ふくい、Tokyo、ヒロシマ、百島物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

そして、神戸。

2023年01月21日 | 空木宝剣

淡路阪神大震災から28年。

被災者6434人には、6434以上の物語がある。

1月20日ラジオ深夜便。

「親愛なる母上様」もその一つ。

神戸大学に入学の一人息子、加藤貴光さんを、下宿の西宮まで送り届けた母、加藤りつこさんの、その後の物語。

残念な事に、貴光さんは、1995年1月17日の大地震で、住居のマンションが倒壊。21歳の若さで亡くなったとの事。

茫然自失のりつこさんに遺されたのは、入学時、神戸から広島への帰途、息子貴光さんが新幹線の駅で、別れ際、渡してくれた感謝の手紙。

それが、「親愛なる母上様」。

母の愛情によって、より高くより遠く、飛躍するよう紡がれた
息子の翼は、無惨にも、震災によって絶たれたが、その愛情の深さと絆は、広く伝播している。

壇 一雄(1912~1976)の「リツ子その愛  リツ子その死」ならぬ「りつこその愛  貴光その死」物語。

遠く近くは、地理上の距離だけではない。

時間にも、記憶にも存在する。

暁の刻に、眠りを醒ます蒸気船ならぬ深夜便。

団塊も、母親のりつこさんと、ほぼ同年代。

来月73だが気持ちは37。

武田鉄矢の、「思えば遠くへ来たものだ」。

そして、翼を休めつつ、もう少し遠くまで羽ばたくとすべえか。