航海中は、少しは凌ぎ易くなったが、幾ら暑くても、あと何日か過ぎれば、日本へ帰れるのだと思えば、それほど苦にはならず、皆も、やはり歓び勇んでいた。
人は誰しも故郷を遠く離れると、生まれ育った処は、どんな田舎でも忘れることは出来ないものだ。
郷愁の念は、いつも、いつでも、いつまでも、どんな時でもあった。
椰子の葉陰やゴムの木の下で、遥か遠い北の空を仰いで、今は亡き両親や祖父母、そして、小さな弟や妹を思い浮かべた。
懐かしさのあまり、幾度も一人涙したこともあった。
そんな過ぎし日の数々を思い出しながら、船は、夢にまでみた日本に、日一日と近づき、航海を続けていた。
船は、北上を続けて、八日目には鹿児島沖を通った。
櫻島から噴煙が立ち昇るが見えて、誰かが「あれが櫻島だ。日本に帰って来たぞ」と叫ぶと、その声で次々に、皆が甲板に出て来た。
懐かしそうに眺めて、何年ぶりかの祖国を見て、感涙する者もいた。
そして、四国も過ぎて、紀伊半島を周り、十昼夜目に、長い航海を終えて、ようやく祖国の名古屋港に無事に入港できたのである。
人は誰しも故郷を遠く離れると、生まれ育った処は、どんな田舎でも忘れることは出来ないものだ。
郷愁の念は、いつも、いつでも、いつまでも、どんな時でもあった。
椰子の葉陰やゴムの木の下で、遥か遠い北の空を仰いで、今は亡き両親や祖父母、そして、小さな弟や妹を思い浮かべた。
懐かしさのあまり、幾度も一人涙したこともあった。
そんな過ぎし日の数々を思い出しながら、船は、夢にまでみた日本に、日一日と近づき、航海を続けていた。
船は、北上を続けて、八日目には鹿児島沖を通った。
櫻島から噴煙が立ち昇るが見えて、誰かが「あれが櫻島だ。日本に帰って来たぞ」と叫ぶと、その声で次々に、皆が甲板に出て来た。
懐かしそうに眺めて、何年ぶりかの祖国を見て、感涙する者もいた。
そして、四国も過ぎて、紀伊半島を周り、十昼夜目に、長い航海を終えて、ようやく祖国の名古屋港に無事に入港できたのである。