ドナルド・トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、政府組織の縮小と規制緩和を任務とする「政府効率化委員会」を設置すると表明している。その責任者にマスク氏が登用されれば、精査の標的は連邦航空局(FAA)と環境保護庁(EPA)になることを同氏の最近の発言は示唆していると、WSJコラムニストのティム・ヒギンズ。
マスク氏は24日、FAAを訴える計画を明らかにした。
スペースXが規制に違反したとして、FAAが同社に約63万3000ドル(約9000万円)の罰金支払いを求めたことについて、同氏はFAAが「法律を乱用した戦い」と「行き過ぎた規制」を行っていると主張。
同氏は1週間前、EPAに対して同様の批判を展開していた。
マスク氏はX(旧ツイッター)で、「FAAの宇宙部門は、安全に影響しないつまらないことを巡り、スペースXに嫌がらせをしている」と投稿。
マスク氏は自身が率いる各企業の利益を擁護するため、脅しや甘言、お世辞を駆使して規制当局への働き掛けを行っていると、ティム・ヒギンズ。
こうした戦術はXという公の場で2億人近いマスク氏のフォロワーの前で展開されることが多いことから、厳しい対応を見せる政府機関であっても再び同氏と対立することに二の足を踏みかねないとも。
トランプ氏は、マスク氏がこうした戦いにおいて一層の影響力を持てるようにすることを約束している。
マスク氏は規制全般に反対しているわけではなく、自分にとって理解できない特定のものだけに反対していると述べていると、ティム・ヒギンズ。
「私が規制当局者と口論になった回数を数えると、数十年間に何百人もの規制当局者と口論しているため、かなりひどい状況のように聞こえるかもしれないが、われわれが従っている規制が1000万あるのに対し、私が反対しているのは五つだけということに言及されていない」と、マスク氏。
とはいえ彼は、細い糸のような規制が束になってガリバーのような巨人をがんじがらめにし、いかにわれわれから自由を奪い得るかについて、しばしば語っていると、ティム・ヒギンズ。
「飛行機はかつて頻繁に墜落していた!」と昨年の投稿で述べた。「あまりにも多くの人が亡くなったため、最終的にFAAが創設された。民間の航空機メーカーや航空会社が安全に関して手を抜かないようにするためだった。今、米国で旅客機に乗るのは超安全だ」
1年前、マスク氏のFAAに関する発言は今より多少抑制的だったとも。
しかし、スペースXが顧客やスターリンクの衛星ビジネス拡大のために記録的ペースでロケットを打ち上げる中、マスク氏は打ち上げの遅れをFAAのせいにするようになっているのだそうです。
マスク氏の批判に、FAAは今のところ反応していない。FAAの法務部門責任者マーク・ニコルズ氏は、スペースXへの罰金の発表に際し「安全義務の履行を怠った企業は責任を問われる」との声明を出し、FAAが安全を重視していることを強調した。
トランプ氏が今回の大統領選で勝利すれば、レーガン政権下での大規模な規制緩和措置以来となる異例の大掃除の機会が訪れるかもしれない。マスク氏はそうみていると、ティム・ヒギンズ。
マスク氏は、スペースXがテキサス州南部の発射台で不適切に大量放水し、液体酸素を流出させているという申し立てを巡ってEPAが今月発表した約14万8000ドル(約2100万円)の罰金案について、EPAも大掃除の機会が訪れるかもしれないとも。
テキサス州で事態を見守る人々は、マスク氏の説明に異議を唱えていると、ティム・ヒギンズ。
「イーロンの会社が事態を必要以上にずっと難しくしている」とツイートしたのは、オースティン地区のプログラマー、チャップ・アンブローズ氏だ。同氏はテキサス州におけるスペースXのこれまでの動きを批判し、こう述べた。「企業がテキサス州の水域に何らかの物質を排出しようとする場合、許可が必要であり、それは宇宙企業でも同じだ。そうした手順を踏むことで、独立した専門家が評価し、制限値を設定し、影響を確実に最小限にすることができる」と。
マスク氏によれば、最終的にスペースXが解決案に同意したのは、EPAが今後の打ち上げの承認を保留すると脅したからだという。EPAはマスク氏の主張に反応していないのだそうです。
マスク氏のビジネスの成功を左右する関係にあるのはFAAやEPAだけではない。だからこそ、トランプ政権が発足した場合にマスク氏が担うかもしれない役割に関して、利益相反の懸念を提起する人々がいるとティム・ヒギンズ。、
