知人との久しぶりの再会のため、夕方、福井市街地にあるホテルまで出かける。
知人の宿泊しているホテルを出て、梅の花が咲く中央公園を散策・・。
ふと見上げたら高さ6メートルの岡倉天心像が、聳えているかのように立っている。
「岡倉天心って・・福井出身ですか?」と知人。
「両親が福井県出身です。福井藩士だった父親は横浜で貿易商になったので横浜で生まれたはずです」と答える。
「で・・岡倉天心って、どんな人物でした?」と知人。(笑)
「天心ですか・・明治期に大きな足跡を残した巨人の一人で・・詩人作家であり、美術思想家でもあり、はたまたロマンチストだったかもしれません」と答える。
こんな有名なエピソードもある。
"What sort of nese are you people? Are you Chinese, or Japanese, or Javanese?"
"We are Japanese gentlemen. But what kind of key are you? Are you a Yankee, or a donkey, or a monkey?"
100年以上昔に、「茶の本」を英文で出版した岡倉天心である。
写真を見る限り、二枚目の顔ではない。
ましてや、当時の白人世界の中での東洋人(黄色人)としてのコンプレックスは、いかほどのものかと想像する。
あの夏目漱石でさえ、英国暮らしで引きこもりの鬱状態になっている。
英語力という武器で、日本人の品格、知性を、世界に知らしめた日本の先覚者であると言っても過言ではない。
追記:
岡倉天心は、橋本左内を尊敬し、何度も福井を訪問している。
自筆履歴書には、旧福井藩士、郷里福井、越前生まれ、ずっと記載していたらしい。
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春の夜明け、ぼんやりとした明るみの中、
小鳥達が梢の先で不思議なリズムを交わし合うとき、
それは仲間に花のことを語っているのだとは思いませんか。
人も恋をすると花に心をひかれます。
何も言わない、ただただ甘い香りの花ならば、乙女心もとかすのでは。
原始時代の男は、好きな女性にはじめて花輪を捧げたとき、
それによって獣(けもの)のこころから脱け出しました。
野性をおさえて、人間らしくなりました。
そして無用と思っていたものにも微妙な使い途があることを知り、
人は芸術の世界に足を踏み入れたのです。
<岡倉天心「茶の本 花の章」より抜粋>
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