ロシアが過去数十年で最悪の労働力不足に陥っている。ウクライナでの戦争を受けて、何十万人ものロシアの労働者が国外に移住したり前線に派遣されたりしたためだ。西側諸国による制裁と国際的な孤立によって圧迫される経済の基盤が弱体化していると、WSJ外国特派員のゲオルギ・カンチェフ氏。
プーチン大統領は先月、財政的・社会的インセンティブを含む人口流出反転策の策定を政府担当者らに命じた。ロシア政府はこれまで、ハイテク業界の労働者を国内にとどめておくために、税制優遇措置や低金利の融資、有利な条件での住宅ローンを提供してきたのだそうです。
ロシア財務省は、ウクライナでの戦争が始まった際にロシアを離れ、トルコやアルメニア、中央アジアなどからリモート方式でロシア国内の仕事を続けていた何十万人もの労働者に課税する案を発表。
ロシア中央銀行の調査によると、今年第1四半期にロシア企業が報告した人員不足は、1998年のデータ収集開始以降で最大となったのだそうです。
コンサルティング会社フィン・エクスペルチザの分析によると、昨年末時点でロシアの35歳未満の労働者数は130万人減り、1990年代初め以降で最低水準に落ち込んだ。5月の失業率はソ連崩壊後の最低を記録したのだと。
労働力不足の影響は経済全体に広がっている。少ない労働者をめぐって採用を競い合う企業は賃上げを余儀なくされており、企業利益は打撃を受け、投資計画が危うくなっていると、WSJ・ゲオルギ・カンチェフ氏。
ロシア経済はこれまで、西側諸国の制裁によって深刻な不振に陥るとの予想を裏切ってきた。
しかし、今年に入ってからエネルギー輸出収入が急減しているほか、ハイテク分野の制裁の影響が積み上がり、経済的孤立が深まる中、問題が今後表面化することが予想されると、WSJ・カンチェフ氏。
ロシア政府当局者によると、労働力の減少が経済成長をさらに阻害しているのだそうです。
ロシア中銀のエルビラ・ナビウリナ総裁は9日、「労働市場のこうした状況は、将来の生産拡大を制約する大きな要因になっている」と。
ウクライナとの戦争で極めて重要な産業分野で労働力が不足していると、WSJ・カンチェフ氏。
エコノミストらによれば、昨年のウクライナ侵攻以来、これまでに100万人以上がロシアを出国。
1917年のロシア革命後および1991年のソ連崩壊後の時期と並んで、ロシア史上最大規模の流出の波となっているのだそうです。
その上、約30万人が戦争に動員されたため、長期的な人口減少の影響で既に逼迫(ひっぱく)していた労働市場がさらに悪化。
低水準の出生率や高齢化、死亡率の高さなど、ロシアを長年悩ませてきた負の人口動態トレンドは、コロナ禍で一段と悪化した。そこに出国者の増加が追い打ちをかけている。国連の予測では、ロシアの人口(約1億4500万人)は、今世紀末までに20%以上減少する可能性があると見られていると、WSJ・カンチェフ氏。
コンサルティング会社ヤコフ&パートナーズ(本社モスクワ)とロシア最大の求人サイトhh.ruが行った4月の調査によると、半数以上の企業がIT分野で人材不足となっており、適切な候補者を探すのにかかる時間はほぼ倍になっている。
「熟練労働者を見つけるのがより難しくなった」とhh.ruの分析責任者であるナタリア・ダニナ氏は話す。「こうした状況は、必然的に企業全体の生産性低下につながる」
米・欧諸国の支援で反攻をつよめているウクライナ。
制裁網+国内人口減で、経済活動に支障が見え始めたプーチンのロシア。
終戦の時はくるのでしょうか。。
# 冒頭の画像は、ジョージアとの国境を越えるロシア人たち
この花の名前は、クサノオウ
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ロシア労働力不足、経済の大問題に - WSJ ゲオルギ・カンチェフ 2023 年 6 月 16 日
ロシアが過去数十年で最悪の労働力不足に陥っている。ウクライナでの戦争を受けて、何十万人ものロシアの労働者が国外に移住したり前線に派遣されたりしたためだ。西側諸国による制裁と国際的な孤立によって圧迫される経済の基盤が弱体化している。
