尖閣諸島の領海を含む近海への中国の「海監」の接近・侵入は、実効支配の実績造りへエスカレートを続けています。
実効支配を目指しているのは、オバマ政権時に、ヒラリー・クリントン国務長官(当時)が、日米安保条約の適用範囲と公言し、その条件として、日本が実効支配しているとしたからで、トランプ政権でも継承されているからとは、諸兄がご承知のことです。
「海警」の実効支配強化の動きは、中国漁船団の襲来が公言され、日本国内で、にわかに注目されましたが、襲来は未遂に終わっている現状ですね。
日本の実効支配実績造りの議論が盛んになりましたが、喉元過ぎればなんとやら、今はとんと見聞しなくなりました。
そんな中で独り、与那国島の漁船が、「今のままだったら中国に盗られる。、そうしたら漁は出来なくなる。」と危惧し、漁を続けているのです。
身元も目的もしっかりしている瑞宝丸をわざわざ「所属不明の漁船」と中国政府がのたまったのは、勇敢にも漁をやめない瑞宝丸のしぶとさに対しての悔しさの表れであるとしか思えない。日本国内に、『右翼のデモンストレーション船』と批判する輩もいたりする。
国がなおざりにしている尖閣諸島の実効支配策を、独り「尖閣で漁をしたい」と、護っているウミンチュの存在を、フリーライターの西牟田靖氏が教えていただいています。
来日して、茂木外相と会談した、王毅外相の暴言に、茂木大臣が反論せず、黙認したかの様な形になり、国内で批判の声が上がったことは諸兄がご承知の通りです。
アベノミクス導入のスタッフメンバーだった高橋洋一氏は、外交では瞬発力が大事なのに、茂木大臣は、反応が鈍かったと評しておられましたね。
王外相に「所属不明の日本漁船」とまで言われてしまう漁船とはどんな船なのか。
西牟田氏が調査・確認されたところ、 6月の漁船は、「第一桜丸」「恵美丸」という石垣島の漁船で、それ以外の大半は与那国島の「瑞宝丸」による操業だったと。
「日本文化チャンネル桜」が第一桜丸と恵美丸をチャーターして 6月に操業させて帰港。その後、捕った魚を東京に空輸、ジャーナリスト(高野氏)が言うところの「自民極右議員」らがそれらを試食したのは、事実。しかしそれは 1回だけ。
大半のケースを占めるのは「瑞宝丸」。西牟田氏は、今年 8月に瑞宝丸の本拠地である与那国島を訪れて取材しておられたのでした。
島の漁師さんたちの話では、「漁場をよく知っている」「新しい漁場開発に余念がない」「台湾に近寄りすぎて、海巡署(日本でいう海保)に拿捕されたことがある」とのことで、かなり貪欲に漁を行っているという印象を受けた。その一方で、「中国公船をおびき寄せる目的で尖閣へ出漁している」とか、「右翼のデモンストレーション船」といった話は一切聞けなかったと。
那覇の泊港で直接、漁労を担当している喜納さん(仮名、50)に話を聞くことができたのだそうです。
海保の巡視船については、「わざわざ尖閣まで行って魚が釣れなかったら赤字だから、ちゃんと漁をしないといけないの。なのになんで海保は邪魔をするか? 漁に行く前に臨検までして、着いたら着いたで中国公船が来たからと避難を命じてくる。中国船を阻止できないし、ワンの船の漁の邪魔をする。こっちは何も悪いことしてないのに、ただ魚を獲りにきてるだけなのに」と。
国への要望を尋ねると、「避難港を作ってくれたらずっと漁ができる。北小島と南小島の間ならすぐに作れる。海を仕切ればいいだけだから。でも今のままだったら中国に盗られる、そうしたら漁はできないよ。なんでここまで中国に盗られたか。それでもね、ワッター(私たち)の船はこれからも尖閣に行くし、漁をし続けて、島を(漁場)として守るからよ」と。
避難港建設は、石原都知事が中山石垣市長と協力して都有化し、実効支配実績構築を計画されたときに挙げられていた案のなかのひとつでもありましたね。
今、具体的な実効支配実績として行われていて、これからも漁をし続けて、島を(漁場として)守る行動しているのは、ウミンチュの「瑞宝丸」だけ。(「海警」に比べると圧倒的に戦力不足の海保の巡視船もありますが。)
都有化に横やりを入れて国有化した民主党政権は、国有化しただけで無為に放置。自民党政権に代わっても、なにもしてこなかった。
ウミンチュたちはなにも悪くない。なのに、日本政府がしっかり守らなかったからこそ、だんだんと行けなくなってしまったと西牟田氏。
そのウミンチュたちのことを「所属不明の漁船」などと言わせてはならない。『右翼のデモンストレーション船』と言うジャーナリストにおいておや!
