
日本の首相が約7年振りに訪中して開かれた今回の日中首脳会談。
遊爺は、産経・主張の「日本が目指すべき対中外交とは程遠い。むしろ誤ったメッセージを国際社会に与えた」の論説をとりあげさせていただいていました。
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏も、この産経・主張に着目されています。
朝日、読売、毎日、日経、東京の各紙の前向きの評価は表面上の成果に目を奪われたなか、産経の主張が強く反対する「軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択肢」をうやむやにしているとまでは言えないというのが宮家氏。
中国側は不愉快なことがあると首脳会談そのものを中止するのだから、中国が失敗する首脳会談などあり得ず、表面上成功にみえるのは当然のことだと。
問題は共同記者発表などで語られなかった事項。
まず、今回の訪中で共同声明などの文書は発表されなかった事。これは、日中双方が、今回の合意内容に満足していないことを暗示していると。
そして、今回興味深かったのは、歴史、靖国、尖閣、南シナ海、一帯一路などについて対外的言及が殆(ほとん)どなかったことだと。
これは、中国側がいつでもこれらを蒸し返す可能性があるということだ。されば、今回の首脳会談が大成功だったとはいえないと。
それでも今回の首脳会談は良かったと宮家氏が指摘するのは、中国の安倍政権孤立化戦略に対し、14年以降主要国では安倍評価が高まり、逆に中国が孤立化していたところへ、トランプ米政権の誕生で、中国の孤立化はますます深まり、現在は、日中関係は戦略レベルで「安倍首相の粘り勝ち」となり、中国も対日関係改善に動かざるを得なくなったことだと。
重要なことは、中国にとって日本は潜在的敵対国であり、尖閣や歴史問題での戦略的対日譲歩はあり得ない。
現在の対日秋波は日本からの対中投資を維持しつつ日米同盟関係に楔を打つための戦術でしかないと。
勿論、日本にとっても中国の潜在的脅威は今後も続く戦略問題。
現時点で日本に可能なことは対日政策を戦術的に軟化させた中国から、経済分野で可能な限り譲歩を引き出すことだろうと。
現在日中間で進んでいるのはあくまで戦術的な関係改善にすぎない。なので、産経の主張が強く反対する「軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択肢」をうやむやにしているとまでは言えないとの宮家氏の評価。
米中関係が険悪であり続ける限り、中国は対日関係を維持せざるを得ない。日中関係は双方の智恵の勝負となるだろうと。
トランプ政権が、対中姿勢を覇権拡大の抑止に切り替えたことは何度も触れ続けさせていただていています。
中国の動きは、遙か遠い極東のことで感心の薄かった欧州勢も「一帯一路」政策が、欧州にも罠を含んだ覇権拡大の要素をもっていると認識され始め、警戒心が持たれ始めています。
歴史が変換点にさしかかっている兆しが見えます。
蛸壺に閉じこもって、世界を俯瞰出来ない野党やオールドメディア。
残りの任期が 3年となった安倍政権。レームダック化することは避けられませんが、逆に任期継続に配慮する重りもなくなったと言えます。
決める政治を断行いただけることを期待すると同時に、後任(日和見の岸田では日本は沈没します)の育成をお願いします。
日中首脳会談 誤ったメッセージを国際社会に与えた - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、元徴用工に対する賠償を日本企業に命じる判決が確定したことを受け、韓国の李洙勲(イ・スフン)駐日大使を外務省に招致し、「(昭和40年の)日韓請求権協定に明らかに違反し、国際社会の常識では考えられないことが起きている」と抗議した河野外相
岸田元外相では?