ロシアでは昨年、国外移住の波が2度にわたって起きた。ソ連崩壊後では最大規模だ。その上、約30万人が戦争に動員されたため、長期的な人口減少の影響で既に逼迫(ひっぱく)していた労働市場がさらに悪化した。その結果、ロシア企業では、プログラマーやエンジニアから溶接工、石油採掘業者に至るまで、経済活性化やウクライナでの戦争支援に必要なあらゆる職業で人材が不足している。
この流れを食い止めるため、ウラジーミル・プーチン大統領は先月、財政的・社会的インセンティブを含む人口流出反転策の策定を政府担当者らに命じた。ロシア政府はこれまで、ハイテク業界の労働者を国内にとどめておくために、税制優遇措置や低金利の融資、有利な条件での住宅ローンを提供してきた。
ロシア財務省は、ウクライナでの戦争が始まった際にロシアを離れ、トルコやアルメニア、中央アジアなどからリモート方式でロシア国内の仕事を続けていた何十万人もの労働者に課税する案を発表した。ロシア議会の一部議員は、外国に移住したロシア人の財産を差し押さえる構えを見せているが、それを可能とする法律は可決されていない。
ロシア中央銀行の調査によると、今年第1四半期にロシア企業が報告した人員不足は、1998年のデータ収集開始以降で最大となった。コンサルティング会社フィン・エクスペルチザの分析によると、昨年末時点でロシアの35歳未満の労働者数は130万人減り、1990年代初め以降で最低水準に落ち込んだ。5月の失業率はソ連崩壊後の最低を記録した。
ウィーン国際経済研究所のエコノミスト、バシリ・アストロフ氏は「人的資本の喪失は経済にとって災難だ。しかも制裁も受けている」と述べた。「高学歴および高技能の労働力の喪失は、今後何年にもわたって潜在的経済力の重荷になるだろう」
労働力不足の影響は経済全体に広がっている。少ない労働者をめぐって採用を競い合う企業は賃上げを余儀なくされており、企業利益は打撃を受け、投資計画が危うくなっている。中銀は、賃金の上昇がインフレ率を押し上げていると警告している。
労働力不足は新型コロナウイルスの大流行以降、世界経済の大半を悩ませている問題であり、賃金の上昇を加速させ、インフレ抑制を一層困難にしている。ロシアの問題は他国と比べて際立っており、それは主に国内要因によってもたらされている。
今週開かれたロシアの代表的な経済会議「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」では、10以上のセッションで労働市場の問題が中心議題になった。ロシア中銀によると、労働年齢の男性が不足する中で、製造業の企業は女性や高齢者の雇用を増やしている。
建設資材・仕上げ材を供給する企業トレード・システムズ・テクノニコルで人事担当ディレクターを務めるユリア・コロチキナ氏は、若手と熟練労働者の双方が不足していると語る。このため同社は、一部職種の採用条件を緩和し、リモートワークと自動化設備を増やし、就労意欲を向上させるプログラムを増やした。
「われわれは最小限の資源で最大の仕事量をこなす方法を学びつつある」と同氏は話す。
ロシア経済はこれまで、西側諸国の制裁によって深刻な不振に陥るとの予想を裏切ってきた。石油・ガス輸出による「棚ぼた」的な収入に加え、政府による大規模な景気刺激策や巧みな制裁回避策などが経済の支えになってきた。しかし、今年に入ってからエネルギー輸出収入が急減しているほか、ハイテク分野の制裁の影響が積み上がり、経済的孤立が深まる中、問題が今後表面化することが予想される。
ロシア政府当局者によると、労働力の減少が経済成長をさらに阻害しているという。
ロシア中銀のエルビラ・ナビウリナ総裁は9日、「労働市場のこうした状況は、将来の生産拡大を制約する大きな要因になっている」と語った。同総裁によれば、機械製造、金属工業、鉱業・採石業など、ウクライナとの戦争で極めて重要な産業分野で労働力が不足している。
3月に東シベリア・ウランウデ市の航空機工場を視察したプーチン氏は、高度な能力を持つ専門人材の不足が軍事生産を妨げていると指摘した。
同氏は「多くの企業が現在、実質的に3交代制で作業しており、専門職、特に高度な専門人材が不足していることは理解している」と述べた。
エコノミストらによれば、昨年のウクライナ侵攻以来、これまでに100万人以上がロシアを出国した(うち一部は帰国)。今回の人口流出は、1917年のロシア革命後および1991年のソ連崩壊後の時期と並んで、ロシア史上最大規模の流出の波となっている。2012年にプーチン政権が3期目に入った後も、出国者は増加した。
