏は政府や政党を運営する技量は高いと思うが、外交や安保では安倍首相の政策を継承するという以外には、その技量はまったく不明だ。安倍氏のような国際的な活動は想像できない」と。
日本政治研究者のトバイアス・ハリス氏は、「菅氏が自民党内の派閥の合体で首相になる場合、国民からの自然な支援を得ることが難しくなるのではないか」と悲観的。
ブルームバーグ通信は、「究極のインサイダーが米中対立という重大課題に直面する」という見出しの記事。
「菅氏は国内問題への対処は実績があるが、米国と中国が激突するなかで日本がどんな立場をとるか、という課題をどう扱うか、不安材料が多い」「菅氏は米中激突のなかで日本がどんな道を進むべきか、国際的にも、日本国内でも熱い論議が展開される真っただ中に日本の最高指導者として突入することになる。」と、菅氏の外交や安保でのリーダーシップへの明らかな懸念。
「菅氏は内政には強いが、外交は不明」というのが、米側の一般的な見方のようだ。これまで米国で「安倍首相の有能な補佐」という以上にはほとんど知られていなかった。それが唐突にヨシヒデ・スガという名が同盟国の首相候補として急浮上したのだから戸惑いが多いのも当然だろうと古森氏。
米国で菅氏についての情報を最も詳しく提供したのは大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」だと。記事は、「『できるぞ』という態度が菅義偉をイチゴ畑から日本の頂点へ」という見出し。
「71歳の菅氏は血筋のよい他の(首相候補の)ライバルたちを打ち負かすようだが、その理由は強力な雄弁でも、変革のビジョンでも、イデオロギーでもなく、目立たず、敵を作らず、物事をうまくなしとげるという評判のためだという」と。
更に、「菅氏は最近の記者会見で自分の地方政治での実績を詳しく語りながらも、安倍晋三氏がかつて述べたような国家の遠大なビジョンに類することには何も触れなかった。米国、中国、ロシアなどとの関係についても語ることは少なかった。だが彼が首相になれば、その種の対外関係こそが最重要課題となるのだ」と。
このあたりの記述が、米国側の菅義偉という日本の政治家への現在の認識を集約しているといえようと古森氏。
「地方政治の実績」ではなく、安倍内閣での総務大臣時代や、官房長官時代の諸改革実績の話だと思いますが、世界のリーダーの一翼を担った安倍さんの様なビジョンをぶち上げていないのは事実。
官房長官として、新型コロナ感染対策と、経済対策を最優先している現状があるからでしょう。
しかし、総理に就任後は、外交も当然担うことになります。
米国、中国、ロシアに留まらず、南北朝鮮等も含め、首脳の電話会議には同席し、内閣の意思を官房長官として発信してきた、安倍政権誕生にも関わった菅氏。
菅流外交や安全保障方針は、首相の座に就いて、新大臣を確定後に示されることでしょう。
内政については評価。安全保障を含む外交で、安倍首相の様な世界のリーダーの一翼を担うかは未知数で懸念という、米国の巷での菅評価が現状ということの様ですね。
# 冒頭の画像は、訪米に出発した菅官房長官
この花の名前は、ラムズイヤー
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菅氏で大丈夫か? 次期首相候補に米国が抱く懸念 米国の見方は「実務能力は高いが外交と安保の手腕は未知数」 | JBpress(Japan Business Press) 2020.9.9(水) 古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授
米国のメディアや国際政治の専門家、研究者は日本の次期首相候補の菅義偉官房長官をどうみているのか──。
安倍晋三首相の辞任表明による自民党の総裁選は9月8日に告示されたばかりである。出馬は予想どおり、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3人となった。現時点では勝者が誰かを断じることはできないが、自民党内の主要派閥の支持を得た菅氏の勝利がほぼ確実とされている。
米国では、早くも本命の菅氏に焦点を合わせた分析が始まった。「ヨシヒデ・スガとはどんな人物なのか」という研究であり、分析である。米側のメディアや学界の専門家たちの間で、この作業がかなり慌ただしく開始された。
「慌ただしく」というのは、米側には一種の当惑や驚きがあるからだ。米側にとっても、主要同盟国の次期首相が誰になるかが重大事なのは当然である。ところが今回は米側が長年、慣れ親しんできた安倍氏の辞任表明が唐突だった。そのうえ後任としてすぐに確実視されるにいたった菅義偉という人物は、米側では未知の政治家だった。もちろん安倍首相を補佐する官房長官としての活動こそ知られていたが、どんな出自の、どんな政見の、どんなタイプの政治家なのかは、まったくと言っていいほど知られていなかったのだ。