実効支配競争が煮詰まれば煮詰まる程に、着手したことが逆に攻勢の口実になりかねない。
日本は、中国の不法侵入状況を、しっかり世界世論にアピールし、自民党有志議員が提案している、環境の国際調査団(含中国)での調査などから早急に着手すべきですね。
# 冒頭の画像は、尖閣諸島の灯台
海上保安庁 / 4.尖閣諸島「魚釣島灯台」の管理開始
シャクナゲのつぼみ
↓よろしかったら、お願いします。
実効支配を目指しているのは、オバマ政権時に、ヒラリー・クリントン国務長官(当時)が、日米安保条約の適用範囲と公言し、その条件として、日本が実効支配しているとしたからで、トランプ政権でも継承されているからとは、諸兄がご承知のことです。
「海警」の実効支配強化の動きは、中国漁船団の襲来が公言され、日本国内で、にわかに注目されましたが、襲来は未遂に終わっている現状ですね。
日本の実効支配実績造りの議論が盛んになりましたが、喉元過ぎればなんとやら、今はとんと見聞しなくなりました。
そんな中で独り、与那国島の漁船が、「今のままだったら中国に盗られる。、そうしたら漁は出来なくなる。」と危惧し、漁を続けているのです。
身元も目的もしっかりしている瑞宝丸をわざわざ「所属不明の漁船」と中国政府がのたまったのは、勇敢にも漁をやめない瑞宝丸のしぶとさに対しての悔しさの表れであるとしか思えない。日本国内に、『右翼のデモンストレーション船』と批判する輩もいたりする。
国がなおざりにしている尖閣諸島の実効支配策を、独り「尖閣で漁をしたい」と、護っているウミンチュの存在を、フリーライターの西牟田靖氏が教えていただいています。
「尖閣で漁をしたい」中国の脅威に立ち向かうウミンチュの声を聞け 2020/12/28 西牟田靖(ノンフィクション作家、フリーライター)
中国の王毅外相は、先月行われた茂木敏充外相との会談後の共同記者発表で、次のように語った。
これに対し、茂木外相は反論しなかった。その代わり、会談後の定例会見(11月27日)で次のように「弁解」している。
こうした茂木外相の「弁解」に対し、非難の声が相次いだが、それもそのはずだ。事実、じりじりと中国の実効支配は進んでいるのだ。
2012年9月に日本政府が尖閣の主要3島(魚釣島、北小島、南小島)を国有化して以降、中国公船が周辺海域に常駐するようになった。接続水域に侵入した日数は2013年以降、200日以上(海上保安レポート2020)。第11管区海上保安本部によると、2020年については328日(12月24日時点)にのぼる。
中国の経済発展ぶりと国力増強政策を踏まえれば、戦狼外交を展開する習近平政権下において、尖閣諸島の実効支配化がなお進むことを誰もが予想するだろう。
こうした日中首脳らの話し合いで、話題にのぼるのは尖閣海域で漁労に従事する沖縄を中心とした日本の漁師たちの動きだ。そもそも、王外相に「所属不明の日本漁船」とまで言われてしまう漁船とはどんな船なのか。
中国関連情報を配信するニュースサイト「レコードチャイナ」の記事によると、米華字メディア「多維新聞」が以下のように報じたという。
また、ジャーナリストの高野孟氏は、自身のメールマガジンで「『右翼のデモンストレーション船』であり、(中略)バックアップしているのは安倍親衛隊の有力議員を中心とする右翼議員らである」としている。
これらの記事の内容は本当だろうか。
第11管区海上保安本部の統計では、2020年、尖閣諸島周辺(接続水域及び領海)で、中国海警船が漁船を追尾したケースは 7件(12月24日時点)で、多維新聞や高野氏が指摘する 6月の漁船について、海保は「確認せず」とのことだ。ゆえに実際は 8件となる。
各サイトの報道などで確認したところ、その 6月の漁船は、「第一桜丸」「恵美丸」という石垣島の漁船で、それ以外の大半は与那国島の「瑞宝丸」による操業(少なくとも5、7、8、9、10月の 5回)であることが分かった。
