ロシアが主催する「東方経済フォーラム」といえば、昨年、習近平と安倍首相が同席する檀上で、プーチン大統領が突然、年内の平和条約締結を言いだして、以後、北方領土交渉が急展開し、露側のゼロ島返還主張に至る現状を産んだ、日露関係の歴史的転換を産んだ会議です。
今年も安倍首相は参加しましたが、今のところ注目するような報道は見られず、今回はインドが注目されている様です。
ロシア国内での会議への評価は低く、毎回、近隣国の首脳を順に主賓として招いてきたが、日中韓に今回のインドと、アジア主要国の首脳は一巡し、今後、注目を集める賓客を呼ぶのは難しいとの観測を伝える新聞もあったのだそうです。
複数の露メディアは、政府による華々しいアピールを疑問視し、実質的な成果の乏しさを指摘した。ロシアのビジネス環境の悪さを批判する論調も目立ったとも。
リベラル紙ノーバヤ・ガゼータは「東方へは橋半ば」と題した記事で、政府の本気度に疑いの目を向けた。
欧米との関係を悪化させたロシアは、発展の著しいアジアに近く、資源も豊富な極東を重視する姿勢を鮮明にし、今回のフォーラムでもプーチン大統領は成果をアピールしたのですが、ノーバヤ・ガゼータの記事は、“成果”について「慣例に従って『記録的な数の契約』が報告されたが、真に大きな契約は結ばれなかった」と指摘。
背景にあるのは、極東には道路などのインフラが不十分で人口も少なく、外国人投資家を引きつける魅力がないことを挙げ、また、外国人投資家が恣意的に刑事訴追される事例が相次いでいることもロシアのビジネス環境を悪化させているとも。
他紙にも否定的な論調が目立つのだそうで、経済紙コメルサントは、極東への投資のうち外国からのものは20%以下だと指摘。結ばれた契約についても「契約されただけで少しも実行されていない」と実態を伝え、頻繁に変わる市場ルールや高金利、対露経済制裁、汚職などが外国からの投資を妨げていると指摘しているのだそうです。
プーチン大統領やラブロフ外相他が、日本に経済投資の促進をしつこくしかも強く求め続けている由縁ですね。
強硬な対日交渉姿勢の裏には、国内世論の厳しい政府への評価があるのですね。
モディ首相が初参加したインドは、対露強気姿勢。
印経済紙エコノミック・タイムズは、「インドは新しいエネルギー源にアクセスし、中東への依存度を減らすことができる。印露関係を国防面にとどめず、多様化させる野心的な動きだ」と評価。
一方、これまで軸となってきた国防面や原子力分野での連携は減っていくと見ているのだそうです。ロシアと共同で開発した南部タミルナド州で稼働中の原発は「何度も停止し、信頼できる電力源とは考えられない」と断じているのです。
日印原子力協定を締結した日本でしたが、結局頓挫したのでしたね。
インドへの原発輸出 日本メーカーが懸念する現地法 : J-CASTニュース
【主張】原発輸出の頓挫 政府の姿勢を明確に示せ - 産経ニュース
印経済紙エコノミック・タイムズは、「インドはロシアなしで生きていくことができますか、答えは『イエス』。インドはロシアなしで生きたいですか、答えは『ノー』だ。ロシアは、インドが提供する新しい取引を最大限活用すべきだ。いくつかの古い取引は消えることになるだろう」とし、新時代の印露関係を予想。
大国としての存在感を増しつつあるインドの自信をのぞかせたのだそうです。
やがて、中国の人口を追い越すと、成長が期待されるインド。
ソ連時代から、中国を挟み撃ちにする軍事関係がありましたが、新しい印露関係が構築される様ですね。
# 冒頭の画像は、当方経済フォーラム壇上の、安倍、モディ、プーチンの3首脳
この花の名の名前は、ヤマラッキョウ
↓よろしかったら、お願いします。
今年も安倍首相は参加しましたが、今のところ注目するような報道は見られず、今回はインドが注目されている様です。
【環球異見】東方経済フォーラム 露紙「実質的な成果に疑問符」 印紙「印露関係の新たな一ページ」 - 産経ニュース 2019.9.16
ロシア極東地域への投資呼び込みを目的とした「東方経済フォーラム」が今月4~6日にウラジオストクで開催された。安倍晋三首相のほか、初参加となったインドのモディ首相ら外国首脳が出席した。プーチン露政権は「成果」を大々的に宣伝したが、露紙からは冷ややかな見方が出ている。米国と中露の間でバランス外交を模索するインドは、極東での資源開発に関心を示し、印露関係の幅を広げたい意向だ。
