現在、東京国立博物館にて「鳥獣戯画」展が開催されている。高山寺蔵の国宝である。鳥羽僧正覚猷の筆になるものかどうかは別にして、平安末期から鎌倉初期のものといわれ、当時の貴族社会や仏教界を、鳥獣などの生物動物を擬人化して風刺したものであると解釈されている。
ところで、このような画風はこれ以外他には見られない。この画風のセンスはいったいどこから来たのであろうか。「絵画」ではないのでこの「戯画」に直接的に影響を与えたとはいえないのであるが、源流はこれではないかと思われるものがあるので紹介したい。朝鮮半島には、918年から1392年まで高麗国という国が存在したが、その末期から次の李氏朝鮮国時代初期にかけて「時調詩」というものが盛んになったようであるが、そのセンスを源流としたものではないかと思うのである。
「時調詩」とは、動物や植物などを擬人化する手法で、政治のひずみや社会のひずみを詩の形にしたもので、小説や民謡もたくさん作られていたようである。
李氏朝鮮国時代になると、詩に曲がつけられて「仮面劇」や「パンソリ」(民俗芸能、唱劇、劇歌)のなかに取り入れられていったようである。
さて、今回の「鳥獣戯画」展においてはどのようは説明や評価がなされているのだろうか?
(2021年5月28日投稿)