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ロシアのクリミア半島奪取では、オバマ大統領は早々に武力行使はしないと明言し、プーチン大統領のペースで着々と進められています。
かつての世界の警察の役割を放棄したオバマ政権。このことにより、世界の秩序が大きく変わったと言うことが具現化されているのです。東西冷戦時代には、それなりの均衡が保たれていましたが、それ以前の無秩序な、やりたい放題の時代に戻ったと言われていますね。戦後の戦勝国による世界の秩序を定める国連が、常任理事国が武力行使した場合に機能不全に陥ることも明示されました。ロシアのグルジア侵攻の時に顕在化していたのですが、今回、再発したということで、今後も発生した場合に、収集する術がないことが明らかになりかねない事態が今生じているのですね。
東アジアが抱える、中国の武力を伴う覇権拡大が、一段強権性を増すことが予測され、世界の平和が乱れる可能性が憂慮されます。
それだけに、米国のリーダーシップの変化には注目し、日本としての素早い対応の戦略が求められます。そこで、連日になりますが、米国について注視してみました。
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この花の名前は、カタバミ
↓よろしかったら、お願いします。
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かつての世界の警察の役割を放棄したオバマ政権。このことにより、世界の秩序が大きく変わったと言うことが具現化されているのです。東西冷戦時代には、それなりの均衡が保たれていましたが、それ以前の無秩序な、やりたい放題の時代に戻ったと言われていますね。戦後の戦勝国による世界の秩序を定める国連が、常任理事国が武力行使した場合に機能不全に陥ることも明示されました。ロシアのグルジア侵攻の時に顕在化していたのですが、今回、再発したということで、今後も発生した場合に、収集する術がないことが明らかになりかねない事態が今生じているのですね。
東アジアが抱える、中国の武力を伴う覇権拡大が、一段強権性を増すことが予測され、世界の平和が乱れる可能性が憂慮されます。
それだけに、米国のリーダーシップの変化には注目し、日本としての素早い対応の戦略が求められます。そこで、連日になりますが、米国について注視してみました。
日本の“積極的アタック”にとまどう米国 尖閣防衛の協力を迫っても米軍は動かない:JBpress
1997年に改定され今日も引き続き用いられている「日米防衛協力のための指針」を17年ぶりに見直すということで、日米実務者間の会合が、ホノルル郊外の太平洋海兵隊司令部、それに太平洋軍司令部がある海兵隊キャンプ・スミスで開催された。
この会合にはアメリカ軍からも海軍、陸軍、空軍そして海兵隊からも現役将校が参加し、防衛省自衛隊の実務担当者たちと意見交換を行った。
ただし、すでに会合以前から言われていたように、日米間には対中戦略(というよりは作戦レベルも含まれる)での基本姿勢に隔たりがあり、その溝を埋めて日本側の思惑を実現させるのはなかなか容易ではないようである。
1997年版ガイドラインでは軍事行動に消極的だった日本
1997年に改定された「日米防衛協力のための指針」すなわち現行ガイドラインでは、日本側が“軍事的要素”を極力排除しようとした消極的態度が強かった。
<中略>
日本の積極的姿勢に面食らうアメリカ側
だが今回の改定作業では日本側が俄然積極的になっていることに、アメリカ側の実務者たちは少々驚いている。
確かに、中国海洋戦力の飛躍的増強だけでなく、北朝鮮の危険性の増大やロシア軍事力の復活、世界的規模での対テロ戦争の泥沼化といった軍事的国際環境の変化や、通信手段の飛躍的変化、宇宙空間の軍事利用の発達といった軍事技術の変化などに対応した、新しい姿の共同作戦に関する方策をガイドラインに盛り込むことは当然の成り行きであると考えられる。
しかしながら、日本側は幅広い地政学的環境変化というよりは、増強著しい中国人民解放軍の脅威への対抗策に関心を集中させているようである。とりわけ尖閣諸島をはじめとする中国による覇権主義的海洋進出に対抗すべく、極めて具体的なシナリオを持ち出してアメリカ側による対日軍事支援に関する明確な姿勢を引き出そうとしている。これにアメリカ側実務担当者たちはかなり面食らっているようである。
例えば、日本側は「人民解放軍による尖閣占領と奪還」といった日中軍事衝突という有事のみならず、「中国の軍艦ではない船舶、例えば漁船や監視船が大量に尖閣諸島に押し寄せた場合の対処」「漁民などに擬装した人民解放軍によって尖閣諸島が占領された場合の対処」といった『国家安全保障戦略』にいう“グレーゾーン”に該当するような事態においても、米軍による具体的方針を引き出そうとしている。
<中略>
今日のアメリカはかつてのアメリカではない
しかしながら、現在のアメリカ軍そしてアメリカ社会は、1997年版ガイドライン策定当時からは大きく変化してしまっている。
