6日の米・トルコ電話首脳会談の結果、シリアに展開していた米軍が撤退を開始しました。
このことに伴い、トルコ軍は「平和の泉」作戦と称しシリア北部への軍事侵攻を始めたのだそうです。
自称イスラム国との戦いでは、クルド人の部隊の勇敢な行為に助けられ撲滅状態に至ることができたのに、今回のトルコによるクルド侵攻では見捨てる形をとっているトランブ大統領。
中東情勢は複雑に絡み合っていて理解しづらいのですが、宮家氏の解説がありました。
【宮家邦彦のWorld Watch】トルコのシリア侵攻の意味 - 産経ニュース 2019.10.17
恐れていた事態が先週、北シリアで始まった。6日の米・トルコ電話首脳会談を受け翌7日、シリアに展開する米軍部隊がついに撤退を開始した。9日夜にはトルコ軍が「平和の泉」作戦と称しシリア北部への軍事侵攻を始めた。攻撃対象はトルコがテロ組織と敵視するシリア系クルド人主体の「シリア民主軍」で、米軍のイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を成功に導いた、米軍にとっては事実上の「同盟」部隊。これは一大事である。
ところが日本での報道は意外にそっけなかった。トルコは「トランプ米大統領が事実上黙認したのを受け作戦に踏み切った」、6万人以上が難民となるなど「シリア情勢はさらに混迷を深めている」といった具合。だが、このトルコの軍事侵攻は、シリア情勢の混迷にとどまらず、欧州と世界の安全保障情勢に大きな影響を及ぼしかねない極めて重大な事態である。筆者がそう考える理由を書こう。
第1の懸念はトルコ自身の行方だ。近代トルコ建国の父ケマル・アタチュルクは1924年にカリフ制廃止、イスラム法廷の閉鎖などを断行しトルコの脱イスラム国家化を進めた。ところが欧州はそのトルコを決して欧州連合(EU)には加盟させない。
その反動なのか、トルコではイスラム系政党が台頭し、従来の欧米協調路線が徐々に修正されてきた。今回のトルコの動きもその一環と考えれば分かりやすいだろう。今次作戦でトルコが中東全域に対する影響力を回復することはない。だが、今後トルコが北大西洋条約機構(NATO)の一員としていかに行動するかは要注意だ。
仏外相は今回のトルコによる北シリア侵攻作戦を「対IS安全保障や人道上の努力を台無しにするもの」と厳しく批判したそうだ。
もちろん、ISの復活も気になるが、欧州の本音は難民危機の再来ではないか。今次作戦では再びおびただしい数の難民が生まれる可能性が高い。これらの難民の多くは必ずや欧州大陸を目指すだろう。その意味でも、今後のトルコの動きは中東だけでなく、欧州大陸の安全保障を大きく左右しかねないのだ。
しかしながら、今回のトルコの作戦で明らかになった最大の問題は米同盟政策の異常さである。北シリアのクルド民族主義者たちは米国を支持し命を賭(と)してISと戦った。勇敢な彼らがいなければ米国のIS殲滅(せんめつ)宣言など不可能だったろう。そのクルド人たちをトランプ政権は事実上見捨てたのか。事態は深刻だ。
ある米外交誌は「トランプ氏は(トルコの)エルドアン大統領に屈服し米国の信頼性を害した」とする記事を掲載し、今回のトランプ政権の米軍シリア撤退決定を強く批判した。同決定がトルコのシリア・クルド掃討作戦を誘発し、結果的に、クルドだけでなく、世界中の米国の同盟国に対し「米国は信頼できない」というメッセージを送ってしまったというのだ。事態はかくも深刻なのである。
ところで、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこのような「同盟国米国の裏切り」をいかに受け止めただろうか。文政権は強固な米韓同盟維持と対北朝鮮融和政策が両立すると信じているようだが、この米国に見捨てられたシリア・クルドの末路は決して対岸の火事ではないはずだ。韓国の政治指導者はトランプ政権が韓国をどの程度「同盟国」として重視しているかに気を配る必要がある。もちろん、この点は日本も例外ではない。トルコ軍に掃討されるシリア・クルドはわれわれにとっても決して人ごとではないのである。
掃討作戦を成功に導いた、米軍にとっては事実上の「同盟」部隊で、共に戦ってきたシリア軍。女性部隊の活躍が報じられていました。
