『プラダを着た悪魔』ローレン・ワイズバーガー著 佐竹史子訳
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元ヴォーグ編集長アシスタントの女の子が書いた、ファッション雑誌の編集部を舞台にした娯楽小説。映画化も決まってますね。てゆーかアメリカではもう公開されてんのかな?日本ではどーでしょー。ちなみに主演はアン・ハサウェイとメリル・ストリープ。
ここんとこカタめな本ばっかり読んでたから、息抜きに軽めのやつをと思って手にとってみたんだけど・・・うーむ。
業界コメディという点では前に読んだ『二遊間の恋 大リーグ・ドレフュス事件』と似たような小説です。ただし、『二遊間〜』が球界、『プラダ〜』はファッション界、前者が主人公をとりまく無数の人物の目を通した三人称で、後者が新卒社員の主人公の一人称で描かれているという、モチーフとスタイルが違う以上に、筆者にモチーフに対する愛情があるかないかという点が大きく異なっているが。
おそらくだが、このアンドレアというヒロインに多少なりとも洋服に対する情熱が備わっていれば、この本はもっとおもしろくなったんではないかと思う。このままでも充分に楽しめるが、どうしても「洋服なんて」という気取った目線が鼻についてしまうのがもったいない。もしもともと彼女がファッションに憧れなり哲学なりをもっていて、異常な職業環境によって自らの幻想を棄てるように変化していくという物語であれば、この小説はただのコメディではなく、きちんとした青春文学になる可能性があったかもしれないのだ。
先日『ロスト・イン・トランスレーション』を観た時も思ったことだが、マスコミ業界というのはなぜいつでも、とにかくただただ滑稽でバカバカしいだけの世界としてカリカチュアされ続けなければならないのだろうか。一般の観客・読者にとって、それはいつまで笑えるネタとしての鮮度を持った世界なのだろう。
実際にマスコミの現場にひととおり関わってきたぐりには、当然そうした小説や映画はとくにおもしろくもなんともない。それで?だから?で終わってしまう。TVでも映画でも、これまで何十年にもわたって使い古されたネタ以上でもなければ以下でもない。
傍目に異常にみえても、当事者はプロ意識をもって誠心誠意情熱をもって働いている人間を単純に笑ってバカにするだけの傲慢が、果たしてどれだけの「文化」「芸術」と呼び得るものだろう。
何も業界コメディがいけないとはいわない。その世界の歪みを通して、もっと広い世界観を表現しているのでなければ、その作品には最低限のオリジナリティがあるとはいえないのではないか?と思う。それだけのことだ。
ワイズバーガー氏にとってこの小説はデビュー作。まだ20代だそうだ。今後の活躍に期待したい。
ちなみにぐりオススメのモード・ドキュメンタリーは『アンジップト』と『都市とモードのビデオノート』デス。
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元ヴォーグ編集長アシスタントの女の子が書いた、ファッション雑誌の編集部を舞台にした娯楽小説。映画化も決まってますね。てゆーかアメリカではもう公開されてんのかな?日本ではどーでしょー。ちなみに主演はアン・ハサウェイとメリル・ストリープ。
ここんとこカタめな本ばっかり読んでたから、息抜きに軽めのやつをと思って手にとってみたんだけど・・・うーむ。
業界コメディという点では前に読んだ『二遊間の恋 大リーグ・ドレフュス事件』と似たような小説です。ただし、『二遊間〜』が球界、『プラダ〜』はファッション界、前者が主人公をとりまく無数の人物の目を通した三人称で、後者が新卒社員の主人公の一人称で描かれているという、モチーフとスタイルが違う以上に、筆者にモチーフに対する愛情があるかないかという点が大きく異なっているが。
おそらくだが、このアンドレアというヒロインに多少なりとも洋服に対する情熱が備わっていれば、この本はもっとおもしろくなったんではないかと思う。このままでも充分に楽しめるが、どうしても「洋服なんて」という気取った目線が鼻についてしまうのがもったいない。もしもともと彼女がファッションに憧れなり哲学なりをもっていて、異常な職業環境によって自らの幻想を棄てるように変化していくという物語であれば、この小説はただのコメディではなく、きちんとした青春文学になる可能性があったかもしれないのだ。
先日『ロスト・イン・トランスレーション』を観た時も思ったことだが、マスコミ業界というのはなぜいつでも、とにかくただただ滑稽でバカバカしいだけの世界としてカリカチュアされ続けなければならないのだろうか。一般の観客・読者にとって、それはいつまで笑えるネタとしての鮮度を持った世界なのだろう。
実際にマスコミの現場にひととおり関わってきたぐりには、当然そうした小説や映画はとくにおもしろくもなんともない。それで?だから?で終わってしまう。TVでも映画でも、これまで何十年にもわたって使い古されたネタ以上でもなければ以下でもない。
傍目に異常にみえても、当事者はプロ意識をもって誠心誠意情熱をもって働いている人間を単純に笑ってバカにするだけの傲慢が、果たしてどれだけの「文化」「芸術」と呼び得るものだろう。
何も業界コメディがいけないとはいわない。その世界の歪みを通して、もっと広い世界観を表現しているのでなければ、その作品には最低限のオリジナリティがあるとはいえないのではないか?と思う。それだけのことだ。
ワイズバーガー氏にとってこの小説はデビュー作。まだ20代だそうだ。今後の活躍に期待したい。
ちなみにぐりオススメのモード・ドキュメンタリーは『アンジップト』と『都市とモードのビデオノート』デス。