2021年4月22日、衆院憲法審査会が開催され、国民投票法(日本国憲法の改正手続きに関する法律)改正案を審議した。自民党の新藤義孝・与党筆頭幹事の「議論は尽きている。採決の機は熟しているという事は更に明白になった」という主張はまったく論外であるが、公明党の北側一雄副代表の「早急に成立させてもらった上で、憲法本体の議論、CM規制の議論を同時並行で行いたい」との主張も詐欺的手法であり同様に論外である。
改正案は2018年に提出され、大型商業施設への共通投票所の設置など7項目が盛り込まれている。
しかし、国民投票法の改正すべき最も重要な点は、
「最低投票率」を定める事である。ちなみに自民・公明が反対したため定められなかったのであるが。この規定がなければ、どんなに投票率が低くても、改正「賛成」が「反対」より1票でも多ければ「改正」が成立するからである。これでは国民の声の大勢を反映した事にはならず、極めて不公正というべきである。国会に関する憲法第56条「定足数、評決」においても「➀両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決する事ができない。②両議院の議事は、この憲法に特別の定めある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数の時は、議長の決するところによる。」と定めているのであるから、「憲法改正」の「国民投票法」においても、それに倣った適切な条件を定めるべきであろう。それはまず「最低投票率」を定める事であろう。さらには憲法第96条「憲法改正の手続き」に定める「過半数の賛成を必要とする」としているものを改めて検討し直し、それよりもさらに適切な「基準」を定めても良いのではないだろうか。それを嫌ったのが自民・公明両党であった。特に自民党がどのような憲法(国家)を目指しているかは「自民党憲法改正案」に明確である。
憲法は、人権の保障や民主的な政治の仕組みの基本を定めており、また、国家の一番大切な法であるから、変更の手続きを厳しくしておき、簡単に変える事ができない硬性憲法の性格をもたせておくべきだと思う。
国民投票法には改正すべき点は、公務員や教育者の投票行動を一部制限している点などほかにもある。
(2021年4月25日投稿)