遊爺雑記帳

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中国「国防白書」 米中間の緊張は急速に高まった

2015-05-28 01:18:42 | 中国 全般
 中国政府は、「中国の軍事戦略」と題する国防白書を発表(26日)しました。
 その中で、安倍政権の安全保障政策に警戒感を示すとともに、南シナ海に関し名指しを避けながらも、フィリピン、ベトナムとの領土・領海争いや、米国の関与に触れ、「予見できる未来において世界大戦は起こらないが、世界は依然として現実的・潜在的な局地戦争の脅威に直面している」との認識を示しました。その上で、「戦争準備態勢」を維持し、特に「海上の軍事闘争とその準備を最優先し、領土主権を断固守り抜く」と、海軍力を強化する戦略を打ち出しました。
 南シナ海で埋め立てにより造られた人口島は、領土・領海の起点とならないことは国際海洋法で定められており、米国は認めない立場を貫いていますので(当然のことで日本も同じ立場)、南シナ海での両国軍の最前線でいっきに緊張が高まっています。

 
中国、国防白書で米を批判…「域外国家が介入」 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
 
米中の緊張鮮明 中国国防白書 習政権 南シナ海に重点 (5/27 読売朝刊)

 【北京=五十嵐文】中国の習近平シージンピン政権は26日に発表した国防白書で、名指しは避けながらも、南シナ海での米国の偵察活動を批判し、軍事力を背景に南シナ海の実効支配を強める戦略を明確に打ち出した。南シナ海をめぐる米中間の緊張は急速に高まっている


 26日に記者会見した中国国防省の楊宇軍報道官は、中国が南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で進める岩礁埋め立てや施設建設に対する米国の偵察活動について、「中国軍は必要かつ合法的でプロフェッショナルな対応措置を取っている。(緊張が高まったのは)ある国が偵察活動の頻度を上げたことが原因だ」と述べ、米国を一方的に非難した。
 
中国へのけん制を強める米国に対し、中国は逆に挑発の度合いを強めている
。中国国営新華社通信は26日、中国がスプラトリー諸島のクアテロン礁など2か所に建設する大型灯台の着工式を行ったと伝えた。米情報サイト「ワシントン・フリー・ビーコン」は最近、スプラトリー諸島で偵察中の米無人偵察機「グローバルホーク」に中国軍が電波妨害を仕掛けたと報じた。偵察機の墜落につながる攻撃的な行為といえる。
 
今回の国防白書は、「中国の軍事戦略の重点が南シナ海に移った」(中国軍関係者)ことを示す
との見方がある。実際、中国軍にとって南シナ海での軍事拠点の確保は、米軍に対する優位性を確保する上で喫緊の課題と言える。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報によると、中国軍は南シナ海で米軍の艦艇や潜水艦に対応する能力はあるが、空中では戦闘機の連続飛行能力は2、3時間程度。航空機の燃料補給や離着陸が可能な施設の確保を迫られている。

米は哨戒機派遣を継続
 【ワシントン=今井隆】オバマ米政権は、中国が南シナ海のスプラトリー諸島で進める
岩礁埋め立ては領有権主張の根拠にならないことを示すため、米軍の哨戒機や艦船を引き続き人工島周辺に派遣する方針
だ。
 米政府は中国に対し、紛争の平和的解決を図り、「航行の自由」を尊重するよう重ねて要求している。米軍は埋め立て進展を受け、周辺海域での警戒監視活動を活発化。沿海域戦闘艦(LCS)を派遣したほか、20日にはP8哨戒機に米CNNテレビの取材班を同乗させ、人工島周辺を飛行した。
 国際法では海岸線から12カイリ(約22キロ)が領海・領空と定められており、
国防総省が「次の段階」(ウォレン国防総省報道部長)と位置づけるのが、人工島の12カイリ内に哨戒機などを進入させることだ。ただ、中国が反発し、偶発的衝突の危険性が高まることから、米政府は慎重に検討を進めている

 中国が何故南シナ海の制海・空権に重点を置くのか。これまでにも何度も触れてきましたが、一番は「A2/AD戦術」や、米国本土まで届くミサイル搭載の潜水艦を水深の深い南シナ海に勇躍させるといった、重要な軍事拠点であると言うことです。
 次いで、日本には死活的に影響を及ぼしますが、中東からのエネルギーのシーレーンルート(中国は、ミヤンマーからの陸路も開拓)であること。習近平の「新シルクロード(一帯一路)構想」の海路の出発点でもあることです。

 繰り返しになりますが、埋め立てによって造られた人口島は領土にならず、当然領海やEEZの基点にならないことは、国際海洋法で定められています。
 これらの人工島を領土と主張し、軍事基地を建設することを容認することは断固として出来ません。
 米国やフィリピン、ベトナム他の沿岸諸国もさることながら、日本にとってもエネルギー安全保障にかかわる死活的重要問題です。
 今日(27日)から始まった国会論議の重要課題の、集団的自衛権の発動に係る問題と言えます。
 米国が、独り、中国牽制の行動をしてくれていますが、日本も周辺国と共に立ち上がり、自国の国益を護らねばならない事態です。藤井厳喜氏が、日本もこれらの国々と共同して対処すべきと唱えておられます。
 2015/05/27 ザ・ボイス 藤井厳喜 ニュース解説
 
  ↑
 22分25秒(画面下のルーラーで早送りできます)あたりから本件の話
 
 英独仏伊は目先の利益を極東や世界平和維持より優先させてAIIBでの中国の覇権拡大の野望に加担しましたが、トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は、中国の南シナ海岩礁埋め立てを批判しておられます。
 
EU大統領、中国の南シナ海岩礁埋め立てを批判(読売新聞) - goo ニュース

 とはいえ、いきり立つ中国共産党の人民解放軍。暴走しかねない危険もあるので、米国も慎重な対処姿勢です。
 
踏み込んだ批判、論評避ける 中国の国防白書に米政府 - 産経ニュース

 その間にも既成事実化は急ピッチで進められています。
 竹島があれよあれよと言う間に韓国に実効支配されてしまった当時の傍観姿勢と同じ運命をたどる予感がします。
 予感が的中しない為にも、今、武力は使えませんから、世界世論を結集して、中国の国際海洋法違反の声をあげるべきです。また、急ピッチで進む既成事実化の作業を牽制するために、米国まかせではなく、日本も関連諸国とともに牽制行動をとるべきです。



 # 冒頭の画像は、国防白書を手に発表する中国国防省の楊宇軍報道官




  この花の名前は、タチツボスミレ  (撮影場所;六甲高山植物園 2014年 5月)


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Fotolia


暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?




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