民主党マニフェストの表紙にあった「政権交代。」の「。」とは何なのか、と世間ではいわれていたのだそうです。ぜ~んぜん気にもしてませんでしたが...。これは「政権とったらそれでおしまい、マル!」の意味であった、のだそうです。な~るほどね。納得です。
鳩山首相が就任前にホームページで発表した「私の政治哲学」(ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した鳩山論文の元原稿)を分析し、首相の政治思想をあぶり出した記事がありました。
それは幻想です。鳩山「東アジア共同体」:日経ビジネスオンライン
鳩山首相の言う東アジア共同体とは、「アジア共通通貨」を持つ共同体のことであるかのようだとのことです。しかし、共通通貨は、自由経済が担保され、一定の政治枠組みの下に中央銀行を共有する仕組みを確立した国家間から生まれてくる議論である。経済連携協定(EPA)も自由貿易協定(FTA)も確立されていないアジア諸国と交わす議論ではないと。
その通りですし、綿々と書かれている通りで、具現化する為の内容の検証がなされていない、曰く「薄っぺらな政治哲学」で、自らの権力奪取のために「東アジア共同体」構想を書き、政権を取ればもうそれでおしまいにしたとは、国民やASEAN各国の人々を愚弄した(本人はいたって真面目そうであるところが更に悲劇)と言えます。もちより、ASEAN会議でも相手にされていませんでしたが。
共同体に参画する国々は、政治思想が大枠で共有されていなくてはなりませんが、共産党独裁の国(一国二制度だが、本国では共産党専制を崩さない)を交えた共同体が成立するものなのか?共通通貨というが、中共は"元"を、"ドル"に代わる共通通貨にしようと、貿易の決済や経済援助で着々と実績を積み重ねているのが現状です。
かつては日本が"円"をと構想し、共同体構想を画策してきていたのですから、小泉時代からの構想を引き継ぎ、実現促進に向けより具体的な良策を提唱するならいざしらず、空理空論を振りかざす正体が、ここでも露呈しています。
<中略>
東アジア共同体構想の対象国とは、ASEAN諸国と日中韓(印豪ニュージーランドも含む場合も)だが、中でもASEANでは、外国人参政権はもとより、非熟練労働力の流入を厳しく制限している。
その理由は、ASEAN各国は中国との葛藤の歴史を持っており、中国人、インド人の移入を大いに恐れているからだ。中国の人口は13億人強、ASEANは6億人強。中国は2倍以上もあるのである。
人の移動の解禁は、中国にとっては、国内で年々高まる人口圧力を一気にASEAN諸国に振り向ける好機だ。
他方のASEAN諸国にとっては、それは、瞬く間に豊富で安価の非熟練中国人労働者が大量に流れ込み、自国内に大量の失業者を生んでしまうことにほかならない。つまり、政情不安を生んでしまうのである。
それゆえに、マレーシアではブミプトラ政策(マレー人優遇の国策)が生まれ、インドネシアでは長年漢字の使用が禁止され、国境を接するラオスなどは国境警備を強化する体制を生んできた。
チベットやウイグルで何が起こった
中国の脅威とは、安全保障上の脅威、すなわち侵略と言うよりも、人の移動によって国が実質的に支配される可能性である。
ASEAN諸国はチベットやウイグルで何が起こったか、身をもって知っている。国名も国境線も同じまま、国民の多数派が中国人にシフトする恐ろしさ。共同体を築こうというのならば、アジア諸国の懸念をきちんと理解してやらねばならない。
<中略>
薄っぺらな政治哲学まで、謝れば済むのか
<中略>
「東アジア共同体」の費用対効果、すなわち、「東アジア共同体」の経済効果が「努力」と「痛み」による国民負担を上回るかどうかの試算をしない構想は、検討にすら値しない。
鳩山首相は自らの権力奪取のために「東アジア共同体」構想を書き、政権を取ればもうそれでおしまいにした。残念ながら民主党や連立政権の中には、前世紀の残滓とでもいうべき反米的思想を頑迷に持ち続ける人々がいるようだ。「東アジア共同体」は、そのような人々の思想を貴族趣味とともに換言するための単なる方便に使われてしまった。大切な国家目標、いや、東アジア地域の目標だというのに、である。
<中略>
鳩山首相の目標は、政権をとること自体にあった。選挙期間中に民主党マニフェストの表紙にあった「政権交代。」の「。」とは何なのか、と世間ではいわれていた。そうか、これは「政権とったらそれでおしまい、マル!」の意味であったと、今気づいた。
国民は、中身のない、幻想に振り回されている。おそらく、一番「だまされた」と思っているのは、民主党新人議員かもしれない。
しかり。民主党新人議員よ、皆さん方は間違いなく、鳩山首相が創作した幻想にだまされたのである。一刻も早く目覚めることを願う。
4年後に小泉チルドレンの悲哀を逃れることを最優先と洗脳された小沢チルドレンが目ざめるのは、オームの信者が目ざめるのに近い困難さがあるようにも思われますが、国民が少しでも速く、少しでも多く目ざめるひとが出てくることを祈っています。
幸い、共同通信の世論調査での無党派層は、「辞任すべきだ」が40%、「辞任する必要はない」が38%と、鳩山首相の辞任を求める声がやや上回る結果が出たようですね。
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