遊爺雑記帳

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中国「GDP倍増目標」に黄信号

2019-10-20 01:23:58 | 中国 全般
 2019年7~9月の中国国内総生産(GDP)は前年同期比で実質6.0%の伸びにとどまり、2四半期連続で減速し、20年のGDPを10年比で倍増する長期目標の達成にも黄信号がともったのだそうです。
 しかし、中国政府は過剰債務を抱え、大規模な景気対策を打ち出しにくい状況。
 詳しくみると、GDPの見かけ以上に厳しい経済の実態が浮かぶと日経。
 
中国「GDP倍増目標」に黄信号 自動車・電機が不振 :日本経済新聞 2019/10/18

【北京=原田逸策】中国の景気減速が止まらない。2019年7~9月の国内総生産(GDP)は前年同期比で実質6.0%の伸びにとどまり、2四半期連続で減速した。貿易戦争が長引き、自動車や電機など製造業に打撃が広がる。20年のGDPを10年比で倍増する長期目標の達成にも黄信号がともった。中国政府は過剰債務を抱え、大規模な景気対策を打ち出しにくい

「緊迫感と責任感を持て。成長安定は突出して大事だ」。経済運営に責任を持つ李克強(リー・クォーチャン)首相は14日、居並ぶ各省の省長にハッパをかけた。
李氏があせるのも無理はない。
四半期の成長率は18年1~3月期の6.8%をピークに1年半で0.8ポイント下がった。中国としては異例の変動幅だ。20年のGDP倍増には19~20年の平均で6.2%の成長が必要とされるが、7~9月期はこれを下回った。

詳しくみると、
GDPの見かけ以上に厳しい経済の実態が浮かぶ。

とくに製造業の不振が鮮明だ。第2次産業の成長率は7~9月に5.2%。4~6月より0.4ポイント下がり、統計を遡れる92年以降で最低だ。投資の伸びも1~9月にわずか2.5%で、これも過去最低。国家統計局の毛盛勇報道官も「実体経済は少なからぬ困難に直面している」と認めた

製造業の柱である自動車と電機がともに苦しい。車の販売と生産の台数はいずれも9月まで15カ月連続で前年同月の水準を下回った。中国の車メーカー大手15社のうち12社は1~9月の販売台数が減少している。

携帯電話の出荷台数は9月まで4カ月連続で前年水準を下回り、スマートフォンの生産台数も9月まで3カ月連続で前年割れだ。電機製品の供給網(サプライチェーン)で深く結びつく韓国からの輸入は9月に前年同月比27%も減った。

昨年7月に始まった
米中貿易戦争の長期化が響いている

紡績産業が集積する浙江省紹興市。米国は昨年9月から中国産織物に追加関税をかけるが、織物の貿易会社を営む張亮さんは「昨年は影響がなかったが今年はひどい。売り上げは6割減った」と嘆く。紡績工場を営む庄旭燕さんは「友人の経営者の多くがベトナムに工場を移した」と話す。

中国の対米輸出は9月に前年同月比22%も減った。リーマン・ショック直後の09年以来となる大きな減少幅だ。工業生産のうち輸出向け販売は8、9月と2カ月連続で前年同月を下回った。

個人消費の減退で小売業も販売鈍化に直面している。商務省が調べる小売り大手5千社の売上高は7~9月に2%増にとどまった。物価上昇を考慮すれば実質マイナスだ。富裕層の消費動向を映すマカオのカジノ収入も7~9月に4%減った。みずほ総合研究所の三浦祐介主任研究員は「米中摩擦は輸出企業の給与減などを通じて個人消費にも影響している」とみる。

ただ、
当局は大規模な刺激策に慎重だ。李首相も「小刻みな調節を強化する」と述べ、春に打ち出した「2兆元(30兆円)減税」など既存政策の徹底を省長らに促しただけ。金融を除く総債務のGDP比は18年末に254%になり、とくに地方政府は借金漬けで新規事業に回すカネがない

9月単月の数字は工業生産も小売売上高も改善するなど
足元では下押し圧力が緩む兆しもある。インフラ投資の伸びも2カ月連続で拡大した。国家統計局の毛報道官も「10~12月期は有利な要素が多く、経済が平穏を保つと保証できる」と強気だった。当面は減税の効果を見極めつつ景気が失速しそうになれば、小刻みに下支えする構えとみられる。