2001年9月11日の同時多発テロ攻撃を境にして開始された対テロ戦争により、アメリカ軍は財政的にも人的資源的にもそして戦略的にも疲弊してしまっている。加えてオバマ政権による大幅な国防費削減ならびに強制財政削減措置により、かつてのように同盟国や友好国を“防衛する”ために世界中に軍隊を送り出す余裕はなくなりつつある。
もっとも、アメリカ社会自体も余裕がないため、他人のことを気遣う風潮など目に見えて薄れてきている。他国のために莫大な軍事予算と人命までをも犠牲にして“アメリカの栄光”を維持しようといった国民的気質も急速に失われつつある。
このような状況であるにもかかわらず、日本側にはオバマ政権が強調している「アジア重視政策」を日本防衛に都合の良いように解釈している傾向がある。
例えば、「アメリカ軍全体の予算・人員・戦力など全てが削減される中でアジア太平洋方面には重点配備がなされる」といった方針を、あたかも「日本防衛を重視し対中警戒態勢を強化する」といった具合に手前勝手な報道をするメディアも存在している。
しかしながら「海軍艦艇の60%を太平洋方面に配備する」と言ってはいるものの、実際のところ“からくり”が存在している。
アメリカ海軍は海軍戦力の著しい低下が強調されてしまうのを避けるために、戦闘部隊艦艇の数え方を変更した(戦闘部隊艦艇とは基本的には敵軍艦との戦闘に投入される部隊の軍艦という意味である)。すなわち、病院船や小型沿岸警備用パトロール艇なども戦闘部隊艦艇に算入して、数字上戦力の低下を最小限に食い止めようとしているのだ(米連邦議会下院軍事委員会海軍力小委員会委員長フォーブス議員は、このような動きを「紙の軍艦で現実の敵と戦うのか」と批判している)。したがっていくら6割の艦艇が太平洋方面に配備されるといっても、実質的戦力強化にならないことは明らかである。
これはほんの一例であり、中国人民解放軍の戦力増強と東アジア地域に展開する米軍戦力を客観的に比較すると、戦力増強などとは程遠い状態であると言わざるをえない。
すれ違う日米の思惑
もっともアメリカ側も日米同盟を強化しようとしているのは事実である。そして日米同盟に限らず、オーストラリア、フィリピン、韓国、タイなどとの間の同盟をも強化しようとしている。
ただし、日本側が期待している日米同盟の強化というのは「アメリカが現在以上に日本防衛のために強力なテコ入れをしてくれる」という意味での強化であるが、アメリカ側の同盟強化とはそのような意味は持っていない。
あけすけに言えば、日本をはじめ同盟諸国にこれまでアメリカが担ってきた軍事努力の一部、それもアメリカのマイナスにならない限度において、できるだけ多くの部分を肩代わりさせていこうという意味での同盟強化と言うことができる。これは、財政的にも戦略的にも余裕がなくなってきたアメリカ政府にとっては当然の流れであり、少なくともオバマ政権下ではこうした傾向が続くものと思われる。
突出したスーパーパワーの座から滑り落ちつつあるアメリカとの「日米防衛協力のための指針」改定には、上記のようなアメリカ側の政治的理由に基づいた障碍が立ちはだかっている。
それ以外にも、少なくとも日本側が拘泥する尖閣諸島に関する“グレーゾーン”事態共同作戦に関しては、「日本側の軍事的能力に関するアメリカ側の不安」という別の障碍(しょうがい)も存在しているようである。 (北村 淳)
1997年に改定され今日も引き続き用いられている「日米防衛協力のための指針」を17年ぶりに見直すということで、日米実務者間の会合が、ホノルル郊外の太平洋海兵隊司令部、それに太平洋軍司令部がある海兵隊キャンプ・スミスで開催された。
この会合にはアメリカ軍からも海軍、陸軍、空軍そして海兵隊からも現役将校が参加し、防衛省自衛隊の実務担当者たちと意見交換を行った。
ただし、すでに会合以前から言われていたように、日米間には対中戦略(というよりは作戦レベルも含まれる)での基本姿勢に隔たりがあり、その溝を埋めて日本側の思惑を実現させるのはなかなか容易ではないようである。
1997年版ガイドラインでは軍事行動に消極的だった日本
1997年に改定された「日米防衛協力のための指針」すなわち現行ガイドラインでは、日本側が“軍事的要素”を極力排除しようとした消極的態度が強かった。
<中略>
日本の積極的姿勢に面食らうアメリカ側
だが今回の改定作業では日本側が俄然積極的になっていることに、アメリカ側の実務者たちは少々驚いている。
確かに、中国海洋戦力の飛躍的増強だけでなく、北朝鮮の危険性の増大やロシア軍事力の復活、世界的規模での対テロ戦争の泥沼化といった軍事的国際環境の変化や、通信手段の飛躍的変化、宇宙空間の軍事利用の発達といった軍事技術の変化などに対応した、新しい姿の共同作戦に関する方策をガイドラインに盛り込むことは当然の成り行きであると考えられる。
しかしながら、日本側は幅広い地政学的環境変化というよりは、増強著しい中国人民解放軍の脅威への対抗策に関心を集中させているようである。とりわけ尖閣諸島をはじめとする中国による覇権主義的海洋進出に対抗すべく、極めて具体的なシナリオを持ち出してアメリカ側による対日軍事支援に関する明確な姿勢を引き出そうとしている。これにアメリカ側実務担当者たちはかなり面食らっているようである。
