安倍首相が、G7に備え欧州各国を訪問し、帰路につく6日に、ロシアのプーチン大統領とも面談しますね。
この面談については、オバマ大統領から、会うならG7以後にするよう要請があったものを拒否し、強行するものです。そして、訪欧中の日仏首脳会談では、ロシアとの対話継続の必要性で一致したと発表されました。
今回の日露首脳会談では、領土問題には触れないとの事前情報が流布され、会談後の会談内容公開もされない予定とされています。
安倍首相がそこまでこだわるプーチン大統領との会談。目的は何なのでしょう。
機動的な財政出動必要 日仏首脳、会談で一致 :日本経済新聞
【パリ=山口啓一】欧州歴訪中の安倍晋三首相は2日夜(日本時間3日未明)、フランスのオランド大統領とパリの仏大統領府で会談した。為替相場の安定の重要性を確認し「急激な変化は望ましくない」との認識で一致。世界経済への対応については「機動的な財政出動が求められている」との認識を共有した。
両氏は5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けテロ対策での緊密な連携を確認した。
経済政策を巡っては、首相は「金融と同時に構造改革と財政政策が必要だ」と強調。オランド氏は「財政的フレキシビリティー(柔軟性)を持って需要を増やす政策は極めて重要だ」と応じた。日銀や欧州中央銀行(ECB)による金融政策についても意見交換した。
有力政治家らの節税の実態を明らかにした「パナマ文書」問題を受け、租税回避についてサミットで議題にすることも確認。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の実効的な実施に向けた日仏の協力強化でも合意した。
地域情勢については、中国が活発な海洋進出を続ける南シナ海問題を念頭に、首相が「一方的な現状変更の試みを深刻に懸念している」と指摘。オランド氏は「海洋の安全、国際法にのっとった問題の解決という視点で議論することが重要だ」と述べた。両氏はロシアとの対話を継続する必要性でも一致した。
会談後の共同記者発表で首相は、テロ対策に関し「卑劣なテロはいかなる理由でも断じて許されない。(両国が)緊密に連携し、リーダーシップを発揮する」と表明した。両氏は日仏友好160周年となる2018年にパリで日本文化を発信する博覧会「ジャポニズム2018」を開催することでも合意した。
安倍首相の欧州歴訪の主題は、世界経済浮揚の為の協調財政出動の根回しです。独は健全財政に頑固に固執するお国柄で、英国も今の時期での財政出動には否定的です。安倍首相が独英を訪問し、どのような接点を見いだせるか、G7の成否を左右する問題です。
財政出動への賛同をイタリアで得て、今回は仏でも合意を得たのは、独、英訪問前のちから水にはなったのでしょうか。 また、米国の為替管理国の「監視リスト」へのノミネートによる対日圧力についても、日仏首脳会談で、為替相場の安定の重要性を確認しているのは、米国の圧力への対抗ですね。
それはさておき、ここでは、「ロシアとの対話を継続」が日仏で合意されたことに注目してみます。
オバマ大統領からの制止を振り切って訪露する安倍首相。プーチン大統領との非公開会談への欧州各国の理解を求めると同時に、欧州各国からプーチン大統領への手土産を仕込んでいると推測するのですが、考えすぎでしょうか。米国は、シリア情勢の改善に向け露との協調を模索し始めていますが、対露経済制裁など、ロシアに対しては厳しい対立姿勢で臨んでいますが、欧州各国は元々は少なくない経済交流があり、独・メルケル首相を筆頭に、対露関係改善の意欲は持っています。
オバマ大統領の、訪露制止で、プーチン大統領をG7時に訪日させて会談の輪を広げる(韓国は拒否してきましたがASEANの数国は招聘するとの報道あり)予定はついえたと考えられますが、ロシアとの関係改善に、安倍さんがひと肌ぬごうとしていると推測するのですがいかがでしょう。
ところが、虚勢をはるお国柄のロシア。台所が苦しいからなおさらのことなのかどうか、北方四島の実効支配の強化に余念がありません。
露、極東の土地を無償分与 新法成立 北方四島、強まる実効支配 (5/4 産経)
【モスクワ=遠藤良介】ロシアのプーチン大統領は3日までに、極東地域の振興策として国民に土地を無償で分与する法案に署名し、同法は成立した。露政府は北方領土にも新法を適用する方針で、現地での人口増加などを通じ、ロシアによる北方四島の実効支配がいっそう強まるのは必至だ。6日には安倍晋三首相の非公式訪露が予定されており、日本政府の対応が注視される。
新法は、極東への移住促進などを目的に、国や自治体に属している遊休地を、希望者に1ヘクタールずつ無償貸与する内容。土地が申請通りに使われていれば、5年後に私有財産にしたり、借用を続けたりすることができる。政府高官は、北方領土を事実上管轄するサハリン(樺太)州でも「例外なく運用される」としている。
土地貸与は6月から一部地域で試行され、10月からは極東の住民から優先的に希望者を募る。来年2月には全国に対象を広げる。貸与されるのは主に都市部から離れた僻地(へきち)となる。ただ北方四島については、ロシアの領有権を主張する勢力による意図的な土地取得が行われ領土交渉が複雑化する恐れが指摘されている。
【モスクワ=遠藤良介】ロシアのプーチン大統領は3日までに、極東地域の振興策として国民に土地を無償で分与する法案に署名し、同法は成立した。露政府は北方領土にも新法を適用する方針で、現地での人口増加などを通じ、ロシアによる北方四島の実効支配がいっそう強まるのは必至だ。6日には安倍晋三首相の非公式訪露が予定されており、日本政府の対応が注視される。