◇
□ロシア ノーバヤ・ガゼータ
■実質的な成果に疑問符
5回目となった東方経済フォーラムについて、複数の露メディアは、政府による華々しいアピールを疑問視し、実質的な成果の乏しさを指摘した。ロシアのビジネス環境の悪さを批判する論調も目立った。
6日付のリベラル紙ノーバヤ・ガゼータは「東方へは橋半ば」と題した記事で2つのエピソードを紹介した。
第1は、政府がフォーラムで、開催地ウラジオストクの象徴である橋でなく、誤ってタイ・バンコクの橋の写真をあしらった小冊子を配布したこと。
第2は、中露両国が国境のアムール川(黒竜江)で進める橋の共同建設をめぐり、中国は自国側の建設を早々に終えたにもかかわらず、ロシア側の建設作業は長期化したことである。
記事は、橋に関する2つのエピソードを露政府に重ね合わせ、「極東の発展実現」をゴール(対岸)に掲げる政府の本気度に疑いの目を向けた。
2014年のクリミア併合などで欧米との関係を悪化させたロシアは、発展の著しいアジアに近く、資源も豊富な極東を重視する姿勢を鮮明にした。経済特区や無関税の自由港を設け、人口流出に対処するため極東への移住者に無償で土地を供与する政策も進める。
プーチン大統領は、フォーラムが始まった15年以降、極東には6120億ルーブル(約1兆円)が投資され、人口減少も緩やかになったと演説で強調した。露政府は、今年のフォーラムで過去最高となる270件、計3・4兆ルーブル(約5兆5900億円)規模の契約や覚書が締結されたとしている。
しかし記事はこうした“成果”について「慣例に従って『記録的な数の契約』が報告されたが、真に大きな契約は結ばれなかった」と指摘。背景として、極東には道路などのインフラが不十分で人口も少なく、外国人投資家を引きつける魅力がないことを挙げた。
記事は、外国人投資家が恣意(しい)的に刑事訴追される事例が相次いでいることもロシアのビジネス環境を悪化させているとした。「ロシアで契約が信頼できるとみなされるのは、締結時にプーチン大統領個人が同席した場合だけだ。外国投資家は時間をかけてこのルールを学んだ」と結んでいる。
他紙にも否定的な論調が目立つ。6日付の経済紙コメルサントは、極東への投資のうち外国からのものは20%以下だと指摘。結ばれた契約についても「契約されただけで少しも実行されていない」と実態を伝え、頻繁に変わる市場ルールや高金利、対露経済制裁、汚職などが外国からの投資を妨げていると指摘した。
フォーラムは毎回、近隣国の首脳を順に主賓として招いてきた。しかし日中韓に今回のインドと、アジア主要国の首脳は一巡し、今後、注目を集める賓客を呼ぶのは難しいとの観測を伝える新聞もあった。(モスクワ 小野田雄一)
□インド エコノミック・タイムズ
■印露関係の新たな一ページ
インドはソ連時代から軍事面を中心にロシアと結びつきが強く、「古い友人」(印紙ヒンズー)という意識は強い。2018年10月には、米国の懸念を振り切り、ロシア製の最新鋭地対空ミサイルシステム「S400」を導入する契約を締結した。印紙はモディ首相が初めて東方経済フォーラムに参加し、極東地域への融資枠を10億ドル(約1080億円)拡大したことは両国間の歴史の新たな一ページと評価する。
「インドのロシアでの視線は、初めてモスクワから資源が豊富な極東地域へと移った」と分析したのは、7日付の印経済紙エコノミック・タイムズ(電子版)だ。「極東が近づく」との分析記事で、「インドは新しいエネルギー源にアクセスし、中東への依存度を減らすことができる。印露関係を国防面にとどめず、多様化させる野心的な動きだ」と評価した。
同紙はこれまで軸となってきた国防面や原子力分野での連携は減っていくと見る。ロシアと共同で開発した南部タミルナド州で稼働中の原発は「何度も停止し、信頼できる電力源とは考えられない」と断じ、「遅かれ早かれ、インド政府は(原発事業について)厳しい決定を下さなければならない」と指摘した。
記事は結びとして、大国としての存在感を増しつつあるインドの自信をのぞかせた。「インドはロシアなしで生きていくことができますか、答えは『イエス』。インドはロシアなしで生きたいですか、答えは『ノー』だ。ロシアは、インドが提供する新しい取引を最大限活用すべきだ。いくつかの古い取引は消えることになるだろう」とし、新時代の印露関係を予想した。
