日本政府が、ようやく米国抜きでのTPP発効にむけた検討の、重い腰をあげた様です。
トランプ大統領が就任直後にTPP離脱を表明しましたが、米国抜きでのTPPについて、チリがよびかけて、閣僚会議が開催されました。オーストラリアやニュージーランドは「米国を除いた11カ国での発効を主張、チリ、ペルーなどは中国の参加も呼びかける姿勢でした。
終盤は日米で牽引していたTPPですから、本来なら日本が中心になって呼びかけてもよいくらいなのですが、安倍首相は米国の参加説得に固執して、各国が閣僚を参加させたのに対し、日本は副大臣の参加にとどめる消極姿勢を示しました。これでは、当然会合の成果はあがるはずがありません。
また、米国は二国間交渉を求め、TPPのレベル以上の米国に有利な条件の強要を目指していますが、その牽制の為にも、米国抜きのTPP発効は必要なのです。
欧州を歴訪し、EPA交渉の進展を促した安倍首相。EU離脱の英国が米国とのFTAや、英連邦での経済圏再構築を進めるなど世界の構造変化が進む中、米国抜きのTPPについて、ようやく重い腰をあげる様ですね。
CETA、3月チリ閣僚会合から見える日欧EPA、日米交渉|コラム|JAcom 農業協同組合新聞
トランプ政権 日本に自動車と農産物の市場開放を迫る 米国抜きの新TPPで対抗せよ - 遊爺雑記帳
ただ、重い腰をあげた日本ですが、GATTの先例を参考に、別途議定書を結び、合意した国にのみTPPを適用する案なのだそうです。
米国抜きのTPP発効には、TPP発効要件の変更・再交渉が必要で、難航が予想されるので、同様に発効要件でとん挫しかけながらも、「暫定適用議定書」に合意した国だけで適用する方式に変えてスタートしたGATTと同様、希望国のみにTPPを適用する「議定書」を結べばよい方式にすれば、速くスタート出来るという狙いなのですね。
TPPの発効要件を変更するのが速いのか、希望国のみにTPPを適用する議定書を締結する案が速いのかは良く判りませんが、一旦合意済のTPPの内容はそのままで、批准出来た国のみが参加する新TPPとすればよいのですね。
5月の会合には、副大臣ではなく、石原大臣(実力が一寸不安。実績と各国の信頼のある甘利さんの特命応援参加希望)が参加するのだそうですが、関連各国への事前調整をしっかり行って、希望国で早期に発効させることを優先し、米国の復帰を待つもよし、中国他の国々の新規参入を待つもよしといった体制の実現が望まれます。
オバマケア見直しの失敗を挽回したいトランプ大統領。通商政策で挽回を謀ろうと、日本や中国との貿易赤字の縮小に向け、「不公正貿易」の調査を商務省などに命じる大統領令に署名したのだそうですね。
二国間交渉の牽制の為にも、米国抜きの新TPPの早期発効実現が望まれます。
米、貿易赤字縮小へ大統領令=「不公正終わらせる」-日中焦点に:時事ドットコム
# 冒頭の画像は、ハードネゴシエイションを重ねた、甘利代表とフロマン代表
チャの花の蕾
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トランプ大統領が就任直後にTPP離脱を表明しましたが、米国抜きでのTPPについて、チリがよびかけて、閣僚会議が開催されました。オーストラリアやニュージーランドは「米国を除いた11カ国での発効を主張、チリ、ペルーなどは中国の参加も呼びかける姿勢でした。
終盤は日米で牽引していたTPPですから、本来なら日本が中心になって呼びかけてもよいくらいなのですが、安倍首相は米国の参加説得に固執して、各国が閣僚を参加させたのに対し、日本は副大臣の参加にとどめる消極姿勢を示しました。これでは、当然会合の成果はあがるはずがありません。
また、米国は二国間交渉を求め、TPPのレベル以上の米国に有利な条件の強要を目指していますが、その牽制の為にも、米国抜きのTPP発効は必要なのです。
