Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

82年生まれ、キムジヨン

2020-10-22 | 外国映画(は行)
★★★★ 2019年/韓国 監督/キム・ドヨン

女に生まれてしまったことの業が全方位から攻めてくる。肉親、会社、社会。放たれ続ける矢にジヨンの心は崩壊する。様々な立場の女の苦悩をジヨンが代弁する。まるでイタコのように。成仏できなかった女たちの無念。それらが可視化され嫌が応にも自分の人生を振り返ってしまう.

私はチーム長と同世代。雇用均等法が成立し、男たちの作ったルールの中で男たちと同じ様に働いた。体を壊して辞めていく先輩を何人も見送ったあの時代。この手の物語を見聞きすると、後輩の女性たちに何も残してなくて申し訳ないという思いで心が張り裂けそうになる。

映画のラストは原作とは違うと言う。確かジョーダンピールの「ゲットアウト」も現実があまりに辛いためラストを変えたと聞いた。たぶん社会はそう簡単には変わらない。しかし、女の生き難さをここまでストレートに、つまびらかに表現する事から新たな一歩が始まるということを信じたい。