TPPの大筋合意に対する国内四紙の評価を、一面での取り上げ方で比較していたのは、TBSの「ひるおび」。大村北里大特別栄誉教授のノーベル賞受賞と、どちらを大きく扱っているかの比較です。
日経と朝日が、TPPの方を大きく扱い、他紙はノーベル賞受賞の方を大きく扱っているとの評価でした。経済誌の日経は納得ですが、朝日は意外です。
遊爺は、社説の比較をしてみました。
毎日は社説でのとり扱いはなく、朝日は、WTOが形骸化しているので、新しい多国間経済協定のTPPが産まれたにも関わらず、「WTOを建て直せ」とか、「コメや乳製品で、日本が一定量の輸入を約束したことも気がかり」と、自由貿易化が主眼のTPPにあって、一定の譲歩はありうる中どう歯止めするかがツボの交渉にもかかわらず、どこか強引に批判したい姿勢は、朝日らしく支離滅裂と納得しました。
日経、読売、産経共に好評価で、行きづまりのみられる世界経済状況下で、21世紀の新たな多国間協定の規範となる。少子高齢化で国内市場が縮小する日本には、市場拡大を可能にし活力を得られる。単独で独自のルールを拡大しようとしている中国に対抗し、自由経済を展開できるといった内容は、メリハリの差はあるとしても共通で、国内の農業対策も、単なるばら撒きに終わるなとの指摘も各社同様ですね。
TPP大筋合意 巨大貿易圏で成長底上げ図れ : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
TPPテコに世界経済の活性化を :日本経済新聞
(社説)TPP合意 域内の繁栄と安定の礎に:朝日新聞デジタル
なかなか構造改革に繋がる政策が打ち出せなかったアベノミクス・第三の矢。大きく広い道が開けました。TPPへの参加の有無にかかわらず必要であった農業改革への着手のきっかけにもなります。明治維新の黒船来航に匹敵する外圧です。明治の人々が外圧をうまく消化して今日の日本の発展の基を創ったように、21世紀を迎えた現在の日本人の叡智を結集して、外圧を味方にした新しい日本の経済構造が産み出されることを願います。
それには、農業で言えば、兼業農家や零細・老齢化農家は、株主化して、専業農家に農地を集中し、品質の向上・差別化を推進し、世界の富裕層(日本の総人口より多い)向けに輸出も可能となる、国内外での競争力のある産物開発を進めていただくことと、その支援が望まれます。
支援には、可能な限り、国産品を愛用する国民の支援も含まれます。
# 冒頭の画像は、共同記者会見する甘利TPP相やフロマン米通商代表
この花の名前は、ダリア
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日経と朝日が、TPPの方を大きく扱い、他紙はノーベル賞受賞の方を大きく扱っているとの評価でした。経済誌の日経は納得ですが、朝日は意外です。
遊爺は、社説の比較をしてみました。
毎日は社説でのとり扱いはなく、朝日は、WTOが形骸化しているので、新しい多国間経済協定のTPPが産まれたにも関わらず、「WTOを建て直せ」とか、「コメや乳製品で、日本が一定量の輸入を約束したことも気がかり」と、自由貿易化が主眼のTPPにあって、一定の譲歩はありうる中どう歯止めするかがツボの交渉にもかかわらず、どこか強引に批判したい姿勢は、朝日らしく支離滅裂と納得しました。
日経、読売、産経共に好評価で、行きづまりのみられる世界経済状況下で、21世紀の新たな多国間協定の規範となる。少子高齢化で国内市場が縮小する日本には、市場拡大を可能にし活力を得られる。単独で独自のルールを拡大しようとしている中国に対抗し、自由経済を展開できるといった内容は、メリハリの差はあるとしても共通で、国内の農業対策も、単なるばら撒きに終わるなとの指摘も各社同様ですね。
TPP大筋合意 巨大貿易圏で成長底上げ図れ : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
TPPテコに世界経済の活性化を :日本経済新聞
(社説)TPP合意 域内の繁栄と安定の礎に:朝日新聞デジタル
TPP大筋合意 「自由」基盤の秩序築いた (10/6 産経 主張)
■国内改革促し成長の礎とせよ
難航を極めた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意した。
高水準の自由化と、域内の共通基盤となるルールを確立するTPPは、21世紀の国際標準となり得る野心的な協定だ。
