Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

世界にひとつのプレイブック

2013-06-11 | 外国映画(さ行)
★★★ 2012年/アメリカ 監督/デヴィッド・O・ラッセル
(DVDにて鑑賞)

「Where's the silver lining?」


小さい世界でいじいじ、ぐずぐずやってる人間模様を描いた邦画が大好きです。
そのグダグダした日常の中にはっと気づかされる物事の真理とか、人間の愛しさとか、
そういうものがキラッと光ったら、もうそれでいい。見てきた甲斐があったよ、と思う。
(こと映画鑑賞においては、マゾ体質なんだな。サービス過剰な作品は胸焼けしてくるし)

最近は、アメリカ映画でもこうしたちまちま系の作品が多いのだけど、本作もその一つ。
いつになったら、何がキラッと光るのだろうと思って見ていたのだけど、正直私には何も光らず終了という感じ。
皮肉にも原題に含まれる「silver lining」とは雲の縁が銀色に輝く様だそうだけど、
ストーリーでも、演出でも、この作品の中でsilver liningを見つけることはできなかったです。

別れた妻が忘れられない、事故で死んだ夫が忘れられない。
そもそも、このふたりのトラウマが似通っていること自体、設定的に広がりがないんだよね。
主要キャストはみんなご近所さん。で、そこに何か「異物」が絡んで来て、小さい世界が崩壊するのかというとそういうこともない。
一応、ご近所同士で賭博に絡んだケンカ沙汰は起きるんだけど、それは崩壊でも何でもないしさ。
閉ざされた心を解放する手段がこれまた社交ダンス。
しかも、ダンスコンテストの10点満点の5点が取れたらOKっていう、その中途半端さは何なんだ。

アメリカ映画ではよくあることなんだけど、最初から「心に病がある」と断定した上で物語が始まるでしょう?
どうして、いきなり物語を閉じるところから始めるんだと不可解に思う。
それは何でもかんでもカウンセリングに通っちゃうアメリカの文化があるから仕方ないのかも知れないんだけどさ、
「この人は病気ですよ」から始めたら、じゃあ「どうやって直るんでしょう?」しか、観客の見方はできないわけよ。

どうにもこうにも全てが想定内。「心に傷のある~」を前に押し出されると、描き方が甘い。
むしろ、第一印象は最悪だったオトコとオンナが結ばれる、と言った方がよっぽど私にはフィットするんだけど。