欧州を歴訪し、EPA交渉の進展を促した安倍首相。EU離脱の英国が米国とのFTAや、英連邦での経済圏再構築を進めるなど世界の構造変化が進む中、米国抜きのTPPについて、ようやく重い腰をあげる様ですね。
CETA、3月チリ閣僚会合から見える日欧EPA、日米交渉|コラム|JAcom 農業協同組合新聞
トランプ政権 日本に自動車と農産物の市場開放を迫る 米国抜きの新TPPで対抗せよ - 遊爺雑記帳
TPP「米抜き」に温度差 閣僚会合 2017/3/16 日本経済新聞 電子版
【ビニャデルマル(チリ中部)=宮本英威】環太平洋経済連携協定(TPP)の署名国は15日、1月の米国の離脱表明後初めてとなる閣僚級会合を南米チリで開き、自由貿易の推進で一致した。ただ、「米抜き」の将来像を巡っては各国間の温度差が浮き彫りになった。米以外の11カ国での早期発効を目指す国がある一方で、日本は慎重な姿勢を維持している。
「地域統合に向けて前進を続けなければならない」。議長国チリのムニョス外相は会合後の記者会見で、TPP署名国が域内の貿易や投資の促進で一致したと強調した。
米国の離脱で求心力低下が懸念される中で共同声明の発表にこぎ着け、5月にベトナムで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合の際に、閣僚会合を開くことでも合意した。ムニョス氏は「成果の多い会合だった」と誇った。
会合では、今後の域内の自由貿易圏をどのように形成するかについて、主張の隔たりも目立った。オーストラリアやニュージーランドは「米国を除いた11カ国での発効を主張した」(交渉担当者)。両国は主力の畜産業で米国と競合しており、中南米やアジア向けに牛肉などの輸出を増やせれば、利点は多いためだ。
一方、日本は「いまの時点で選択肢を絞り込むことなく、あらゆる選択肢を視野に考えていきたい」(内閣府の越智隆雄副大臣)と主張。越智氏は会見で「安倍首相がトランプ米大統領にTPPの意義を説明している」と述べ、米国がTPPに回帰することを期待しながら長期戦で臨みたい意向をにじませた。
今回のTPP閣僚会合はチリが、メキシコ、ペルー、コロンビアと構成する経済共同体「太平洋同盟」の閣僚会合を機に開催を呼びかけた。TPP閣僚会合後に開いた拡大会合には中国、韓国などが加わり、計15カ国が参加して議論した。
TPP署名国の間では中国を含む形での新たな協定を模索する声もある。ペルーのフェレイロス貿易・観光相は「域内の主要国で戦略的に重要な相手だ」と指摘する。
中国の中南米事務特別代表の殷恒民大使は15日の記者会見で「現在は方向性が分かれているアジア太平洋地域は、より経済統合を進めるべきだ」と述べ、中国が入っていないTPPの枠組みをけん制した。
今回のチリ会合で、米国が抜けた後もTPPに署名した11カ国が一定の結束を示せたことは成果といえる。ただ今後の行方は不透明なままで、結論を先送りした。
米国との間で北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を控えるメキシコはとりわけ焦燥感が強い。グアハルド経済相は15日、記者団に「世界的な経済統合の流れのなかで長くは待てない」と語った。TPP以外の多国間の枠組みや2国間での協議を急ぐ考えを示しており、結束がどの程度続くかも読めない。
【ビニャデルマル(チリ中部)=宮本英威】環太平洋経済連携協定(TPP)の署名国は15日、1月の米国の離脱表明後初めてとなる閣僚級会合を南米チリで開き、自由貿易の推進で一致した。ただ、「米抜き」の将来像を巡っては各国間の温度差が浮き彫りになった。米以外の11カ国での早期発効を目指す国がある一方で、日本は慎重な姿勢を維持している。
「地域統合に向けて前進を続けなければならない」。議長国チリのムニョス外相は会合後の記者会見で、TPP署名国が域内の貿易や投資の促進で一致したと強調した。