菅氏自身が国際活動を展開してきた実績はないから、米側の官民との接触もほとんどなかった。安倍政権の有力で有能な黒子、という以上の認識は持たれていなかったといえる。
だがそんな未知の人物があっというまに次期の日本の首相の最有力候補として急浮上した。米国側がその人物がどんな政治家なのか、分析や研究を始めるのは当然ということになる。
高く評価される実務能力
ここ10日間ほどの間に米国で出てきた考察や認識を私なりにまとめてみると、米国側は菅氏の実務能力や安倍政治の継続をプラスとして捉える一方、今後の外交や安保政策が懸念材料となる、と見ているようである。
以下では、その米側の判断や分析を具体的に紹介しよう。
まずは「ワシントン・ポスト」(9月1日付)に載った「日本の『修理人』ヨシヒデ・スガがシンゾー・アベから指導者の地位を継承する」という見出しの記事である。
ここで「修理人」と訳した原文の言葉は "Mr. Fixit" である。物事が壊れたり、不調になったのを修理、修繕する人、という意味だ。よく似た言葉で "Fixer" というのがある。こちらは、黒幕、不正な工作で物事を仕掛ける人、という意味になる。菅氏への形容はそこまではいかず、単に問題が起きたときに解決、修復する人という感じである。この記事は菅氏を次のように描写していた。
「政界の背後で活動する優れた技量の評判が高いが、カリスマとはみなされない人物」
「外交的には、菅氏は安倍首相の後を追い、米国との同盟を強化し、同時に中国との関係も改善することを目指すだろう。しかし菅氏は外交政策の専門家ではないし、国際舞台では安倍氏のような重みはない」
同記事はそのなかで、日本政治や日米関係に詳しい米国の専門家たちの見解も伝えていた。まず日本政治の研究では古参ともいえる、コロンビア大学教授などを務めたジェラルド・カーティス氏の菅評である。実は先に紹介した菅氏への「修理人」という呼び方もカーティス氏による表現だった。菅氏の実務能力への賞賛だといえるが、カーティス氏は他にも次のようなことを述べていた。
「菅氏への自民党内の支持の集中は、単に石破茂氏を次期首相にしたくないという願望の結果かもしれない」
「菅首相の登場当初は、メディアも世論も『自民党の党員の支持を得なかった』などと厳しい批判をぶつけるだろうが、1カ月もすると、彼が実務能力を発揮して『カリスマ性はないが、まあいいではないか』という評価になるだろう。危機状態にある現在の日本には、生真面目かつ冷静で、修繕能力の高い地味な指導者がよいと思う」
外交や安保の政治手腕は?
一方、ワシントン・ポストの同記事は、菅氏の政治手腕を懸念するコメントも報じている。
米国の大手研究機関、ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員は、米側が気にする菅氏の外交や安保に関する経験の乏しさに関して次のように述べる。
「菅氏は政府や政党を運営する技量は高いと思うが、外交や安保では安倍首相の政策を継承するという以外には、その技量はまったく不明だ。安倍路線に沿った政策を踏襲するとしても、安倍氏のような国際的な活動は想像できない」
また日本政治研究者のトバイアス・ハリス氏も、同記事でやや悲観的な見通しを語っていた。
「菅氏が自民党内の派閥の合体で首相になる場合、国民からの自然な支援を得ることが難しくなるのではないか」
米中激突の中「菅氏で大丈夫なのか」
「菅氏は内政には強いが、外交は不明」というのが、米側の一般的な見方のようである。ブルームバーグ通信の9月4日付の記事でも、その見方が表れていた。見出しは「究極のインサイダーが米中対立という重大課題に直面する」となっており、次のような記述が目立った。
「菅氏は国内問題への対処は実績があるが、米国と中国が激突するなかで日本がどんな立場をとるか、という課題をどう扱うか、不安材料が多い」
「菅氏は米中激突のなかで日本がどんな道を進むべきか、国際的にも、日本国内でも熱い論議が展開される真っただ中に日本の最高指導者として突入することになる。とくに日本国内では自民党内をはじめ、米中間では安全保障のパートナーである米国との連帯をもっと強めるべきだという意見が強くなっているのだ」
以上のような記述は、菅氏の外交や安保でのリーダーシップへの明らかな懸念の表明だといえる。「この米中激突の重大危機に菅氏で大丈夫なのか」という疑念を提起しているのである。
なにしろ前述のように菅氏は、これまで米国で「安倍首相の有能な補佐」という以上にはほとんど知られていなかったのだ。それが唐突にヨシヒデ・スガという名が同盟国の首相候補として急浮上したのだから戸惑いが多いのも当然だろう。
生い立ちや人柄も報じたWSJ
この1週間ほどの間に、米国で菅氏についての情報を最も詳しく提供したのは大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の9月5日付の記事だった。「『できるぞ』という態度が菅義偉をイチゴ畑から日本の頂点へ」という見出しの記事である。
