遊爺雑記帳

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中国が核使用方針を変更

2007-05-27 12:14:25 | EEZ 全般
 米国陸軍大学の戦略研究所が公表した、「中国の核戦力」と題する研究報告によると、中国軍が最近、核兵器に関する戦略を大幅に変え、日本や米海軍機動部隊に向けて配備している弾道ミサイルに、核と通常の両方の弾頭を混在させるといった、「核先制不使用」の方針を変える新戦術をとり始めたのだそうです。
 
「中国の核戦力」 先制不使用の方針、変化も 米陸軍大研究所が報告 (5/26 産経朝刊)
 通常弾頭と見分けつかず

 【ワシントン=古森義久】米国陸軍大学の戦略研究所は25日までに「中国の核戦力」と題する研究報告を公表した。同報告は中国軍が最近、核兵器に関する戦略を大幅に変え、(1)日本を射程内にとらえる弾道ミサイルに核と通常の両方の弾頭を混在させるようになった(2)米海軍の機動部隊に核と通常両方の弾頭装備の弾道ミサイルを使う新作戦を立て始めた(3)年来の「核先制不使用」の方針を変える兆しをみせてきた-ことなどを指摘し、米軍側への新たな対応を提案した。

<中略>
 同報告は中国が最近、年来の「核先制不使用」(軍事衝突でも核兵器は先には使わないという言明)の方針を変え始めたと述べ、その理由として米軍が通常兵器の性能を高め、非核の第一撃で中国側の核戦力を破壊し尽くす能力を高めたため、中国側では自国の核が報復力を失い、抑止効果を発揮できないという見方を強めてきた、ことをあげた。

 同報告はさらに中国軍が米海軍の空母を中心とする機動部隊に対し核、非核両方の弾頭を装備した弾道ミサイルで攻撃をかけるという新戦術を実行する能力をほぼ保持するにいたった、と伝えている。中国軍は弾道ミサイルによる米機動部隊の制圧、あるいは撃滅の能力開発を長年の目標とし、そのためには弾道ミサイル用の個別誘導複数目標弾頭(MIRV)技術をも開発中だという。

 同報告はまた中国の核戦略の危険な側面として「核弾頭と非核の通常弾頭とを同じクラスの弾道ミサイルに装備し、たがいに近くに配備して混在させる傾向がさらに強くなった」点を指摘した。その危険性とは米側が中国側から発射されたミサイルが核か非核か判定できない確率が高まり、事故のような核戦争を起こす可能性が強まることだという。米軍の場合、核弾頭装備のミサイルと非核弾頭装備のミサイルとはクラスをあえて別にしている。

 同報告は中国軍が核と非核の弾頭を混在させている比率が最も高いのは中距離ミサイルのDF(東風)21=別称CSS5=だと述べ、射程1800キロの同ミサイルはとくに日本の要衝や沖縄の米軍基地に照準を合わせて配備されているとしている。

 中国軍の保有するDF21は合計50基以上だとされるが、同報告は「中国軍はこの機動性のある中距離ミサイルを日本や沖縄の米軍基地への脅威として現在よりも多く必要としており、日米側はその増強に注意し、対応策を考えねばならない」という警告を発した。

 中国は「核兵器の先制不使用」 を唱えてきていますが、核兵器を先に使わないと、米軍の通常兵器の第一撃で中国の核戦力が破壊しつくされ、核を保有する効果が発揮できないとの、中国側の新たな判断が理由とのことです。

 中国軍部では、2005年に中国人民解放軍の朱成虎・国防大学教授が、中国は米国に核攻撃する用意があると語るなど、軍部ではもともと先制不使用に沿わない姿勢が見られました。
 また、地上配備の弾道ミサイルを、大陸間弾道ミサイル「東風(DF)31」を含め移動式にする。最新鋭の「晋」級原子力潜水艦に弾道ミサイル(SLBM)「巨浪(JL)2」を搭載する。といった、核戦力の生き残り策にも熱心に取り組んでいます。

 そして報告書は、前回書いた「東風21」が最も混在配備が多く、中国は日本や沖縄の米軍基地を脅威として配備増強しようとしていることに、対応策を考えるよう警告を発しています。

 米国防総省も25日、中国の軍事力に関する年次報告書を公表しています。
 こちらでも、日本など太平洋地域の米軍基地や米本土を射程内に収める中国の中長距離弾道ミサイル開発に強い懸念を示していて、台湾に照準を当てる短距離弾道ミサイルの配備と、直接的な対米抑止力を狙う中長距離弾道ミサイルについて述べています。
 台湾海峡周辺に配備された短距離弾道ミサイルは約900基に達し、年間100基程度のペースで増強されているとしています。
 
米報告書 中国ミサイル警戒 「台湾照準、年100基増強」 (5/26 産経朝刊)
 【ワシントン=山本秀也】米国防総省は25日、中国の軍事力に関する年次報告書を公表した。報告書は、太平洋地域の米軍基地や米本土を射程内に収める中国の中長距離弾道ミサイル開発に強い懸念を示した。また、今年1月に中国が実施した衛星攻撃兵器(ASAT)の実射実験について、報告書は各国の宇宙開発を危険にさらしたと非難した。

 攻撃力の柱となる弾道ミサイルについて、報告書は台湾に照準を当てる短距離弾道ミサイルの配備と、直接的な対米抑止力を狙う中長距離弾道ミサイルを詳しく分析。M9、M11型など台湾海峡周辺に配備された短距離弾道ミサイルは約900基に達し、年間100基程度のペースで増強されているとしている。

 中長距離弾道ミサイルでは、米本土の一部に到達可能な地上発射型移動式弾道ミサイル東風31号(DF31)の実戦配備が近く可能になると指摘。さらに射程を伸ばした改良型のDF31Aも、07年中に配備可能なレベルに達すると警告した。

 また、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の「JL(巨浪)2」にも言及し、新型のジン(晋)級原子力潜水艦に搭載されるとの判断を示した。

 潜水艦は台湾有事への米空母戦闘群の介入を阻む中国の切り札とみられ、米側では攻撃型原潜を含めた中国原潜の防音性能の向上を懸念している。昨年10月に沖縄近海で米空母が中国のソン(宋)級潜水艦に急接近を受けた事件にも言及した。

 ゲーツ国防長官は24日、記者団に対して、中国の軍事動向に「懸念」を示し、装備や戦略の透明性確保を求めてゆく考えを表明した。

 台湾、東シナ海、そして日本への覇権拡大と、対米牽制抑止の軍事力増強に邁進している中国の姿が明らかにされ、警告が発せられています。

 人民日報は、中国の政治改革について、複数政党制を通じた社会改良を目指す「民主社会主義路線」を全面的に否定する記事を今月掲載しました。
 格差是正のため「政治改革」を推進する胡錦濤政権の姿勢の中で強まる民主化要求を押さえ込むという、胡政権の判断を明らかにした、極めて重要な政治論文(5/23 読売朝刊)だそうですが、一党独裁は現政権では当然のことですし、中共の独裁存続を維持するためにグローバルには軋轢を産む施策や行動が、これからも強まるということになります。

 米国の防御ラインとしての日本などの米軍基地なのですが、日本単独で防衛出来るものでもなく、いつもしつこく同じ事を繰り返すのですが、日米の安全保障同盟、新たな日豪の同盟、多国間同盟の強化とともに、自国を守るための自国の軍備の増強や、軍が軍らしく世界の他の国の軍と同様の活動が出来る法整備も急がれます。


 

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