米・パネッタ国防長官が、ASEAN 10か国の国防相らと11月に行われる「東アジア首脳会議」の根回しの会議を行った後、来日しました。
来日の大きな目的は、北朝鮮・中国の脅威が増すアジアの安全保障に米国が関与を強める為の米軍再編の一環で、日米の懸案事項であり、野田・オバマ会談で宿題となっている普天間基地移転の進捗のお尻を叩きに来たのですね。鳩や、菅までは、国家の主権を尊重して我慢していたものが、オバマ政権もお尻に火がついている今、もう待っていられないと言うことなのですね。
パネッタ国防長官が、来日に先立ち、読売に寄稿したのだそうです。
【ワシントン=中島健太郎】24日からの訪日を前にしたバネッタ米国防長官の寄稿は、日米同盟を「地域と世界の安全保障に不可欠な柱」と表現した。北朝鮮の核開発、中国軍近代化を不安定要素として挙げ、今後もアジアの安全保障に積極的に関与する米国の意思を示すとともに、同盟国としての日本を重視する姿勢を明確にしている。
寄稿で長官は、尖閣諸島周辺の東シナ海も含めた中国の活動が「強引さを増している」と指摘。国産空母の建造、潜水艦隊の拡充などの中国軍近代化に関しては、「透明性に欠けている」と懸念を表明した。
北朝鮮の核・ミサイル開発については「無謀な挑発行為」と指弾し、アジア太平洋地域全体の脅威だと位置づけた。バネッタ長官が「在日米軍の再編は日米同盟の有効性を高める」と主張したのは、それによって中国や北朝鮮といった不安定要因に適切に対応する能力が高まるとの見解からだ。そのためにも沖縄県の米軍普天間飛行場移設を急ぐべきだとの考えだ。
だが、国防費削減の圧力が高まる米議会では、普天闇移設と一体のグアム移転計画がコスト高だとして、計画見直しを求める動きが目立っている。長官が移設実現の時期について「できるだけ早く」と言及したのは、議会側を説得するため、日本側の移設実現に向けたステップが必要だとの考えを示したむのだ。
日本政府はすでに、移設先の埋め立てに必要な環境影響評価書を年内に提出する方針を沖縄県側に伝えている。日本政府は25日の日米防衛相会談などで、こうした現状を説明し、来年6月をメドに海面の埋め立て申請を知事に行う方針を示して、米側の理解を得たい考えだ。
# パネッタ国防長官の寄稿文や、ASEAN 10か国の国防相らとの打ち合わせの記事は、文末に転載
たまたま観た今夜のNHK news Watch9 で、丁度この問題を大越キャスターが沖縄に出かけて取り上げているのを、途中からですが観ました。仲井眞知事にインタビューしている途中からでしたが、政府の環境アセスメントの提出への知事の対応への問いかけに知事は「いろいろな根拠への適合に基づいた結果なので対応は...」とにべもなく一蹴すると言うニュアンスはありませんでしたが、「私は、民主党の様に選挙の公約は翻さない」と、付け加えてもおられました。
ところがさすがNHK、沖縄の記者とおぼしき(イダさんと呼んでいた)記者に、かつて条件付き容認派はいたが、今ではゼロになったと言わさせています。何を根拠にそう言うのかが示されず、雰囲気で言っているのですが、名護市長選が当初の稲嶺氏圧勝予測が、僅差になり、もう少し時間があれば勝敗の行方はどうなったかといった状況だったこと、その後の知事選では、稲嶺氏の後ろ盾でもあったキャンプシュアブ沖移転反対派の伊波氏が敗れたこと、その時には名護市でも伊波氏の票は、仲井眞知事に届いていなかった事、読売の今日の社説でも書いている様に「名護市内には依然、代替施設予定地の近隣地区を含め、移設を容認する住民も少なくない」というか、本当の地元の辺野古を含む久辺三区ではキャンプ・シュアブと共存していて、賛成派が多い現状を揉みつぶしています。
更に、米国からパネッタ国防長官に同行してきたNHKの記者の米国側の姿勢の報告については、何故米国は態度を変えないのかと食って掛かる始末でした。記者が事実を述べているのが、NHKの偏向報道の主旨に沿わなかったのでしょう。。
ところでその普天間、政府は米国の督促にアリバイ工作で、強引に環境アセスメントの提出と、埋め立ての申請を一方的に強硬しようとしています。が、それでは溝は深まるばかりでしょう。
以前にも書きましたが、まずは民主党の沖縄選出国会議員、更に、沖縄県会議員、関連市町村議員のとりまとめが重要です。自民党もかつて移転を目前にまでこぎつけたにも関わらず民主党同様に一連の議員が翻していますが、本来の主張に戻すべきですし、党の意見の統一が求められます。