原告勝訴で前代未聞の判断 「解決済み」請求権問題蒸し返す - 産経ニュース

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遊爺は、産経・主張の「日本が目指すべき対中外交とは程遠い。むしろ誤ったメッセージを国際社会に与えた」の論説をとりあげさせていただいていました。
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏も、この産経・主張に着目されています。
【正論】中国の「微笑」は戦術的秋波だ キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦 - 産経ニュース 2018.10.30
先週、安倍晋三首相が訪中し日中首脳会談を行った。本邦メディアの論調は大きく割れた。一時は最悪といわれた両国関係につき、朝日新聞社説は「ここまで改善したことを評価したい」、読売も関係改善を「首脳レベルで確認した意義は大きい」と書いた。日経は「正常な軌道に乗りつつある」、毎日も「それなりの成果が認められる」とし、東京ですら、日中の「不毛な歴史を繰り返してはならない」と結んでいる。
これに対し産経の主張は一味違った。首脳会談の成果だとする関係改善は「日本が目指すべき対中外交とは程遠い。むしろ誤ったメッセージを国際社会に与えた」と手厳しい。会談の成果をどう見るべきか。筆者の見立てはこうだ。
≪前向きの評価は表面上の成果≫
(1)中国首脳の会談に失敗はない
2000年秋から3年半、北京の大使館勤務を経験した。そこで学んだのは「中国との首脳会談は成功しかない」ということだ。理由はいたって単純、中国側は不愉快なことがあると首脳会談そのものを中止するからだ。されば中国が失敗する首脳会談などあり得ず、中国各紙の前向き報道も当たり前なのだ。産経を除く主要各紙の前向きの評価は表面上の成果に目を奪われた、ある意味で当然の結果だと考える。
(2)書かれない事項こそが重要だ
勿論(もちろん)、一定の成果があったことは否定しない。安倍首相は「競争から協調へ」と述べ、対中政府開発援助(ODA)は「歴史的使命」を終えたが、日中企業の第三国での経済協力、ハイテク・知的財産に関する対話、ガス田開発協議の早期再開、円元通貨スワップ協定の再開など、経済分野で両国関係を進展させようとしている。それ自体は日本の経済界にとっても結構なことだ。
問題は共同記者発表などで語られなかった事項である。そもそも今回の訪中で共同声明などの文書は発表されなかった。これは中国側が今回の合意内容に満足していないことを暗示している。勿論、その点は日本側も同様だろう。
≪問題は蒸し返される可能性も≫
今回興味深かったのは、歴史、靖国、尖閣、南シナ海、一帯一路などについて対外的言及が殆(ほとん)どなかったことだ。外交・安全保障面では、両国の偶発的軍事衝突を避ける海空連絡メカニズムに関する会合や海上捜索・救助協定の署名が実現したものの、これで歴史問題などの懸案が前進したわけでは全くない。中国側がこれらに固執しなければ首脳会談は成功する。逆に言えば、中国側はいつでもこれらを蒸し返す可能性があるということだ。されば、今回の首脳会談が大成功だったとはいえない。
(3)戦略と戦術を区別すべし
それでも今回の首脳会談は良かったと考える。振り返れば、安倍首相の最初の訪中は06年10月、「戦略的互恵関係」を旗印に小泉純一郎首相時代の日中関係を劇的に改善したのは安倍首相自身だった。ところが12年末に首相に返り咲くと、中国は同首相に尖閣問題で譲歩を迫り、世界各地で安倍孤立化キャンペーンを張った。
しかし、14年以降主要国では安倍評価が高まり、逆に中国が孤立化していく。17年にトランプ米政権が誕生すると、中国の孤立化はますます深まり、さらに今年に入って米中「大国間の覇権争い」が一層激化している。現在、日中関係は戦略レベルで「安倍首相の粘り勝ち」であり、さすがの中国も対日関係改善に動かざるを得なかったのだろうと推測する。
≪潜在的脅威は今後も続く≫
ここで重要なことは戦略と戦術の区別だ。中国にとって日本は潜在的敵対国であり、尖閣や歴史問題での戦略的対日譲歩はあり得ない。現在の対日秋波は日本からの対中投資を維持しつつ日米同盟関係に楔(くさび)を打つための戦術でしかない。一方、日本にとっても中国の潜在的脅威は今後も続く戦略問題だ。されば現時点で日本に可能なことは対日政策を戦術的に軟化させた中国から、経済分野で可能な限り譲歩を引き出すことだろう。
現在日中間で進んでいるのはあくまで戦術的な関係改善にすぎない。こう考えれば、欧米と普遍的価値を共有する日本が、産経の主張が強く反対する「軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択肢」をうやむやにしているとまでは言えない。
