落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

暴力反対

2004年09月09日 | movie
『父と暮せば』
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偶然なんですが、ぐりが観た回の直後に監督の舞台挨拶がありました。その後でサイン会もあったんでしっかり本買ってサインも貰って来たよ。ぐりは役者やタレントのサインには興味ないけど、映画監督のサインは貰う方です。なんでかは自分でもよく分からないけど。
ぐりは今までに黒木監督の作品は観てないけど、サインを貰うために買った監督の本を読んでたら観たくなって来たんでビデオ捜してみよーかと思ってます。

『父と暮せば』はもともとが戯曲です。映画は原作にかなり忠実なので雰囲気はすごく舞台っぽかったです。登場人物もヒロイン美津江と父、それと美津江に思いを寄せる青年の3人だけ。画面もほとんど美津江の家しか出て来ません。でもそれだけで戦争の恐ろしさ、悲しさは充分に伝わって来る。回想で原爆投下前後の場面も時々出て来ますが、それだっていらないくらい、それくらい悲しい。ぐりはほとんど号泣してました(恥)。

物語で語られる戦争は広島に落とされた原爆の話、それも美津江ひとりの体験のみにしぼられています。ボリュームだって具体性だってそんなに大したもんじゃない。でも、観ているとそれだけで充分だと思えて来る。美津江ひとりの悲しみだけで、戦争がどれだけひどいことか、人間が人間に対してこんなにひどいことをしてしまうのがどれほど愚かしいことか、その暴力の無意味さが心だけでなく全身に響いて来る。
ストーリーや演出もスゴイんだろうけど、宮沢りえと原田芳雄の演技の素晴らしさにもよるところは大きいと思う。特に宮沢りえは最近の作品ではいつも感心するんだけど、今回も全く期待を裏切られませんでした。この人の芝居は上手いとか下手とかじゃない、自分自身の世界をしっかり持っていながら、なおかつ自分の全部の感覚を役にすっきりと置き換えてしまう素直さに力があるような気がします。今の日本には他にはいない女優さんだと思う。

ところで浅野忠信はほんとにちょびーっとしか出て来なかったけど、この人こういう役もすごく似合いますね。昔『幻の光』に出た時もそう思ったけど、“不在の存在感”に威力を発揮する人ってのも、これまた今の日本では珍しい俳優さんだと思います。
あとロケ場所が先月撮影で行ったのと同じロケセットでビックリしました。

ドキュメンタリーは眠い

2004年09月09日 | movie
『華氏911』
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これも観たかったから観れて納得、って作品でした。内容はほとんどみんなが知ってることだったしね。
作中に家族の何人もが軍隊に入ってるって女性が登場するんだけど、彼女のインタビュー部分だけはかなりぐっと来ました。たぶん長期に渡って何回もインタビューしてるんだろうと思うんだけど、その度に状況が変わってて、当然彼女の云ってることも変わって来る。それがすごくリアルというか切実に感じました。
ぐりが凄いなと思うのは、こういうドキュメンタリー映画が話題になって、しかも興行的に成功してる、それがスゴイし、その意味でマイケル・ムーアは大した人物だと思います。作品がどーのってより(作品だって充分面白いけど)こういうことが出来るってのがスゴイ。
たぶんこの人は映画史にしっかり残っていくと思うし、逆に、世界にはこんな映像作家がもっといても良いんじゃないかとも思います。

ドキュメンタリーは眠い

2004年09月09日 | movie
『ディープ・ブルー』
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観て納得しました。とにかく観たかったのが観れたから。
確かに映像は凄かった。スゴイんだけど、やたらめったらわざとらしい演出がついてるのと、編集がしつこいのはあんまり好かんかったです。眠くなった原因もそこにあると思う。全編ハイスピード撮影使い過ぎ、妙な効果音入れ過ぎ、スペクタクルシーンの凄さは分かるけど長いんだよワンシーンがぁ。同じシークエンスのリフレインも多過ぎる。ホーラこんなにいっぱいカメラ使ってんだよーって自慢かっつの。
映像資料として観て損はないし、生物学的にも映像技術的にも価値のある作品だろうとは思うけど、ぐりは好きかキライかと訊かれればキライな部類の映画でした。綺麗ならいいってもんじゃない。壮大ならいいってもんじゃないんです。

金城武は意外にかっこええな

2004年09月09日 | movie
『LOVERS』
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ぐりは『HERO』を観てないんですが、どーしてかこの『LOVERS』は予告編で「観てもいいか」と思っちゃいました。観てみたら「やっぱ観ないでもいかった」と思ったけど(笑)。
ぐりはもともと武侠片(中華圏の時代劇アクション)てあ〜んまり好きじゃない方です。だってリアリティないしぃ、アクションだってそんなに興味ないしぃ。何よりあの「ホラすごいでしょ」「こんなことも出来る」「あんなことも出来る」と云うこれみよがしな空気がどうもいかんよ。