先に触れた高野氏はメルマガで「右翼のデモンストレーション船」について、「近年は石垣島で漁船をチャーターして尖閣周辺で実際に漁業を行い、その釣果の一部を実際に食するイベントを行って『このように豊かな漁場を中国に盗られてたまるか』とキャンペーンすることに力を入れているようである」としている。
テレビ番組制作・衛星放送会社「日本文化チャンネル桜」が第一桜丸と恵美丸をチャーターして 6月に操業させて帰港。その後、捕った魚を東京に空輸、高野氏が言うところの「自民極右議員」らがそれらを試食したのは、事実である。
しかし、それらの船が2020年に尖閣まで行ったのは一度きりだ。つまり、高野氏はこの一度きりのケースだけを紹介して、「日本船は右翼のデモンストレーション船」としているのである。
私は、その 2隻を所有する漁師と話したことがあるが、彼はごく普通の、気のよいウミンチュ(漁師)であった。右翼とレッテル張りするのは失礼極まりない。
さて、尖閣へ出漁した大半のケースを占める「瑞宝丸」はどうか。今年 8月に私は瑞宝丸の本拠地である与那国島を訪れている。
久部良港の近くに船長の実家があり、そこは釣具店を兼ねたペンションになっていた。ちなみに瑞宝丸のウェブサイトや関連映像によると、芸能人の釣りロケなどテレビの撮影に協力したこともしばしばあり、船長がかなりマスコミ慣れしていることが分かる。
島の漁師たちに瑞宝丸について聞くと、以下のような話をしてくれた。
「漁場をよく知っている」「新しい漁場開発に余念がない」「台湾に近寄りすぎて、海巡署(日本でいう海保)に拿捕されたことがある」とのことで、かなり貪欲に漁を行っているという印象を受けた。その一方で、「中国公船をおびき寄せる目的で尖閣へ出漁している」とか、「右翼のデモンストレーション船」といった話は一切聞けなかった。
話を聞かせてくれた漁師たちも、かつては尖閣へ通っていたという。
「2012年に国有化したあと、状況が厳しくなって、行けなくなった」、「『来年(2014年)から尖閣へ行けなくなるから、船を買うのはやめたほうがいい』って海保に言われた」とのこと。その一方で、「あそこは豊かな漁場。本当なら行って漁をしたい」と口をそろえた。
瑞宝丸は拿捕されるのをいとわず、意欲的に漁をしている漁船。だからこそ、中国公船が日常的に現れるようになってもなお、やめずに果敢に漁を続けているということらしい。
島の漁師たちに、瑞宝丸の尖閣出漁について聞いてみた。
「7月は、魚釣島(主島)で漁をして、その後、沖縄本島へのぼる予定だったんです。漁をして島に戻って水揚げするより、那覇まで持っていって水揚げすれば、高く売れるし、輸送の経費も浮くじゃないですか。そのとき、途中にある大正島(魚釣島から東北東に約110キロ)まで追いかけられて、邪魔されたという話です。5月に魚釣島で漁をしたときに中国公船にマークされたので、大正島まで執拗に追いかけられたって」
その後、瑞宝丸は10月にも中国公船に追われている。そのときの様子はNHKの番組などで放映されたので、映像を見た人も多いのではないだろうか。
瑞宝丸が与那国町漁業協同組合に所属しているしっかりした立派な漁船であるということ、理由があって尖閣へ行っているということは明白だ。身元も目的もしっかりしている瑞宝丸をわざわざ「所属不明の漁船」と中国政府がのたまったのは、勇敢にも漁をやめない瑞宝丸のしぶとさに対しての悔しさの表れであるとしか思えない。
私はその 8月の取材で瑞宝丸を見つけている。それは与那国島ではなく、那覇の泊港だ。そのとき、船長は趣味のゴルフに出かけており、話を聞くことができなかった。
その代わり、漁労を担当している喜納さん(仮名、50)に話を聞くことができた。彼は日に焼けて肌が真っ黒で、根っからのウミンチュだと一目見ただけで分かる。
――普段はどこで漁をしますか?