同記事では、米国人記者たちが菅氏の故郷の秋田県湯沢市にまで出かけて、旧友たちに詳しく話を聞き、イチゴ農家出身の同氏の生い立ちや人柄などを報じていた。記者たちは現在の菅氏の立場を次のようにまとめている。
「71歳の菅氏は血筋のよい他の(首相候補の)ライバルたちを打ち負かすようだが、その理由は強力な雄弁でも、変革のビジョンでも、イデオロギーでもなく、目立たず、敵を作らず、物事をうまくなしとげるという評判のためだという」
「菅氏は最近の記者会見で自分の地方政治での実績を詳しく語りながらも、安倍晋三氏がかつて述べたような国家の遠大なビジョンに類することには何も触れなかった。米国、中国、ロシアなどとの関係についても語ることは少なかった。だが彼が首相になれば、その種の対外関係こそが最重要課題となるのだ」
このあたりの記述が、米国側の菅義偉という日本の政治家への現在の認識を集約しているといえよう。いずれにせよ、米側での菅氏の分析や研究がこれから本格的に行われていくことは間違いない。
米国のメディアや国際政治の専門家、研究者は日本の次期首相候補の菅義偉官房長官をどうみているのか──。
安倍晋三首相の辞任表明による自民党の総裁選は9月8日に告示されたばかりである。出馬は予想どおり、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3人となった。現時点では勝者が誰かを断じることはできないが、自民党内の主要派閥の支持を得た菅氏の勝利がほぼ確実とされている。
米国では、早くも本命の菅氏に焦点を合わせた分析が始まった。「ヨシヒデ・スガとはどんな人物なのか」という研究であり、分析である。米側のメディアや学界の専門家たちの間で、この作業がかなり慌ただしく開始された。
「慌ただしく」というのは、米側には一種の当惑や驚きがあるからだ。米側にとっても、主要同盟国の次期首相が誰になるかが重大事なのは当然である。ところが今回は米側が長年、慣れ親しんできた安倍氏の辞任表明が唐突だった。そのうえ後任としてすぐに確実視されるにいたった菅義偉という人物は、米側では未知の政治家だった。もちろん安倍首相を補佐する官房長官としての活動こそ知られていたが、どんな出自の、どんな政見の、どんなタイプの政治家なのかは、まったくと言っていいほど知られていなかったのだ。
菅氏自身が国際活動を展開してきた実績はないから、米側の官民との接触もほとんどなかった。安倍政権の有力で有能な黒子、という以上の認識は持たれていなかったといえる。
だがそんな未知の人物があっというまに次期の日本の首相の最有力候補として急浮上した。米国側がその人物がどんな政治家なのか、分析や研究を始めるのは当然ということになる。
高く評価される実務能力
ここ10日間ほどの間に米国で出てきた考察や認識を私なりにまとめてみると、米国側は菅氏の実務能力や安倍政治の継続をプラスとして捉える一方、今後の外交や安保政策が懸念材料となる、と見ているようである。
以下では、その米側の判断や分析を具体的に紹介しよう。
まずは「ワシントン・ポスト」(9月1日付)に載った「日本の『修理人』ヨシヒデ・スガがシンゾー・アベから指導者の地位を継承する」という見出しの記事である。
ここで「修理人」と訳した原文の言葉は "Mr. Fixit" である。物事が壊れたり、不調になったのを修理、修繕する人、という意味だ。よく似た言葉で "Fixer" というのがある。こちらは、黒幕、不正な工作で物事を仕掛ける人、という意味になる。菅氏への形容はそこまではいかず、単に問題が起きたときに解決、修復する人という感じである。この記事は菅氏を次のように描写していた。
「政界の背後で活動する優れた技量の評判が高いが、カリスマとはみなされない人物」
「外交的には、菅氏は安倍首相の後を追い、米国との同盟を強化し、同時に中国との関係も改善することを目指すだろう。しかし菅氏は外交政策の専門家ではないし、国際舞台では安倍氏のような重みはない」
同記事はそのなかで、日本政治や日米関係に詳しい米国の専門家たちの見解も伝えていた。まず日本政治の研究では古参ともいえる、コロンビア大学教授などを務めたジェラルド・カーティス氏の菅評である。実は先に紹介した菅氏への「修理人」という呼び方もカーティス氏による表現だった。菅氏の実務能力への賞賛だといえるが、カーティス氏は他にも次のようなことを述べていた。
「菅氏への自民党内の支持の集中は、単に石破茂氏を次期首相にしたくないという願望の結果かもしれない」
「菅首相の登場当初は、メディアも世論も『自民党の党員の支持を得なかった』などと厳しい批判をぶつけるだろうが、1カ月もすると、彼が実務能力を発揮して『カリスマ性はないが、まあいいではないか』という評価になるだろう。危機状態にある現在の日本には、生真面目かつ冷静で、修繕能力の高い地味な指導者がよいと思う」
外交や安保の政治手腕は?
