※2017年6月6日の投稿を再度投稿します。
2017年3月1日の朝日新聞記事『連合 だれのために』を読んだ。連合会長の神津氏がインタビューに答えたものであった。彼は「私は幻想を抱かないし、幻滅もしません。現実を直視します」と話しているのであるが、彼の表明している考え方は、彼の言葉とは逆に、現実を直視していると思えないし、極めて非科学的(非論理的非実証的、主観的で偏狭)な思考に基づいているため現実が正確に見えていないとしか思えないのである。そして、その状態で思考停止(固執)しているとしか思えないのである。
なぜなら彼は「ただでさえ強い自民党に立ち向かっていくのに、野党がバラバラでいいはずがない。でも、野党の候補者が共産党に一本化となった場合、連合が応援することは絶対ありません。共産党とはめざす国家像が違う。連合は左右の全体主義を排し、広い道の真ん中を歩く。」と話しているのであるが、これは極めて幼稚で非現実的な考え方あるとしか言いようがない。人はすべて考え方は異なるものである。政党もすべて考え方は異なるものである。しかし、現時点で野党が連帯する事が政治を変える唯一の方法であるならば小異を捨てて大同につく事が当然であろう。そのように柔軟に考える事ができないのであろうかと思う。もっと言えば、現時点において、彼の言う「共産党とはめざす国家像が違う。野党の候補者が共産党に一本化となった場合、連合が応援する事は絶対ありません。」という考え方が国民にどれほどの説得力をもっているだろうか。国民の多くは彼の理解に呆れているであろう。彼の理解は安倍政権の理解とまったく同じである。彼の思考形態は偏向した陳腐な紋切り型のパターンのままで停止しており、まったく非現実的思考としか言いようがないものである。こんな考え方では物事や状況を的確に分析できず誤った運動方針を導く事になり、誤った運動方針に基づいた労組運動しかできないのである。またあわせて、本来連帯すべき共産党に対して誹謗中傷する効果を生じさせる事になり、野党を対立させ分断を煽る事になるのである。それも連合会長みずからが。このような思考形態をする限り、安倍政権にとって「連合」は「敵」ではなく政権を利する扱いやすい「お友達」(翼賛団体)という事になっているであろう。
また、神津氏は「連合は左右の全体主義を排し、広い道の真ん中を歩く」と話しているが、物事を分析判断するのに「客観的(科学的)」という事は極めて重要であるが、労組運動の現実の行動においては「真ん中」の道など幻想であり机上の空論であり、存在しない。その事を故意に認めず上記のような発言をしていると考えてよい。それをしめす直近の発言がある。
たとえば、2017年5月24日の民進党幹部との会合で神津氏は、安倍首相の改憲表明を受けて、連合として憲法への対応をまとめる方針を明らかにし、「緊急事態条項などすぐやった方がいいものもあれば、安全保障のようにしっかりとした基本的な考え方とセットでやった方がいいものもある」と話しているように、安倍政権に対し「容認」の姿勢を表明した。この動きをみると、神津氏の今回のインタビューでの発言は野党の分断を目的として「意図的」に行われたものと考えてよい。神津氏は労働組合の会長でありながら、その価値観や思考形態は「労働者」の側には立っていないという事を公然と自ら証明したという事である。
(2017年6月6日投稿)