『LOVERS』もやっぱり「ホレすごいやろ」なシーンの連続で結構途中で飽きちゃいました。映像も想像してたほど綺麗じゃない。特撮も意外にちゃっちぃし。「こっ、これは!!」と思わずビビるしょぼい特撮CGはホントもうかんべんですわ。一応大作映画なんだからさぁ。アニ○ロジックさんよ・・・。衣装は綺麗だけど、ワダエミが映画の衣装やるとどーしても「衣装」が主張し過ぎて映画ってよりファッションショーみたいになっちゃうし。それはそれで見ごたえはあるんだけど。
ところでアレかね、張芸謀は鞏俐の次は章子怡にホ・ン・キ(爆)なんでしょーかね。章子怡リスぺクトし過ぎー。躍るツーイー、暴れるツーイー、いたぶられるツーイー、逃げるツーイー、戦うツーイー、セクシーなツーイー・・・ってもうええわ。つうくらい全編ツーイーだらけです。衣装も次から次へととっかえひっかえ、あからさまなサービスカットも多いしさぁ。これはたぶんもうひとりの女子メインだった梅艶芳姐さんが撮影中にお亡くなりになってしまったせいだと・・・思ひたい(ぐっ)。

それにしても章子怡は何でも出来る人なんですねえ。アクションは知ってたけど舞踊もあそこまでとはオドロキです(実は北京?蒼・学院出身で全国コンクールでの受賞経験がある)。意外に体格が良いのにもビックリ。なんとなくもっと華奢で頼りない印象があったんだけど、女優さんて分かんないもんです。
ちなみに章子怡と『藍宇』の劉燁は同じ演劇学校(北京中央戲劇学院)の同級生。映画デビューは劉燁が『山の郵便配達』(1998年)、章子怡が『初恋のきた道』(1999年)で劉燁の方が先だったんだけど、2000年に『グリーン・デスティニー』に出た章子怡の方が国際的には先に有名になったんだね。香港・台湾で一大センセーションを巻き起こした『藍宇』は2001年、この年はふたりが学校を卒業したすぐ翌年だったそーだ。ほええ。中国の演劇学校ってスゴイなぁ。
さらに余談ですがふたりは件の『パープルバタフライ』と『ジャスミンの花開く』で共演してます。演劇学校時代にも「離婚する夫婦の役」で共演したことがあるそうな。

閑話休題。
金城武は意外にかっこよかったです。とりあえず劉徳華は負けちゃってました。しかしこの組合せは顔濃過ぎるよ。濃いにもホドがあるだろう。
まぁ冗談はさておいて金城武の芝居を久しぶりに見たけど、なんだか映画が似合う、大スクリーンの似合う、スターらしい俳優だなぁと改めて思いました。北京語上手いしね(吹替えかもしらんけど)。少なくとも日本語とか広東語よりはウマイと思った。英語はどーなんだか分かんないけど。ロンゲも似合うし、時代劇もハマってるし声もすごく綺麗だし、歌舞伎で云う顔よし声よし姿よし、ってやつ。もっとこういう大作にバンバン出てって欲しいなぁ。
欲を云えばもういいオトナなんだからもうちょっと色っぽくなって欲しい。色気なさすぎです。どんだけ激しいラブシーンやっててもさっぱりセクシーじゃない。不思議よのう。

中華フェロモン炸裂メロドラマ@やおい系

2004年09月08日 | movie
『藍宇 情熱の嵐』

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いやぁ關錦鵬、やっぱスゴイですわ。
ストーリーはすんげー陳腐なんですよ。設定もなんだか時代錯誤な感じ。ほとんど昼帯のメロドラマの世界です。ただまぁこれは原作モノなのでそれはしょうがない(原作の感想はコチラ)。
むしろどんなに陳腐な物語であっても人が人を全身全霊で愛すると云うテーマはいつの時代も美しい。テーマが直情径行的であればあるほど真正面から描くのは実際とても難しいけど、描くべきものをきちんと丁寧に真剣に描けばそれはそれで傑作にすることが出来る筈。つまり“何を描くか”よりも“どう描ききるか”が勝負(by王家衛)である。關錦鵬、巨匠の腕の見せどころですー。

結果としては、セクシュアルな描写や登場人物の社会的環境など映画では省かれたパートが多く原作のファンは物足りないようですが、ぐり個人としては話がパーソナルな面にしぼれててふたりの内面により共感しやすくなってると思ったし、何ヶ月も何年も話がすっ飛ぶ大胆な省略も却って斬新な構成に見えたし、逆に原作にはなかったシーンやリアルな会話のトーンがいかにも監督らしい印象的な要素として生きてるなと思いました。
ぐりは前からこの監督のファンなんですが、どこがスゴイって心理描写です。理屈じゃない。観客に有無を云わせない。別れと再会を繰り返す毎に激しく相手を求めるふたりの燃えさかるような心のときめき、はりさけるような胸の痛み、その生々しいほど鮮烈な心理描写でここまでガツンと観客の心を揺さぶる演出をぐりは他に知らない。要するにひらたく云えば芝居が芝居に見えない。それも度を超しているとしか云えないぐらいの大熱演。ちょーリアルです。これまでの作品大抵そーでしたけども。

たとえば『藍宇』なんかツカミからいきなりスゴイ。主役の胡軍だって?nッキリ云って分りやすいいわゆる二枚目ではない。オナカうっすらぷにょってます。生え際びみょーに後退してます。ええ“おっさん”です?Bところがどういうワケか画面に彼が出て来た瞬間に凄まじい力で一気にストーリーにひっぱりこまれてしまう。なんでかは分からない、勝手?ノ気分が“一目惚れモード”に持って行かれてしまう。
問題の藍宇役の劉困世辰