低水準の出生率や高齢化、死亡率の高さなど、ロシアを長年悩ませてきた負の人口動態トレンドは、コロナ禍で一段と悪化した。そこに出国者の増加が追い打ちをかけている。国連の予測では、ロシアの人口(約1億4500万人)は、今世紀末までに20%以上減少する可能性があると見られている。
人口減を一部埋めているのは、ロシアへの出稼ぎ移民、特に中央アジアの近隣諸国からやってくる人々だ。ロシア中銀によると、昨年のロシアへの出稼ぎ移民の数は増加したものの、高度な専門能力を持つ外国人の数は29%減少したという。
フィン・エクスペルチザによると、昨年第4四半期の求人倍率は2.5倍と、2005年以来最高となった。ロシアのガイダル経済政策研究所による月次調査では、4月は製造業者の35%が労働力不足を報告しており、1996年以来最も高い割合となった。
電気機器メーカーEFKの人事担当ディレクター、マリナ・ペトゥホーバ氏によると、同社はエンジニア、デザイナー、プロダクトマネジャーの確保に苦労しているという。同社は、労働者の教育訓練やインセンティブ制度を拡充し、引退した高齢者を含むあらゆる年齢層の人材を雇用している。
ペトゥホーバ氏は「労働力不足は、わが社の新製品開発力や生産性、製品の品質に影響し、ひいては売り上げやブランド力にも影響する」と述べる。
コンサルティング会社ヤコフ&パートナーズ(本社モスクワ)とロシア最大の求人サイトhh.ruが行った4月の調査によると、半数以上の企業がIT分野で人材不足となっており、適切な候補者を探すのにかかる時間はほぼ倍になっている。
「熟練労働者を見つけるのがより難しくなった」とhh.ruの分析責任者であるナタリア・ダニナ氏は話す。「こうした状況は、必然的に企業全体の生産性低下につながる」
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Georgi Kantchev ゲオルギ・カンチェフ
ベルリンを拠点とするThe Wall Street Journalの外国特派員
以前は、ゲオルギはモスクワに駐留しており、ロシア、地域、ウクライナでの紛争について書いていました。
ロシアが過去数十年で最悪の労働力不足に陥っている。ウクライナでの戦争を受けて、何十万人ものロシアの労働者が国外に移住したり前線に派遣されたりしたためだ。西側諸国による制裁と国際的な孤立によって圧迫される経済の基盤が弱体化している。
ロシアでは昨年、国外移住の波が2度にわたって起きた。ソ連崩壊後では最大規模だ。その上、約30万人が戦争に動員されたため、長期的な人口減少の影響で既に逼迫(ひっぱく)していた労働市場がさらに悪化した。その結果、ロシア企業では、プログラマーやエンジニアから溶接工、石油採掘業者に至るまで、経済活性化やウクライナでの戦争支援に必要なあらゆる職業で人材が不足している。
この流れを食い止めるため、ウラジーミル・プーチン大統領は先月、財政的・社会的インセンティブを含む人口流出反転策の策定を政府担当者らに命じた。ロシア政府はこれまで、ハイテク業界の労働者を国内にとどめておくために、税制優遇措置や低金利の融資、有利な条件での住宅ローンを提供してきた。
ロシア財務省は、ウクライナでの戦争が始まった際にロシアを離れ、トルコやアルメニア、中央アジアなどからリモート方式でロシア国内の仕事を続けていた何十万人もの労働者に課税する案を発表した。ロシア議会の一部議員は、外国に移住したロシア人の財産を差し押さえる構えを見せているが、それを可能とする法律は可決されていない。
ロシア中央銀行の調査によると、今年第1四半期にロシア企業が報告した人員不足は、1998年のデータ収集開始以降で最大となった。コンサルティング会社フィン・エクスペルチザの分析によると、昨年末時点でロシアの35歳未満の労働者数は130万人減り、1990年代初め以降で最低水準に落ち込んだ。5月の失業率はソ連崩壊後の最低を記録した。
ウィーン国際経済研究所のエコノミスト、バシリ・アストロフ氏は「人的資本の喪失は経済にとって災難だ。しかも制裁も受けている」と述べた。「高学歴および高技能の労働力の喪失は、今後何年にもわたって潜在的経済力の重荷になるだろう」
