ABCCとは原爆傷害調査委員会(現放射線影響研究所)というもので、広島に1947年に、長崎に1948年に米政府が設立したものである。ところでこの組織は、いつどのような目的で設立したのであろうか? その答えを得られる人々の言葉を以下に紹介しよう。
設立当時の米国大統領はトルーマンであった。その大統領に対して1946年11月18日、フォレスタル海軍長官から、「広島、長崎の被爆者調査は合衆国にとって最重要である放射線の医学的、生物学的影響の研究にかけがえのない機会を提供してくれる」との要請がなされたという。
そして、1949年2月には、ABCCに運営資金を提供するAEC(米原子力委員会)の諮問委員会で生物医学部長のシールズ・ウォーレンが「AECは軍事・民間防衛計画の策定を助け、広島と長崎から人間のデータを集める責任がある」と述べたという。
1949年8月にソ連が核実験を成功させ、1950年6月には朝鮮戦争が始まった。その年の11月の生物医学諮問会議で、核兵器による攻撃についての対策が議論されたが、先のウォーレンは「実は、我々は膨大な実験結果を得ている。長崎と広島の20万人以上を巻き込んだ実験である」と述べたという。
上記の人たちの言葉から、米政府がABCCをどのような目的で設立したかを知る事ができるだろう。
(2021年1月25日投稿)