薄暗い照明のお店から外に出ると眩い陽光の景色が飛び込んできました。
半円形にカットされた並木が川岸に並んでいて穏やかな景色です。
刈り揃えられた木陰から対岸の山脈を眺めると平和な光景です。
マリアーノがなにやら感慨深げに景色を眺めています。
並木のもとへ私を誘いました。
木のプレートが取り付けられています。
プレートには名前と日付が書かれています。
この木はハンギングツリーなのだ、パルチザンが捕らえられこの木に吊されたのだ。
並木の全ての幹にもプレートが架かっています。
おびただしい数のパルチザンがここで処刑され晒し者にされたのです。
一見、平和な穏やかな光景ですが、ここで凄まじい惨劇が行われたのです。
日本でも戦災で夥しい死者を出しました。広島・長崎だけでは無く、東京でも
アメリカのB29の爆撃で関東一円が焼き尽くされ、夥しい数の死傷者を私も目撃しています。
日本でもそのハンギングツリーのようなモニュメントを戦災で死んだ人が倒れた場所に一人につき
1個のモニュメントを設けたら、その夥しい数を見れば、戦争を知らない人たちにも戦争の悲惨さを現実
のものとして感じる事が出来るのに、とこの木を見て強く感じました。
日本は70年間も戦争が無く、戦争は対岸の火だと高をくくって平和惚けしているのですから。