Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

渇き

2012-05-06 | 外国映画(か行)
★★★★☆ 2009年/韓国 監督/パク・チャヌク
(DVDにて観賞)

「ソン・ガンホの幅広さに脱帽」


映画公開時にはあまり評判が芳しくなく、期待せずに見たのですけど、おもしろかった。
やっぱり、私はパク・チャヌクの映画とは相性がいい。
彼の映像センスがすごく好きです。

現代韓国の映画作品には容赦ない暴力シーンが多く、
パク・チャヌクにしても彼を一躍有名にした「オールドボーイ」などから
韓流を代表する監督のような印象を与えているのかも知れない。
でも、私はこの人の作品からは、いわゆる韓流のイメージよりも、ヨーロッパ映画の雰囲気を感じます。
特に、ちょっとした「外し方」ですね。

例えば、息子の死に直面して母親がショックで動けなくなるシーン。
なぜか場所が突然手術室に切り替わり、みんなが手術用の服とゴム手袋を付けて
手術台に乗せられている母親をのぞき込んでいて、こりゃダメだなとか言い合ってる。
こういうシーンにくすっと笑っちゃうんですよね。
アルモドバルとかも、こういうことしませんかね。
バンパイアのジャンプもCGを使ってるんだろうけど、着地の瞬間など映像的なぎこちなさが残っていて、リアル過ぎないのが映画的な雰囲気を持っている。
釣り船から男を突き落とすシーンでは、釣り竿の針がテジュの耳たぶに引っかかり、
リールがぐるぐると巻き取られて、耳たぶがプチーン!なんていう一連のシーンもパク・チャヌクらしいアイデア。
全く動けなくなった母親がギョロギョロと目を動かすシーンも面白いです。

映画の宣伝的には韓国の若手女優キム・オクビィンが脱いでいることもあって、
エロティックな部分が前に出されているんだけども、見て見るとそればかりでもないんですよ。
公開時の宣伝ポスターにも使われたDVDジャケットのイメージが逆効果じゃないでしょうか。

とはいえ、ベッドシーンもねっとりしていて、いい。
ソン・ガンホは役のためにずいぶん体を絞ったらしいんですけど、その効果は絶大で非常に魅力的な神父。
とてもセクシーなんですよね。
どうしようもないボロボロのおっさんとのギャップが凄い。やっぱ、ソン・ガンホは最高ですね。