例えば、日本側は「人民解放軍による尖閣占領と奪還」といった日中軍事衝突という有事のみならず、「中国の軍艦ではない船舶、例えば漁船や監視船が大量に尖閣諸島に押し寄せた場合の対処」「漁民などに擬装した人民解放軍によって尖閣諸島が占領された場合の対処」といった『国家安全保障戦略』にいう“グレーゾーン”に該当するような事態においても、米軍による具体的方針を引き出そうとしている。
<中略>
今日のアメリカはかつてのアメリカではない
しかしながら、現在のアメリカ軍そしてアメリカ社会は、1997年版ガイドライン策定当時からは大きく変化してしまっている。
2001年9月11日の同時多発テロ攻撃を境にして開始された対テロ戦争により、アメリカ軍は財政的にも人的資源的にもそして戦略的にも疲弊してしまっている。加えてオバマ政権による大幅な国防費削減ならびに強制財政削減措置により、かつてのように同盟国や友好国を“防衛する”ために世界中に軍隊を送り出す余裕はなくなりつつある。
もっとも、アメリカ社会自体も余裕がないため、他人のことを気遣う風潮など目に見えて薄れてきている。他国のために莫大な軍事予算と人命までをも犠牲にして“アメリカの栄光”を維持しようといった国民的気質も急速に失われつつある。
このような状況であるにもかかわらず、日本側にはオバマ政権が強調している「アジア重視政策」を日本防衛に都合の良いように解釈している傾向がある。
例えば、「アメリカ軍全体の予算・人員・戦力など全てが削減される中でアジア太平洋方面には重点配備がなされる」といった方針を、あたかも「日本防衛を重視し対中警戒態勢を強化する」といった具合に手前勝手な報道をするメディアも存在している。
しかしながら「海軍艦艇の60%を太平洋方面に配備する」と言ってはいるものの、実際のところ“からくり”が存在している。
アメリカ海軍は海軍戦力の著しい低下が強調されてしまうのを避けるために、戦闘部隊艦艇の数え方を変更した(戦闘部隊艦艇とは基本的には敵軍艦との戦闘に投入される部隊の軍艦という意味である)。すなわち、病院船や小型沿岸警備用パトロール艇なども戦闘部隊艦艇に算入して、数字上戦力の低下を最小限に食い止めようとしているのだ(米連邦議会下院軍事委員会海軍力小委員会委員長フォーブス議員は、このような動きを「紙の軍艦で現実の敵と戦うのか」と批判している)。したがっていくら6割の艦艇が太平洋方面に配備されるといっても、実質的戦力強化にならないことは明らかである。
これはほんの一例であり、中国人民解放軍の戦力増強と東アジア地域に展開する米軍戦力を客観的に比較すると、戦力増強などとは程遠い状態であると言わざるをえない。
すれ違う日米の思惑
もっともアメリカ側も日米同盟を強化しようとしているのは事実である。そして日米同盟に限らず、オーストラリア、フィリピン、韓国、タイなどとの間の同盟をも強化しようとしている。
ただし、日本側が期待している日米同盟の強化というのは「アメリカが現在以上に日本防衛のために強力なテコ入れをしてくれる」という意味での強化であるが、アメリカ側の同盟強化とはそのような意味は持っていない。
あけすけに言えば、日本をはじめ同盟諸国にこれまでアメリカが担ってきた軍事努力の一部、それもアメリカのマイナスにならない限度において、できるだけ多くの部分を肩代わりさせていこうという意味での同盟強化と言うことができる。これは、財政的にも戦略的にも余裕がなくなってきたアメリカ政府にとっては当然の流れであり、少なくともオバマ政権下ではこうした傾向が続くものと思われる。
突出したスーパーパワーの座から滑り落ちつつあるアメリカとの「日米防衛協力のための指針」改定には、上記のようなアメリカ側の政治的理由に基づいた障碍が立ちはだかっている。
それ以外にも、少なくとも日本側が拘泥する尖閣諸島に関する“グレーゾーン”事態共同作戦に関しては、「日本側の軍事的能力に関するアメリカ側の不安」という別の障碍(しょうがい)も存在しているようである。 (北村 淳)
米国のリーダーシップの衰退原因に、オバマ大統領の外交手腕が挙げられていますね。しかし、それとは別に、米国の国力の低下や国民の厭戦気分の拡大も大きな影響を与えていると言えます。
記事でも書かれていますが、他国のために莫大な軍事予算と人命までをも犠牲にして“アメリカの栄光”を維持しようといった国民的気質も急速に失われつつある様です。
見直しが進められている「日米防衛協力のための指針」も、この米国の変化を反映したものでなくてはなりませんね。
言い古されたことですが、日本独自の抑止力の増強、集団的自衛権の行使を可能とさせること、日米同盟のほころびを修復、関連諸国との連携強化が急いで進められることを願うばかりです。
# 冒頭の画像は、ウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相とオバマ大統領
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この花の名前は、カタバミ
↓よろしかったら、お願いします。
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