「春から秋にかけては与那国島を離れて、那覇を拠点にして、主に沖縄、北は九州まで行って漁をしてるよ。途中、各地の港で給油して北上していくの。船の登録ナンバーがあるからね、現地で手数料だけ払って。釣れるのはアカマチ(高級魚のハマダイ)、キンメ。あとはキハダとかメバチといったマグロ。あとは深さ150メートルの浅瀬ならアオダイが釣れたり、マーマチが釣れたりするかな」
――どんなふうに漁をするんですか?
「ワン(私)は漁労長だから、仕掛けや竿を準備して釣る役目。船長は船を動かしてて、もう一人の見習いは仕掛けを作ってる。船長が魚群探知機を見て指示を出して、仕掛けを落として、魚群が上にいたら仕掛けを50メートルあげたりするの」
――水揚げされる魚の額はいったいどのぐらいなんですか?
「アカマチだったら30万円から40万円。アオダイだったら2300円から 3千円。水揚げする場所でだいぶ値段は変わる。沖縄だったら那覇の泊港が平均してやっぱり高い。離島だとセリがなくて仲買人がいるだけだから安いよ」
この話は与那国のほかの漁師たちが話したこととつじつまが合う。瑞宝丸は利益を上げるために、那覇まで運ぼうとしたのだ。
――尖閣で漁をするとき、ほかと違いはありますか?
「出港前に漁協を通して『尖閣に行く』って伝える。すると臨検される。出航したら、海上保安庁の巡視船がいっぱい並んでぴったりついてくる。5月に行ったときは、島からは500メートルぐらい離れたところ、水深300メートルぐらいの浅瀬でアカマチを釣ってたら、周りを海上保安庁の船6隻、中国公船 2隻に囲まれた」
――10トン足らずの船にそこまでたくさんの船がついて回るんですね。驚きました。それで、中国公船の様子はどうだったんですか?
「2千トン級の中国公船が3日か4日ぐらいずっとそばにいた。300メートルぐらいのところまで近づいてきて、そのときはデッキにいる乗組員の顔が見えたね。もちろん手なんて振ってこない。じっと、こっちを見てるだけ」
――中国公船、恐かったのでは?
「もう慣れてるし、こっちには別に何もしない。でもうっとうしいし、内心は恐い。何やってくるかもしれないからよ」
――海保の船はどうですか?
「海保の巡視船はずっと小さいよ。ワンの船と中国公船の様子をやや遠くから見てて。中国公船がワンの船に接近してきたら、途端に割って入ってきた」
――頼もしいじゃないですか?
「わざわざ尖閣まで行って魚が釣れなかったら赤字だから、ちゃんと漁をしないといけないの。なのになんで海保は邪魔をするか? 漁に行く前に臨検までして、着いたら着いたで中国公船が来たからと避難を命じてくる。中国船を阻止できないし、ワンの船の漁の邪魔をする。こっちは何も悪いことしてないのに、ただ魚を獲りにきてるだけなのに」
――国に望むことは?