上記の仲井眞知事のインタビューで触れたように、知事の態度は微妙です。知事の公約は、沖縄の民意がキャンプ・シュアブ移転反対、県外移転希望だから民意に添った施政をするというものでした。民主党、自民党がしっかり党の方針を浸透させて地元の議員とともに地元の説得に回るのが筋です。
そして民意が動けば、知事は民意に従うといっているのですから、道は開けます。
現状の様に、アリバイ造りで表敬訪問して、知事に押し付けても知事も困るだけの話ですし、冒頭のインタビューの話に込められている様に、まとまりかけた民意をひっくり返して沖縄県民の心を愚ろうし、今日の状況を招いたのは誰だ、となるのです。
もっとも罪の大きい、大失政を犯した民主党が先ず党内の統一をして、地元議員のとりまとめから行うのが筋で、更に自民党とも連携し、それから知事に話を持っていくのが筋です。
読売社説でも書いていますし、遊爺に限らず多くの諸兄も唱えておられるように、普天間の定着回避や、沖縄全体の負担軽減も盛り込まれている今回のキャンプ・シュアブ沖移転は、与野党あげて取り組むべきだと考えます。
普天間移設 首相は辺野古に「本気」を示せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
<前略>
まず北朝鮮の問題がある。北朝鮮は無謀な挑発行為を続け、核兵器と弾道ミサイルを開発し、日本だけでなく地域全体の脅威となっている。中国が急速に進める軍の近代化は、気掛かりなことに透明性に欠けている。加えて東シナ海と南シナ海での同国の活動も強引さを増している。米国と日本は協力し、北朝鮮を6か国協議に復帰させ、中国が国際社会で責任ある役割を果たすよう促していく。
私たちは今年6月の「2プラス2(日米安全保障協議委員会)」会合で提示した日米同盟の意欲的な目標の達成に向け、着実に進展を続ける。自衛隊が「動的防衛力」を持つ組織へと変わる中、相互運用性を向上させ、共通の問題解決に向け相互補完的な能力を結集する。日米は共同で次世代のミサイル防衛迎撃弾をはじめとするハイテク能力を開発し、宇宙やサイバースペースなどの新たな協力分野を探求している。
太平洋国家としてアジアに堅固な前方展開の態勢を維持するという米国の姿勢に変わりはない。在日米軍の再編は日米同盟の有効性を高める一方で、米軍の駐留が地元住民に及ぼす影響を軽減する。普天間飛行場の名護市辺野古(キャンプ・シュワブ沿岸部)への移設はこの取り組みの重要な要素のひとつであり、できるだけ早い移設が日米同盟、沖縄県民、そして地域の平和と安定にとって有益となるだろう。
この新たな太平洋の世紀において、日米同盟は地域と世界の安全保障に不可欠な柱のひとつである。日米は両国に共通の価値観に基づき、21世紀も国際秩序を維持し、国民の平和と繁栄の継続を確実にするため取り組んでいく。
【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=梁田真樹子】バネッタ米国防長官は23日、インドネシアのヌサドゥアで、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国の国防相らと会談した。会談後の共同記者会見で、長官は「海洋の安全保障」について協議したと明らかにするとともに「ASEANとの協力関係を発展させたい」と強調。南シナ海の安全保障に米国が積極関与する姿勢を示した。
今回の会談は米国とASEANの間の非公式の国防相会談の位置づけ。米国は、11月19日にヌサドゥアで米露が初参加して開かれる東アジア首脳会議に向けて、米国の方針に理解を得ることを狙った。バネッタ長官は共同記者会見で「太平洋での米国のプレゼンスを維持する」とも述べた。
南シナ海を巡っては中国とASEAN諸国が領有権を争う一方、中国が海軍力増強を際立たせている。米国は「南シナ海の航行の自由は米国の国益」として、こうした中国の動きをけん制するため、東アジア首脳会議では領有権問題に直接踏み込むのを避けつつ、日本などと共同で「航行の自由」「国際法の順守」といったテーマを取り上げたい考えだ。ASEAN外交筋によると、バネッタ長官はこの日の会談で、海洋の安全保障に関する首脳会議での議論では「南シナ海問題を一例にしたい」との考えも明確にしたという。
バネッタ長官が今回、ASEANの国防相と会談したのは、5月のジャカルタでのASEAN国防相会議に合わせ、中国の梁光烈国防相が同様の非公式会談を行ったことを意識した。梁国防相はこの時、南シナ海について「情勢は安定している」と主張し、懸案がないとの立場を強調した。
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