マスク氏は来月、テスラの自動運転タクシー「ロボタクシー」を公開すると約束している。この技術について規制当局はまだ、安全面で問題がないかを検討し、全容を理解しようとしているところだそうです。
また、脳へのマイクロチップ埋め込み(インプラント)を手掛けるニューラリンクは先週、規制面での勝利を発表した。マスク氏率いる同社は、視力の回復を目的とした同社の実験的マイクロチップ「ブラインドサイト」が、生命に関わる病状や不可逆的な機能低下症状の治療を目的とした医療機器向けの特別指定を食品医薬品局(FDA)から受けたことを明らかにしたと、ティム・ヒギンズ。
未開の分野を切り開くマスク氏。そこには既存の規制や、人々の抵抗はつきもの。一方、未知への挑戦にリスクはつきもの。
それは、人類の歴史の中で試行錯誤が繰り返されてきたのは、諸兄がご承知のこと。
また、マスク氏は慈善事業家ではなく、企業経営者。利益を追求するのは当然のこと。
支持率伸び悩みのトランプ氏と、企業の成長のチャレンジを有利に進めたいマスク氏の提携は、露骨ですが、面白い組み合わせですね。
トランプ氏の大統領就任に寄与するのか。マスク氏の新事業チャレンヂに貢献するのか。見守っていきたい。
# 冒頭の画像は、イーロン・マスク氏
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マスク氏が「トランプ政権」で仕掛ける戦い - WSJ
「政府効率化委員会」のトップに就任すれば、連邦航空局(FAA)と環境保護庁(EPA)が標的になるか
ティム・ヒギンズ 2024年9月25日
もし米実業家イーロン・マスク氏が第2次トランプ政権に参加し、官僚主義の打破を主導する立場に就くとすれば、同氏はこれから起きることを既に予感させている。
ドナルド・トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、政府組織の縮小と規制緩和を任務とする「政府効率化委員会」を設置すると表明している。その責任者にマスク氏が登用されれば、精査の標的は連邦航空局(FAA)と環境保護庁(EPA)になることを同氏の最近の発言は示唆している。
マスク氏は24日、FAAを訴える計画を明らかにした。マスク氏のロケット企業スペースXが規制に違反したとして、FAAが同社に約63万3000ドル(約9000万円)の罰金支払いを求めたことについて、同氏はFAAが「法律を乱用した戦い」と「行き過ぎた規制」を行っていると主張した。同氏は1週間前、EPAに対して同様の批判を展開していた。
マスク氏はX(旧ツイッター)で、「FAAの宇宙部門は、安全に影響しないつまらないことを巡り、スペースXに嫌がらせをしている」と投稿した。
マスク氏は自身が率いる各企業の利益を擁護するため、脅しや甘言、お世辞を駆使して規制当局への働き掛けを行っている。そのような実業家は他にいない。同氏は、証券取引委員会(SEC)や運輸省道路交通安全局(NHTSA)からEPAや全米労働関係委員会(NLRB)に至るまで、実質的にあらゆる政府機関と対峙(たいじ)してきた。そうすることで、侮辱と受け止められる対応ならどんなことに対しても戦う用意があることを明確にしている。
こうした戦術はXという公の場で2億人近いマスク氏のフォロワーの前で展開されることが多いことから、厳しい対応を見せる政府機関であっても再び同氏と対立することに二の足を踏みかねない。特に政権交代後を見据えて、政治任用されていた高官が政府を離れた後の職について考えたり、一般の政府職員が保護を失うことを懸念したりすることを踏まえると、そうした可能性はある。
トランプ氏は、マスク氏がこうした戦いにおいて一層の影響力を持てるようにすることを約束している。それは大統領が持つ暗黙の力だ。
マスク氏は規制全般に反対しているわけではなく、自分にとって理解できない特定のものだけに反対していると述べている。
昨年のある会合ではこう述べた。「私が規制当局者と口論になった回数を数えると、数十年間に何百人もの規制当局者と口論しているため、かなりひどい状況のように聞こえるかもしれないが、われわれが従っている規制が1000万あるのに対し、私が反対しているのは五つだけということに言及されていない」
とはいえ彼は、細い糸のような規制が束になってガリバーのような巨人をがんじがらめにし、いかにわれわれから自由を奪い得るかについて、しばしば語っている。