一方、ワシントン・ポストの同記事は、菅氏の政治手腕を懸念するコメントも報じている。
米国の大手研究機関、ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員は、米側が気にする菅氏の外交や安保に関する経験の乏しさに関して次のように述べる。
「菅氏は政府や政党を運営する技量は高いと思うが、外交や安保では安倍首相の政策を継承するという以外には、その技量はまったく不明だ。安倍路線に沿った政策を踏襲するとしても、安倍氏のような国際的な活動は想像できない」
また日本政治研究者のトバイアス・ハリス氏も、同記事でやや悲観的な見通しを語っていた。
「菅氏が自民党内の派閥の合体で首相になる場合、国民からの自然な支援を得ることが難しくなるのではないか」
米中激突の中「菅氏で大丈夫なのか」
「菅氏は内政には強いが、外交は不明」というのが、米側の一般的な見方のようである。ブルームバーグ通信の9月4日付の記事でも、その見方が表れていた。見出しは「究極のインサイダーが米中対立という重大課題に直面する」となっており、次のような記述が目立った。
「菅氏は国内問題への対処は実績があるが、米国と中国が激突するなかで日本がどんな立場をとるか、という課題をどう扱うか、不安材料が多い」
「菅氏は米中激突のなかで日本がどんな道を進むべきか、国際的にも、日本国内でも熱い論議が展開される真っただ中に日本の最高指導者として突入することになる。とくに日本国内では自民党内をはじめ、米中間では安全保障のパートナーである米国との連帯をもっと強めるべきだという意見が強くなっているのだ」
以上のような記述は、菅氏の外交や安保でのリーダーシップへの明らかな懸念の表明だといえる。「この米中激突の重大危機に菅氏で大丈夫なのか」という疑念を提起しているのである。
なにしろ前述のように菅氏は、これまで米国で「安倍首相の有能な補佐」という以上にはほとんど知られていなかったのだ。それが唐突にヨシヒデ・スガという名が同盟国の首相候補として急浮上したのだから戸惑いが多いのも当然だろう。
生い立ちや人柄も報じたWSJ
この1週間ほどの間に、米国で菅氏についての情報を最も詳しく提供したのは大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の9月5日付の記事だった。「『できるぞ』という態度が菅義偉をイチゴ畑から日本の頂点へ」という見出しの記事である。
同記事では、米国人記者たちが菅氏の故郷の秋田県湯沢市にまで出かけて、旧友たちに詳しく話を聞き、イチゴ農家出身の同氏の生い立ちや人柄などを報じていた。記者たちは現在の菅氏の立場を次のようにまとめている。
「71歳の菅氏は血筋のよい他の(首相候補の)ライバルたちを打ち負かすようだが、その理由は強力な雄弁でも、変革のビジョンでも、イデオロギーでもなく、目立たず、敵を作らず、物事をうまくなしとげるという評判のためだという」
「菅氏は最近の記者会見で自分の地方政治での実績を詳しく語りながらも、安倍晋三氏がかつて述べたような国家の遠大なビジョンに類することには何も触れなかった。米国、中国、ロシアなどとの関係についても語ることは少なかった。だが彼が首相になれば、その種の対外関係こそが最重要課題となるのだ」
このあたりの記述が、米国側の菅義偉という日本の政治家への現在の認識を集約しているといえよう。いずれにせよ、米側での菅氏の分析や研究がこれから本格的に行われていくことは間違いない。
菅氏は、ポスト安倍への備えもかねてと言われていましたが、2019年5月に、官房長官としては異例の訪米をしています。
拉致問題担当大臣の名目だったと記憶していますが、米政府要人と面談していました。
菅官房長官異例訪米 重層的パイプ構築狙う 副大統領と会談 - 毎日新聞
任期が残り 1年に迫っていたとはいえ、米側が長年、慣れ親しんできた安倍氏の突然の辞任表明。
安倍首相を補佐する官房長官として菅氏を知っていたとはいえ、どんな出自の、どんな政見の、どんなタイプの政治家なのかは、多くの人々には知られていなかった菅氏。
米国側がその人物がどんな政治家なのか、分析や研究を始めるのは当然ということになると古森氏。
私なりにまとめてみると、米国側は菅氏の実務能力や安倍政治の継続をプラスとして捉える一方、今後の外交や安保政策が懸念材料となる、と見ているようだと。
