格差是正では、自民党案を丸呑みし小選挙区で「0増5減」。更に定数を削減するのに、比例代表定数を180議席から80議席削減という内容ですね。
遊爺はかねてより現行(比例代表並立制)の得票数と獲得議席数の乖離是正を訴えています。比例代表数の大幅削減は、更にその格差を拡大することとなり、改悪だと思っていましたが、得票率と議席数の格差を埋める「比例代表連用制」(≒比例代表併用制)の導入も計画されているのだそうです。
■「丸のみ」の次は「連用制」提案?
衆院の「一票の格差」是正に向け、民主党は18日、党政治改革推進本部(本部長・樽床伸二幹事長代行)総会で、小選挙区を自民党提案の「0増5減」の295選挙区とし、比例代表定数を180議席から100議席に80議席削減する案を正式に決定した。
これに先立ち、野田佳彦首相は、政府・民主三役会議で「行政改革や政治改革など重要な課題がある。政府と党がしっかり連携してほしい」と述べ、選挙制度改革を早急に実現するよう指示した。
比例定数80削減は民主党の先の衆院選マニフェスト(政権公約)の柱の一つ。首相は、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革実現に向けても避けられない課題だと考えているが、選挙制度は党利党略と直結するだけに与野党協議の紛糾は避けられない見通し。
自民、公明両党は同日の幹事長・国対委員長会談で、比例定数80削減案に反対する方針で一致した。
「『0増5減』以上に小選挙区をいじると物理的な調整に時間がかかる。次の衆院選で新しい区割りを実現しなければならない…」
<中略>
そこで民主党執行部がひねり出したのが2段階作戦だった。
まず第1段階が自民党の「0増5減」案の丸のみだ。これならば自民党ものまざるを得ないはず。比例代表定数80削減についても自民党の大勢は賛成に違いない。「0増5減」と比例80削減でとりあえず自民党とは合意できる。
そうなると公明党やみんなの党など小規模政党の反発は必至。そこで民主党執行部は第2段階として腹案を提示する算段なのだ。
その腹案とは、比例代表連用制の導入。選挙区での議席獲得数に応じて比例配分を減らす連用制を導入すれば、公明党やみんなの党、共産党などは現有議席より議席増が可能となり、ほぼすべての党で合意を形成できる。民主党執行部はこう踏んだのだ。
これを電光石火でやれば、うまくいったかもしれないが、モタモタしているうちにこの作戦は見透かされてしまった。
しかも民主党への逆風が続き、選挙区では自民党が優勢とみられている。連用制を導入すれば、自民党は比例での議席獲得はわずかとなり、民主党は大量に復活当選する公算が大きい。もっとも割を食う自民党がそう簡単に民主党の「お手盛り戦術」に乗せられるはずはない。
自民、公明両党は18日の幹事長・国対委員長会談で「比例定数削減反対」で足並みをそろえた。自民党の大島理森副総裁が「『比例80削減』は民主党がハイボールを投げただけだ。落としどころは『0増5減』だけだろ」とつぶやいたことが大きい。
とはいえ、自公の結束も固いとはいえない。公明党には「ぬれ手でアワ」となる連用制導入を切望する声もある。一方、自民党には森喜朗元首相ら中選挙区制復活論者も大勢おり、公明党にも「連用制ではいつか民自両党にはしごを外されかねない」として中選挙区制に同調する動きもある。
しかも選挙制度改革は首相の解散権とも密接にからむ。与野党合意のもとで新制度の法案が成立しても政府の衆院選挙区画定審議会(区割審)が区割り案を策定するには半年ほど要する。周知期間も数カ月間は必要だ。つまり1月中に法案が成立しても新制度での衆院選は秋以降となる公算が大きいのだ。
首相周辺は「首相の解散権は制約されない」とするが、新制度成立後に旧制度で衆院選を行うことは実際には難しい。平成6年6月、羽田孜首相(当時)は選挙制度移行期だったために衆院解散を断念し、内閣総辞職を選んだ。野田首相もさじ加減を間違えれば自縄自縛となりかねない。(水内茂幸)
現行の比例代表並立制での前回の衆議院選では、民主党の得票数は小選挙区、比例区を合わせて、44.9%ですが、獲得議席数は、64.2%でした。過半数の得票数が無いのに、遙かに過半数を超えたのです。自民党は、得票率は、32.7%で、獲得議席数は、24.8%です。
つまり、民意と国会の議席数が乖離しているのです。議員さんたちが勘違いするしないにかかわらず、当然のこととして世論と異なる国会の動きが生じることとなり、世論の支持が得られない不安定な政権運営がなされてきました。小泉政権の時は、その逆でした。
谷垣氏が、自民、民主のベテラン議員らによる中選挙区を探る動きを支持していたり、上記の記事の様に自民、公明で中選挙区復活論が出ているそうですね。
得票数と議席数の乖離が少ないのは、中選挙区制なのか、比例代表連用制(≒比例代表併用制)なのかは定めた選挙区の得票と議席が連動するという点は一致しています。シンプルな中選挙区が解りやすいように感じますが、得票率が低くても当選でき政権意欲のない万年野党を産んだり、派閥をはびこらせる他の制度疲労があったものへの回帰より、現状の制度からの移行がしやすく困難な定数削減がシンプルに実行できる「比例代表連用制」への移行が、スピーディな改革実行が可能だと考えられます。
この時、選挙結果が与党になる党に議席が多くなる「比例代表連立制」から、得票数と議席数の乖離が少なくなる=選挙結果が与党となると見込まれる自民党にはメリットがなくなるとされ、自民党が難色を示しているとのことです。
政府案にはなんでも反対で政局優先となった今の執行部の自民党が、与党となる得票数を得られるのかは不透明ですし、万一そうなったとしてもいつまた野党に転落するのかは定かではありません。
自民党案を丸呑みした今回の民主党の決定案を、長く広い目で見て、「比例代表連用制」で80議席削減を実現させるよう、自民党の理解と協力を願います。
得票数=民意と、議席数の乖離を無くすことが、国会と世論の乖離をなくし、政治不信を削減する道につながると考えます。
大阪やその前の名古屋での選挙に見られたように、自民党も民主党も決め手を欠き既存政党離れが進んでいる今日、少数政党の台頭や、ひいては政界再編を産む機運があります。「比例代表連立制」で台頭しやすくなる少数党や新党が、政界再編の火付け役を果たすかもしれません。
自民・大島氏が、落としどころは『0増5減』だけだと発言し、民主・輿石氏も同様の発言をしています。まさに老害。日本国の将来の為に、一日も早く引退されることを願っています。
小選挙区比例代表連用制 - Wikipedia
小選挙区比例代表併用制 - Wikipedia
小選挙区比例代表並立制 - Wikipedia
この花の名前は、ヤマラッキョウ 撮影場所=六甲高山植物園
↓よろしかったら、お願いします。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120120/elc12012023120001-n1.htm
前回の衆院選では、得票率と獲得議席率は、遊爺の計算だと以下の様になります。
得票率 前回議席率 連用制議席率
民主党 44.9 64.2 56.0
自民党 32.7 24.8 23.3
公明党 6.3 4.4 8.5
共産党 5.6 1.9 4.5
社民党 3.1 1.5 2.5
2位の自民党は、ますます得票率と獲得議席率が乖離し、3位の公明党は、得票率より獲得議席率が上回る結果となっています。民主やその他の党は、乖離が狭まっています。
第2位と3位の党に異常値が出るのでは野党の世論が正しく反映されないことになります...。
「実際の議席配分は比例代表制に近いとされる」とのことですが、どうやらそうではないような...。