遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米国は中国の軍事・経済的脅威に対抗するために日本と協力すべきだ

2023-12-27 01:33:55 | 米国 全般
 ホワイトハウスは21日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを150億ドル(約2兆円)で買収する計画について「真剣な精査に値するように思われる」と表明。
 この声明は、ジョン・フェターマン上院議員(民主、ペンシルベニア州)ら保護主義者の議員たちから非難の声が上がった後に発表された。同議員らは、労働組合や国家安全保障を巡る懸念を引き合いに出し、買収を阻止すると明言。
 こうした反日本企業の発言は1980年代の状況を思い起こさせる。当時は、冷戦期に極めて重要だった日米の二国間同盟が両国間の通商摩擦によって弱体化する恐れがあったと、ハドソン研究所日本チェアフェローのウィリアム・チュー氏。
 
【寄稿】日本製鉄を冷遇するバイデン氏の愚 - WSJ
米国は中国の軍事・経済的脅威に対抗するために日本と協力すべきだ ウィリアム・チュー ハドソン研究所日本チェアフェロー 2023年12月25日

 ホワイトハウスは21日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを150億ドル(約2兆円)で買収する計画について「真剣な精査に値するように思われる」と表明した。この声明は、ジョン・フェターマン上院議員(民主、ペンシルベニア州)ら保護主義者の議員たちから非難の声が上がった後に発表された。同議員らは、労働組合や国家安全保障を巡る懸念を引き合いに出し、買収を阻止すると明言している。こうした反日本企業の発言は1980年代の状況を思い起こさせる。当時は、冷戦期に極めて重要だった日米の二国間同盟が両国間の通商摩擦によって弱体化する恐れがあった。

 日本製鉄による
買収合意に対する米国の政治家からの不当な批判は、日米関係を悪化させ、通商や経済安全保障の面での連携を弱める可能性があるホワイトハウスは経済・軍事協力に関して同盟諸国と連携すべきであり、これらの国を批判すべきではない

 
日本製鉄による買収への反対意見は精査に耐えられるものではない。USスチールの主な労組である全米鉄鋼労組(USW)の幹部にとっては、米国内の同業クリーブランド・クリフスへの売却の方が望ましいようだ。彼らは日本製鉄が以前の労働協約を維持しないだろうと主張している。だが日本製鉄は米国で40年間操業しており、米国の労組と協力してきた経験があるほか、USスチールの労組との約束を尊重すると述べている

 
日本製鉄への身売りによって、米国の消費者は守られるUSスチールがクリーブランド・クリフスと合併していたら新会社は自動車業界への鉄鋼供給を独占し、電気自動車(EV)に必要とされる鉄鋼のすべてを供給していたはずだ。競争の欠如は、消費者がEVに支払うコストの上昇につながる公算が大きい

 
この身売りが国家安全保障上の脅威になるとの主張も説得力がない。連邦議会の売却反対派はジャネット・イエレン財務長官に対し、対米外国投資委員会(CFIUS)を利用して売却を阻止するよう求めている。これは筋が通らない。日本は中国と違い、米国の重要な同盟国だ。米下院の中国共産党に関する超党派の特別委員会は今月、親密な同盟国を対象とするCFIUSの「ホワイトリスト」に日本を加えることを議会に勧告した。既にこのリストに入っている国には、オーストラリアとカナダ、ニュージーランド、英国がある。このリストに加えられると、資格のある投資家は、非支配的な取引、不動産取引、強制的な報告義務に関してCFIUSの管轄権限の対象外になる。

 
日本製鉄は米国での生産を維持する計画であり、これは米国の経済安全保障の強化につながるだろう。中国の鉄鋼メーカーは世界市場を支配しており、世界のトップ13社のうち9社が中国企業だ。今回の買収が実現すれば世界3位の鉄鋼メーカーが誕生する。日本製鉄は、中国メーカーが国外で余剰な鉄鋼を安値で販売することで生じる市場のひずみから米国の消費者を保護するだろう。

 皮肉なのは、バイデン政権の産業政策が今回の合意をもたらしたという点だ。
日本製鉄はUSスチールの買収を正当化できる根拠として、インフラ投資法によって今後の鉄鋼需要が高まり、米国内の生産が刺激されることを挙げている。同社はインフレ抑制法からも恩恵を受ける。同法は、再生可能エネルギーのプロジェクトに税控除やその他の支援策を提供しており、こうしたプロジェクトの設備の建設に鉄鋼が必要になる。

 
バイデン政権がこれまで米国の同盟・友好諸国との貿易・経済安全保障面での協力の機会を逃してきたことを考えると、日本製鉄の試みは注目に値するインフレ抑制法はクリーンエネルギーへの転換に弾みをつけることを目指していたしかし実際には、恐らくEV技術よりクリーンな日本のハイブリッド車技術を選好するのではなく、中国が支配的な地位を占めるEV用電池関連の供給網への米国の依存度を高めている

 
軌道修正の動きはまだ見られない。懸念対象の外国事業体に関する米エネルギー省の最近の指針は、インフレ抑制法の下でのEV関連の税控除を受けられる企業を、「懸念対象の事業体」の出資比率が25%以下の企業に限定している。しかし、中国の関与抑制を狙ったバイデン政権のこうした新たな規制は、フォード・モーターと中国のEV向け電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)との提携を妨げるほどの大きな障害にはならない可能性が高い。この提携は米国の供給網を、日本ではなく中国とより強く結び付ける