IS(イスラム国)にも勇敢に立ち向かう クルド人女性兵たちの素顔(画像) | ハフポスト
米軍部隊がついに撤退を開始した。9日夜にはトルコ軍が「平和の泉」作戦と称しシリア北部への軍事侵攻を始めたのです。
でも、米国はともに戦ったクルド人部隊を見殺し。どうも中東のことは勉強不足で理解不能です。
このトルコの軍事侵攻は、シリア情勢の混迷にとどまらず、欧州と世界の安全保障情勢に大きな影響を及ぼしかねない極めて重大な事態であると宮家さん。
世界の安全保障情勢に大きな影響を及ぼしかねない極めて重大な事態であると宮家さんが指摘する一つの理由は以下。
今後トルコが北大西洋条約機構(NATO)の一員としていかに行動するか。
仏外相は今回のトルコによる北シリア侵攻作戦を「対IS安全保障や人道上の努力を台無しにするもの」と厳しく批判したのだそうです。
今回の作戦では再びおびただしい数の難民が生まれる可能性が高い。
今回のトルコの作戦で明らかになった最大の問題は米同盟政策の異常さだと宮家氏。
今回のトルコの作戦で明らかになった最大の問題は米同盟政策の異常さであるとも。北シリアのクルド民族主義者たちは米国を支持し命を賭してISと戦った。勇敢な彼らがいなければ米国のIS殲滅宣言など不可能だったろう。そのクルド人たちをトランプ政権は事実上見捨てたのかと宮家氏。
ある米外交誌は「トランプ氏は(トルコの)エルドアン大統領に屈服し米国の信頼性を害した」とする記事を掲載し、今回のトランプ政権の米軍シリア撤退決定を強く批判しているのだと。同決定がトルコのシリア・クルド掃討作戦を誘発し、結果的に、クルドだけでなく、世界中の米国の同盟国に対し「米国は信頼できない」というメッセージを送ってしまったと。
日米同盟でおんぶにだっこで自国の安全保障を米国に委ねてきた日本。
明治の黒船来航で鎖国から目覚めて大きな経済成長を成し遂げてきましたが、平成・令和のトランプの自立促進策で、自立できるのでしょうか。
# 冒頭の画像は、トルコ軍の爆撃により黒煙を上げるシリア北東部の町
この花の名前は、ノゲイトウ
↓よろしかったら、お願いします。
このことに伴い、トルコ軍は「平和の泉」作戦と称しシリア北部への軍事侵攻を始めたのだそうです。
自称イスラム国との戦いでは、クルド人の部隊の勇敢な行為に助けられ撲滅状態に至ることができたのに、今回のトルコによるクルド侵攻では見捨てる形をとっているトランブ大統領。
中東情勢は複雑に絡み合っていて理解しづらいのですが、宮家氏の解説がありました。
【宮家邦彦のWorld Watch】トルコのシリア侵攻の意味 - 産経ニュース 2019.10.17
恐れていた事態が先週、北シリアで始まった。6日の米・トルコ電話首脳会談を受け翌7日、シリアに展開する米軍部隊がついに撤退を開始した。9日夜にはトルコ軍が「平和の泉」作戦と称しシリア北部への軍事侵攻を始めた。攻撃対象はトルコがテロ組織と敵視するシリア系クルド人主体の「シリア民主軍」で、米軍のイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を成功に導いた、米軍にとっては事実上の「同盟」部隊。これは一大事である。
ところが日本での報道は意外にそっけなかった。トルコは「トランプ米大統領が事実上黙認したのを受け作戦に踏み切った」、6万人以上が難民となるなど「シリア情勢はさらに混迷を深めている」といった具合。だが、このトルコの軍事侵攻は、シリア情勢の混迷にとどまらず、欧州と世界の安全保障情勢に大きな影響を及ぼしかねない極めて重大な事態である。筆者がそう考える理由を書こう。
第1の懸念はトルコ自身の行方だ。近代トルコ建国の父ケマル・アタチュルクは1924年にカリフ制廃止、イスラム法廷の閉鎖などを断行しトルコの脱イスラム国家化を進めた。ところが欧州はそのトルコを決して欧州連合(EU)には加盟させない。
その反動なのか、トルコではイスラム系政党が台頭し、従来の欧米協調路線が徐々に修正されてきた。今回のトルコの動きもその一環と考えれば分かりやすいだろう。今次作戦でトルコが中東全域に対する影響力を回復することはない。だが、今後トルコが北大西洋条約機構(NATO)の一員としていかに行動するかは要注意だ。
