中国共産党の第19期中央委員会第6回総会(6中総会)は11月11日、40年ぶりに「歴史決議」を採択し閉幕しました。
習近平国家主席の狙いは、「歴史決議」について論じ、自身の終身独裁への道を開くことでした。
公表された「歴史決議」の中身を見ると、習主席の目的はおおむね達成されて習近平長期政権への布石となったと石平氏。
中国共産党、6中総会で40年ぶり歴史決議-習氏の3期目確実 - Bloomberg
「歴史決議」が行われたのは、1945年に中国共産党史上最初の歴史決議を行った毛沢東、1981年の鄧小平に次いで、3回目。
しかし、この「歴史決議」においてこそ、独裁者としての習主席の限界も見えてきている。それは、鄧小平主導下で採択された「歴史決議」と比較してみればすぐに分かることだと石平氏。
「文化大革命」という国家的大災難が終わった後の「鄧小平決議」は、先代指導者、毛沢東の政治路線の誤りとその弊害に対する批判に終始した。そして、このような過去否定の「決議」を行うことによって毛沢東時代の誤りを正したからこそ、鄧氏の新しい指導者としての権威が確立され、いわば「鄧小平の新しい時代」が切り開かれたと。
毛沢東も、45年に中国共産党史上最初の歴史決議を行ったとき、やはり以前の指導者たちの路線・政策の誤りを正したからこそ、彼の独裁の時代が始まったと。
おそらく今の習主席も毛沢東・鄧小平に倣って同じことをやろうとしているのだろうが、現実には彼はそれができていないし、できるはずもないと石平氏。
習主席主導の「歴史決議」はむしろ、鄧小平とその改革開放路線を高く評価している。習氏の先輩主席の江沢民氏と胡錦濤氏に対しても、「決議」は簡潔ながらも丁寧にその業績を羅列して評価し、賛辞をささげていると。
今の中国共産党は鄧小平とその改革開放の時代を否定できないのがむしろ当然のことであろう。鄧小平の改革開放があったからこそ世界第2の経済大国の中国があるのは誰もが認める事実であることは諸兄もご承知のこと。
鄧小平を否定できないなら、鄧小平路線を忠実に受け継いだ江沢民氏と胡錦濤氏の政治を否定することも当然できない。結局のところ、習主席主導の「歴史決議」は、「過去の誤りを正した」ような派手なものにはならない。
それでは「習近平の新時代」の一体どこが「新しい」のか全く不明瞭であると石平氏。
それこそが自らの時代を開こうとしている習主席の限界であって最大の弱点である。今後、いかにして「鄧小平」という高い壁を乗り越えていくのか、は彼にとっての大きな政治的課題となろうと。
そのために習主席は、あの鄧小平もできなかったような大仕事を成し遂げて、鄧小平を超えるような輝かしい業績を作り出さなければならない。それをどこで作るのかとなると、習主席の目線はやはり、「台湾併合」へ向いてしまうのであろうと石平氏。
国共内戦以来の共産党政権の悲願である「祖国統一」を自らの手で達成できたら、鄧小平だけでなくあの毛沢東さえ超えてしまうと。
故に、来年秋の党大会で続投となった後、習主席が台湾併合に本格的に動き出す可能性は十分にある。
周辺国はこの平和の危機にどう対処するのか。今から真剣に考えなければならないのであると石平氏。
バイデン大統領の米国は、対中対策を与野党一致で進め、トランプ氏時代からの継承で、各国にも連携を求めています。
欧州勢も重い腰を上げ始めていることは、諸兄がご承知のことです。
親中との見方があり、超党派の日中友好議員連盟会長を務める林氏の外相起用。元々はと派の宏池会で、親中と言われる岸田氏と林氏の外交コンビ。
米欧の対中包囲の世界の流れに、どう対処するのか。要注目ですね。
東奔政走:本当は“親中派”?岸田首相vs自民党右派の暗闘=及川正也 | 週刊エコノミスト Online
外相「知中派でいいが媚中はいけない」 林芳正氏: 日本経済新聞
# 冒頭の画像は、林外務大臣
この花の名前は、ホトトギス
↓よろしかったら、お願いします。
写真素材 - PIXTA
習近平国家主席の狙いは、「歴史決議」について論じ、自身の終身独裁への道を開くことでした。
公表された「歴史決議」の中身を見ると、習主席の目的はおおむね達成されて習近平長期政権への布石となったと石平氏。
中国共産党、6中総会で40年ぶり歴史決議-習氏の3期目確実 - Bloomberg
【石平のChina Watch】「歴史決議」で見えた習主席の限界 - 産経ニュース 2021/11/25
先月28日付の本欄は、中国共産党第19期中央委員会第6回総会(6中総会)で採択予定の「歴史決議」について論じ、自身の終身独裁への道を開くことが、習近平国家主席の狙いである、と分析した。
公表された「決議」の中身を見ると、習主席の目的はまさにこの通りのもので、そして、それがおおむね達成された。本紙関連記事も指摘したように、「歴史決議」の採択は確実に、習近平長期政権への布石となった。
その一方で、この「歴史決議」においてこそ、独裁者としての習主席の限界も見えてきている。それは、1981年に鄧小平主導下で採択された「歴史決議」と比較してみればすぐに分かることだ。