「避難港を作ってくれたらずっと漁ができる。北小島と南小島の間ならすぐに作れる。海を仕切ればいいだけだから。でも今のままだったら中国に盗られる、そうしたら漁はできないよ。なんでここまで中国に盗られたか。それでもね、ワッター(私たち)の船はこれからも尖閣に行くし、漁をし続けて、島を(漁場)として守るからよ」
喜納さんは代々ウミンチュの家系である。祖父が現役だった時代には簡単に行くことができた尖閣に、年々行きにくくなっている。 「尖閣諸島における漁業の歴史と現状」(2011 尖閣諸島文献資料編纂会)によれば、1977年に出漁した漁船は164隻にのぼっている。それと比べれば、今は 1桁か、多くて十数隻。実に10分の 1に激減しているのだ。
漁船の小型化と少人数化により日帰り操業が主体になっていること、燃料の高騰と漁価の低迷によりよほどの大漁ではない限りコストに見合わないこと。そしてなにより、この海域での中国公船の動きの活発化(公船の接続水域~領海への侵入)が最も大きな原因である。
ウミンチュたちはなにも悪くない。なのに、日本政府がしっかり守らなかったからこそ、だんだんと行けなくなってしまったのだ。
日本政府は漁師たちに我慢を強いるのではなく、元の通り、彼らがしっかり漁ができるよう、バックアップすべきではないのか。
ウミンチュたちのことを「所属不明の漁船」などと言わせてはならない。
中国の王毅外相は、先月行われた茂木敏充外相との会談後の共同記者発表で、次のように語った。
所属不明の日本漁船が釣魚島(尖閣の中国名)周辺の敏感な水域に進入し、中国側はやむを得ず、必要な反応をしなければならない。
12月6日 毎日新聞
12月6日 毎日新聞
これに対し、茂木外相は反論しなかった。その代わり、会談後の定例会見(11月27日)で次のように「弁解」している。
日中外相会談の中で(中略)、我が国の強い懸念を伝えて、中国側がこうした行動をとらないよう、強く申し入れを行ったところであります。
外務省ホームページ
外務省ホームページ
こうした茂木外相の「弁解」に対し、非難の声が相次いだが、それもそのはずだ。事実、じりじりと中国の実効支配は進んでいるのだ。
2012年9月に日本政府が尖閣の主要3島(魚釣島、北小島、南小島)を国有化して以降、中国公船が周辺海域に常駐するようになった。接続水域に侵入した日数は2013年以降、200日以上(海上保安レポート2020)。第11管区海上保安本部によると、2020年については328日(12月24日時点)にのぼる。
中国の経済発展ぶりと国力増強政策を踏まえれば、戦狼外交を展開する習近平政権下において、尖閣諸島の実効支配化がなお進むことを誰もが予想するだろう。
こうした日中首脳らの話し合いで、話題にのぼるのは尖閣海域で漁労に従事する沖縄を中心とした日本の漁師たちの動きだ。そもそも、王外相に「所属不明の日本漁船」とまで言われてしまう漁船とはどんな船なのか。
中国関連情報を配信するニュースサイト「レコードチャイナ」の記事によると、米華字メディア「多維新聞」が以下のように報じたという。
今年5月に日本の右翼活動家が漁船に乗って尖閣諸島付近の海域を航行し、中国の公務船によって駆逐され、6月にも同じ活動家が漁船に乗って同海域で中国の海警船による監視を受けながら「作業」を行う事案が発生したと伝えた。
12月18日 レコードチャイナ
12月18日 レコードチャイナ
また、ジャーナリストの高野孟氏は、自身のメールマガジンで「『右翼のデモンストレーション船』であり、(中略)バックアップしているのは安倍親衛隊の有力議員を中心とする右翼議員らである」としている。
これらの記事の内容は本当だろうか。
第11管区海上保安本部の統計では、2020年、尖閣諸島周辺(接続水域及び領海)で、中国海警船が漁船を追尾したケースは 7件(12月24日時点)で、多維新聞や高野氏が指摘する 6月の漁船について、海保は「確認せず」とのことだ。ゆえに実際は 8件となる。
