『トランスアメリカ』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000FDK9TY&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
※ネタバレ部分は伏せ字になってます。
おもしろかった。ハートウォーミングでふつーに笑えるコメディ映画でした。あまりにすんなり観れてしまって逆に拍子抜けするくらい。
トランスセクシュアルの父と生別れの息子の再会の物語というとどうしても重い難しい映画を想像しがちだけど、これはまったくそういう話ではないです。てゆーかふつーに考えたらそうなっちゃう話を、あえてつとめて重くなくまとめようとしているフシがある。
なのでところどころにややムリもある。展開はしばしば強引だしかなりご都合主義的に感じる部分もままある。けどハリウッド映画じゃそんなの当り前じゃんか、といってしまえばそれまでである。確かによくできてるとはちょっといいにくいかもしれない。でもおもしろいかおもしろくないかといわれればちゃんとおもしろいし、ちゃんと楽しい。
映画としての完成度はべつとして、トランスセクシュアルとその周辺の抱える問題の現実を娯楽作品に表現した物語としては、なかなかわかりやすくすっきりまとまってはいると思う。
主人公ブリー(フェリシティ・ハフマン)は自分自身を欺き続けていた過去を直視することができないでいる。もっとひらたくいえば、生まれたときは生物学的には男性だったという事実を受け入れられず、どうにかそのことから目を背け続けている。彼女が女性になりたいのは、自分はほんとうは女性であるはずという自覚と同時に、男性として生まれた現実から逃げたいという部分もある。
生別れの息子/トビー(ケヴィン・セガーズ)の人物描写も興味深い。継父の性的虐待、実母の自殺、ニューヨークでの男娼生活というとどうしようもなく悲劇的な不良少年をイメージしてしまうが、けっこう素直で天真爛漫としていて、動物や子どもが好きで17歳にもなってサルのぬいぐるみをかわいがったり、まったく見も知らない実父に憧れたり恋しがったりする純真無垢なところもある。人間そこまで単純じゃないよ、ってことなのか。
クライマックスでトビーはブリーに肉体関係を迫り、やむにやまれずブリーは自分が実父であることを告白する。劇中では最もセンセーショナルな場面だ。親の愛情を受けてこなかったために愛情感覚が稚拙なうえに性的にルーズなトビーは、ブリーの不器用ながら真摯な優しさを本能的に肉親のあたたかさとして感じながら、それに対する反応の表現を他に知らなかったのではないだろうか。心のどこかでブリーを肉親=父親ではないかと感じながら、いやそんなはずはない、そうは思いたくないという人情もよくわかる。一見滑稽なようだが、不幸な彼の生い立ちを思うとかなりせつないエピソードでもある。
道中で会ったトランスセクシュアルの人々を「いい人たち」と評しながら、ブリーもそうだと知ると反射的に「フリーク(化け物)」といってしまうトビーの言葉に、マイノリティの上にのしかかるものの重さと差別の複雑さがよく表れている。
主演のフェリシティ・ハフマンはこの映画で物凄い数の映画賞を獲ってるけど、もうホントに文句なく名演です。どっからどーみてもトランスセクシュアルにしかみえない。しかもおもしろいし。まさに体当たりです。これぞ女優魂でしょう。
トビー役のケヴィン・セガーズがまたかわいいんだな。ブリーの母親(フィオヌラ・フラナガン)がトビーを孫としてやたらネコ可愛がりするんだけど、その気持ちすごいわかるよ。ハンサムだもん。セクシーだしさ。いろいろととんでもないものを背負った少年の役をアッサリあっけらかんと演じてるとこがよかったです。
先住民のおじさん/カルヴィン(グレアム・グリーン)もかっこよかったなあ。
映画全体としては想像してたよりも印象はやや薄いかもしれないけど、ブリーやトビーや周囲の人々など登場人物のキャラクターの個性は相当濃かったです。あとテーマ曲「Travelin' Thru」はやっぱ名曲だと思いました。