(4)中国の面子(めんつ)だけは潰せない
中国との付き合いで最も難しいことの一つが「面子」の扱いだ。日中で面子の意味は微妙に違うようだが、公の場で中国人を辱めれば、思いもよらない逆上と反発を招くことだけは確かだろう。逆に言えば、公の場で中国人の面子を保つ度量さえあれば、彼らは実質面で驚くほど簡単に譲歩することが少なくない。その意味でも首脳会談は成功だったのではないか。
勿論、これで中国が歴史、靖国や尖閣問題で実質的に譲歩するとは到底思えない。だが、米中関係が険悪であり続ける限り、中国は対日関係を維持せざるを得ない。しかし日本がこれを公式に言えば中国の面子が潰れる。日中関係は双方の智恵の勝負となるだろう。(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦 みやけ くにひこ)
先週、安倍晋三首相が訪中し日中首脳会談を行った。本邦メディアの論調は大きく割れた。一時は最悪といわれた両国関係につき、朝日新聞社説は「ここまで改善したことを評価したい」、読売も関係改善を「首脳レベルで確認した意義は大きい」と書いた。日経は「正常な軌道に乗りつつある」、毎日も「それなりの成果が認められる」とし、東京ですら、日中の「不毛な歴史を繰り返してはならない」と結んでいる。
これに対し産経の主張は一味違った。首脳会談の成果だとする関係改善は「日本が目指すべき対中外交とは程遠い。むしろ誤ったメッセージを国際社会に与えた」と手厳しい。会談の成果をどう見るべきか。筆者の見立てはこうだ。
≪前向きの評価は表面上の成果≫
(1)中国首脳の会談に失敗はない
2000年秋から3年半、北京の大使館勤務を経験した。そこで学んだのは「中国との首脳会談は成功しかない」ということだ。理由はいたって単純、中国側は不愉快なことがあると首脳会談そのものを中止するからだ。されば中国が失敗する首脳会談などあり得ず、中国各紙の前向き報道も当たり前なのだ。産経を除く主要各紙の前向きの評価は表面上の成果に目を奪われた、ある意味で当然の結果だと考える。
(2)書かれない事項こそが重要だ
勿論(もちろん)、一定の成果があったことは否定しない。安倍首相は「競争から協調へ」と述べ、対中政府開発援助(ODA)は「歴史的使命」を終えたが、日中企業の第三国での経済協力、ハイテク・知的財産に関する対話、ガス田開発協議の早期再開、円元通貨スワップ協定の再開など、経済分野で両国関係を進展させようとしている。それ自体は日本の経済界にとっても結構なことだ。
問題は共同記者発表などで語られなかった事項である。そもそも今回の訪中で共同声明などの文書は発表されなかった。これは中国側が今回の合意内容に満足していないことを暗示している。勿論、その点は日本側も同様だろう。
≪問題は蒸し返される可能性も≫
今回興味深かったのは、歴史、靖国、尖閣、南シナ海、一帯一路などについて対外的言及が殆(ほとん)どなかったことだ。外交・安全保障面では、両国の偶発的軍事衝突を避ける海空連絡メカニズムに関する会合や海上捜索・救助協定の署名が実現したものの、これで歴史問題などの懸案が前進したわけでは全くない。中国側がこれらに固執しなければ首脳会談は成功する。逆に言えば、中国側はいつでもこれらを蒸し返す可能性があるということだ。されば、今回の首脳会談が大成功だったとはいえない。
(3)戦略と戦術を区別すべし
それでも今回の首脳会談は良かったと考える。振り返れば、安倍首相の最初の訪中は06年10月、「戦略的互恵関係」を旗印に小泉純一郎首相時代の日中関係を劇的に改善したのは安倍首相自身だった。ところが12年末に首相に返り咲くと、中国は同首相に尖閣問題で譲歩を迫り、世界各地で安倍孤立化キャンペーンを張った。
しかし、14年以降主要国では安倍評価が高まり、逆に中国が孤立化していく。17年にトランプ米政権が誕生すると、中国の孤立化はますます深まり、さらに今年に入って米中「大国間の覇権争い」が一層激化している。現在、日中関係は戦略レベルで「安倍首相の粘り勝ち」であり、さすがの中国も対日関係改善に動かざるを得なかったのだろうと推測する。
≪潜在的脅威は今後も続く≫
ここで重要なことは戦略と戦術の区別だ。中国にとって日本は潜在的敵対国であり、尖閣や歴史問題での戦略的対日譲歩はあり得ない。現在の対日秋波は日本からの対中投資を維持しつつ日米同盟関係に楔(くさび)を打つための戦術でしかない。一方、日本にとっても中国の潜在的脅威は今後も続く戦略問題だ。されば現時点で日本に可能なことは対日政策を戦術的に軟化させた中国から、経済分野で可能な限り譲歩を引き出すことだろう。