各サイトの報道などで確認したところ、その 6月の漁船は、「第一桜丸」「恵美丸」という石垣島の漁船で、それ以外の大半は与那国島の「瑞宝丸」による操業(少なくとも5、7、8、9、10月の 5回)であることが分かった。
先に触れた高野氏はメルマガで「右翼のデモンストレーション船」について、「近年は石垣島で漁船をチャーターして尖閣周辺で実際に漁業を行い、その釣果の一部を実際に食するイベントを行って『このように豊かな漁場を中国に盗られてたまるか』とキャンペーンすることに力を入れているようである」としている。
テレビ番組制作・衛星放送会社「日本文化チャンネル桜」が第一桜丸と恵美丸をチャーターして 6月に操業させて帰港。その後、捕った魚を東京に空輸、高野氏が言うところの「自民極右議員」らがそれらを試食したのは、事実である。
しかし、それらの船が2020年に尖閣まで行ったのは一度きりだ。つまり、高野氏はこの一度きりのケースだけを紹介して、「日本船は右翼のデモンストレーション船」としているのである。
私は、その 2隻を所有する漁師と話したことがあるが、彼はごく普通の、気のよいウミンチュ(漁師)であった。右翼とレッテル張りするのは失礼極まりない。
さて、尖閣へ出漁した大半のケースを占める「瑞宝丸」はどうか。今年 8月に私は瑞宝丸の本拠地である与那国島を訪れている。
久部良港の近くに船長の実家があり、そこは釣具店を兼ねたペンションになっていた。ちなみに瑞宝丸のウェブサイトや関連映像によると、芸能人の釣りロケなどテレビの撮影に協力したこともしばしばあり、船長がかなりマスコミ慣れしていることが分かる。
島の漁師たちに瑞宝丸について聞くと、以下のような話をしてくれた。
「漁場をよく知っている」「新しい漁場開発に余念がない」「台湾に近寄りすぎて、海巡署(日本でいう海保)に拿捕されたことがある」とのことで、かなり貪欲に漁を行っているという印象を受けた。その一方で、「中国公船をおびき寄せる目的で尖閣へ出漁している」とか、「右翼のデモンストレーション船」といった話は一切聞けなかった。
話を聞かせてくれた漁師たちも、かつては尖閣へ通っていたという。
「2012年に国有化したあと、状況が厳しくなって、行けなくなった」、「『来年(2014年)から尖閣へ行けなくなるから、船を買うのはやめたほうがいい』って海保に言われた」とのこと。その一方で、「あそこは豊かな漁場。本当なら行って漁をしたい」と口をそろえた。
瑞宝丸は拿捕されるのをいとわず、意欲的に漁をしている漁船。だからこそ、中国公船が日常的に現れるようになってもなお、やめずに果敢に漁を続けているということらしい。
島の漁師たちに、瑞宝丸の尖閣出漁について聞いてみた。
「7月は、魚釣島(主島)で漁をして、その後、沖縄本島へのぼる予定だったんです。漁をして島に戻って水揚げするより、那覇まで持っていって水揚げすれば、高く売れるし、輸送の経費も浮くじゃないですか。そのとき、途中にある大正島(魚釣島から東北東に約110キロ)まで追いかけられて、邪魔されたという話です。5月に魚釣島で漁をしたときに中国公船にマークされたので、大正島まで執拗に追いかけられたって」
その後、瑞宝丸は10月にも中国公船に追われている。そのときの様子はNHKの番組などで放映されたので、映像を見た人も多いのではないだろうか。
瑞宝丸が与那国町漁業協同組合に所属しているしっかりした立派な漁船であるということ、理由があって尖閣へ行っているということは明白だ。身元も目的もしっかりしている瑞宝丸をわざわざ「所属不明の漁船」と中国政府がのたまったのは、勇敢にも漁をやめない瑞宝丸のしぶとさに対しての悔しさの表れであるとしか思えない。
私はその 8月の取材で瑞宝丸を見つけている。それは与那国島ではなく、那覇の泊港だ。そのとき、船長は趣味のゴルフに出かけており、話を聞くことができなかった。
その代わり、漁労を担当している喜納さん(仮名、50)に話を聞くことができた。彼は日に焼けて肌が真っ黒で、根っからのウミンチュだと一目見ただけで分かる。
――普段はどこで漁をしますか?