労働力不足の影響は経済全体に広がっている。少ない労働者をめぐって採用を競い合う企業は賃上げを余儀なくされており、企業利益は打撃を受け、投資計画が危うくなっている。中銀は、賃金の上昇がインフレ率を押し上げていると警告している。
労働力不足は新型コロナウイルスの大流行以降、世界経済の大半を悩ませている問題であり、賃金の上昇を加速させ、インフレ抑制を一層困難にしている。ロシアの問題は他国と比べて際立っており、それは主に国内要因によってもたらされている。
今週開かれたロシアの代表的な経済会議「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」では、10以上のセッションで労働市場の問題が中心議題になった。ロシア中銀によると、労働年齢の男性が不足する中で、製造業の企業は女性や高齢者の雇用を増やしている。
建設資材・仕上げ材を供給する企業トレード・システムズ・テクノニコルで人事担当ディレクターを務めるユリア・コロチキナ氏は、若手と熟練労働者の双方が不足していると語る。このため同社は、一部職種の採用条件を緩和し、リモートワークと自動化設備を増やし、就労意欲を向上させるプログラムを増やした。
「われわれは最小限の資源で最大の仕事量をこなす方法を学びつつある」と同氏は話す。
ロシア経済はこれまで、西側諸国の制裁によって深刻な不振に陥るとの予想を裏切ってきた。石油・ガス輸出による「棚ぼた」的な収入に加え、政府による大規模な景気刺激策や巧みな制裁回避策などが経済の支えになってきた。しかし、今年に入ってからエネルギー輸出収入が急減しているほか、ハイテク分野の制裁の影響が積み上がり、経済的孤立が深まる中、問題が今後表面化することが予想される。
ロシア政府当局者によると、労働力の減少が経済成長をさらに阻害しているという。
ロシア中銀のエルビラ・ナビウリナ総裁は9日、「労働市場のこうした状況は、将来の生産拡大を制約する大きな要因になっている」と語った。同総裁によれば、機械製造、金属工業、鉱業・採石業など、ウクライナとの戦争で極めて重要な産業分野で労働力が不足している。
3月に東シベリア・ウランウデ市の航空機工場を視察したプーチン氏は、高度な能力を持つ専門人材の不足が軍事生産を妨げていると指摘した。
同氏は「多くの企業が現在、実質的に3交代制で作業しており、専門職、特に高度な専門人材が不足していることは理解している」と述べた。
エコノミストらによれば、昨年のウクライナ侵攻以来、これまでに100万人以上がロシアを出国した(うち一部は帰国)。今回の人口流出は、1917年のロシア革命後および1991年のソ連崩壊後の時期と並んで、ロシア史上最大規模の流出の波となっている。2012年にプーチン政権が3期目に入った後も、出国者は増加した。
低水準の出生率や高齢化、死亡率の高さなど、ロシアを長年悩ませてきた負の人口動態トレンドは、コロナ禍で一段と悪化した。そこに出国者の増加が追い打ちをかけている。国連の予測では、ロシアの人口(約1億4500万人)は、今世紀末までに20%以上減少する可能性があると見られている。
人口減を一部埋めているのは、ロシアへの出稼ぎ移民、特に中央アジアの近隣諸国からやってくる人々だ。ロシア中銀によると、昨年のロシアへの出稼ぎ移民の数は増加したものの、高度な専門能力を持つ外国人の数は29%減少したという。
フィン・エクスペルチザによると、昨年第4四半期の求人倍率は2.5倍と、2005年以来最高となった。ロシアのガイダル経済政策研究所による月次調査では、4月は製造業者の35%が労働力不足を報告しており、1996年以来最も高い割合となった。
電気機器メーカーEFKの人事担当ディレクター、マリナ・ペトゥホーバ氏によると、同社はエンジニア、デザイナー、プロダクトマネジャーの確保に苦労しているという。同社は、労働者の教育訓練やインセンティブ制度を拡充し、引退した高齢者を含むあらゆる年齢層の人材を雇用している。
ペトゥホーバ氏は「労働力不足は、わが社の新製品開発力や生産性、製品の品質に影響し、ひいては売り上げやブランド力にも影響する」と述べる。