人口減少時代の内需縮小や国際競争力の低下に直面する日本にとって、アジア太平洋地域の経済活力を取り込むことは極めて重要である。世界の4割を占める巨大なTPP経済圏を成長への礎にしなければならない。
同時に、TPPは高い関税で保護してきた農畜産業などに構造転換を迫ろう。強い農業の実現など国内改革に万全を期すべきだ。
≪対中戦略の意義大きい≫
幾度も空中分解が懸念されながら、どこも脱落せず12カ国が枠組みを守った点を評価したい。TPPには単なる通商協定にとどまらぬ戦略的な意義があるからだ。
日本や米国、オーストラリアなど自由主義国の経済基盤で環太平洋地域の発展を目指すのがTPPである。それは中国抜きで築く経済秩序と言い換えてもよい。
中国は経済、軍事両面で影響力を高めている。アジアインフラ投資銀行など自国の提案に基づく勢力拡大も急だ。
だが、その覇権主義的な動きには問題が多い。共産党独裁体制下で恣意(しい)的な経済運営が目立ち、法の支配も不十分だ。それで透明性の高い自由市場を築けるのか。TPPはこれを牽制(けんせい)するものだ。
無論、参加各国にとって対中経済関係の重要性は合意後も変わるまい。それでも、中国経済の減速など流動的要因が多い中、新たな経済圏を構築することはリスク分散の観点でも意味がある。
交渉は、乳製品の市場開放や新薬開発のデータ保護期間、自動車部品の原産地規則などをめぐり最終局面までもつれた。
迷走した日米間の関税協議も含めて、ここまで交渉が長引いたのは、高水準の自由化という理想に反し、多くの国が国内産業保護に傾斜したためともいえる。
国益をかけた交渉ではやむを得ない面もあったが、いつまでも個別分野の勝ち負けにとらわれて本質を見失うわけにはいかない。
TPPは、市場アクセスの改善だけでなく、知的財産や環境、競争政策などのルールを定め、規制の調和を図る包括的な協定だ。共通の土俵の上で人・モノ・カネの行き来が活発になれば、域内経済全体の底上げにつながる。
いまだ安定成長が見通せない日本経済が強さを取り戻す上でもTPPは欠かせない。
関税撤廃などを通じた輸出拡大はもちろん、日本企業による域内でのビジネスが広がれば、中長期的な国内市場の縮小を打開するための活路となるだろう。
≪強い農業の実現を急げ≫
TPPは暮らしにも幅広くかかわる。安価で質の高い輸入品の流入は消費者に恩恵をもたらす。著作権など新たなルールが及ぼす影響も見極めねばならない。
安倍晋三政権が力点を置かねばならないのは、社会への明確な情報発信だ。
TPPをテコに進めなければならないのは生産性の低い産業の構造改革を促すことである。言うまでもなく、その象徴が農業だ。
政府はコメや麦、牛・豚肉などの重要農産品を例外扱いとすることを主眼に交渉を進めた。バター不足が深刻な中で乳製品輸入の大幅な拡大に歯止めをかけようとしたのも、消費者ではなく、生産者への配慮である。
日本の農業は、高齢化や小規模経営によるコスト高などの課題が山積している。TPPに伴う輸入拡大に備えるため、今後は国内対策に焦点が移ろう。
ただ、それは農業の生産性を改善し、競争力を強化するものでなければならない。これを通じて経営体力を高め、所得向上を実現することこそが本筋である。
懸念するのは、来夏の参院選をにらんで、政府与党が対症療法的なばらまきに向かうことだ。不満を糊塗(こと)する見せ金にこだわるようでは、農協法改正などで動き始めた改革機運にも水を差し、強い農業の実現も遠のくだろう。
TPPの合意は、ゴールではなく、日本の経済、社会の仕組みを根本から改革するための出発点である。これを土台に発展への道筋を描き、着実に改革を実行に移していく。それこそが、政権の果たすべき責務である。
■国内改革促し成長の礎とせよ
難航を極めた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意した。
高水準の自由化と、域内の共通基盤となるルールを確立するTPPは、21世紀の国際標準となり得る野心的な協定だ。
人口減少時代の内需縮小や国際競争力の低下に直面する日本にとって、アジア太平洋地域の経済活力を取り込むことは極めて重要である。世界の4割を占める巨大なTPP経済圏を成長への礎にしなければならない。
同時に、TPPは高い関税で保護してきた農畜産業などに構造転換を迫ろう。強い農業の実現など国内改革に万全を期すべきだ。