「春から秋にかけては与那国島を離れて、那覇を拠点にして、主に沖縄、北は九州まで行って漁をしてるよ。途中、各地の港で給油して北上していくの。船の登録ナンバーがあるからね、現地で手数料だけ払って。釣れるのはアカマチ(高級魚のハマダイ)、キンメ。あとはキハダとかメバチといったマグロ。あとは深さ150メートルの浅瀬ならアオダイが釣れたり、マーマチが釣れたりするかな」
――どんなふうに漁をするんですか?
「ワン(私)は漁労長だから、仕掛けや竿を準備して釣る役目。船長は船を動かしてて、もう一人の見習いは仕掛けを作ってる。船長が魚群探知機を見て指示を出して、仕掛けを落として、魚群が上にいたら仕掛けを50メートルあげたりするの」
――水揚げされる魚の額はいったいどのぐらいなんですか?
「アカマチだったら30万円から40万円。アオダイだったら2300円から 3千円。水揚げする場所でだいぶ値段は変わる。沖縄だったら那覇の泊港が平均してやっぱり高い。離島だとセリがなくて仲買人がいるだけだから安いよ」
この話は与那国のほかの漁師たちが話したこととつじつまが合う。瑞宝丸は利益を上げるために、那覇まで運ぼうとしたのだ。
――尖閣で漁をするとき、ほかと違いはありますか?
「出港前に漁協を通して『尖閣に行く』って伝える。すると臨検される。出航したら、海上保安庁の巡視船がいっぱい並んでぴったりついてくる。5月に行ったときは、島からは500メートルぐらい離れたところ、水深300メートルぐらいの浅瀬でアカマチを釣ってたら、周りを海上保安庁の船6隻、中国公船 2隻に囲まれた」
――10トン足らずの船にそこまでたくさんの船がついて回るんですね。驚きました。それで、中国公船の様子はどうだったんですか?
「2千トン級の中国公船が3日か4日ぐらいずっとそばにいた。300メートルぐらいのところまで近づいてきて、そのときはデッキにいる乗組員の顔が見えたね。もちろん手なんて振ってこない。じっと、こっちを見てるだけ」
――中国公船、恐かったのでは?
「もう慣れてるし、こっちには別に何もしない。でもうっとうしいし、内心は恐い。何やってくるかもしれないからよ」
――海保の船はどうですか?
「海保の巡視船はずっと小さいよ。ワンの船と中国公船の様子をやや遠くから見てて。中国公船がワンの船に接近してきたら、途端に割って入ってきた」
――頼もしいじゃないですか?
「わざわざ尖閣まで行って魚が釣れなかったら赤字だから、ちゃんと漁をしないといけないの。なのになんで海保は邪魔をするか? 漁に行く前に臨検までして、着いたら着いたで中国公船が来たからと避難を命じてくる。中国船を阻止できないし、ワンの船の漁の邪魔をする。こっちは何も悪いことしてないのに、ただ魚を獲りにきてるだけなのに」
――国に望むことは?
「避難港を作ってくれたらずっと漁ができる。北小島と南小島の間ならすぐに作れる。海を仕切ればいいだけだから。でも今のままだったら中国に盗られる、そうしたら漁はできないよ。なんでここまで中国に盗られたか。それでもね、ワッター(私たち)の船はこれからも尖閣に行くし、漁をし続けて、島を(漁場)として守るからよ」
喜納さんは代々ウミンチュの家系である。祖父が現役だった時代には簡単に行くことができた尖閣に、年々行きにくくなっている。 「尖閣諸島における漁業の歴史と現状」(2011 尖閣諸島文献資料編纂会)によれば、1977年に出漁した漁船は164隻にのぼっている。それと比べれば、今は 1桁か、多くて十数隻。実に10分の 1に激減しているのだ。
漁船の小型化と少人数化により日帰り操業が主体になっていること、燃料の高騰と漁価の低迷によりよほどの大漁ではない限りコストに見合わないこと。そしてなにより、この海域での中国公船の動きの活発化(公船の接続水域~領海への侵入)が最も大きな原因である。
ウミンチュたちはなにも悪くない。なのに、日本政府がしっかり守らなかったからこそ、だんだんと行けなくなってしまったのだ。