7日付のヒンズー(電子版)はロシア極東への関心が持つ戦略的意義を強調。「ロシアはヨーロッパの大国と見なされており、極東地域はしばしば海外の投資家からも無視されている」とした上で、「インドの極東への関心は、インド太平洋地域にロシアを引き寄せたいというインドの願望を強調するものだ」と分析した。(シンガポール 森浩)
ロシア極東地域への投資呼び込みを目的とした「東方経済フォーラム」が今月4~6日にウラジオストクで開催された。安倍晋三首相のほか、初参加となったインドのモディ首相ら外国首脳が出席した。プーチン露政権は「成果」を大々的に宣伝したが、露紙からは冷ややかな見方が出ている。米国と中露の間でバランス外交を模索するインドは、極東での資源開発に関心を示し、印露関係の幅を広げたい意向だ。
◇
□ロシア ノーバヤ・ガゼータ
■実質的な成果に疑問符
5回目となった東方経済フォーラムについて、複数の露メディアは、政府による華々しいアピールを疑問視し、実質的な成果の乏しさを指摘した。ロシアのビジネス環境の悪さを批判する論調も目立った。
6日付のリベラル紙ノーバヤ・ガゼータは「東方へは橋半ば」と題した記事で2つのエピソードを紹介した。
第1は、政府がフォーラムで、開催地ウラジオストクの象徴である橋でなく、誤ってタイ・バンコクの橋の写真をあしらった小冊子を配布したこと。
第2は、中露両国が国境のアムール川(黒竜江)で進める橋の共同建設をめぐり、中国は自国側の建設を早々に終えたにもかかわらず、ロシア側の建設作業は長期化したことである。
記事は、橋に関する2つのエピソードを露政府に重ね合わせ、「極東の発展実現」をゴール(対岸)に掲げる政府の本気度に疑いの目を向けた。
2014年のクリミア併合などで欧米との関係を悪化させたロシアは、発展の著しいアジアに近く、資源も豊富な極東を重視する姿勢を鮮明にした。経済特区や無関税の自由港を設け、人口流出に対処するため極東への移住者に無償で土地を供与する政策も進める。
プーチン大統領は、フォーラムが始まった15年以降、極東には6120億ルーブル(約1兆円)が投資され、人口減少も緩やかになったと演説で強調した。露政府は、今年のフォーラムで過去最高となる270件、計3・4兆ルーブル(約5兆5900億円)規模の契約や覚書が締結されたとしている。
しかし記事はこうした“成果”について「慣例に従って『記録的な数の契約』が報告されたが、真に大きな契約は結ばれなかった」と指摘。背景として、極東には道路などのインフラが不十分で人口も少なく、外国人投資家を引きつける魅力がないことを挙げた。
記事は、外国人投資家が恣意(しい)的に刑事訴追される事例が相次いでいることもロシアのビジネス環境を悪化させているとした。「ロシアで契約が信頼できるとみなされるのは、締結時にプーチン大統領個人が同席した場合だけだ。外国投資家は時間をかけてこのルールを学んだ」と結んでいる。
他紙にも否定的な論調が目立つ。6日付の経済紙コメルサントは、極東への投資のうち外国からのものは20%以下だと指摘。結ばれた契約についても「契約されただけで少しも実行されていない」と実態を伝え、頻繁に変わる市場ルールや高金利、対露経済制裁、汚職などが外国からの投資を妨げていると指摘した。
フォーラムは毎回、近隣国の首脳を順に主賓として招いてきた。しかし日中韓に今回のインドと、アジア主要国の首脳は一巡し、今後、注目を集める賓客を呼ぶのは難しいとの観測を伝える新聞もあった。(モスクワ 小野田雄一)
□インド エコノミック・タイムズ
■印露関係の新たな一ページ
インドはソ連時代から軍事面を中心にロシアと結びつきが強く、「古い友人」(印紙ヒンズー)という意識は強い。2018年10月には、米国の懸念を振り切り、ロシア製の最新鋭地対空ミサイルシステム「S400」を導入する契約を締結した。印紙はモディ首相が初めて東方経済フォーラムに参加し、極東地域への融資枠を10億ドル(約1080億円)拡大したことは両国間の歴史の新たな一ページと評価する。
「インドのロシアでの視線は、初めてモスクワから資源が豊富な極東地域へと移った」と分析したのは、7日付の印経済紙エコノミック・タイムズ(電子版)だ。「極東が近づく」との分析記事で、「インドは新しいエネルギー源にアクセスし、中東への依存度を減らすことができる。印露関係を国防面にとどめず、多様化させる野心的な動きだ」と評価した。