誰かにとっての規制が他の誰かに対する防衛線になることを歴史は示している。従業員や顧客、世界全体の安全を気に掛けない強力な支配者に対する防衛線だ。
マスク氏自身もそうした趣旨のことを述べており、とりわけFAAに関してはそうだ。同氏は人工知能(AI)開発に関する規制の策定も提唱してきた。
「飛行機はかつて頻繁に墜落していた!」と昨年の投稿で述べた。「あまりにも多くの人が亡くなったため、最終的にFAAが創設された。民間の航空機メーカーや航空会社が安全に関して手を抜かないようにするためだった。今、米国で旅客機に乗るのは超安全だ」
1年前、マスク氏のFAAに関する発言は今より多少抑制的だった。「FAAについて公平を期して言うならば、打ち上げの大幅な遅れをFAAが引き起こすことはめったにない」とツイートしていた。「責任は圧倒的にわれわれの側にある」
しかし、スペースXが顧客やスターリンクの衛星ビジネス拡大のために記録的ペースでロケットを打ち上げる中、マスク氏は打ち上げの遅れをFAAのせいにするようになっている。「根本的問題は、FAAに対する抜本的な改革が行われなければ、人類は永遠に地球に閉じ込められたままになるということだ」
ソーシャルメディア上でのマスク氏の批判に、FAAは今のところ反応していない。FAAの法務部門責任者マーク・ニコルズ氏は、スペースXへの罰金の発表に際し「安全義務の履行を怠った企業は責任を問われる」との声明を出し、FAAが安全を重視していることを強調した。
トランプ氏が今回の大統領選で勝利すれば、レーガン政権下での大規模な規制緩和措置以来となる異例の大掃除の機会が訪れるかもしれない。マスク氏はそうみている。
「政府の規模縮小とばかげた規制の撤廃に向けた真剣な取り組みが前回行われてから、ずいぶん時間がたった」。マスク氏は今月の「オールイン・ポッドキャスト」の会合でこう語った。
具体的に何をしようとしているのかについては言及を避けたが、EPAをそうした対応が必要な類いの省庁として念頭に置いていることは明らかにした。マスク氏が指摘したのは、スペースXがテキサス州南部の発射台で不適切に大量放水し、液体酸素を流出させているという申し立てを巡ってEPAが今月発表した約14万8000ドル(約2100万円)の罰金案についてだ。
マスク氏はこれを「不合理な規制」の例だとして、同社がやったことは飲料水を地面に捨てるのと一緒だと説明。「実害はもたらしていない。発射時に発射台を冷却するためのただの水だ」と述べた。
テキサス州で事態を見守る人々は、マスク氏の説明に異議を唱えている。「イーロンの会社が事態を必要以上にずっと難しくしている」とツイートしたのは、オースティン地区のプログラマー、チャップ・アンブローズ氏だ。同氏はテキサス州におけるスペースXのこれまでの動きを批判し、こう述べた。「企業がテキサス州の水域に何らかの物質を排出しようとする場合、許可が必要であり、それは宇宙企業でも同じだ。そうした手順を踏むことで、独立した専門家が評価し、制限値を設定し、影響を確実に最小限にすることができる」
マスク氏によれば、最終的にスペースXが解決案に同意したのは、EPAが今後の打ち上げの承認を保留すると脅したからだという。EPAはマスク氏の主張に反応していない。
マスク氏のビジネスの成功を左右する関係にあるのはFAAやEPAだけではない。だからこそ、トランプ政権が発足した場合にマスク氏が担うかもしれない役割に関して、利益相反の懸念を提起する人々がいるのだ。
マスク氏は来月、テスラの自動運転タクシー「ロボタクシー」を公開すると約束している。この技術について規制当局はまだ、安全面で問題がないかを検討し、全容を理解しようとしているところだ。
脳へのマイクロチップ埋め込み(インプラント)を手掛けるニューラリンクは先週、規制面での勝利を発表した。マスク氏率いる同社は、視力の回復を目的とした同社の実験的マイクロチップ「ブラインドサイト」が、生命に関わる病状や不可逆的な機能低下症状の治療を目的とした医療機器向けの特別指定を食品医薬品局(FDA)から受けたことを明らかにした。
成功すれば、米テレビシリーズ「新スタートレック」で出てきそうな話だ。
マスク氏は先週、「視覚野に損傷がなければ、生まれつき盲目の人でも、初めて目が見えるようになる」と述べた。
マスク氏がこのような前進を見せるからこそ、ファンは興奮し、世論の支持がある中で同氏を抑え込むことが難しくなるのだ。
