原題:赤壁
英題:RED CLIF PartⅡ
大活劇アクション、大スペタクル娯楽巨編。アッという間に2時間半が過ぎる。
爆発音、剣戟、怒号などの戦闘の大音響。
風雲、火炎、人馬の疾走などの画面に溢れる映像。
アップ・テンポと思えば長回し、そしてスロー・モーション。
VFX駆使の迫力は、ハリウッドを凌ぐ。
これぞジョン・ウーの世界、ジョン・ウーの真骨頂。
『三国志』なるものは、『演義』も含め、物語の展開の筋が幾つかあり、微妙に異なっている。我が国では、劉備玄徳と諸葛孔明の主従物が多く理解されているが、本家ではそうではないようだ。
それゆえか、この映画のみどころは、曹操。
人物の掘り下げ・物語における重要度・演技の迫真性などすべてにわたってトニー・レオンの周愈、金城武の孔明より威厳に満ち存在感に溢れている。演じるのはチャン・フォンイー。他の国々の映画の中に入れて観たい。
ジョン・ウーは、「現在のハリウッドのシステムでは、どんな映画でも同じようなヒーロー像になり、エンディングも似たり寄ったりという現象が生まれてしまう。プロデューサー、個人投資家、配給会社、マーケティング、その他あらゆる人達が製作に口を出し、陰で権力闘争を演じ、酷い時には一つの作品に8ヶ月も会議が続く。だから、いま100億円の巨費を投じても、このような映画は作れない」と。
ところで、part Ⅰを観た人のうち何割がpart Ⅱを観るのだろうか。part Ⅰはpart Ⅱの大きすぎる予告編という人もいる。4時間を上回る長尺だから前後編に分けるのが当然という説もある。
part Ⅰは400万人が観賞したという。その7割がpart Ⅱを観るとして、日本の映画料金で試算すると、興行収入は100億円を超えることになる。私財100億を投じたウーさん、見事に回収できます。ハリウッドのシステムを超えてます。ご同慶の至りです。