 
ホワイトハウスは他の分野でも、同盟諸国との貿易促進に消極的だバイデン政権は環太平洋の各種の貿易取り決めに関して全く前進しておらず、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の重要分野であるデジタル貿易交渉に関する協議を停止しており、二国間の自由貿易協定締結にも意欲を示していない。中国の経済的圧力に対抗するには、米国は、同盟諸国が同国を犠牲にして利益を得る「ゼロサムゲーム」として経済安全保障を扱うのをやめる必要がある

 
日米両国首脳は公式声明では、供給網のリスクを減らし、両国の重要技術を中国から守るために協力する必要性を理解していると述べている。米政府はその言葉を行動に移す必要がある。ホワイトハウスは、今回の買収合意が外資による危険な投資ではなく、米国の経済安全保障にとって脅威でもないことを認識すべきだ。これは、不透明な世界情勢において、米国の同盟諸国へのコミットメントを示す機会である。


 買収合意に対する米国の政治家からの不当な批判は、日米関係を悪化させ、通商や経済安全保障の面での連携を弱める可能性がある。ホワイトハウスは経済・軍事協力に関して同盟諸国と連携すべきであり、これらの国を批判すべきではないと、ウィリアム・チュー氏。

 日本製鉄による買収への反対意見は精査に耐えられるものではない。
 日本製鉄は米国で40年間操業しており、米国の労組と協力してきた経験があるほか、USスチールの労組との約束を尊重すると述べている。
 日本製鉄への身売りによって、米国の消費者は守られる。USスチールがクリーブランド・クリフスと合併していたら、新会社は自動車業界への鉄鋼供給を独占し、競争の欠如は、消費者がEVに支払うコストの上昇につながる公算が大きいと、ウィリアム・チュー氏。

 この身売りが国家安全保障上の脅威になるとの主張も説得力がないとも。
 日本は中国と違い、米国の重要な同盟国だ。米下院の中国共産党に関する超党派の特別委員会は今月、親密な同盟国を対象とするCFIUSの「ホワイトリスト」に日本を加えることを議会に勧告した。既にこのリストに入っている国には、オーストラリアとカナダ、ニュージーランド、英国があるのだそうです。

 日本製鉄は米国での生産を維持する計画であり、これは米国の経済安全保障の強化につながる。
 中国の鉄鋼メーカーは世界市場を支配しており、世界のトップ13社のうち9社が中国企業だ。今回の買収が実現すれば世界3位の鉄鋼メーカーが誕生する。日本製鉄は、中国メーカーが国外で余剰な鉄鋼を安値で販売することで生じる市場のひずみから米国の消費者を保護するだろうと、ウィリアム・チュー氏。

 皮肉なのは、バイデン政権の産業政策が今回の合意をもたらしたという点だとも。
 日本製鉄はUSスチールの買収を正当化できる根拠として、インフラ投資法によって今後の鉄鋼需要が高まり、米国内の生産が刺激されることを挙げている。同社はインフレ抑制法からも恩恵を受ける。同法は、再生可能エネルギーのプロジェクトに税控除やその他の支援策を提供しており、こうしたプロジェクトの設備の建設に鉄鋼が必要になる。

 バイデン政権がこれまで米国の同盟・友好諸国との貿易・経済安全保障面での協力の機会を逃してきたことを考えると、日本製鉄の試みは注目に値する。インフレ抑制法はクリーンエネルギーへの転換に弾みをつけることを目指していた。しかし実際には、中国が支配的な地位を占めるEV用電池関連の供給網への米国の依存度を高めていると、ウィリアム・チュー氏。

 軌道修正の動きはまだ見られない。
 しかし、中国の関与抑制を狙ったバイデン政権のこうした新たな規制は、フォード・モーターと中国のEV向け電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)との提携を妨げるほどの大きな障害にはならない可能性が高い。この提携は米国の供給網を、日本ではなく中国とより強く結び付ける。
 
 ホワイトハウスは他の分野でも、同盟諸国との貿易促進に消極的だ。バイデン政権は環太平洋の各種の貿易取り決めに関して全く前進しておらず、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の重要分野であるデジタル貿易交渉に関する協議を停止しており、二国間の自由貿易協定締結にも意欲を示していない。
 米国は、同盟諸国が同国を犠牲にして利益を得る「ゼロサムゲーム」として経済安全保障を扱うのをやめる必要があると、ウィリアム・チュー氏。

 日米両国首脳は公式声明では、両国の重要技術を中国から守るために協力する必要性を理解していると述べている。
 米政府はその言葉を行動に移す必要がある。ホワイトハウスは、今回の買収合意が外資による危険な投資ではなく、米国の経済安全保障にとって脅威でもないことを認識すべきだ。これは、不透明な世界情勢において、米国の同盟諸国へのコミットメントを示す機会であると、ウィリアム・チュー氏。

 鉄鋼メーカーの世界のトップ13社のうち9社を中国企業が占める今日、世界3位の鉄鋼メーカーが誕生する日本製鉄とUSスチールとの合体。
 消費者の経済安全保障に寄与することが期待されますね。



 # 冒頭の画像は、日本製鉄茨城工場



  バラ ラベンダードリーム


↓よろしかったら、お願いします。






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ガザ市民のハマスに対する批... | トップ | 安倍元首相を「裏切った」の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

米国 全般」カテゴリの最新記事