遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日本企業 脱中国で生産拠点を東南アジアへ

2019-06-01 23:58:58 | 中国 全般
 激化する米中貿易摩擦が長期化することが見込まれ、日本企業が対応を迫られています。
 米国の対中制裁関税が拡大すれば、日本企業が中国で生産・対米輸出する多くの製品も価格競争力を失うことになります。
 このため、生産拠点を中国から他国に移す日本企業が相次いでいるのですね。
 ただ、移転に伴うコストや供給網の再構築といった負担に二の足を踏む企業もあるのだとも。
 
日本企業、脱中国シフト 生産拠点 東南アジアへ 米制裁関税競争力損なう (6/1 読売朝刊)

 激化する米中貿易摩擦に日本企業が対応を迫られている。米国が段階的に進める中国への制裁関税の対象がほぼ全ての製品に広がれば、日本企業が現地で生産する多くの製品も価格競争力を失うためだ。生産拠点を中国から他国に移す日本企業が相次ぐ一方、移転に伴うコストや供給網の再構築といった負担に二の足を踏む企業もある。

■応酬
 昨夏から始まった米中による制裁関税の応酬は、中国が1日、制裁関税第3弾に踏み切るなど収束の気配がない。これに先立ち米国は5月13日、第4弾として約3000億ドル(約33兆円)相当の中国製品に最大25%の関税を課す計画の原案を発表した。
 第4弾は対象品目の4割が消費財で、関税による値上がりが米国内での販売減に直結しやすく、実際に発動されればこれまで以上に影響が大きくなるとの懸念がある。携帯電話やノートパソコンに加え、日本企業が現地で多く生産・輸出するゲーム機や腕時計、衣料品も対象となる。

 このため、
生産拠点を東南アジアなどへ移す動きが加速している。
 
カシオ計算機は主力腕時計「Gショック」を含む時計や楽器について、米国向けの生産を中国からタイや日本に移す検討に入った。制裁関税でGショックなどの時計事業が受ける影響額を7億円と試算しており、生産移転で半分程度に縮小できると見込む。リコーは今夏にもコピーやファクス機能がついた複合機の米国向け生産をタイに移管することを決めた。
 「ユニクロ」を展開する
ファーストリテイリングは、北米約50店舗向けに中国から輸出する衣類品について、ベトナムやバングラデシュなどで生産する比重を高める検討に入った。パナソニックは今年に入り、第3弾までの制裁関税の対象となったカースーレオなど車載関庫機器の一部をタイやマレーシアの工場に移した

■困難
 ただ、
委託生産に頼る日本企業にとって「脱中国」は一筋縄ではない
 任天堂は、中国で生産する家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のうち約4割が米国を中心とした米大陸向けだ。第4弾により米国での輸入価格は25%上昇する見通しだが、委託先の台湾企業生産しており、自社だけの判断で生産拠点を移すことができない。
 京セラも複合機の一部生産をベトナムへ移管することを検討するが、ベトナムでは製造できる複合機の種類が限られている。関係者は「簡単に生産を移管することはCさない」と話す。
 米中貿易摩擦が長期化することで、中国から他国への生産移管が進むほか、中国製品に組み込まれる日本製部品などの需要が縮小する。大和総研の小林俊介工コノミストの試算では、米国が第4弾を発動した場合、日本の輸出が1.3兆円押しドげられるという。

中国製造業 景況感悪化 5月PMI 「50」3か月ぶり下回る

 【北京=小川直樹】
中国の国家統計局が31日発表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月より0.7ポイント低い49.4だった。景気の拡大と縮小の分岐点となる「50」を3か月ぶりに下回った。米中貿易摩擦の激化で、製造業の景況感が悪化している様子が浮き彫りになった。
 落ち込みが大きかったのが新規受注の指数だ。前月より1.6ポイント低い49.8となり、4か月ぶりに節目の「50」を下回った。輸出関連に限ると2.7ポイント低い46.5だった。
 米国が5月10日に2000億ドル相当の中国製品にかけている制裁関税を10%から25%に引き上げた影響がでているとみらける。
 
景況感の悪化は雇用にも影響を与えており雇用に関する指数は0.2ポイント低下して47.0となった。これはリーマンショック後の2009年2月以来、約10年ぶりの低い水準だ。

 もともと、中国が世界の工場として急成長したのは人件費や工場建設費が安価であったことによるものでした。
 製造業の中で、組み立て業や加工業等の労働集約型の業種の進出が多かったのですが、中国でも人件費の高騰は進んできていて、脱中国や「チャイナプラスワン」が進められてはいました。
 ただ、中国国内での経済成長による需要の拡大もあり、躊躇する企業もありました。
 今回の米中の「新冷戦」の長期化で、日本企業は、再び経営判断を迫られることになっているのですね。
 しかも、米中の覇権争いが動向を左右するのですから、これまでの、人件費高騰などの経済要因とは異なり、見通しがつけにくく難しい判断となります。

 中国国民は、政治の動向(共産党独裁国家で自由が規制される)より、自分の経済環境の動向に感心が強いと言われています。
 米中貿易戦争の影響で、景気が悪化し、雇用にも悪影響が出始めているのだそうです。
 雇用に関する指数は0.2ポイント低下して47.0となり、リーマンショック後の2009年2月以来、約10年ぶりの低い水準に達したのだと。

 今回、米中貿易交渉がまとまりかけていたのに、中国側が最終段階で譲歩した交渉内容を覆したからとされていることは、諸兄がご承知の通りです。
 習近平が、米国に譲歩することで批難が高まることを恐れての決断だったと言われていますね。

 派閥争いを制して毛沢東の様な独裁政権体制を構築したかにみえた習近平ですが、定年制は廃したものの、選挙制は残っているので、毛沢東程の専制政治には至っておらず、反対勢力の台頭があればその座は覆されるのですね。

 景気の悪化、しかも雇用の悪化も加われば、政治家の派閥争いに留まらず、人民も動く習近平の国家主席の座の危機となります。
 万全と観られた習近平の足元に、危惧の気配がただよいはじめたと診るのは早計すぎでしょうか。



 # 冒頭の画像は、ワシントンで貿易交渉に臨んだ中国の劉鶴副首相




  この花の名前は、ハルリンドウ


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