中国の成長減速、識者の見方 「米中摩擦、消費にも打撃」

中国の2019年7~9月期の経済成長率は6.0%となり、四半期で統計を遡れる1992年以降の過去最低を更新した。その要因と今後の見通しを専門家に聞いた。

「米中摩擦、消費にも打撃」 みずほ総合研究所・三浦祐介主任研究員

米中貿易戦争で輸出が低迷し、中国経済が減速する大きな要因となった。中国の7~9月期の実質経済成長率は想定の範囲内ではあったものの、悪い印象を受けた。

個人消費が減速を続けている。アフリカ豚コレラのまん延で豚肉価格が高騰し物価が上昇しているほか、雇用や所得環境も良くない。輸出が減った企業では給料減や人員削減が進み、消費意欲が盛り上がりを欠いている

道路や鉄道の整備などインフラ投資の拡大による景気対策の効果があらわれれば、中国政府が掲げる19年の成長率目標「6~6.5%」は達成できるだろう。ただ、米中の貿易協議の先行きが中国経済を大きく左右してしまうため、過度な期待はできない。

「自動車振るわず、雇用も抑制」 国際経済研究所・伊藤信悟主席研究員

米国との貿易摩擦で輸出環境が悪化し、内外需がともに振るわなかった。米国が2018年9月に発動した対中制裁関税「第3弾」に含まれるコンピューター部品や通信機器などへの影響が大きい。雇用や可処分所得へのマイナス効果も出ており、製造業を中心に雇用抑制の動きが出ている

自動車については3月に電気自動車(EV)などの
「新エネルギー車」の購入補助金の支給条件を厳しくしたことで、今夏以降の自動車の生産不振につながっている

下押し圧力が大きい米中の貿易摩擦も中長期化する公算は大きいが、解消に向かえば国内外の民間企業の生産や設備投資なども進み景気の加速につながる。
政府が消費刺激策などを10月以降に打ち出せば景気回復に向かう可能性はある

(聞き手は国際部 加藤彰介)


 とくに不振なのが製造業。世界の工場としての中国経済の基盤という厳しい現実。
 第2次産業の成長率は7~9月に5.2%。4~6月より0.4ポイント下り、統計を遡れる92年以降で最低なのだそうですね。
 投資の伸びも1~9月にわずか2.5%で、これも過去最低。
 国家統計局の毛盛勇報道官は「実体経済は少なからぬ困難に直面している」と認めたのだそうです。
 
 苦しいのが製造業の柱である自動車と電機。
 中国の車メーカー大手15社のうち12社は1~9月の販売台数が減少しているのだと。
 携帯電話の出荷台数、スマートフォンの生産台数の減少も続き、電機製品の韓国からの供給は、9月に前年同月比27%も減ったのだそうです。
 
 紡績産業界では、米中貿易戦争の長期化の影響で、ベトナムに工場を移転する動きが多いのだとも。

 中国の対米輸出は9月に前年同月比22%も減って、リーマン・ショック直後の09年以来となる大きな減少幅。

 一方、個人消費の減退で小売業も販売鈍化。商務省が調べる小売り大手5千社の売上高は、物価上昇を考慮すれば実質マイナスの状況。
 
 対する中国政府は過剰債務を抱え、大規模な景気対策を打ち出しにくい状況。当局は大規模な刺激策に慎重で、李首相も「小刻みな調節を強化する」と述べているのだそうですね。
 金融を除く総債務のGDP比は18年末に254%になり、とくに地方政府は借金漬けで新規事業に回すカネがないのだと。
 中国経済の成長をリードした政府の財政支出が制限されることとなり、輸出も国内消費も不振となると、まさにバブル崩壊の危機。

 ただ、9月単月の数字は工業生産も小売売上高も改善するなど足元では下押し圧力が緩む兆しもあるのだそうです。

 劉鶴副首相は19日、中国経済の先行きについて「中国は短期的な経済の変動は心配していない。マクロ経済に関する既定の目標を達成する力を持っていると完全に確信している」と自信を示しているのだそうですが。。
 劉鶴中国副首相「短期の経済変動、心配せぬ」 目標達成に自信 - 産経ニュース

 米中の協議は、11月中旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて米中両国首脳が合意文書に署名する方向で作業が進められているとのこと。
 行方が注目されますが、基本的な米中対立は、いまや貿易戦争に留まらず「新冷戦時代」に突入していることは、諸兄がご承知のとおり。
 トランプ大統領の再選に向けた、米中各々の戦術展開がしのぎを削り合う局面は、まだまだ続くのですね。



 # 冒頭の画像は、ホワイトハウスでトランプ米大統領との面会に臨んだ中国の劉鶴副首相
 
 
 

  この花の名前は、サルビア・ファリナセア



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