同紙はこれまで軸となってきた国防面や原子力分野での連携は減っていくと見る。ロシアと共同で開発した南部タミルナド州で稼働中の原発は「何度も停止し、信頼できる電力源とは考えられない」と断じ、「遅かれ早かれ、インド政府は(原発事業について)厳しい決定を下さなければならない」と指摘した。
記事は結びとして、大国としての存在感を増しつつあるインドの自信をのぞかせた。「インドはロシアなしで生きていくことができますか、答えは『イエス』。インドはロシアなしで生きたいですか、答えは『ノー』だ。ロシアは、インドが提供する新しい取引を最大限活用すべきだ。いくつかの古い取引は消えることになるだろう」とし、新時代の印露関係を予想した。
7日付のヒンズー(電子版)はロシア極東への関心が持つ戦略的意義を強調。「ロシアはヨーロッパの大国と見なされており、極東地域はしばしば海外の投資家からも無視されている」とした上で、「インドの極東への関心は、インド太平洋地域にロシアを引き寄せたいというインドの願望を強調するものだ」と分析した。(シンガポール 森浩)
ロシア国内での会議への評価は低く、毎回、近隣国の首脳を順に主賓として招いてきたが、日中韓に今回のインドと、アジア主要国の首脳は一巡し、今後、注目を集める賓客を呼ぶのは難しいとの観測を伝える新聞もあったのだそうです。
複数の露メディアは、政府による華々しいアピールを疑問視し、実質的な成果の乏しさを指摘した。ロシアのビジネス環境の悪さを批判する論調も目立ったとも。
リベラル紙ノーバヤ・ガゼータは「東方へは橋半ば」と題した記事で、政府の本気度に疑いの目を向けた。
欧米との関係を悪化させたロシアは、発展の著しいアジアに近く、資源も豊富な極東を重視する姿勢を鮮明にし、今回のフォーラムでもプーチン大統領は成果をアピールしたのですが、ノーバヤ・ガゼータの記事は、“成果”について「慣例に従って『記録的な数の契約』が報告されたが、真に大きな契約は結ばれなかった」と指摘。
背景にあるのは、極東には道路などのインフラが不十分で人口も少なく、外国人投資家を引きつける魅力がないことを挙げ、また、外国人投資家が恣意的に刑事訴追される事例が相次いでいることもロシアのビジネス環境を悪化させているとも。
他紙にも否定的な論調が目立つのだそうで、経済紙コメルサントは、極東への投資のうち外国からのものは20%以下だと指摘。結ばれた契約についても「契約されただけで少しも実行されていない」と実態を伝え、頻繁に変わる市場ルールや高金利、対露経済制裁、汚職などが外国からの投資を妨げていると指摘しているのだそうです。
プーチン大統領やラブロフ外相他が、日本に経済投資の促進をしつこくしかも強く求め続けている由縁ですね。
強硬な対日交渉姿勢の裏には、国内世論の厳しい政府への評価があるのですね。
モディ首相が初参加したインドは、対露強気姿勢。
印経済紙エコノミック・タイムズは、「インドは新しいエネルギー源にアクセスし、中東への依存度を減らすことができる。印露関係を国防面にとどめず、多様化させる野心的な動きだ」と評価。
一方、これまで軸となってきた国防面や原子力分野での連携は減っていくと見ているのだそうです。ロシアと共同で開発した南部タミルナド州で稼働中の原発は「何度も停止し、信頼できる電力源とは考えられない」と断じているのです。
日印原子力協定を締結した日本でしたが、結局頓挫したのでしたね。
インドへの原発輸出 日本メーカーが懸念する現地法 : J-CASTニュース
【主張】原発輸出の頓挫 政府の姿勢を明確に示せ - 産経ニュース
印経済紙エコノミック・タイムズは、「インドはロシアなしで生きていくことができますか、答えは『イエス』。インドはロシアなしで生きたいですか、答えは『ノー』だ。ロシアは、インドが提供する新しい取引を最大限活用すべきだ。いくつかの古い取引は消えることになるだろう」とし、新時代の印露関係を予想。
大国としての存在感を増しつつあるインドの自信をのぞかせたのだそうです。
やがて、中国の人口を追い越すと、成長が期待されるインド。
ソ連時代から、中国を挟み撃ちにする軍事関係がありましたが、新しい印露関係が構築される様ですね。
# 冒頭の画像は、当方経済フォーラム壇上の、安倍、モディ、プーチンの3首脳
この花の名の名前は、ヤマラッキョウ
↓よろしかったら、お願いします。