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筆者のティム・ヒギンズは主にイーロン・マスク氏や同氏が経営する企業、ライバルたちについて執筆するWSJコラムニスト
「政府効率化委員会」のトップに就任すれば、連邦航空局(FAA)と環境保護庁(EPA)が標的になるか
ティム・ヒギンズ 2024年9月25日
もし米実業家イーロン・マスク氏が第2次トランプ政権に参加し、官僚主義の打破を主導する立場に就くとすれば、同氏はこれから起きることを既に予感させている。
ドナルド・トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、政府組織の縮小と規制緩和を任務とする「政府効率化委員会」を設置すると表明している。その責任者にマスク氏が登用されれば、精査の標的は連邦航空局(FAA)と環境保護庁(EPA)になることを同氏の最近の発言は示唆している。
マスク氏は24日、FAAを訴える計画を明らかにした。マスク氏のロケット企業スペースXが規制に違反したとして、FAAが同社に約63万3000ドル(約9000万円)の罰金支払いを求めたことについて、同氏はFAAが「法律を乱用した戦い」と「行き過ぎた規制」を行っていると主張した。同氏は1週間前、EPAに対して同様の批判を展開していた。
マスク氏はX(旧ツイッター)で、「FAAの宇宙部門は、安全に影響しないつまらないことを巡り、スペースXに嫌がらせをしている」と投稿した。
マスク氏は自身が率いる各企業の利益を擁護するため、脅しや甘言、お世辞を駆使して規制当局への働き掛けを行っている。そのような実業家は他にいない。同氏は、証券取引委員会(SEC)や運輸省道路交通安全局(NHTSA)からEPAや全米労働関係委員会(NLRB)に至るまで、実質的にあらゆる政府機関と対峙(たいじ)してきた。そうすることで、侮辱と受け止められる対応ならどんなことに対しても戦う用意があることを明確にしている。
こうした戦術はXという公の場で2億人近いマスク氏のフォロワーの前で展開されることが多いことから、厳しい対応を見せる政府機関であっても再び同氏と対立することに二の足を踏みかねない。特に政権交代後を見据えて、政治任用されていた高官が政府を離れた後の職について考えたり、一般の政府職員が保護を失うことを懸念したりすることを踏まえると、そうした可能性はある。
トランプ氏は、マスク氏がこうした戦いにおいて一層の影響力を持てるようにすることを約束している。それは大統領が持つ暗黙の力だ。
マスク氏は規制全般に反対しているわけではなく、自分にとって理解できない特定のものだけに反対していると述べている。
昨年のある会合ではこう述べた。「私が規制当局者と口論になった回数を数えると、数十年間に何百人もの規制当局者と口論しているため、かなりひどい状況のように聞こえるかもしれないが、われわれが従っている規制が1000万あるのに対し、私が反対しているのは五つだけということに言及されていない」
とはいえ彼は、細い糸のような規制が束になってガリバーのような巨人をがんじがらめにし、いかにわれわれから自由を奪い得るかについて、しばしば語っている。
誰かにとっての規制が他の誰かに対する防衛線になることを歴史は示している。従業員や顧客、世界全体の安全を気に掛けない強力な支配者に対する防衛線だ。
マスク氏自身もそうした趣旨のことを述べており、とりわけFAAに関してはそうだ。同氏は人工知能(AI)開発に関する規制の策定も提唱してきた。
「飛行機はかつて頻繁に墜落していた!」と昨年の投稿で述べた。「あまりにも多くの人が亡くなったため、最終的にFAAが創設された。民間の航空機メーカーや航空会社が安全に関して手を抜かないようにするためだった。今、米国で旅客機に乗るのは超安全だ」
1年前、マスク氏のFAAに関する発言は今より多少抑制的だった。「FAAについて公平を期して言うならば、打ち上げの大幅な遅れをFAAが引き起こすことはめったにない」とツイートしていた。「責任は圧倒的にわれわれの側にある」
しかし、スペースXが顧客やスターリンクの衛星ビジネス拡大のために記録的ペースでロケットを打ち上げる中、マスク氏は打ち上げの遅れをFAAのせいにするようになっている。「根本的問題は、FAAに対する抜本的な改革が行われなければ、人類は永遠に地球に閉じ込められたままになるということだ」