日本政府は漁師たちに我慢を強いるのではなく、元の通り、彼らがしっかり漁ができるよう、バックアップすべきではないのか。
ウミンチュたちのことを「所属不明の漁船」などと言わせてはならない。
来日して、茂木外相と会談した、王毅外相の暴言に、茂木大臣が反論せず、黙認したかの様な形になり、国内で批判の声が上がったことは諸兄がご承知の通りです。
アベノミクス導入のスタッフメンバーだった高橋洋一氏は、外交では瞬発力が大事なのに、茂木大臣は、反応が鈍かったと評しておられましたね。
王外相に「所属不明の日本漁船」とまで言われてしまう漁船とはどんな船なのか。
西牟田氏が調査・確認されたところ、 6月の漁船は、「第一桜丸」「恵美丸」という石垣島の漁船で、それ以外の大半は与那国島の「瑞宝丸」による操業だったと。
「日本文化チャンネル桜」が第一桜丸と恵美丸をチャーターして 6月に操業させて帰港。その後、捕った魚を東京に空輸、ジャーナリスト(高野氏)が言うところの「自民極右議員」らがそれらを試食したのは、事実。しかしそれは 1回だけ。
大半のケースを占めるのは「瑞宝丸」。西牟田氏は、今年 8月に瑞宝丸の本拠地である与那国島を訪れて取材しておられたのでした。
島の漁師さんたちの話では、「漁場をよく知っている」「新しい漁場開発に余念がない」「台湾に近寄りすぎて、海巡署(日本でいう海保)に拿捕されたことがある」とのことで、かなり貪欲に漁を行っているという印象を受けた。その一方で、「中国公船をおびき寄せる目的で尖閣へ出漁している」とか、「右翼のデモンストレーション船」といった話は一切聞けなかったと。
那覇の泊港で直接、漁労を担当している喜納さん(仮名、50)に話を聞くことができたのだそうです。
海保の巡視船については、「わざわざ尖閣まで行って魚が釣れなかったら赤字だから、ちゃんと漁をしないといけないの。なのになんで海保は邪魔をするか? 漁に行く前に臨検までして、着いたら着いたで中国公船が来たからと避難を命じてくる。中国船を阻止できないし、ワンの船の漁の邪魔をする。こっちは何も悪いことしてないのに、ただ魚を獲りにきてるだけなのに」と。
国への要望を尋ねると、「避難港を作ってくれたらずっと漁ができる。北小島と南小島の間ならすぐに作れる。海を仕切ればいいだけだから。でも今のままだったら中国に盗られる、そうしたら漁はできないよ。なんでここまで中国に盗られたか。それでもね、ワッター(私たち)の船はこれからも尖閣に行くし、漁をし続けて、島を(漁場)として守るからよ」と。
避難港建設は、石原都知事が中山石垣市長と協力して都有化し、実効支配実績構築を計画されたときに挙げられていた案のなかのひとつでもありましたね。
今、具体的な実効支配実績として行われていて、これからも漁をし続けて、島を(漁場として)守る行動しているのは、ウミンチュの「瑞宝丸」だけ。(「海警」に比べると圧倒的に戦力不足の海保の巡視船もありますが。)
都有化に横やりを入れて国有化した民主党政権は、国有化しただけで無為に放置。自民党政権に代わっても、なにもしてこなかった。
ウミンチュたちはなにも悪くない。なのに、日本政府がしっかり守らなかったからこそ、だんだんと行けなくなってしまったと西牟田氏。
そのウミンチュたちのことを「所属不明の漁船」などと言わせてはならない。『右翼のデモンストレーション船』と言うジャーナリストにおいておや!
実効支配競争が煮詰まれば煮詰まる程に、着手したことが逆に攻勢の口実になりかねない。
日本は、中国の不法侵入状況を、しっかり世界世論にアピールし、自民党有志議員が提案している、環境の国際調査団(含中国)での調査などから早急に着手すべきですね。
# 冒頭の画像は、尖閣諸島の灯台
海上保安庁 / 4.尖閣諸島「魚釣島灯台」の管理開始
シャクナゲのつぼみ
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