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遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中台首脳会談は歴史的か

2015-11-12 23:58:58 | 中国 全般
 習近平と馬英九が会談し、メディアは"歴史的"できごととして燥いでいました。遊爺は、レームダックの馬英九と会談しても無意味な事なのに、何故会談するのかと想いこそすれ、国民党劣勢の総統選に向けて、馬英九のSOSに対する習近平側のサービスと考え、民進党優勢の情勢ではむしろ圧力ととられ、逆効果を産み、1996年の失敗の繰り返しになるとの考えに賛成していました。
 メディアが"歴史的"できごととして燥ぐのは、国共内戦で蒋介石・国民党が台湾に逃れて以来、初の両党のトップ会談という形をもって燥いでいるのであって、中身をどこまで捉えてのことかは報じられていないのが実情でした。
 しかし、そこには習近平の罠の仕掛けへの前座のお芝居があるのが臭ってきます。
 

中台首脳会談は歴史的か (11/12 産経 【宮家邦彦のWorld Watch】)

 
「歴史的」な中台首脳会談が開かれた。異例には違いないが、筆者に高揚感はない。理由を書こう。
 報道では双方とも「92年合意」を確認したというが、実態は同床異夢だ。
台湾の馬英九総統にとって「一つの中国」とは中華民国。来年1月の総統選挙で国民党劣勢を挽回すべく良好な対中関係をアピールしたかったのだろう。この程度で台湾有権者が国民党を見直すとは思えない
が。
 
大陸中国側次期総統選挙で国民党に梃(てこ)入れ
すべく、「歴史的」首脳会談を設定する。この柔軟さは1996年の失敗の教訓だろうか。当時中国は台湾総統選挙に圧力をかけるべく台湾海峡でミサイル発射試験を行った。これに対し米国は空母2隻を派遣して中国を牽制(けんせい)した。結果的に、中国の脅迫は裏目に出る。総統選で中国が忌み嫌う李登輝候補が当選し、米国内では台湾支援の動きが加速した。

 それでは今回の中台首脳会談に日本はいかに対応すべきか。一部に、日本は台湾を「中国の一部」と認めており、日中国交正常化後は事実上日米安保条約の対象外になったとの俗説が流れているが、これは大きな誤りだ。
日本が対中・台関係に言及した重要文書
を読んでみよう。
 
第1は1960年の極東の範囲に関する政府統一見解だ。「在日米軍が日本の施設及(およ)び区域を使用して武力攻撃に対する防衛に寄与しうる区域」には「中華民国の支配下にある地域」も含まれ、現在はこれを「台湾地域」と読み替えている。
 第269年の佐藤・ニクソン共同声明だ。第4項で米国は「中華民国に対する条約上の義務を遵守(じゅんしゅ)する」、日本は「台湾地域における平和と安全の維持も日本の安全にとつてきわめて重要な要素
」と述べている。最後は72年の日中共同声明だ。
 第3項で日本は(台湾が中国の領土の一部であるとの)中国政府の「立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項に基づく立場を堅持する」と述べている。
 
第1の統一見解は今も生きている。在日米軍は台湾への武力攻撃に対する防衛に寄与する使命を持っている。第2の日米共同声明も同様だ。今の米国に「中華民国」への条約上の義務はないが、「台湾関係法」という国内法上の義務はある。日本にとっても、台湾の平和と安全が脅かされれば、日本の安全に「きわめて重要」となる
のだ。
 それは違うぞ、日中共同声明で日本は中国の立場を「十分理解し尊重」しているではないか、との反論もあろう。だが、第3項は日本が中国の主張自体を認めた趣旨ではない。72年の上海コミュニケでも米側は「両岸のすべての中国人が中国は一つであり、台湾は中国の一部であると主張していることを認識(アクノレッジ)する」としか述べていない。
米国は、中国が主張するという事実こそ認めたが、主張内容自体を認めてはいないのだ。日本の考え方も基本的には同様
である。

 いやいや73年、
大平正芳外相は台湾問題が「基本的には中国の国内問題」だと答弁しているではないかとの反論もあろう。実はこの答弁にも深い意味がある。日本の希望は台湾問題の平和的解決であり、中台が話し合いで統一される限りは「国内問題」、結果として中台統一が実現すれば日本はこれを受け入れる。他方、中国が武力による統一を試みた結果武力紛争が発生すれば、話はまるで違ってくる
、ということだ。

 
今回の「歴史的」中台首脳会談は双方の戦術的判断の結果であって、戦略的方針変更ではない日本は台湾との自由貿易協定や台湾のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)加盟など、これまで通り台湾との経済関係拡大を進めていくべきだ。中台どちらが正しいかは歴史が決めるだろう。

 宮家邦彦氏も、総統選へのプロパガンダの要素を重視し、双方の戦術的判断の結果であって、戦略的方針変更はないと断じておられます。
 対中関係への、日米の対応の現状の、ひとつの中国の認定と、そこに潜まされている外交のひだの解説は、とてもわかりやすい。

 遊爺が、習近平の罠の仕掛けへの前座のお芝居と感じるのは、月間WILL 12月号の李登輝元総統と桜井よしこ氏の対談の一節を想いだしたからです。
 李登輝氏は、1月16日の総統選挙で蔡英文氏が当選しても就任式は5月20日であり、その間に馬英九が何をしでかすかわからないと危惧しておられます。馬英九が勝手に中国との間に「和平協定」を締結してしまうのではないかという可能性です。
 国共内戦以来の会談をして、総統選に圧力をかけておきながら選挙で敗北したのでは、習近平の面目は丸つぶれです。しかも、その可能性は濃厚。それでも会談に踏み切った習近平の狙いは何か!
 政権交代の前に、蔡英文氏の行動に制限をかけておきたいからとしか考えられません。それが、李登輝氏が危惧される強引な「和平協定」の締結なのか、他のことなのか。1月の総統選後から、5月までの間に何かがある。
 そんな臭いがする、両者の会談です。来年の5月にはどうなっているのか、注目です。

 

 # 冒頭の画像は、会談した馬英九と習近平




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