EUのギリシャに求める救済と引き換えのリストラに反対のデモをする国民や、辞任を条件にEUの救済策受け入れを唱える野党。EU諸国や、日本のマスコミや出演する素人に毛の生えたコメンテータたちはこぞって無責任とパパンドレウ氏を非難。でも、この騒動でギリシャ国内の危機感は少しは強まった様子で、パパンドレウ首相の狙いは奏功...。
民主党内や、自民党が反対するAPECでの参加表明を、野田首相は強行決断。久々に決断する首相が誕生するのでしょうか。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加をめぐる民主党の意見集約は、慎重派の反対論が強く、来週に持ち越されることになった。
米国がTPPの大枠合意を目指すハワイでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は12日に迫った。野田佳彦首相に残された時間は少ない。G20が開かれた仏カンヌで記者団に語ったのは「最終的には私の政治判断が必要になる」という言葉だった。
首相が自ら参加の覚悟を示さないことが慎重派を勢いづかせてきたのではないか。菅直人前政権以来の議論で論点は出尽くしている。首相は直ちに議論を収斂(しゅうれん)させ、決断の先頭に立つべきだ。
首相は代表質問の答弁で、「アジア太平洋地域の成長力を取り込めるメリットがある」とTPP参加の意義に言及した。ただ、「農業再生との両立」などの条件も挙げ、党内論議を尊重する姿勢を崩さなかった。意見集約の遅れから、執行部には「両論併記」でお茶を濁す考えも出ていた。
政府は参加9カ国の交渉経緯の情報を開示しており、例えば遺伝子組み換え作物や農薬など個別の安全基準は現在は議論されていない。にもかかわらず、慎重派側は「米国の圧力で基準が押しつけられる」との懸念を強調して反対の口実とする例が目立つという。
医療、労働などの分野でも、既得権益を守ろうとする業界の動きが活発だ。そうした問題を見通した上で業界を説得し、参加に向けてとりまとめることが国のかじ取りを担う首相の仕事だろう。
慎重派は、日本が譲歩を迫られた例として1980~90年代にかけての半導体や自動車摩擦を強調している。だが、日米が厳しい経済交渉を経て貿易を拡大させ、同盟関係も深化させてきたことを忘れてはなるまい。
自民党の対応も見過ごせない。党外交・経済連携調査会は4日、「APEC首脳会議での交渉参加表明には反対」との見解をまとめた。参加のメリット、デメリットについて「政府が正確な情報を出していない」などの理由を挙げているが、肝心のTPP参加そのものの是非には触れていない。
賛否両論を抱える党内に亀裂が生じるのを避けた面が大きい。政権復帰を目指すなら、重要政策で責任ある姿勢を示さなければ、国民の支持は得られまい。
ギリシャ議会が内閣信任案を可決、パパンドレウ首相は辞任示唆 | Reuters
石破氏、TPP交渉「参加を」 自民内の意見割れる :日本経済新聞
パパンドレウ流は、身を捨てて、EU諸国の怒りを買う危ない橋渡りのギリギリの演出で国民を目醒めさせようと言うものと理解しているのですが...。
自由貿易の流れに棹差す日本の民主党内部や自民党に対し、国益を眼醒めさせるのに、リーダーシップと言う名の決断で対処する野田氏。さらに付け加えると、ギリシャやイタリア以上の財政赤字を持つ日本への危機不安の矛先回避にも、消費税アップを国内より先行して国際公約し防戦するリーダーシップという決断を示しています。
対する自民党。最近毎日の様に書いてるのですが、石破、小池両氏を切って石原氏を残し、政権交代を招いた駄目自民党の象徴の派閥の年寄り主導政治に回帰した谷垣氏(もともとの本人はTPP参政派だったはず)は、産業界の要望に背を向けていますね。つまり、自爆への道に舵をきった。
自民党は、APECでの参加表明反対だけで、参加の是非や農業改革案、需要縮小の国内市場対策の明示は無。かつての野党の民主党と同じで、あるのは政府の決断に何でも反対の空虚な政局優先姿勢だけ。
民主党の反対派(=最近は慎重派と言葉を替える輩が増えた)や、自民党の反対派は、短時間で拙速と言いますが、少子高齢化で縮小する国内市場や、農林水畜産業の高齢化と後継者不足はとっくの昔からの重大課題で、そのための自由貿易(二国間から多国間への流れを持つ)への日本の取り組みが必要なことも解り切っていた話です。そのことに、どう乗り切るかの政見をもっていないで政治家たる資格はないのであって、時間はあまり関係ありません。あえて言えば、国民への解りやすい説明努力ですが、これはきりがないとも言えます。パパンドレウ流の綱渡りのショック療法か、竜馬の様な身を挺した開国派連合軍形成役の出現を待つしかないのでしょうか。
マスコミも、時間が足りない、拙速と言う政見を持たない怠慢で不勉強な政治家と同じようなことを言ってないで、TPPの内容についての報道と評論を高めるべきです。
石破氏は、党内で主張していますが、大勢の支持を得るに至っていない。自民党に、少子高齢化の日本を救う中長期展望で政治を語る、それも自己の利益でなく国益=国民や企業(含各種産業従事者)の利益を考える政治家はいないのでしょうか。
小鳩からカンラ菅&仙石の過ちを経た民主党の一部から、国益を考え決断する政治家が誕生したのでしょうか。
谷垣執行部を潰さないと、日本の本格保守党が消滅し、健全野党(政権交代を担える野党)がなくなってしまいます。
【参考】首都圏成人男女500人の電話による世論調査結果
新報道2001(10月27日調査・10月30日放送/フジテレビ)
# 冒頭の画像は、G20での野田氏。日本はGDPでは世界第3位の大国なのですが...。
この花の名前は、ヤマトリカブト (撮影場所=六甲高山植物園)