≪対中戦略の意義大きい≫
幾度も空中分解が懸念されながら、どこも脱落せず12カ国が枠組みを守った点を評価したい。TPPには単なる通商協定にとどまらぬ戦略的な意義があるからだ。
日本や米国、オーストラリアなど自由主義国の経済基盤で環太平洋地域の発展を目指すのがTPPである。それは中国抜きで築く経済秩序と言い換えてもよい。
中国は経済、軍事両面で影響力を高めている。アジアインフラ投資銀行など自国の提案に基づく勢力拡大も急だ。
だが、その覇権主義的な動きには問題が多い。共産党独裁体制下で恣意(しい)的な経済運営が目立ち、法の支配も不十分だ。それで透明性の高い自由市場を築けるのか。TPPはこれを牽制(けんせい)するものだ。
無論、参加各国にとって対中経済関係の重要性は合意後も変わるまい。それでも、中国経済の減速など流動的要因が多い中、新たな経済圏を構築することはリスク分散の観点でも意味がある。
交渉は、乳製品の市場開放や新薬開発のデータ保護期間、自動車部品の原産地規則などをめぐり最終局面までもつれた。
迷走した日米間の関税協議も含めて、ここまで交渉が長引いたのは、高水準の自由化という理想に反し、多くの国が国内産業保護に傾斜したためともいえる。
国益をかけた交渉ではやむを得ない面もあったが、いつまでも個別分野の勝ち負けにとらわれて本質を見失うわけにはいかない。
TPPは、市場アクセスの改善だけでなく、知的財産や環境、競争政策などのルールを定め、規制の調和を図る包括的な協定だ。共通の土俵の上で人・モノ・カネの行き来が活発になれば、域内経済全体の底上げにつながる。
いまだ安定成長が見通せない日本経済が強さを取り戻す上でもTPPは欠かせない。
関税撤廃などを通じた輸出拡大はもちろん、日本企業による域内でのビジネスが広がれば、中長期的な国内市場の縮小を打開するための活路となるだろう。
≪強い農業の実現を急げ≫
TPPは暮らしにも幅広くかかわる。安価で質の高い輸入品の流入は消費者に恩恵をもたらす。著作権など新たなルールが及ぼす影響も見極めねばならない。
安倍晋三政権が力点を置かねばならないのは、社会への明確な情報発信だ。
TPPをテコに進めなければならないのは生産性の低い産業の構造改革を促すことである。言うまでもなく、その象徴が農業だ。
政府はコメや麦、牛・豚肉などの重要農産品を例外扱いとすることを主眼に交渉を進めた。バター不足が深刻な中で乳製品輸入の大幅な拡大に歯止めをかけようとしたのも、消費者ではなく、生産者への配慮である。
日本の農業は、高齢化や小規模経営によるコスト高などの課題が山積している。TPPに伴う輸入拡大に備えるため、今後は国内対策に焦点が移ろう。
ただ、それは農業の生産性を改善し、競争力を強化するものでなければならない。これを通じて経営体力を高め、所得向上を実現することこそが本筋である。
懸念するのは、来夏の参院選をにらんで、政府与党が対症療法的なばらまきに向かうことだ。不満を糊塗(こと)する見せ金にこだわるようでは、農協法改正などで動き始めた改革機運にも水を差し、強い農業の実現も遠のくだろう。
TPPの合意は、ゴールではなく、日本の経済、社会の仕組みを根本から改革するための出発点である。これを土台に発展への道筋を描き、着実に改革を実行に移していく。それこそが、政権の果たすべき責務である。
なかなか構造改革に繋がる政策が打ち出せなかったアベノミクス・第三の矢。大きく広い道が開けました。TPPへの参加の有無にかかわらず必要であった農業改革への着手のきっかけにもなります。明治維新の黒船来航に匹敵する外圧です。明治の人々が外圧をうまく消化して今日の日本の発展の基を創ったように、21世紀を迎えた現在の日本人の叡智を結集して、外圧を味方にした新しい日本の経済構造が産み出されることを願います。
それには、農業で言えば、兼業農家や零細・老齢化農家は、株主化して、専業農家に農地を集中し、品質の向上・差別化を推進し、世界の富裕層(日本の総人口より多い)向けに輸出も可能となる、国内外での競争力のある産物開発を進めていただくことと、その支援が望まれます。
支援には、可能な限り、国産品を愛用する国民の支援も含まれます。
# 冒頭の画像は、共同記者会見する甘利TPP相やフロマン米通商代表
この花の名前は、ダリア
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