遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

シェールガス ロシアの衰退は避けられない

2013-04-19 23:57:09 | 新エネルギー
 シェールガスの米国やカナダでの開発の進展が、世界のエネルギー資源国の勢力図に変革をもたらし始めていることや、原発停止に伴う日本のエネルギー輸入の為の富の流出にも好影響をもたらす期待については、既にいろいろ語られています。
 日本の官民が、長期展望を共有し、戦略的に一体的な認識と行動が求められます。が、現状は、目先の利益で動こうとしている様に遊爺には見えてしかたないのです。
 産経が、近況を特集し整理していましたので、備忘録としてアップします。
 

「シェール革命」エネ需給一変 台頭する米、露の影響力低下 (4/19 産経)

 
新型天然ガス「シェールガス」が世界経済に大きな影響を与えている。米国での生産拡大で、エネルギー需給は世界規模で変化。米政府は近く日本への輸出を解禁する見通しで、日本のエネルギー調達コストの引き下げにもつながりそうだ。「シェール革命」が世界のエネルギー事情を一変させようとしている。

 シェールガスは世界のエネルギー需給を大きく変えた。英国の石油メジャーBPの統計によれば、米国は2009年に天然ガス生産量の首位の座をロシアから奪った。米エネルギー省は20年前後には米国が天然ガスの純輸出国になるとみている。
 
シェールガスの増産で天然ガスの需給は緩和
。米国内の指標価格は100万BTU(天然ガスの取引で用いる英国熱量単位)当たり3~4ドルとなり、液化天然ガス(LNG)を15ドル程度で輸入している日本に比べて4分の1から5分の1程度に下がっている。
 かつて米国は天然ガスの2割をカタールからのLNG輸入で賄う計画だった。だが、シェールガスの生産本格化で、売り先を失ったカタールのLNGは欧州に流出。ちょうど東日本大震災後の原発停止で火力発電用のガス需要が激増した時期で、
日本も余ったLNGを輸入して急場をしのぐことができた

 
割を食ったのはロシアだ。カタール産LNGの流入で、欧州のガス価格は下落。欧州への輸出量も減少し、欧州ガス市場での影響力は低下しつつある

 このため、ロシア政府要人は今年に入り、「日本・中国詣で」を重ねている。3月には、ノバク露エネルギー相が来日し、茂木敏充経済産業相や大手商社幹部と会談し、日本市場へのLNG供給拡大を話し合った。
 輸出拠点を作るため極東のウラジオストクにLNG基地を建設し、東シベリア・サハ共和国のガス田などとパイプラインでつなぐ計画も着々と進めている。
 ただ、ロシアのエネルギー関連の専門家であるミハイル・カルチェムキン氏は「
米国産LNGの存在が、ロシアの(極東での)計画の位置づけを弱めることになるのは明白だ」と指摘。シェールガスが日本に流入すれば、ロシアはさらに戦略見直しを迫られる可能性があると予想している。(田辺裕晶、モスクワ 佐々木正明)

 【シェール革命】日本期待 調達価格引き下げなるか - MSN産経ニュース
 【シェール革命】「対日輸出前夜」 増設見込む米LNG基地 - MSN産経ニュース
 【シェール革命】「地震探査」で開発進む - MSN産経ニュース

 現状のLNGの輸入価格について、日本の価格の高さが指摘されています。原油価格スライド制度などで資源の安定供給確保を優先させた結果ですので、今更電力会社に一概に責めを負わせて追及するばかりでは無責任と言えます。
 原発停止に伴う緊急増量に、カタールやブルネイの即応には、感謝を忘れてはならないと考えます。
 
脱原発 LNGの需要増へ - 遊爺雑記帳

 遊爺が唱え続けていて、最近少しづつ増えて来ているロシアの天然ガス事情と、日本の対応ですが、ロシアの窮状と、資源市場軟化に伴う購入側の日本の地位の好転に伴う、日本の戦略的行動の必要性です。
 既存の主力の天然ガス油田の枯渇に伴い、極東や北極圏の高コストのガス田開発を迫れているロシア。それを追い打ちする、シェールガスの登場による市場の軟化。上記の記事にある欧州の脱ロシア依存は、カタールの攻勢もさることながら、安定供給というエネルギー安全保障の観点によるロシア依存のリスクの回避も大きな要因です。
 
 なので、ロシアは厳しい環境の極東や北極圏での新田開発の技術とリスクを伴う投資への支援を求めていると同時に、その販路の新規開拓が死活的に必要であり、求めているのです。
 そのターゲットは、日本、中国、アジア諸国です。韓国もおまけで付け加えてもいいですが。
 
 習近平はその弱点をしっかり突いて、対日領土問題での共闘になかなか同調しないロシアに、ガス購入をちらつかせて、共闘するよう迫りました。懸案の価格交渉が妥結したかどうかは、報道が錯誤しています。
 シェールガスの埋蔵量は、米国を凌いで世界一とされる中国は、発掘技術の習得が出来れば、現状の様に汲々として世界の資源を漁る必然性は薄まりますので、対露価格交渉は強気です。
 
中国のシェールガス開発 近況

 市場が軟化傾向にありますが、米国は輸出先を自由貿易締結国優先の原則を唱えていましたが、日本がTPPに参加すれば、その規制緩和を待たずとも日本への輸出は解禁されます。
 
 ロシアの台所事情を踏まえた、ロシアへの開発支援と、北方領土返還交渉が、目先の利益を追う民間企業の一時的利益ではなく、シェールガスの登場で変革する市場を考慮した戦略で、官民が一体となって行動することが求められます。

 なを、シェールガスは全てバラ色というのではなく、価格の低迷で倒産する会社がでてきたりしています。
 上記の価格引き下げのリンク記事の中で紹介されている「「シェールガスの輸入ですべてうまくいくというのは幻想だ。調達先の多様化で交渉力を高め、資源国に対し在来型のガス価格引き下げを求めていくべきだ」という意見は、重く認識しておく必要はありますね。

 以下は余談。
 サハリン1 について、開発リスクを日本など外国資本に負わせ、完成間近になって難癖をつけて筆頭株主となり横取りしておいて、いまさら輸出解禁しますと言われても、はいそうですかと簡単に載ってはいけませんね。
 
「サハリン1」LNG生産へ…2018年めど : ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 # 冒頭の画像は、米北東部のペンシルベニア州ゼリエノプルにあるシェールガスの採掘場



  この花の名前は、タマスダレ

↓よろしかったら、お願いします。





ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台湾・馬政権 軍事演習「漢... | トップ | 4月19日(金)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

新エネルギー」カテゴリの最新記事