現在日中間で進んでいるのはあくまで戦術的な関係改善にすぎない。こう考えれば、欧米と普遍的価値を共有する日本が、産経の主張が強く反対する「軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択肢」をうやむやにしているとまでは言えない。
(4)中国の面子(めんつ)だけは潰せない
中国との付き合いで最も難しいことの一つが「面子」の扱いだ。日中で面子の意味は微妙に違うようだが、公の場で中国人を辱めれば、思いもよらない逆上と反発を招くことだけは確かだろう。逆に言えば、公の場で中国人の面子を保つ度量さえあれば、彼らは実質面で驚くほど簡単に譲歩することが少なくない。その意味でも首脳会談は成功だったのではないか。
勿論、これで中国が歴史、靖国や尖閣問題で実質的に譲歩するとは到底思えない。だが、米中関係が険悪であり続ける限り、中国は対日関係を維持せざるを得ない。しかし日本がこれを公式に言えば中国の面子が潰れる。日中関係は双方の智恵の勝負となるだろう。(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦 みやけ くにひこ)
朝日、読売、毎日、日経、東京の各紙の前向きの評価は表面上の成果に目を奪われたなか、産経の主張が強く反対する「軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択肢」をうやむやにしているとまでは言えないというのが宮家氏。
中国側は不愉快なことがあると首脳会談そのものを中止するのだから、中国が失敗する首脳会談などあり得ず、表面上成功にみえるのは当然のことだと。
問題は共同記者発表などで語られなかった事項。
まず、今回の訪中で共同声明などの文書は発表されなかった事。これは、日中双方が、今回の合意内容に満足していないことを暗示していると。
そして、今回興味深かったのは、歴史、靖国、尖閣、南シナ海、一帯一路などについて対外的言及が殆(ほとん)どなかったことだと。
これは、中国側がいつでもこれらを蒸し返す可能性があるということだ。されば、今回の首脳会談が大成功だったとはいえないと。
それでも今回の首脳会談は良かったと宮家氏が指摘するのは、中国の安倍政権孤立化戦略に対し、14年以降主要国では安倍評価が高まり、逆に中国が孤立化していたところへ、トランプ米政権の誕生で、中国の孤立化はますます深まり、現在は、日中関係は戦略レベルで「安倍首相の粘り勝ち」となり、中国も対日関係改善に動かざるを得なくなったことだと。
重要なことは、中国にとって日本は潜在的敵対国であり、尖閣や歴史問題での戦略的対日譲歩はあり得ない。
現在の対日秋波は日本からの対中投資を維持しつつ日米同盟関係に楔を打つための戦術でしかないと。
勿論、日本にとっても中国の潜在的脅威は今後も続く戦略問題。
現時点で日本に可能なことは対日政策を戦術的に軟化させた中国から、経済分野で可能な限り譲歩を引き出すことだろうと。
現在日中間で進んでいるのはあくまで戦術的な関係改善にすぎない。なので、産経の主張が強く反対する「軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択肢」をうやむやにしているとまでは言えないとの宮家氏の評価。
米中関係が険悪であり続ける限り、中国は対日関係を維持せざるを得ない。日中関係は双方の智恵の勝負となるだろうと。
トランプ政権が、対中姿勢を覇権拡大の抑止に切り替えたことは何度も触れ続けさせていただていています。
中国の動きは、遙か遠い極東のことで感心の薄かった欧州勢も「一帯一路」政策が、欧州にも罠を含んだ覇権拡大の要素をもっていると認識され始め、警戒心が持たれ始めています。
歴史が変換点にさしかかっている兆しが見えます。
蛸壺に閉じこもって、世界を俯瞰出来ない野党やオールドメディア。
残りの任期が 3年となった安倍政権。レームダック化することは避けられませんが、逆に任期継続に配慮する重りもなくなったと言えます。
決める政治を断行いただけることを期待すると同時に、後任(日和見の岸田では日本は沈没します)の育成をお願いします。
日中首脳会談 誤ったメッセージを国際社会に与えた - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、元徴用工に対する賠償を日本企業に命じる判決が確定したことを受け、韓国の李洙勲(イ・スフン)駐日大使を外務省に招致し、「(昭和40年の)日韓請求権協定に明らかに違反し、国際社会の常識では考えられないことが起きている」と抗議した河野外相
岸田元外相では?
原告勝訴で前代未聞の判断 「解決済み」請求権問題蒸し返す - 産経ニュース

この花の名前は、ムシトリナデシコ
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