Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

われらが背きし者

2018-11-24 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★☆ 2016年/イギリス 監督/スザンナ・ホワイト

(Amazonプライム)
巻き込まれ型サスペンスで、ジョンルカレが原作となると、ある程度面白さは担保されたようなものなのだけど、どうにも物足りなさが残る。それは、ユアンマクレガーが演じるペリーという男の人物像があまり見えてこないからだ。冒頭、いきなり縁もゆかりもないロシア人から命がけのUSBをいとも簡単に受け取ってしまうのだが、それはきっと彼が有能な弁護士である妻と比べて実務には何の役にも立たない「詩」を教える大学教授であることの引け目から来るのだろうと想像できる。しかも、教え子と浮気をして妻にも見放されているらしい。そうした焦燥感やら、男の意地が彼をスパイを助けるというどでかい事件に首を突っ込ませてしまったのだろうと推測するわけだけど、そんな彼の迷いや葛藤、または事件を通した成長というのが、その後あまり描かれないんだよね。むしろ、上司の意向を無視して作戦を実行するM16のヘクターの方がそうした深みが出ていた感じ。ロシア、マラケシュ、ロンドン、パリ、スイスとめくるめくヨーロッパ紀行の映像はとても美しかった。