米国の離脱で求心力低下が懸念される中で共同声明の発表にこぎ着け、5月にベトナムで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合の際に、閣僚会合を開くことでも合意した。ムニョス氏は「成果の多い会合だった」と誇った。
会合では、今後の域内の自由貿易圏をどのように形成するかについて、主張の隔たりも目立った。オーストラリアやニュージーランドは「米国を除いた11カ国での発効を主張した」(交渉担当者)。両国は主力の畜産業で米国と競合しており、中南米やアジア向けに牛肉などの輸出を増やせれば、利点は多いためだ。
一方、日本は「いまの時点で選択肢を絞り込むことなく、あらゆる選択肢を視野に考えていきたい」(内閣府の越智隆雄副大臣)と主張。越智氏は会見で「安倍首相がトランプ米大統領にTPPの意義を説明している」と述べ、米国がTPPに回帰することを期待しながら長期戦で臨みたい意向をにじませた。
今回のTPP閣僚会合はチリが、メキシコ、ペルー、コロンビアと構成する経済共同体「太平洋同盟」の閣僚会合を機に開催を呼びかけた。TPP閣僚会合後に開いた拡大会合には中国、韓国などが加わり、計15カ国が参加して議論した。
TPP署名国の間では中国を含む形での新たな協定を模索する声もある。ペルーのフェレイロス貿易・観光相は「域内の主要国で戦略的に重要な相手だ」と指摘する。
中国の中南米事務特別代表の殷恒民大使は15日の記者会見で「現在は方向性が分かれているアジア太平洋地域は、より経済統合を進めるべきだ」と述べ、中国が入っていないTPPの枠組みをけん制した。
今回のチリ会合で、米国が抜けた後もTPPに署名した11カ国が一定の結束を示せたことは成果といえる。ただ今後の行方は不透明なままで、結論を先送りした。
米国との間で北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を控えるメキシコはとりわけ焦燥感が強い。グアハルド経済相は15日、記者団に「世界的な経済統合の流れのなかで長くは待てない」と語った。TPP以外の多国間の枠組みや2国間での協議を急ぐ考えを示しており、結束がどの程度続くかも読めない。
ただ、重い腰をあげた日本ですが、GATTの先例を参考に、別途議定書を結び、合意した国にのみTPPを適用する案なのだそうです。
米抜きTPP検討 政府、GATT参考に議定書方式 (4/1 産経)
政府が、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を米国抜きで発効させる方策の検討に入ったことが31日、分かった。米国の離脱で発効が不可能になる中、世界貿易機関(WTO)の前身「関税貿易一般協定」(GATT)の先例を参考に、別途議定書を結び、合意した国にのみTPPを適用する案が浮上している。5月にベトナムで開く閣僚会合の共同声明に有志国だけでの発効方針を明記することも視野に、参加国と調整を進める。
参考の選択肢に挙がるGATTは、第二次世界大戦後、西側諸国を中心に結んだ多国間で自由貿易を拡大するための協定だ。
1947年10月、米英など23カ国が署名したが、発効要件の「締約国の貿易額の85%を占める国の受諾」が満たされず正式発効しなかった。このため8カ国が「暫定適用議定書」を締結。これに合意した国のみにGATTを適用する形で48年1月、スタートした。
TPPも、発効には国内総生産(GDP)の合計が参加全12カ国の85%以上を占める、6カ国以上の批准が必要。発効は、GDPの6割を占めるトランプ米政権が離脱を表明したため、不可能となっている。
発効要件変更には参加国の再交渉が必要で難航が予想される。ただ、GATTと同じく、希望国のみにTPPを適用する議定書を結べば、実質的な米国抜きのTPP発効が、より容易に実現できるとみられる。
トランプ米政権が2国間交渉を求める姿勢を強める中、国内外では米国抜きでのTPP発効を急ぐよう求める声が高まっている。海外ではオーストラリアやニュージーランドが前向き。国内でも自民党から、まずTPPを11カ国で発効させ、最終的に米国を加入へ追い込むよう求める意見が出ている。
