落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

Darling, if you save the world, you can have a backstage pass.

2018年01月07日 | movie
『キングスマン:ゴールデン・サークル』

独立諜報機関キングスマンのエグジー(タロン・エガートン)はある日かつてのキングスマン候補生チャーリー(エドワード・ホルクロフト)に突然襲われ、やがて背後にゴールデン・サークルというアメリカの麻薬組織の陰謀があることを知る。
ゴールデン・サークルを経営するポピー(ジュリアン・ムーア)は商品に致死性の人工ウィルスを混入させ「解毒剤と引き換えに麻薬取引を合法化せよ」とアメリカ大統領を脅迫、世界中で感染パニックが勃発する。
2014年のイギリス映画『キングスマン』の続編。

生まれて初めて4DXで鑑賞してみましたが。まあもういいです。一回観てみりゃ十分だね。ふつうにテーマパークのアトラクションです。
作品自体も期待外れでした。やっぱ一作目はコリン・ファースが超バカバカしいスパイコメディで鉄仮面の無表情のままバリバリにアクションしまくるギャップがおもしろかったんだよね。続編はアホらしさだけ残って、作品の世界観もただ「ほーれスケール感あるやろあるやろほれあるやろ」的な虚しい自己満足の道具になっちゃってる。
頑張ったとは思うけど、前作の何が面白かったのかが製作者にがっちり消化しきれてなかったんだなあと、ちょっと残念な気持ちになりました。

前作はエグジーという新人が幾多の関門を乗り越えてキングスマンになっていく過程と、後半の大富豪ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)との攻防の二段構えがいいコントラストになってたんだけど、今作も、記憶喪失になったハリーの回復とゴールデン・サークルとの戦いという二段構えになっている。単純な勧善懲悪ではなく、敵対する価値観それぞれの正義がいりくむ複雑な社会構造のリアリティも表現されている(選民思想、違法薬物極悪論)。
そういう意味では、すごくちゃんとした映画だと思うし共感もするし、一定の評価はされてしかるべきだとは思うんだけど、このままシリーズ化していいもんかどうかは若干首をひねってしまう。

最大の敗因は、娯楽映画としていったい何が観せたかったのかがもうひとつ判然としないところじゃないかと思う。
エルトン・ジョンの登場シーン(ネタバレになるので詳細は秘す)には驚かされたけど、とはいえ作品全体に占めるウェイトは大きくないし、人間ミンチも20年以上前に『ファーゴ』で観ちゃった人間にとっては「だからなんだ」で終わっちゃうし、どのスペクタクルシーン(やたらいっぱいある)にもまったく新鮮味もない。
コリン・ファース大好きだし前作もすごく好きな作品なので、次回作はもう少し気持ち引き締めて、もう一度観客をあっといわせてほしいです。
頑張れ。