仏外相は今回のトルコによる北シリア侵攻作戦を「対IS安全保障や人道上の努力を台無しにするもの」と厳しく批判したそうだ。
もちろん、ISの復活も気になるが、欧州の本音は難民危機の再来ではないか。今次作戦では再びおびただしい数の難民が生まれる可能性が高い。これらの難民の多くは必ずや欧州大陸を目指すだろう。その意味でも、今後のトルコの動きは中東だけでなく、欧州大陸の安全保障を大きく左右しかねないのだ。
しかしながら、今回のトルコの作戦で明らかになった最大の問題は米同盟政策の異常さである。北シリアのクルド民族主義者たちは米国を支持し命を賭(と)してISと戦った。勇敢な彼らがいなければ米国のIS殲滅(せんめつ)宣言など不可能だったろう。そのクルド人たちをトランプ政権は事実上見捨てたのか。事態は深刻だ。
ある米外交誌は「トランプ氏は(トルコの)エルドアン大統領に屈服し米国の信頼性を害した」とする記事を掲載し、今回のトランプ政権の米軍シリア撤退決定を強く批判した。同決定がトルコのシリア・クルド掃討作戦を誘発し、結果的に、クルドだけでなく、世界中の米国の同盟国に対し「米国は信頼できない」というメッセージを送ってしまったというのだ。事態はかくも深刻なのである。
ところで、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこのような「同盟国米国の裏切り」をいかに受け止めただろうか。文政権は強固な米韓同盟維持と対北朝鮮融和政策が両立すると信じているようだが、この米国に見捨てられたシリア・クルドの末路は決して対岸の火事ではないはずだ。韓国の政治指導者はトランプ政権が韓国をどの程度「同盟国」として重視しているかに気を配る必要がある。もちろん、この点は日本も例外ではない。トルコ軍に掃討されるシリア・クルドはわれわれにとっても決して人ごとではないのである。
掃討作戦を成功に導いた、米軍にとっては事実上の「同盟」部隊で、共に戦ってきたシリア軍。女性部隊の活躍が報じられていました。
IS(イスラム国)にも勇敢に立ち向かう クルド人女性兵たちの素顔(画像) | ハフポスト
米軍部隊がついに撤退を開始した。9日夜にはトルコ軍が「平和の泉」作戦と称しシリア北部への軍事侵攻を始めたのです。
でも、米国はともに戦ったクルド人部隊を見殺し。どうも中東のことは勉強不足で理解不能です。
このトルコの軍事侵攻は、シリア情勢の混迷にとどまらず、欧州と世界の安全保障情勢に大きな影響を及ぼしかねない極めて重大な事態であると宮家さん。
世界の安全保障情勢に大きな影響を及ぼしかねない極めて重大な事態であると宮家さんが指摘する一つの理由は以下。
今後トルコが北大西洋条約機構(NATO)の一員としていかに行動するか。
仏外相は今回のトルコによる北シリア侵攻作戦を「対IS安全保障や人道上の努力を台無しにするもの」と厳しく批判したのだそうです。
今回の作戦では再びおびただしい数の難民が生まれる可能性が高い。
今回のトルコの作戦で明らかになった最大の問題は米同盟政策の異常さだと宮家氏。
今回のトルコの作戦で明らかになった最大の問題は米同盟政策の異常さであるとも。北シリアのクルド民族主義者たちは米国を支持し命を賭してISと戦った。勇敢な彼らがいなければ米国のIS殲滅宣言など不可能だったろう。そのクルド人たちをトランプ政権は事実上見捨てたのかと宮家氏。
ある米外交誌は「トランプ氏は(トルコの)エルドアン大統領に屈服し米国の信頼性を害した」とする記事を掲載し、今回のトランプ政権の米軍シリア撤退決定を強く批判しているのだと。同決定がトルコのシリア・クルド掃討作戦を誘発し、結果的に、クルドだけでなく、世界中の米国の同盟国に対し「米国は信頼できない」というメッセージを送ってしまったと。
日米同盟でおんぶにだっこで自国の安全保障を米国に委ねてきた日本。
明治の黒船来航で鎖国から目覚めて大きな経済成長を成し遂げてきましたが、平成・令和のトランプの自立促進策で、自立できるのでしょうか。
# 冒頭の画像は、トルコ軍の爆撃により黒煙を上げるシリア北東部の町
この花の名前は、ノゲイトウ
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