5月にベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合にあわせて開かれるTPP閣僚会合は石原伸晃担当相が出席する方向。米国抜きの選択肢を含め、TPPの将来像提示にリーダーシップを発揮したい考えだ。
政府が、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を米国抜きで発効させる方策の検討に入ったことが31日、分かった。米国の離脱で発効が不可能になる中、世界貿易機関(WTO)の前身「関税貿易一般協定」(GATT)の先例を参考に、別途議定書を結び、合意した国にのみTPPを適用する案が浮上している。5月にベトナムで開く閣僚会合の共同声明に有志国だけでの発効方針を明記することも視野に、参加国と調整を進める。
参考の選択肢に挙がるGATTは、第二次世界大戦後、西側諸国を中心に結んだ多国間で自由貿易を拡大するための協定だ。
1947年10月、米英など23カ国が署名したが、発効要件の「締約国の貿易額の85%を占める国の受諾」が満たされず正式発効しなかった。このため8カ国が「暫定適用議定書」を締結。これに合意した国のみにGATTを適用する形で48年1月、スタートした。
TPPも、発効には国内総生産(GDP)の合計が参加全12カ国の85%以上を占める、6カ国以上の批准が必要。発効は、GDPの6割を占めるトランプ米政権が離脱を表明したため、不可能となっている。
発効要件変更には参加国の再交渉が必要で難航が予想される。ただ、GATTと同じく、希望国のみにTPPを適用する議定書を結べば、実質的な米国抜きのTPP発効が、より容易に実現できるとみられる。
トランプ米政権が2国間交渉を求める姿勢を強める中、国内外では米国抜きでのTPP発効を急ぐよう求める声が高まっている。海外ではオーストラリアやニュージーランドが前向き。国内でも自民党から、まずTPPを11カ国で発効させ、最終的に米国を加入へ追い込むよう求める意見が出ている。
5月にベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合にあわせて開かれるTPP閣僚会合は石原伸晃担当相が出席する方向。米国抜きの選択肢を含め、TPPの将来像提示にリーダーシップを発揮したい考えだ。
米国抜きのTPP発効には、TPP発効要件の変更・再交渉が必要で、難航が予想されるので、同様に発効要件でとん挫しかけながらも、「暫定適用議定書」に合意した国だけで適用する方式に変えてスタートしたGATTと同様、希望国のみにTPPを適用する「議定書」を結べばよい方式にすれば、速くスタート出来るという狙いなのですね。
TPPの発効要件を変更するのが速いのか、希望国のみにTPPを適用する議定書を締結する案が速いのかは良く判りませんが、一旦合意済のTPPの内容はそのままで、批准出来た国のみが参加する新TPPとすればよいのですね。
5月の会合には、副大臣ではなく、石原大臣(実力が一寸不安。実績と各国の信頼のある甘利さんの特命応援参加希望)が参加するのだそうですが、関連各国への事前調整をしっかり行って、希望国で早期に発効させることを優先し、米国の復帰を待つもよし、中国他の国々の新規参入を待つもよしといった体制の実現が望まれます。
オバマケア見直しの失敗を挽回したいトランプ大統領。通商政策で挽回を謀ろうと、日本や中国との貿易赤字の縮小に向け、「不公正貿易」の調査を商務省などに命じる大統領令に署名したのだそうですね。
二国間交渉の牽制の為にも、米国抜きの新TPPの早期発効実現が望まれます。
米、貿易赤字縮小へ大統領令=「不公正終わらせる」-日中焦点に:時事ドットコム
# 冒頭の画像は、ハードネゴシエイションを重ねた、甘利代表とフロマン代表
チャの花の蕾
↓よろしかったら、お願いします。