「ワシントン・ポスト」は、「日本の『修理人』ヨシヒデ・スガがシンゾー・アベから指導者の地位を継承する」という見出しの記事で紹介。
ここで「修理人」と訳した原文の言葉は "Mr. Fixit" である。物事が壊れたり、不調になったのを修理、修繕する人、という意味だそうです。
評価は以下。
「政界の背後で活動する優れた技量の評判が高いが、カリスマとはみなされない人物」
「外交的には、菅氏は安倍首相の後を追い、米国との同盟を強化し、同時に中国との関係も改善することを目指すだろう。しかし菅氏は外交政策の専門家ではないし、国際舞台では安倍氏のような重みはない」
「修理人」という呼び方は、コロンビア大学教授などを務めたジェラルド・カーティス氏の表現で、菅氏の実務能力への賞賛。日本国内では、『カリスマ性はないが、まあいいではないか』という評価になるだろうと。
ワシントン・ポストは、菅氏の政治手腕を懸念するコメントを掲載。
ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員は、「菅氏は政府や政党を運営する技量は高いと思うが、外交や安保では安倍首相の政策を継承するという以外には、その技量はまったく不明だ。安倍氏のような国際的な活動は想像できない」と。
日本政治研究者のトバイアス・ハリス氏は、「菅氏が自民党内の派閥の合体で首相になる場合、国民からの自然な支援を得ることが難しくなるのではないか」と悲観的。
ブルームバーグ通信は、「究極のインサイダーが米中対立という重大課題に直面する」という見出しの記事。
「菅氏は国内問題への対処は実績があるが、米国と中国が激突するなかで日本がどんな立場をとるか、という課題をどう扱うか、不安材料が多い」「菅氏は米中激突のなかで日本がどんな道を進むべきか、国際的にも、日本国内でも熱い論議が展開される真っただ中に日本の最高指導者として突入することになる。」と、菅氏の外交や安保でのリーダーシップへの明らかな懸念。
「菅氏は内政には強いが、外交は不明」というのが、米側の一般的な見方のようだ。これまで米国で「安倍首相の有能な補佐」という以上にはほとんど知られていなかった。それが唐突にヨシヒデ・スガという名が同盟国の首相候補として急浮上したのだから戸惑いが多いのも当然だろうと古森氏。
米国で菅氏についての情報を最も詳しく提供したのは大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」だと。記事は、「『できるぞ』という態度が菅義偉をイチゴ畑から日本の頂点へ」という見出し。
「71歳の菅氏は血筋のよい他の(首相候補の)ライバルたちを打ち負かすようだが、その理由は強力な雄弁でも、変革のビジョンでも、イデオロギーでもなく、目立たず、敵を作らず、物事をうまくなしとげるという評判のためだという」と。
更に、「菅氏は最近の記者会見で自分の地方政治での実績を詳しく語りながらも、安倍晋三氏がかつて述べたような国家の遠大なビジョンに類することには何も触れなかった。米国、中国、ロシアなどとの関係についても語ることは少なかった。だが彼が首相になれば、その種の対外関係こそが最重要課題となるのだ」と。
このあたりの記述が、米国側の菅義偉という日本の政治家への現在の認識を集約しているといえようと古森氏。
「地方政治の実績」ではなく、安倍内閣での総務大臣時代や、官房長官時代の諸改革実績の話だと思いますが、世界のリーダーの一翼を担った安倍さんの様なビジョンをぶち上げていないのは事実。
官房長官として、新型コロナ感染対策と、経済対策を最優先している現状があるからでしょう。
しかし、総理に就任後は、外交も当然担うことになります。
米国、中国、ロシアに留まらず、南北朝鮮等も含め、首脳の電話会議には同席し、内閣の意思を官房長官として発信してきた、安倍政権誕生にも関わった菅氏。
菅流外交や安全保障方針は、首相の座に就いて、新大臣を確定後に示されることでしょう。
内政については評価。安全保障を含む外交で、安倍首相の様な世界のリーダーの一翼を担うかは未知数で懸念という、米国の巷での菅評価が現状ということの様ですね。
# 冒頭の画像は、訪米に出発した菅官房長官
この花の名前は、ラムズイヤー
↓よろしかったら、お願いします。