「文化大革命」という国家的大災難が終わった後の「鄧小平決議」は、先代指導者、毛沢東の政治路線の誤りとその弊害に対する批判に終始した。そして、このような過去否定の「決議」を行うことによって毛沢東時代の誤りを正したからこそ、鄧氏の新しい指導者としての権威が確立され、いわば「鄧小平の新しい時代」が切り開かれた。
毛沢東も、45年に中国共産党史上最初の歴史決議を行ったとき、やはり以前の指導者たちの路線・政策の誤りを正したからこそ、彼の独裁の時代が始まったのである。
「過去の誤り」を総括し正すことは、中国共産党における指導者の地位確立と新時代開拓の「王道」であることが分かる。おそらく今の習主席も毛沢東・鄧小平に倣って同じことをやろうとしているのだろうが、現実には彼はそれができていないし、できるはずもない。
習主席主導の「歴史決議」はむしろ、鄧小平とその改革開放路線を高く評価している。「鄧小平批判」的なことは一言も書いていないのだ。それどころか、習氏の先輩主席の江沢民氏と胡錦濤氏に対しても、「決議」は簡潔ながらも丁寧にその業績を羅列して評価し、賛辞をささげている。
今の中国共産党は鄧小平とその改革開放の時代を否定できないのがむしろ当然のことであろう。鄧小平の改革開放があったからこそ世界第2の経済大国の中国があるのは誰もが認める事実である。そして今の中国共産党幹部のほとんどがまさに鄧小平の時代において成長してきてキャリアを積み上げてきている。「鄧小平」を否定することは、彼ら共産党幹部自身を否定することとなるのだ。
鄧小平を否定できないなら、鄧小平路線を忠実に受け継いだ江沢民氏と胡錦濤氏の政治を否定することも当然できない。結局のところ、習主席主導の「歴史決議」は、「過去の誤りを正した」ような派手なものにはならないのだ。それでは「習近平の新時代」の一体どこが「新しい」のか全く不明瞭である。
それこそが自らの時代を開こうとしている習主席の限界であって最大の弱点である。今後、いかにして「鄧小平」という高い壁を乗り越えていくのか、は彼にとっての大きな政治的課題となろう。
そのために習主席は、あの鄧小平もできなかったような大仕事を成し遂げて、鄧小平を超えるような輝かしい業績を作り出さなければならない。それをどこで作るのかとなると、習主席の目線はやはり、「台湾併合」へ向いてしまうのであろう。共産党政権の悲願である「祖国統一」を自らの手で達成できたら、鄧小平だけでなくあの毛沢東さえ超えてしまう。
こうして来年秋の党大会で続投となった後、習主席が台湾併合に本格的に動き出す可能性は十分にある。
周辺国はこの平和の危機にどう対処するのか。今から真剣に考えなければならないのである。
---------------------------------------------------------
【プロフィル】石平
せき・へい 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
---------------------------------------------------------
先月28日付の本欄は、中国共産党第19期中央委員会第6回総会(6中総会)で採択予定の「歴史決議」について論じ、自身の終身独裁への道を開くことが、習近平国家主席の狙いである、と分析した。
公表された「決議」の中身を見ると、習主席の目的はまさにこの通りのもので、そして、それがおおむね達成された。本紙関連記事も指摘したように、「歴史決議」の採択は確実に、習近平長期政権への布石となった。
その一方で、この「歴史決議」においてこそ、独裁者としての習主席の限界も見えてきている。それは、1981年に鄧小平主導下で採択された「歴史決議」と比較してみればすぐに分かることだ。
「文化大革命」という国家的大災難が終わった後の「鄧小平決議」は、先代指導者、毛沢東の政治路線の誤りとその弊害に対する批判に終始した。そして、このような過去否定の「決議」を行うことによって毛沢東時代の誤りを正したからこそ、鄧氏の新しい指導者としての権威が確立され、いわば「鄧小平の新しい時代」が切り開かれた。
毛沢東も、45年に中国共産党史上最初の歴史決議を行ったとき、やはり以前の指導者たちの路線・政策の誤りを正したからこそ、彼の独裁の時代が始まったのである。
「過去の誤り」を総括し正すことは、中国共産党における指導者の地位確立と新時代開拓の「王道」であることが分かる。おそらく今の習主席も毛沢東・鄧小平に倣って同じことをやろうとしているのだろうが、現実には彼はそれができていないし、できるはずもない。
習主席主導の「歴史決議」はむしろ、鄧小平とその改革開放路線を高く評価している。「鄧小平批判」的なことは一言も書いていないのだ。それどころか、習氏の先輩主席の江沢民氏と胡錦濤氏に対しても、「決議」は簡潔ながらも丁寧にその業績を羅列して評価し、賛辞をささげている。
今の中国共産党は鄧小平とその改革開放の時代を否定できないのがむしろ当然のことであろう。鄧小平の改革開放があったからこそ世界第2の経済大国の中国があるのは誰もが認める事実である。そして今の中国共産党幹部のほとんどがまさに鄧小平の時代において成長してきてキャリアを積み上げてきている。「鄧小平」を否定することは、彼ら共産党幹部自身を否定することとなるのだ。
