
しかも、中国への投資を減らしたのは日本だけではないのだそうで、ASEAN諸国、EU、米国と世界各国へ広がりを見せているのだそうです。ただ、韓国と英国はこの流れに逆行して増えているのだと。
世界の投資マネーが中国から逃げ始めた。中国商務省が発表した1~5月の日本から中国への直接投資実行額が、前年同期比42・2%減の約20億ドル(約2038億円)と大幅に減少した。中国経済の失速懸念や、人件費や賃料など経費の上昇、さらに露骨な反日姿勢を受け、中国での事業拡大に嫌気がさした日本企業が増えているようだ。
直接投資実行額は、企業が現地に工場や法人を設立したり、現地企業に出資したりする際の投資額を示す。
日本からの投資激減について、中国商務省の沈丹陽報道官は記者会見で「政治関係の悪化は明らかに投資に影響している」と強調したが、中国への投資を減らしたのは日本だけではない。東南アジア諸国連合(ASEAN)からの投資も22・3%減、欧州連合(EU)は22・1%減、米国も9・3%減となった。
「世界の工場」と呼ばれたのも今は昔、中国は都市部を中心に賃金が毎年1~2割程度のペースで上昇。事務所や店舗の賃料も高騰し「上海中心部の商業施設の賃料は東京・銀座より高い」(小売業の関係者)との声もあるほどだ。
沈報道官は「中国の市場規模は拡大しており、外資を引きつける力は突出している」と強弁するが、共産党の一党独裁体制のもとで、安心して投資できないのが実情だ。
一方、韓国は同87・9%増とほぼ倍増。政治的にも経済的にも中国への依存度を強めている。
英国も同62・2%増だった。訪英中の中国の李克強首相はキャメロン英首相と会談し、総額140億ポンド(約2兆4000億円)以上の契約をまとめたと表明した。
李首相は国家元首でもないのにエリザベス女王と面会するなど異例の厚遇を受けた。英国はそこまで中国に肩入れして大丈夫なのか。
直接投資実行額は、企業が現地に工場や法人を設立したり、現地企業に出資したりする際の投資額と言うことですが、最近の流れは、世界各国が投資を減らす中、日本だけ増やし続けていた流れが続いていましたが、日本も投資減に転じたなか、欧米は増やしているといった傾向にあったと記憶しています。
欧米資本は脱中国 にもかかわらず進まぬ日本企業の脱中国 - 遊爺雑記帳
日本企業の中国への投資31.2%減。ベトナムは2.1倍などメコン地域は大幅増。 - 遊爺雑記帳
脱中国 or チャイナプラスワンの理由は、諸兄がご承知の通りで、記事でも指摘されている事も含め、世界の工場としての魅力であった人件費や固定費が高騰しその魅力が無くなったことや、労働争議の頻発化などが挙げられ、残る13億の人口による内需の魅力も、バブル崩壊などによる中国経済の失速懸念、脱中国には過大な費用が要ることから、健全なうちに早目の撤退が必要といったことが挙げられますね。
投資をしても、真似をする中国国内企業が出現し、価格競争となり利益が得られなくなるといったこともよく聞く話です。
経済統計の数値は様々な要因で振れますので、長いトレンドで見る必要がありますが、世界の国々の企業に対中投資減が広まりつつあるのは事実の様に見えます。
ただ、その中にあって、韓国と英国が伸びていて、世界のトレンドと逆行しているところが注目されます。
輸出が国の経済を支える韓国が、かつて韓国企業が価格競争で日本企業に追いつき追い越した様に、中国企業に追いつかれつつあり、中国への投資で凌ごうとするのは、まさに日本企業の歩んだ道を歩もうとしているのですね。しかしそれは、国内の空洞化を招き、デフレ経済の坂道に落ち込むこととなります。輸出依存度の高い韓国では、その深刻さは日本の比ではなくなるでしょう。
中国の属国への道を選択している朴槿恵ですから、覚悟の上の事なのでしょうが、国民の方々が、共産党独裁政治で、他民族を蔑視・迫害する中国の属国になることをよしとされているのかは、未明です。
遊爺が勉強不足で解らないのは、英国の62.2%増の値。英国からの投資が増えている内容や理由の情報を探してみましたが以下の記事くらいしか見つかりません。
<前略>
「我々は140億ポンド(約2兆4200億円)相当の契約に署名した」。キャメロン氏は首脳会談後の共同記者会見で、経済的な成果を強調した。
中国首脳の訪英は2011年以来。キャメロン氏が12年5月、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談したことを受け、激怒した中国側は昨年12月のキャメロン氏の訪中まで首脳会談に応じなかった。
中国は世界第2位の経済力を背景に、財政再建中の欧州で強気の外交を展開。今回の首脳会談でも、「経済・貿易関係」(高燕商務次官)を重点に、英国が懸念する人権問題などを脇に追いやった形だ。今回の訪英には、企業関係者200人以上が同行しており、エネルギー、投資、金融などの分野での商談は総額300億ドル(約3兆597億円)以上にのぼるという。
李氏は16日付英紙ザ・タイムズへの寄稿で、「中国には巨大な市場、 莫大ばくだい な外貨準備、競争力のある製造業がある」と強調した。
中国の経済攻勢を前に、英国は人権問題などで踏み込めずにいる。中国政府は今年4月、前回の首脳会談で合意した両国の人権対話を「内政干渉」を理由に一方的に延期したが、英側は手をこまねくしかなかった。
英外交筋によると、エリザベス女王との会見は中国側が、会見が実現しない場合は李氏の訪英を取り消す可能性を示唆、半ば強引に取り付けたものだという。
懸念を示した人権問題の矛を折られても黙認し、女王陛下への強権的会見にも屈してまで中国にへつらわねばならない大英国には、どんな理由があるのか。それだけ、英国の台所が苦しいのでしょうか。
今回の商談は、エネルギー、投資、金融の分野ということで、英国が世界をリードしている分野ではありますが、一旦投資すると撤退にコストがかかる中国、影の銀行がはびこる中国、バブル崩壊が懸念される中国に、韓国以外の世界の国々が二の足を踏んでいるなか、投資して大丈夫なのでしょうか。
今後の動向に注目ですね。
# 冒頭の画像は、エリザベス女王と面会する李克強首相

この画像は、ヒマラヤのズミ 撮影場所;六甲高山植物園 (2013年10月 撮影)
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