Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

2020-12-21 | 日本映画(さ行)
★★★★☆ 2018年/日本 監督/武正晴

偶然銃を拾った大学生のトオルはいつか誰かを撃つのだという強迫観念にとらわれる。トオルはいつ、誰に銃口を向けるのか。モノクロの映像が緊張感を増幅させ、ついに訪れるその瞬間の映像的な変化が見る者に強烈な余韻を残す。まるでATGのような“今”の邦画の手触りとは全く異なる作風にやられた。

主人公トオルの人物造形が実に魅力的。武器を手に入れた虚無感は太陽を盗んだ男のジュリーみたいだし、友人を見下したりガールフレンドを弄ぶニヒリストっぷりは若い頃の仲代達矢みたいだし。そんな複雑なキャラを見事に演じる村上虹郎恐るべし。しかも待ちに待った村上淳との共演があれ。食らった。

本作でもリリーフランキーの得体の知れなさが炸裂。この空気感は誰にも真似できない。彼が出るとそこからもう物語世界が歪むというか、異なる位相に行ってしまう感じ。やはり、リリーフランキー出演作品は見逃せない。

最新の画像もっと見る