Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

しゃぼん玉

2019-11-21 | 日本映画(さ行)
★★★★ 2016年/日本 監督/東伸児

強盗犯が田舎の自然と人に触れて改心…というよくある話。しかし市原悦子扮するスマが #林遣都 演ずる伊豆見を呼ぶ「坊」という声、全てを赦し慈しむその声を聞くだけでも見るべきと断言したい。繰り返される「ぼうはええこじゃ」に観客はそれぞれの過去の過ちから解き放たれるのだ。

通り魔に遭い田舎に戻ってきた若い女性の行く末を描ききれていない点は不満が残るのだが、それを凌駕する市原悦子の佇まい。遺作になったのは偶然だが、彼女のこれまでの役者人生が凝縮されたような役どころで田舎の老女の朗らかさとその裏にある諦めを見事に表現し、スマそのものとして存在している。

親の愛を知らない伊豆見を演じるにあたり #林遣都 がひどい箸の持ち方にした事はファンの間では有名な話。スマに会い、人としての心を取り戻していく様を好演している。本作での市原悦子や銀二貫での津川雅彦など既に鬼籍に入った名優との共演で得たものが確実に俳優としての幅や深みとなっているはず