ソーシャルメディア上でのマスク氏の批判に、FAAは今のところ反応していない。FAAの法務部門責任者マーク・ニコルズ氏は、スペースXへの罰金の発表に際し「安全義務の履行を怠った企業は責任を問われる」との声明を出し、FAAが安全を重視していることを強調した。
トランプ氏が今回の大統領選で勝利すれば、レーガン政権下での大規模な規制緩和措置以来となる異例の大掃除の機会が訪れるかもしれない。マスク氏はそうみている。
「政府の規模縮小とばかげた規制の撤廃に向けた真剣な取り組みが前回行われてから、ずいぶん時間がたった」。マスク氏は今月の「オールイン・ポッドキャスト」の会合でこう語った。
具体的に何をしようとしているのかについては言及を避けたが、EPAをそうした対応が必要な類いの省庁として念頭に置いていることは明らかにした。マスク氏が指摘したのは、スペースXがテキサス州南部の発射台で不適切に大量放水し、液体酸素を流出させているという申し立てを巡ってEPAが今月発表した約14万8000ドル(約2100万円)の罰金案についてだ。
マスク氏はこれを「不合理な規制」の例だとして、同社がやったことは飲料水を地面に捨てるのと一緒だと説明。「実害はもたらしていない。発射時に発射台を冷却するためのただの水だ」と述べた。
テキサス州で事態を見守る人々は、マスク氏の説明に異議を唱えている。「イーロンの会社が事態を必要以上にずっと難しくしている」とツイートしたのは、オースティン地区のプログラマー、チャップ・アンブローズ氏だ。同氏はテキサス州におけるスペースXのこれまでの動きを批判し、こう述べた。「企業がテキサス州の水域に何らかの物質を排出しようとする場合、許可が必要であり、それは宇宙企業でも同じだ。そうした手順を踏むことで、独立した専門家が評価し、制限値を設定し、影響を確実に最小限にすることができる」
マスク氏によれば、最終的にスペースXが解決案に同意したのは、EPAが今後の打ち上げの承認を保留すると脅したからだという。EPAはマスク氏の主張に反応していない。
マスク氏のビジネスの成功を左右する関係にあるのはFAAやEPAだけではない。だからこそ、トランプ政権が発足した場合にマスク氏が担うかもしれない役割に関して、利益相反の懸念を提起する人々がいるのだ。
マスク氏は来月、テスラの自動運転タクシー「ロボタクシー」を公開すると約束している。この技術について規制当局はまだ、安全面で問題がないかを検討し、全容を理解しようとしているところだ。
脳へのマイクロチップ埋め込み(インプラント)を手掛けるニューラリンクは先週、規制面での勝利を発表した。マスク氏率いる同社は、視力の回復を目的とした同社の実験的マイクロチップ「ブラインドサイト」が、生命に関わる病状や不可逆的な機能低下症状の治療を目的とした医療機器向けの特別指定を食品医薬品局(FDA)から受けたことを明らかにした。
成功すれば、米テレビシリーズ「新スタートレック」で出てきそうな話だ。
マスク氏は先週、「視覚野に損傷がなければ、生まれつき盲目の人でも、初めて目が見えるようになる」と述べた。
マスク氏がこのような前進を見せるからこそ、ファンは興奮し、世論の支持がある中で同氏を抑え込むことが難しくなるのだ。
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筆者のティム・ヒギンズは主にイーロン・マスク氏や同氏が経営する企業、ライバルたちについて執筆するWSJコラムニスト
マスク氏は24日、FAAを訴える計画を明らかにした。
スペースXが規制に違反したとして、FAAが同社に約63万3000ドル(約9000万円)の罰金支払いを求めたことについて、同氏はFAAが「法律を乱用した戦い」と「行き過ぎた規制」を行っていると主張。
同氏は1週間前、EPAに対して同様の批判を展開していた。
マスク氏はX(旧ツイッター)で、「FAAの宇宙部門は、安全に影響しないつまらないことを巡り、スペースXに嫌がらせをしている」と投稿。
マスク氏は自身が率いる各企業の利益を擁護するため、脅しや甘言、お世辞を駆使して規制当局への働き掛けを行っていると、ティム・ヒギンズ。
こうした戦術はXという公の場で2億人近いマスク氏のフォロワーの前で展開されることが多いことから、厳しい対応を見せる政府機関であっても再び同氏と対立することに二の足を踏みかねないとも。
トランプ氏は、マスク氏がこうした戦いにおいて一層の影響力を持てるようにすることを約束している。
