TPPを黒船として、これを機に農業改革を急がねばなりません。読売で今日(11/30)、1面トップに「農業開国」というシリーズ記事の初回を持ってきて、社説でも取り上げてありました。
遊爺の拙い随所の主張と符合し、うまくまとめられている(プロに対して失礼な言葉ですが)ので、備忘録をかねて転載させていただきます。
日本の農業をどう再生していくか――。
環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題をきっかけに、農政の抜本改革が菅内閣の大きな課題に浮上している。
農業団体などは「参加すれば、農業は壊滅する」と危機感をあおっているが、TPPを云々(うんぬん)する以前に、日本の農業が衰退の一途をたどりつつあるのは明らかだ。
日本の農業は長い間、巨額の補助金や高関税という内外の手厚い保護によって守られ、すっかり足腰が弱くなってしまった。
政府は、その現実を直視し、今こそ生産性が高く国際競争力を持つ農業に生まれ変われるよう政策転換すべきだ。それがTPP参加の前提条件となろう。
政府は30日、「食と農林漁業の再生推進本部」の初会合を開き、具体的な対策の検討に着手する。来年6月に基本方針、10月に行動計画を策定するというが、それではあまりに遅すぎないか。
国内農業は危機的状況にある。農業総産出額は8兆円あまりで、ピーク時より3割減少した。農業人口は20年間で半減し、平均年齢は66歳に達した。耕作放棄地も増大する一方だ。
窮状を打開するには、まず意欲のある農家が経営感覚を発揮し、ビジネスとして成り立つ農業を展開できる環境を整えることだ。
農地を集約して大規模化を進め、生産コストを下げる。資材購入や販路拡大を容易にする流通改革で、農家と消費者の結びつきを強める。高品質を武器に輸出を目指す。たくましい農業の実現に向け、様々な方策があろう。
焦点となるのは、こうした対策に伴う財政負担だ。一定の財政支出はやむを得ないにせよ、農業構造改革につながる事業に対象を限定することが重要である。
1990年代のウルグアイ・ラウンド合意では、総額6兆円を上回る対策費がつぎ込まれた。
しかし、農村の各種施設や温泉ランド、農道空港など無駄な事業に浪費された面が強く、効果を上げたとは言い難い。
すべてのコメ農家を対象に今年から始まった戸別所得補償制度も見直す必要がある。農家の6割は農業以外に安定した収入がある兼業農家だ。中核的な専業農家に支援を絞り込まなければ、農業の体質強化にはつながるまい。
農業が課題に上がるたび、選挙を意識した族議員や農業団体が政策をねじ曲げ、改革を阻んできた。政治が重視すべきは「水田」であり、「票田」ではない。
輸出産業がGDPの 4割を占める寡占企業が国家の主体となっているともいえる韓国ほどではないにしても、日本経済も輸出産業(GDPの15%)に負うところが大きく、自由化への開国は時代の大きな流れで、グローバルな成長には欠かせず、留めることは不可能です。
ならば、積極的に攻めていくしかないのです。
時間をかけて議論を尽くすといっても、これまで長い間、それなりに専門家や専門機関では議論されきているわけで、世界では先例も出てきていることもあり、今は決断して実行に移す時です。 食糧安全保障、自給率確保のためにどうやって農水産業を改革するかを決めて、TPP、EPAの開国と同時に進めるしか、デフレの経済再生、少子高齢化で縮小・ドーナツ化する経済構造の活性化が必要な日本には、選択肢はないのです。
策は読売の社説に書かれているものが世論の大勢でしょう。
この時、民主党マニフェストの「戸別所得補償制度」を拡大すればよいとの意見が多いのですが、根拠のない無意味なばら撒きではなく、構造改革のポリシィに沿った投資が必要です。
「戸別所得補償制度」では、零細農家、第2種兼業農家、高齢化で耕作放棄に至る農家が「貸しはがし」を始め、積極的に拡大しようとしている専業農家の足を引っ張っています。また、米価の値下げを促進していることも、報道などで諸兄もご承知のとおりの弊害がでています。
他に、6次産業化も成功例が紹介されているのも見聞きします。門戸を開放し、農家側からの進出も、他産業からの参入も認め活性化すればよいでしょう。もちろん競争による淘汰は生じますが、その中から競争力が生まれるのです。
与野党を問わず、日本の将来を決する一大変革の時に政治に携わることとなった政治家の方々の大局を観た決断と行動をお願いします。
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