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※ネタバレ部分は伏せ字になってます。
おもしろかった。ハートウォーミングでふつーに笑えるコメディ映画でした。あまりにすんなり観れてしまって逆に拍子抜けするくらい。
トランスセクシュアルの父と生別れの息子の再会の物語というとどうしても重い難しい映画を想像しがちだけど、これはまったくそういう話ではないです。てゆーかふつーに考えたらそうなっちゃう話を、あえてつとめて重くなくまとめようとしているフシがある。
なのでところどころにややムリもある。展開はしばしば強引だしかなりご都合主義的に感じる部分もままある。けどハリウッド映画じゃそんなの当り前じゃんか、といってしまえばそれまでである。確かによくできてるとはちょっといいにくいかもしれない。でもおもしろいかおもしろくないかといわれればちゃんとおもしろいし、ちゃんと楽しい。
映画としての完成度はべつとして、トランスセクシュアルとその周辺の抱える問題の現実を娯楽作品に表現した物語としては、なかなかわかりやすくすっきりまとまってはいると思う。
主人公ブリー(フェリシティ・ハフマン)は自分自身を欺き続けていた過去を直視することができないでいる。もっとひらたくいえば、生まれたときは生物学的には男性だったという事実を受け入れられず、どうにかそのことから目を背け続けている。彼女が女性になりたいのは、自分はほんとうは女性であるはずという自覚と同時に、男性として生まれた現実から逃げたいという部分もある。
生別れの息子/トビー(ケヴィン・セガーズ)の人物描写も興味深い。継父の性的虐待、実母の自殺、ニューヨークでの男娼生活というとどうしようもなく悲劇的な不良少年をイメージしてしまうが、けっこう素直で天真爛漫としていて、動物や子どもが好きで17歳にもなってサルのぬいぐるみをかわいがったり、まったく見も知らない実父に憧れたり恋しがったりする純真無垢なところもある。人間そこまで単純じゃないよ、ってことなのか。
クライマックスでトビーはブリーに肉体関係を迫り、やむにやまれずブリーは自分が実父であることを告白する。劇中では最もセンセーショナルな場面だ。親の愛情を受けてこなかったために愛情感覚が稚拙なうえに性的にルーズなトビーは、ブリーの不器用ながら真摯な優しさを本能的に肉親のあたたかさとして感じながら、それに対する反応の表現を他に知らなかったのではないだろうか。心のどこかでブリーを肉親=父親ではないかと感じながら、いやそんなはずはない、そうは思いたくないという人情もよくわかる。一見滑稽なようだが、不幸な彼の生い立ちを思うとかなりせつないエピソードでもある。
道中で会ったトランスセクシュアルの人々を「いい人たち」と評しながら、ブリーもそうだと知ると反射的に「フリーク(化け物)」といってしまうトビーの言葉に、マイノリティの上にのしかかるものの重さと差別の複雑さがよく表れている。
主演のフェリシティ・ハフマンはこの映画で物凄い数の映画賞を獲ってるけど、もうホントに文句なく名演です。どっからどーみてもトランスセクシュアルにしかみえない。しかもおもしろいし。まさに体当たりです。これぞ女優魂でしょう。
トビー役のケヴィン・セガーズがまたかわいいんだな。ブリーの母親(フィオヌラ・フラナガン)がトビーを孫としてやたらネコ可愛がりするんだけど、その気持ちすごいわかるよ。ハンサムだもん。セクシーだしさ。いろいろととんでもないものを背負った少年の役をアッサリあっけらかんと演じてるとこがよかったです。
先住民のおじさん/カルヴィン(グレアム・グリーン)もかっこよかったなあ。
映画全体としては想像してたよりも印象はやや薄いかもしれないけど、ブリーやトビーや周囲の人々など登場人物のキャラクターの個性は相当濃かったです。あとテーマ曲「Travelin' Thru」はやっぱ名曲だと思いました。