コンサルティング会社ヤコフ&パートナーズ(本社モスクワ)とロシア最大の求人サイトhh.ruが行った4月の調査によると、半数以上の企業がIT分野で人材不足となっており、適切な候補者を探すのにかかる時間はほぼ倍になっている。
「熟練労働者を見つけるのがより難しくなった」とhh.ruの分析責任者であるナタリア・ダニナ氏は話す。「こうした状況は、必然的に企業全体の生産性低下につながる」
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Georgi Kantchev ゲオルギ・カンチェフ
ベルリンを拠点とするThe Wall Street Journalの外国特派員
以前は、ゲオルギはモスクワに駐留しており、ロシア、地域、ウクライナでの紛争について書いていました。
プーチン大統領は先月、財政的・社会的インセンティブを含む人口流出反転策の策定を政府担当者らに命じた。ロシア政府はこれまで、ハイテク業界の労働者を国内にとどめておくために、税制優遇措置や低金利の融資、有利な条件での住宅ローンを提供してきたのだそうです。
ロシア財務省は、ウクライナでの戦争が始まった際にロシアを離れ、トルコやアルメニア、中央アジアなどからリモート方式でロシア国内の仕事を続けていた何十万人もの労働者に課税する案を発表。
ロシア中央銀行の調査によると、今年第1四半期にロシア企業が報告した人員不足は、1998年のデータ収集開始以降で最大となったのだそうです。
コンサルティング会社フィン・エクスペルチザの分析によると、昨年末時点でロシアの35歳未満の労働者数は130万人減り、1990年代初め以降で最低水準に落ち込んだ。5月の失業率はソ連崩壊後の最低を記録したのだと。
労働力不足の影響は経済全体に広がっている。少ない労働者をめぐって採用を競い合う企業は賃上げを余儀なくされており、企業利益は打撃を受け、投資計画が危うくなっていると、WSJ・ゲオルギ・カンチェフ氏。
ロシア経済はこれまで、西側諸国の制裁によって深刻な不振に陥るとの予想を裏切ってきた。
しかし、今年に入ってからエネルギー輸出収入が急減しているほか、ハイテク分野の制裁の影響が積み上がり、経済的孤立が深まる中、問題が今後表面化することが予想されると、WSJ・カンチェフ氏。
ロシア政府当局者によると、労働力の減少が経済成長をさらに阻害しているのだそうです。
ロシア中銀のエルビラ・ナビウリナ総裁は9日、「労働市場のこうした状況は、将来の生産拡大を制約する大きな要因になっている」と。
ウクライナとの戦争で極めて重要な産業分野で労働力が不足していると、WSJ・カンチェフ氏。
エコノミストらによれば、昨年のウクライナ侵攻以来、これまでに100万人以上がロシアを出国。
1917年のロシア革命後および1991年のソ連崩壊後の時期と並んで、ロシア史上最大規模の流出の波となっているのだそうです。
その上、約30万人が戦争に動員されたため、長期的な人口減少の影響で既に逼迫(ひっぱく)していた労働市場がさらに悪化。
低水準の出生率や高齢化、死亡率の高さなど、ロシアを長年悩ませてきた負の人口動態トレンドは、コロナ禍で一段と悪化した。そこに出国者の増加が追い打ちをかけている。国連の予測では、ロシアの人口(約1億4500万人)は、今世紀末までに20%以上減少する可能性があると見られていると、WSJ・カンチェフ氏。
コンサルティング会社ヤコフ&パートナーズ(本社モスクワ)とロシア最大の求人サイトhh.ruが行った4月の調査によると、半数以上の企業がIT分野で人材不足となっており、適切な候補者を探すのにかかる時間はほぼ倍になっている。
「熟練労働者を見つけるのがより難しくなった」とhh.ruの分析責任者であるナタリア・ダニナ氏は話す。「こうした状況は、必然的に企業全体の生産性低下につながる」
米・欧諸国の支援で反攻をつよめているウクライナ。
制裁網+国内人口減で、経済活動に支障が見え始めたプーチンのロシア。
終戦の時はくるのでしょうか。。
# 冒頭の画像は、ジョージアとの国境を越えるロシア人たち
この花の名前は、クサノオウ
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