新法は、極東への移住促進などを目的に、国や自治体に属している遊休地を、希望者に1ヘクタールずつ無償貸与する内容。土地が申請通りに使われていれば、5年後に私有財産にしたり、借用を続けたりすることができる。政府高官は、北方領土を事実上管轄するサハリン(樺太)州でも「例外なく運用される」としている。
土地貸与は6月から一部地域で試行され、10月からは極東の住民から優先的に希望者を募る。来年2月には全国に対象を広げる。貸与されるのは主に都市部から離れた僻地(へきち)となる。ただ北方四島については、ロシアの領有権を主張する勢力による意図的な土地取得が行われ領土交渉が複雑化する恐れが指摘されている。
他に、軍事拠点化を進展させていることは諸兄がご承知のことですが、更に、資源開発も強化着手。
ロシアが択捉島でレアメタル生産 今夏にも稼働、領土交渉に逆風 ミサイルなど活用の「レニウム」 - 産経ニュース
極東振興策は、北方四島が主眼ではなく、むしろ中国からの人口流入対策への重きが大きいと言えますが、北方四島の実効支配強化も重点課題(or 対日交渉カード)であることにはちがいありません。
終戦のドサクサで、満州に攻め込み、千島列島でも北方四島に攻め込み、あわや北海道進出も狙ったソ連。日本は、米英との和平の仲介役をソ連に依頼しようかと両国間の平和条約を信頼(ソ連侵出の情報がありながら取り上げなかった)していましたが、完全に裏切られたのでしたね。
G7の成功に向けて行脚する安倍首相。文化遺産や、慰安婦問題の合意では、完全に韓国ペースでの決着となる大失政を犯しながら平然としている、岸田大臣と外務省。独、英とどれだけ事前摺り合わせが出来ているのでしょう? 外務省の最高権限官僚は駐米大使と言われながら、安倍首相の訪露へのクレームや、為替管理国へのリストアップなど、ジャパンバッシングの色彩を強められている外務省。
ソ連開戦の様な、大失政(国際情勢の見誤り)をして、安倍政権と日本を沈没させることがないよう願っています。遊爺の危惧が素人の邪推で終わることも。。
# 冒頭の画像は、オランド大統領と面談した安倍首相
この花の名前は、ギョリュウバイ
↓よろしかったら、お願いします。
> ロシア交渉がどんな結果が生まれるか?日本人の多くがこの交渉に注目しています。
そうですね。私もどんなことが話し合われるのか、注目しています。
エジプトのシーシー政権が紅海のチラン島とサナーフィル島の2島を、領有権を争っていたサウジのものと認めましたね。
動機は、サウジの経済援助。
blog.canpan.info/jig/archive/5802
www.sankei.com/world/news/160416/wor1604160009-n1.html
# 上記リンクのURLの、http:// は仕様により省略していますのでご了承ください。
台所が火の車のロシア。極東や北極圏の資源の新規開発と、脱資源依存が急務ですが、日本の技術や投資の支援が不可欠です。
今回の会談では、領土問題には触れず、経済問題が中心とのこと。
領土問題と経済協力を切り離して交渉し、経済支援をちゃっかり頂戴したいロシアと、平和条約も含め、セットで交渉したい日本。安倍首相と外務省の力量が頼りですが...。
今回は非公式会談で、会談内容は公表されないとのことですね。
領土問題は、プーチン大統領とトップ同志で決断するしかないと言う安倍さん。
サウジとエジプトの様な両国首脳の決断がなされるか。2島返還を主張するプーチン氏をどう説得できるか。
外務省は期待できませんが、安倍さんには期待しています。
さて、日本にとっての悲願 -ロシア交渉がどんな結果が生まれるか?日本人の多くがこの交渉に注目しています。
案の定、メルケルさんは、安倍さんの財政出動協調には乗ってこなかったのですね。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO01960380V00C16A5I00000/?dg=1&nf=1
しかも、わざわざベルリンを訪れた安倍首相のメンツをつぶさないように温和な表現に終始しといった屈辱。
日経によれば、メルケル首相がG7での協調財政出動に乗らない理由はふたつ。
ひとつはドイツの政治情勢だ。ドイツは財政黒字だが、難民対策で歳出は膨らんでいて、外から見れば緊縮派でも、実際にはドイツなりに既に財政拡大している。そのこともあって、強く否定されることは免れてもいる。
もう一つは、EU域内や国内に多くの課題を抱えているため、G7を舞台に財政・経済政策で協調するという発想はなく、対日政策の優先順位も低いと言うことの様です。
素人の遊爺でも想像される事です。
移民受入をアピールして、ナチの罪の償いをPRし株を上げたメルケルさんでしたが、押し寄せる難民の多さに、あっと言う間に受け入れ制限という大失態。
世界の首脳の中でも在位年数が長く、リーダーシップを発揮していましたが、大きく信頼失墜してしまいました。
選挙を控え、国内政策に注力せねばならないことと、当面は、これ以上国際政治の舞台での失敗が許されず少し大人しくせねばならない...?「私は決してフロントランナーではない」と発言していますね。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H0H_V00C16A5000000/
メルケルさんに拒否されると解っていたことですが、大人の対応をされて、はいそれまで。
外務省の事前の根回しはそれが精いっぱいだったのでしょうか?
外務・防衛当局者による協議。サイバー攻撃への対処で連携する事務レベル協議の年内立ち上げ。などは日独関係の話で、G7の主題への協調が得られず、G7が憂慮されます。
ロシアとの対話を継続する重要性を確認したとのことで、プーチンさんとの会談に向けたお土産はゲットできたのでしょうか?
欧州と、プーチン大統領との関係修復は、私が主導するとメルケルさんは自負をもっているはずですが。