マスク氏は規制全般に反対しているわけではなく、自分にとって理解できない特定のものだけに反対していると述べていると、ティム・ヒギンズ。
「私が規制当局者と口論になった回数を数えると、数十年間に何百人もの規制当局者と口論しているため、かなりひどい状況のように聞こえるかもしれないが、われわれが従っている規制が1000万あるのに対し、私が反対しているのは五つだけということに言及されていない」と、マスク氏。
とはいえ彼は、細い糸のような規制が束になってガリバーのような巨人をがんじがらめにし、いかにわれわれから自由を奪い得るかについて、しばしば語っていると、ティム・ヒギンズ。
「飛行機はかつて頻繁に墜落していた!」と昨年の投稿で述べた。「あまりにも多くの人が亡くなったため、最終的にFAAが創設された。民間の航空機メーカーや航空会社が安全に関して手を抜かないようにするためだった。今、米国で旅客機に乗るのは超安全だ」
1年前、マスク氏のFAAに関する発言は今より多少抑制的だったとも。
しかし、スペースXが顧客やスターリンクの衛星ビジネス拡大のために記録的ペースでロケットを打ち上げる中、マスク氏は打ち上げの遅れをFAAのせいにするようになっているのだそうです。
マスク氏の批判に、FAAは今のところ反応していない。FAAの法務部門責任者マーク・ニコルズ氏は、スペースXへの罰金の発表に際し「安全義務の履行を怠った企業は責任を問われる」との声明を出し、FAAが安全を重視していることを強調した。
トランプ氏が今回の大統領選で勝利すれば、レーガン政権下での大規模な規制緩和措置以来となる異例の大掃除の機会が訪れるかもしれない。マスク氏はそうみていると、ティム・ヒギンズ。
マスク氏は、スペースXがテキサス州南部の発射台で不適切に大量放水し、液体酸素を流出させているという申し立てを巡ってEPAが今月発表した約14万8000ドル(約2100万円)の罰金案について、EPAも大掃除の機会が訪れるかもしれないとも。
テキサス州で事態を見守る人々は、マスク氏の説明に異議を唱えていると、ティム・ヒギンズ。
「イーロンの会社が事態を必要以上にずっと難しくしている」とツイートしたのは、オースティン地区のプログラマー、チャップ・アンブローズ氏だ。同氏はテキサス州におけるスペースXのこれまでの動きを批判し、こう述べた。「企業がテキサス州の水域に何らかの物質を排出しようとする場合、許可が必要であり、それは宇宙企業でも同じだ。そうした手順を踏むことで、独立した専門家が評価し、制限値を設定し、影響を確実に最小限にすることができる」と。
マスク氏によれば、最終的にスペースXが解決案に同意したのは、EPAが今後の打ち上げの承認を保留すると脅したからだという。EPAはマスク氏の主張に反応していないのだそうです。
マスク氏のビジネスの成功を左右する関係にあるのはFAAやEPAだけではない。だからこそ、トランプ政権が発足した場合にマスク氏が担うかもしれない役割に関して、利益相反の懸念を提起する人々がいるとティム・ヒギンズ。、
マスク氏は来月、テスラの自動運転タクシー「ロボタクシー」を公開すると約束している。この技術について規制当局はまだ、安全面で問題がないかを検討し、全容を理解しようとしているところだそうです。
また、脳へのマイクロチップ埋め込み(インプラント)を手掛けるニューラリンクは先週、規制面での勝利を発表した。マスク氏率いる同社は、視力の回復を目的とした同社の実験的マイクロチップ「ブラインドサイト」が、生命に関わる病状や不可逆的な機能低下症状の治療を目的とした医療機器向けの特別指定を食品医薬品局(FDA)から受けたことを明らかにしたと、ティム・ヒギンズ。
未開の分野を切り開くマスク氏。そこには既存の規制や、人々の抵抗はつきもの。一方、未知への挑戦にリスクはつきもの。
それは、人類の歴史の中で試行錯誤が繰り返されてきたのは、諸兄がご承知のこと。
また、マスク氏は慈善事業家ではなく、企業経営者。利益を追求するのは当然のこと。
支持率伸び悩みのトランプ氏と、企業の成長のチャレンジを有利に進めたいマスク氏の提携は、露骨ですが、面白い組み合わせですね。
トランプ氏の大統領就任に寄与するのか。マスク氏の新事業チャレンヂに貢献するのか。見守っていきたい。
# 冒頭の画像は、イーロン・マスク氏
この花の名前は、ペチュニア・ブルーウェーブ
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