鄧小平を否定できないなら、鄧小平路線を忠実に受け継いだ江沢民氏と胡錦濤氏の政治を否定することも当然できない。結局のところ、習主席主導の「歴史決議」は、「過去の誤りを正した」ような派手なものにはならないのだ。それでは「習近平の新時代」の一体どこが「新しい」のか全く不明瞭である。
それこそが自らの時代を開こうとしている習主席の限界であって最大の弱点である。今後、いかにして「鄧小平」という高い壁を乗り越えていくのか、は彼にとっての大きな政治的課題となろう。
そのために習主席は、あの鄧小平もできなかったような大仕事を成し遂げて、鄧小平を超えるような輝かしい業績を作り出さなければならない。それをどこで作るのかとなると、習主席の目線はやはり、「台湾併合」へ向いてしまうのであろう。共産党政権の悲願である「祖国統一」を自らの手で達成できたら、鄧小平だけでなくあの毛沢東さえ超えてしまう。
こうして来年秋の党大会で続投となった後、習主席が台湾併合に本格的に動き出す可能性は十分にある。
周辺国はこの平和の危機にどう対処するのか。今から真剣に考えなければならないのである。
---------------------------------------------------------
【プロフィル】石平
せき・へい 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
---------------------------------------------------------
「歴史決議」が行われたのは、1945年に中国共産党史上最初の歴史決議を行った毛沢東、1981年の鄧小平に次いで、3回目。
しかし、この「歴史決議」においてこそ、独裁者としての習主席の限界も見えてきている。それは、鄧小平主導下で採択された「歴史決議」と比較してみればすぐに分かることだと石平氏。
「文化大革命」という国家的大災難が終わった後の「鄧小平決議」は、先代指導者、毛沢東の政治路線の誤りとその弊害に対する批判に終始した。そして、このような過去否定の「決議」を行うことによって毛沢東時代の誤りを正したからこそ、鄧氏の新しい指導者としての権威が確立され、いわば「鄧小平の新しい時代」が切り開かれたと。
毛沢東も、45年に中国共産党史上最初の歴史決議を行ったとき、やはり以前の指導者たちの路線・政策の誤りを正したからこそ、彼の独裁の時代が始まったと。
おそらく今の習主席も毛沢東・鄧小平に倣って同じことをやろうとしているのだろうが、現実には彼はそれができていないし、できるはずもないと石平氏。
習主席主導の「歴史決議」はむしろ、鄧小平とその改革開放路線を高く評価している。習氏の先輩主席の江沢民氏と胡錦濤氏に対しても、「決議」は簡潔ながらも丁寧にその業績を羅列して評価し、賛辞をささげていると。
今の中国共産党は鄧小平とその改革開放の時代を否定できないのがむしろ当然のことであろう。鄧小平の改革開放があったからこそ世界第2の経済大国の中国があるのは誰もが認める事実であることは諸兄もご承知のこと。
鄧小平を否定できないなら、鄧小平路線を忠実に受け継いだ江沢民氏と胡錦濤氏の政治を否定することも当然できない。結局のところ、習主席主導の「歴史決議」は、「過去の誤りを正した」ような派手なものにはならない。
それでは「習近平の新時代」の一体どこが「新しい」のか全く不明瞭であると石平氏。
それこそが自らの時代を開こうとしている習主席の限界であって最大の弱点である。今後、いかにして「鄧小平」という高い壁を乗り越えていくのか、は彼にとっての大きな政治的課題となろうと。
そのために習主席は、あの鄧小平もできなかったような大仕事を成し遂げて、鄧小平を超えるような輝かしい業績を作り出さなければならない。それをどこで作るのかとなると、習主席の目線はやはり、「台湾併合」へ向いてしまうのであろうと石平氏。
国共内戦以来の共産党政権の悲願である「祖国統一」を自らの手で達成できたら、鄧小平だけでなくあの毛沢東さえ超えてしまうと。
故に、来年秋の党大会で続投となった後、習主席が台湾併合に本格的に動き出す可能性は十分にある。
周辺国はこの平和の危機にどう対処するのか。今から真剣に考えなければならないのであると石平氏。
バイデン大統領の米国は、対中対策を与野党一致で進め、トランプ氏時代からの継承で、各国にも連携を求めています。
欧州勢も重い腰を上げ始めていることは、諸兄がご承知のことです。
親中との見方があり、超党派の日中友好議員連盟会長を務める林氏の外相起用。元々はと派の宏池会で、親中と言われる岸田氏と林氏の外交コンビ。
米欧の対中包囲の世界の流れに、どう対処するのか。要注目ですね。
東奔政走:本当は“親中派”?岸田首相vs自民党右派の暗闘=及川正也 | 週刊エコノミスト Online
外相「知中派でいいが媚中はいけない」 林芳正氏: 日本経済新聞
# 冒頭の画像は、林外務大臣
この花の名前は、ホトトギス
↓よろしかったら、お願いします。
写真素材 - PIXTA